安価で安住の地を見つける   作:ハンドルを右に

4 / 11
【悲報】ワンピ世界に転生したけど海賊から足を洗わせてもらえない件part2/1

1:名無しの海賊団 ID:+SUPC5N0K

 えーそれでは皆様ご起立ください

 『次スレを始めます』

 

2:名無しの海賊団 ID:7XgdFsLjZ

 >>1

 たておつ

 

3:名無しの海賊団 ID:pMoOYVpn6

 >>1

 立て乙

 

4:名無しの海賊団 ID:qlIoZjn+4

 >>1

 乙

 

5:名無しの海賊団 ID:HB2vf+LWu

 >>1

 乙

 

6:名無しの海賊団 ID:mF9Zv/uu/

 >>1

 乙

 安価して♡

 

7:名無しの海賊団 ID:iN2kutIGb

 >>1

 乙

 なんか次スレまでいっちまったな

 

8:名無しの海賊団 ID:iSBSHspNr

 なんだかんだ雑談してるうちに終わっちゃったし

 

9:名無しの海賊団 ID:Ah84TifSf

 あーだこーだ言っていながら次スレたてるとか

 やっぱ(安価)好きなんすね

 

10:名無しの海賊団 ID:t6Hj5AgU/

 >>1

 乙

 

11:イッチ◆oV+OwtFfi ID:hrSlOhN41

 >>1

 コラコラコラーーー!!!

 勝手に始めるなーーーー!!!!!! 

 

12:名無しの海賊団 ID:pBLNHiFqV

 >>11

 !? 

 

13:名無しの海賊団 ID:HxrluWqnT

 >>11

 イッチ!? 

 

14:名無しの海賊団 ID:d9QWMo7MG

 >>11

 そんな! スレ立てしたはずじゃ!? 

 

15:名無しの海賊団 ID:raMke2BKF

 なりすましだろ

 放置安定

 

16:名無しの海賊団 ID:A4ZwQLGGN

 >>11

 寒いからNGね!w

 

17:名無しの海賊団 ID:bbuikYVwQ

 本当のイッチなら証拠を見せろえ

 

18:イッチ◆oV+OwtFfi ID:hrSlOhN41

 >>17

 風呂網膜撮影したからおいておくね

 【画像】

 

19:名無しの海賊団 ID:H+HBRj9yu

 はい本物

 

20:名無しの海賊団 ID:5Hre//i6y

 これはまごうことなきイッチ

 

21:名無しの海賊団 ID:lb9w48QW+

 この弧線(ボディライン)のSilhouetteは……! 

 

22:名無しの海賊団 ID:2PqB7HM7r

 幸せパンチ! 

 

23:名無しの海賊団 ID:gYaHtHSZy

 改めて見るとほんとスタイルえぐいな良い意味で

 

24:名無しの海賊団 ID:y4RlXzIIk

 >>1

 ペロ……この味は乗っ取り団のティミー下野!? 

 

25:名無しの海賊団 ID:4kcyCCWJN

 このスレでは>>1とイッチが必ずしも一致しないことをお前に教える

 

26:名無しの海賊団 ID:C9SqzjMqa

 >>25

 イッチだけに一致ってかwwwwwwwwうぇらwwwwww

 

27:名無しの海賊団 ID:raMke2BKF

 俺ははじめから信じていたぞイッチ

 

28:名無しの海賊団 ID:bbuikYVwQ

 本物と偽物の違いがわからないやつは見聞色が足りん

 

29:名無しの海賊団 ID:A4ZwQLGGN

 “凝”を怠るな未熟者共

 

30:名無しの海賊団 ID:CNR4PjMs5

 すがすがしいほどの手のひらドリルで草

 

31:名無しの海賊団 ID:cefzTCUvK

 これはまごうことなきマスカラブーメラン

 

32:イッチ◆oV+OwtFfi ID:hrSlOhN41

 ここは安価スレでもSBSでもないんだよなぁ……

 

33:名無しの海賊団 ID:siNwja43T

 次からイッチが建てなくても勝手に始められちゃうな

 

34:名無しの海賊団 ID:87Sr6vmja

 スレ民の質問に答えていくのはSBSと同じだけどね

 

35:名無しの海賊団 ID:0AFTz/n5J

 >>32

 サラダ食べて海賊王になれ

 

36:名無しの海賊団 ID:+shKGa+vY

 知らなかったのか? 

 安価スレからは逃げられない! 

 

37:名無しの海賊団 ID:eUUA3f2Nn

 ここまでテンプレ

 

38:名無しの海賊団 ID:H0O6rufYT

 もうアラバスタついたの? 

 

39:イッチ◆oV+OwtFfi ID:hrSlOhN41

 おう

 というかエースにも会ったぞ

 

40:名無しの海賊団 ID:dGNibevEA

 早っ、

 

41:名無しの海賊団 ID:ngc+fQXJy

 時間経ちすぎだろ! 

 

42:名無しの海賊団 ID:he7h1s+t8

 敗北者じゃけぇ……! 

 

43:名無しの海賊団 ID:1PUkpvv3Q

 敗北者はエースじゃなくて白ひげ定期

 

44:名無しの海賊団 ID:XiUHsm7Hr

 アラバスタ航海中は何もなかったの? 

 

45:イッチ◆oV+OwtFfi ID:hrSlOhN41

 多分偉大なる航路入ってから一番平和だったよ

 アホ船長のつまみ食いも阻止したし

 ボンちゃんと“ユウジョウ!”したし

 

 

 

 

 

 

 

 あと>>18の画像、実はボンちゃんだぞ

 

46:名無しの海賊団 ID:IC+EwKEZu

 ヴォエ! 

 

47:名無しの海賊団 ID:wiHIoyjAF

 何も見たくねぇ……

 

48:名無しの海賊団 ID:vAeCyIK3L

 おrrrrrrrrr

 

49:名無しの海賊団 ID:fq88aif/G

 くぁwせdrftgyふじこlp

 

50:名無しの海賊団 ID:KSii6H23P

 なんてことを……

 

51:名無しの海賊団 ID:YdtznTBN/

 ここでイッチ反撃に出る

 

52:名無しの海賊団 ID:2g/a3OuR2

 でもマネマネの実は外見だけなら完璧に同じなんだよな……

 

53:名無しの海賊団 ID:+ffv8Lgsy

 >>52

 エ……!

 

54:名無しの海賊団 ID:Uj/mx4HSI

 実質ナミさんのヌード……ってコト!? 

 

55:名無しの海賊団 ID:9iC0DySsd

 >>54

 フゥン……(ボロン)

 

56:名無しの海賊団 ID:ARhHHBDrj

 >>54

 俺も参加していースか? 師匠(コキ……)

 

57:名無しの海賊団 ID:P8ttUEAz7

 他人が自分の体使ってアレコレしてんだぞ

 ある意味最大の尊厳破壊やん

 

58:名無しの海賊団 ID:Uwj1yyTSx

 ボンちゃんシャワー使わせてもらってて草

 

59:名無しの海賊団 ID:wtseGUrEk

 後の一味の大恩人やぞ

 崇めよ讃えよ

 

60:イッチ◆oV+OwtFfi ID:hrSlOhN41

 オカマには敬意を払え

 古事記にもそう書かれている

 

 そんなこんなで今はレインベースに向かっちゃブル

 

61:名無しの海賊団 ID:9IJ59cyYg

 はやくなぁい? 

 

62:名無しの海賊団 ID:6n2ar0i5Q

 もうユバも通り過ぎたのか

 

63:名無しの海賊団 ID:+SUPC5N0K

 ユバ反乱軍居なくなってるのに通る意味ある? 

 

64:名無しの海賊団 ID:nZgAE7Fz2

 あるだろ

 あそこからビビとルフィが喧嘩して「仲間の命くらい賭けろ!」に着地するわけだし

 

 たぶんあれやらないとビビって本当に犠牲になろうとするから……

 

65:名無しの海賊団 ID:b6jwdySOA

 犠牲になったのだ……

 

66:名無しの海賊団 ID:R0szda9NK

 ナミさんとビビちゃんのお体に触りますよ……

 

67:名無しの海賊団 ID:mF9Zv/uu/

 >>66

 申し訳ないがナミに鮫をぶつけるのは洒落にならないのでNG

 

68:名無しの海賊団 ID:h9RoeEC5z

 ちょっと待って!? スモやんが入ってないやん! 

 スモやんがいるって聞いたからこのスレ開いたの! 

 

69:名無しの海賊団 ID:c2MHauUNc

 モクモクしちょるだけのロギアなんて映す価値なしじゃけぇ……

 

70:名無しの海賊団 ID:FoFkKGsWZ

 ケムリンの出番ってむしろこれからでは? 

 ワニに捕まるところ

 

71:イッチ◆oV+OwtFfi ID:hrSlOhN41

 海軍に会ったら手配されるだろ! 

 ローグタウンからずっと徹底的に避けまくってるわ

 

72:名無しの海賊団 ID:0AFTz/n5J

 ええ……

 

73:名無しの海賊団 ID:vAeCyIK3L

 はたらけ

 

74:名無しの海賊団 ID:iRglJE1UY

 ニート・ニート・イッチー

 

75:イッチ◆oV+OwtFfi ID:hrSlOhN41

 いやローグタウンで足止めして、なし崩しに船降りようとしたこともあるけど普通に止められたわ

 

76:名無しの海賊団 ID:wGU9k1zVF

 唯一有効打を入れられるの知らんのか……

 

77:名無しの海賊団 ID:+5VP9i8Vr

 まあ一応イッチは“平穏”を求めているわけだからな

 戦おうとするなら止めてあげるのも人情よ

 

78:名無しの海賊団 ID:xremmXewq

 >>77

 目的だけ見ると鷹の目と同じなの草

 

79:名無しの海賊団 ID:+/pJVsNHi

 >>77

 イッチの正体、鷹の目で確定か!? 

 

80:名無しの海賊団 ID:wHKW+P2NN

 >>77

 お前の黒刀、おれによく馴染むぜ(持てない)

 

81:名無しの海賊団 ID:HTAqxxhaW

 暇つぶしで東の海で木っ端を狩る鷹の目! 

 穀つぶしで東の海で木っ端にやられるイッチ! 

 

 そこになんの違いもありゃしねぇだろうが!!!

 

82:イッチ◆oV+OwtFfi ID:hrSlOhN41

 >>81

 何もかも違うのだ!!!!!! 

 

83:名無しの海賊団 ID:MDwaYywyH

 >>81

 なんだかんだ穀潰しではない定期

 

84:名無しの海賊団 ID:2qDygjHAb

 箇条書きのマジックやめろ

 

85:名無しの海賊団 ID:ZcZ5TmK1L

 でも東の海で新世界レベルの覇気使えるとか目をつけられてもおかしくなさそう

 

86:名無しの海賊団 ID:dDy5C2aWN

 嘘つけ素がクソザコナメクジだから見向きもされないゾ

 

87:名無しの海賊団 ID:tvSAQev0E

 安価

 

88:名無しの海賊団 ID:nubrl4T5F

 あん

 

89:名無しの海賊団 ID:mF9Zv/uu/

 か

 

90:名無しの海賊団 ID:XLeG3EnlD

 しろ

 

91:名無しの海賊団 ID:EJB9xUB1k

 ながすくじら

 

92:名無しの海賊団 ID:LjCZMXs+8

 なんだ今の

 

93:名無しの海賊団 ID:mwnR/CYIF

 安価シロナガスクジラは普通に海王類にいそうだからやめろ

 

94:イッチ◆oV+OwtFfi ID:hrSlOhN41

 さてレインベース着いたぞう水だ水だ水だ死ぬ死ぬ死ぬ

 

95:名無しの海賊団 ID:m4kq+fqRp

 おつ

 

96:名無しの海賊団 ID:+QH3oPWPc

(レインベースまでイッチの書き込みなかったのって砂漠で死にそうになってたからだなこれ)

 

97:名無しの海賊団 ID:h85iPaKfS

 ゾンビみたいになってて草

 

98:名無しの海賊団 ID:oIt1qotqR

 もうスリラーバーク編か、はやいな

 

99:イッチ◆oV+OwtFfi ID:hrSlOhN41

 その時はもう船にいないから……

 アラバスタで身を固めるから……

 

 さてとここから別行動でワニハウスいくぞ

 

100:名無しの海賊団 ID:/UoQHFVRW

 スモやんとも対面することになるぞ

 

101:名無しの海賊団 ID:1M+os8Z2a

 モクモクしてきたな

 

102:名無しの海賊団 ID:KgCynMtSt

 身を固める(固められるとはいっていない)

 

104:名無しの海賊団 ID:nBIfg+Jn5

 身を固める(大地と一つになるという意味で)

 

105:イッチ◆oV+OwtFfi ID:hrSlOhN41

 さて誰と行くか

 ゾロも奇跡的に着くはずだから誰でもいいんだが

 

106:名無しの海賊団 ID:tvSAQev0E

 よし安価だ

 

107:名無しの海賊団 ID:cierdvILl

 誰でもいいんだったら安価しろ

 

108:名無しの海賊団 ID:g9H+ZCgGG

 このスレ民にとって安価は砂漠での水に等しい

 

109:名無しの海賊団 ID:sbABlhDE1

 カラカラになってしまう

 

110:名無しの海賊団 ID:XpcU3WK8F

 助けて

 

111:名無しの海賊団 ID:6c6qM/DPe

 くるしい

 

112:イッチ◆oV+OwtFfi ID:hrSlOhN41

 誰と行く? >>122

 

113:名無しの海賊団 ID:UeugbLDJL

 騙されたな甘ちゃんが! 

 

114:名無しの海賊団 ID:xMahHXFO9

 ようやく尻尾を出したな! 

 

115:名無しの海賊団 ID:KgCynMtSt

 安価はいただくぜヘヘへ

 

116:名無しの海賊団 ID:tb/Evpi0I

 砂漠で辛い思いをした後だからスレ民を不憫に思って安価してくれたのにこの始末

 

117:名無しの海賊団 ID:OqpSGwuqY

 まさに大海賊時代

 

118:名無しの海賊団 ID:/VNY5juCY

 かそく

 

119:名無しの海賊団 ID:CHGQMF46p

 ビビ

 

120:名無しの海賊団 ID:UeugbLDJL

 ビビ

 

121:名無しの海賊団 ID:4SZgswSwk

 ビビ

 

122:名無しの海賊団 ID:SFyMtxuNY

 ビビ

 

123:名無しの海賊団 ID:3ijvrSFbW

 ビビ

 

124:名無しの海賊団 ID:EdQCsb42h

 ビビ

 

125:名無しの海賊団 ID:KgCynMtSt

 ビビ

 

126:名無しの海賊団 ID:7TCEmtPIQ

 ビビ

 

127:名無しの海賊団 ID:oFTAlfn6C

 安 価 の 意 味 な し

 

128:名無しの海賊団 ID:mbbMyiW80

 なんだこれは

 

129:名無しの海賊団 ID:mcvygQy7X

 全部同じじゃねぇか!? 

 

130:名無しの海賊団 ID:G/yE01ob8

 ここまで全部自演

 ここからも全部自演

 

131:名無しの海賊団 ID:GHWCoIPkH

 熱いビビ推し

 

132:名無しの海賊団 ID:IKzUGmmnS

 そりゃこの内乱を止めるキーパーソンだから手厚く護らないといけないのは当たり前だよなぁ??? 

 

133:イッチ◆oV+OwtFfi ID:hrSlOhN41

 やだ意図が読めなくて怖い……やめてください……

 まあ普通に考えたらそうなるけど……

 

134:名無しの海賊団 ID:UeugbLDJL

 サンジ切れそう

 

135:名無しの海賊団 ID:u1DD/i2S5

 イッチ考えてみろ

 確かこの後ってビビはB.W(バロックワークス)の下っ端と戦った後にバナナワニとも戦うんだぞ

 

136:名無しの海賊団 ID:8LXzWdiqm

 あっ

 

137:名無しの海賊団 ID:O9LYhf9+2

 あ

 

138:名無しの海賊団 ID:SB65fC58S

 戦闘する機会は多いんだぞビビ

 

139:名無しの海賊団 ID:Xk9wR5uBd

 ある意味もうひとりの主人公だから当然

 

140:名無しの海賊団 ID:CsW7auxqF

 立ち回りミスったらロビンとも戦う羽目になるぞ

 

141:イッチ◆oV+OwtFfi ID:hrSlOhN41

 ホ、ホアーーーー!!!!(気絶)

 

142:名無しの海賊団 ID:Z6IWbWxQ0

 イッチが死んだ! 

 

143:名無しの海賊団 ID:HiF1vNdY6

 このひとでなし! 

 

144:名無しの海賊団 ID:tWZKJ8DhM

 やっぱりスレ民は安価とイッチの苦しむ姿にしか興奮できないんや……

 

 

 

 

 

 

 ◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 砂漠はなぜ暑いのか。

 太陽光を吸収する水分がないから、太陽光を遮るものがないから、砂が熱しやすい性質をもっているから。

 

 オアシスも何もない、見渡す限りの砂丘をいくつも超えるために身を投じる者達は、まさに料理中の鍋に足を踏み入れることも同然だ。

 

 

「ア〜〜〜〜……」

 

「焼けるぅ……」

 

「ちょっとアンタらうるさいっ……そんな間延びした声聞いてたらこっちも余計ダレちゃうわよ……」

 

 

 麦わらの一味はそんな日中の砂漠を練り歩いていた。

 目指すのは反乱軍の拠点、ユバ。

 かつて幼い頃のビビに夢を語ってくれた幼馴染がそこにいるはず。

 このクロコダイルに仕組まれた反乱を止めるためには、まず彼と直接会わなければならない。そのためにもこの途方もない砂漠を踏破するしかない。

 

 

「ビビは大丈夫なの?」

 

「私はここで育ったからある程度は平気」

 

「すげぇなビビ。おれ暑いのはだめだ」

 

「チョッパーは雪国出身だから仕方ないわよ」

 

 

 荷台に乗せられたチョッパーはずるずるとゾロに引かれる。旅に出て初めてたどり着いた場所が故郷と正反対の環境。さすがに生まれも育ちも雪とともに育った彼には酷すぎた。これは責められまい。

 

 ゾロとサンジは元々体力があるし、水分補給のペース配分も心得ている。文句も言わず前を進み、チョッパーのフォローをしている。

 まあ単に「コイツよりも先に音を上げてたまるか」と意地になっている節もあるだろう。きっとサウナでも同じようなことをやって、脱水症状で運び出されるのがこの二人だ。

 

 

「他の男どもはもっとしゃんとしなさいよ……」

 

「ア〜〜〜〜…………」

 

「暑い〜〜……」

 

 

 そして、ルフィとウソップは先頭を歩くものの、犬のように舌を出しながら先を進む。

 ウソップはともかく、馬鹿みたいに体力あるくせに弱音を吐くルフィには文句のひとつは言いたい。先程まで礼儀正しい兄と会ったせいか、つい比較してしまうのも無理はない。

 

 

「だから間延びした声やめなさいってば。もっとハキハキと!」

 

「死」

 

「アンタはすがすがしいくらいにシンプルねハジメ……」

 

 

 最も危ないのはハジメだった。

 顔は下を向き、足元はおぼつかず、置いていかれまいと何とか食らいついている。無意識なのか、両手を地面と平行に突き出しながらノソノソと歩いている。微かにうめき声も聞こえる。

 

 メリー号を出発してから5分も経たずにゾンビのようになってしまった彼。最近体力がついてきたと胸を張っていた姿は影も形もない。脱落はチョッパーよりも早かった。

 

 

「ハジメくん大丈夫? よかったら私の水飲む?」

 

イダァダイ(いらない)……」

 

「砂漠で無理は禁物よ。何かしてほしいことあったら遠慮なく言ってね」

 

「オデ……ア、アア……オウエン……?」

 

「応援? え、ええと、頑張れっ頑張れっ」

 

「アリ……ガト……」

 

 

 かつてないほどに原型をとどめていないハジメが気持ち程度立ち直る。

 こういった過酷な自然を乗り越えるためには体力もだが、精神力というものは馬鹿にならない。折れてしまった時こそ、待っているのは遭難なのだ。

 

 

「羨ましい……オレ、アイツ……ケル……

 

「ゾンビがもう一体増えたぞ」

 

 

 本当に怨念からゾンビになりそうなコックは置いておく。

 結局ジャンケンで負けたルフィが荷物を持つ流れでハジメも運ぼうとしても、他ならぬハジメは拒否し続けた。歩幅は全員分の荷物を持っているルフィよりも小さい。

 次の岩場まで行ったら休憩できる、それだけが心の支えだったところでウソップが叫んだ。

 

 

「お、見ろ! 前方に岩場を発見!」

 

「やった! 休憩タイムだァ!」

 

「疾っ」

 

 

 ルフィとウソップ、そして言語能力が著しく退化しているハジメも力を振り絞って駆け抜け……たかのように見えたが、すぐにルフィとウソップは戻ってくる。

 なんと、岩陰には怪我をした鳥の群れが、首も良くない方向で曲がり、白目をむいているらしい。

 

 

「あ、ルフィさん。これは怪我してないわ。この鳥は“ワルサギ”って言って、弱っているフリをして獲物をかすめ取る習性があるの」

 

「なにっ!? こいつら騙して荷物盗ろうとしてたのか!」

 

「……あれ、でもこいつら全員気絶してるぞ? 特に殴られたりされた様子もないし」

 

「それは妙ね。本当にここで何かあったのかしら? ハジメくん、ルフィさんたちが離れた間に何かあったの?」

 

「死……!」

 

「なんかハジメがすげぇおっかねぇ顔してるぞ……!」

 

 

 チョッパーは戦慄しているが、他の者たちには見慣れた光景だった。よくメリー号に紛れ込んだ虫とか見つけると、こんな顔したハジメが見ただけで堕ちていくから便利なものだ。今は本人が切羽詰まっているせいか、その形相に一層拍車がかかる。

 

 なんとか物資を守り抜いたおかげか、水分や食料に困ることはなくユバにたどり着いた。陽が沈み、冷えきった砂漠は、かつてのオアシスは影も形もなくなっていた。

 度重なる砂嵐の果てにオアシスは埋もれ、反乱軍も拠点を移し、残ったのはトトという老人ただ一人。

 かつての恰幅の良かった体型は見る影もなく、皮膚の皺と骨がこの地に降り掛かった苦難の凄惨さを物語っている。

 

 

「頼む……! あのバカどもを止めてくれ……!」

 

「うん、反乱はきっと止めるから……!」

 

 

 切実な願いを受けて笑顔を見せるビビ。

 しかし、背後の仲間たちの表情はどこか訝しげだったことは彼女には見えない。

 

 ここまで来る間にもその節はあった。

 頼れる人がいない潜入生活で身についてしまったのか、それとも王女としての気質なのか、『誰も死なせたくない』という考えがある。

 

 はっきり言ってそれは危険だ。

 アラバスタ軍と反乱軍との緊張は頂点に達していて、その上クロコダイルたちが国を乗っ取ろうとしている。

 もうその考えは通用する段階は、とうの昔に通り過ぎているのだから。

 

 だからこそ、一度考えを改めさせなければならない。そして、彼女の抱えているものも吐き出させる必要もある。

 そんな重荷を受け止める役目は──────船長(ルフィ)しかいない。

 

 

「いいから俺達の命も賭けてみろ! 

 ───仲間だろうが!!!

 

「!? ……う……くぅ……!」

 

「なんだ、出るんじゃねェか。涙」

 

 

 殴りあって、言いたいことを全部吐き出して、そしてようやく出てきたビビの涙が乾いた砂へと落ちる。

 悔しさ、惨めさ、そして何よりもここまで自分を想ってくれる仲間がいることの嬉しさ。

 瞬く間に砂に染み込んで蒸発するものでも、その気持ちはこの場にいる皆の心に伝わった。

 

 元凶をどうにかしないと、反乱を止めたところで誰も救われない。真っ先にやらなければならないことを再確認した一味はレインベース……そして敵の本拠地、カジノ・レインディナーズへと突き進む。

 

 ……街に着いてから休む暇もなく海軍に追われてしまっているため、散り散りになりながらではあるが。

 

 

「おいお前ら! 先行ってろ! 後で追いつく!」

 

「Mr.ブシドー! お願い!」

 

「助かる!」

 

 

 ゾロに海軍の足止めを頼み、ビビとハジメは人混みに紛れながら先を急ぐ。しかし、彼らの敵は海軍だけではない。

 

 

「ビビ、15m前方に敵10人」

 

「わかったわ、こっち来て!」

 

「くっ! 逃がすな、追え!」

 

 

 本拠地の膝下である以上、B.W(バロックワークス)の構成員も当然ながら街に多く配置されているのは当然だ。掻い潜るのは困難を極める。

 

 

「左建物隔てて10m先に3人、前方の建物4つ先の角、2人待ち伏せ」

 

「なら右ね!」

 

「ぶへっ! 足になんか引っかかりやがった!」

 

「糸かよこれ……くそっ、小細工をしやがって!」

 

 

 しばし離れていても、ビビはこの国の王女。街の地理は熟知している。

 敵の場所さえ事前にわかれば、抜け道なんていくらでも見つけられる。

 

 一人なら正面突破しか手段はなかっただろう。

 けれど、こと索敵に関しては最も優れている仲間がいれば、撒くことなぞ造作もない。

 

 

「おっと、左右から2人ずつ。前後からも1人ずつ」

 

「挟み撃ち……ハジメくん、上登れる?」

 

「ちょっと待って」

 

 

 ハジメは走りながら首に巻いた長めのストールを解く。

 靡くそれが直線状になったタイミングで黒く染まり(・・・・・)、板のように硬化する。

 近場の家屋に立てかけたそれを足場に、二人は屋根へと登っていった。

 

 

「これで屋根を飛び越えていけばもう目の前。皆はもう着いてるかしら?」

 

「うん。ちょっと時間かかったけどね。

 ……っと、その前に空から何か来るよ」

 

「空?」

 

 

 街中でも強烈な太陽光が降り注ぐ空。

 言われて見上げれば、一羽の鳥がこちらに向かってきていた。

 砂漠では一際目立つ白い衣を着ているのを確認すると、ビビから笑顔が浮かびあがった。

 

 

「ビビ様! よくぞご無事で!」

 

「ペル!」

 

「カルーの手紙が届いたみたいだね」

 

「まずは周りを黙らせます。しばしお待ちを」

 

 

 大きな隼の姿が変化していく。

 人間の輪郭を持ちながら、それでいて隼の翼と鉤爪は残したまま、屋根の下にいるB.W(バロックワークス)の手下たちに切りかかる。

 人獣型と呼ばれる“動物(ゾオン)系”悪魔の実の形態は、狭い場所での戦闘に適していた。剣と鉤爪を舞のように駆使し、瞬く間に雑兵を一層する姿は王国最強の騎士に違いない。

 

 

「お待たせしました。ビビ様、そちらの男は?」

 

「私の仲間よ! ハジメくん、彼は護衛隊副官のペル。悪魔の実の能力で隼になれるの!」

 

「ああ、お手紙に記されていた“信頼できる仲間たち”の……ここまでビビ王女をお守りくださり、心より感謝申し上げる」

 

「お礼を言うのはまだ早いよペルさん。敵はまだいるみたいだし」

 

「!?」

 

 

 二人はハジメの指差す先に視線を向ける。

 隣の建物の上、ひとつ上の階層の屋根に足を組みながら座る女性がいた。

 

 

「あら、お話は終わりなの? もう少しなら待ってあげてもよかったのに」

 

「ミス・オールサンデー……!」

 

「こやつが、我が国を乗っ取ろうとする賊……!」

 

 

 ミス・オールサンデーが同じ建物に降りてきた。

 警戒するビビとペル。それを手で制したのはハジメだった。

 

 

「大方、ビビを連れてこい(・・・・・・・・)って言われたんでしょ。俺達もクロコダイルのところに行くつもりだから、そのまま帰っていいんじゃない?」

 

 

 狙いを指摘されても動揺する素振りはない。

 笑みを崩さずに招待するように手の平をレインディナーズへと向ける。

 すると、屋根から屋根へ。橋をかけるように手が伸びていく。そのまま伝っていけばカジノの入口に降り立つように道が作られた。

 

 

「ええ。支配人として歓迎しましょう。王女様と、ついでに騎士様もどうぞ中へ。Mr.0がお待ちしているわ」

 

「クロコダイル……!」

 

「いけません、ビビ様! これは罠です!」

 

「大丈夫よ、ペル。あそこには私の仲間たちが戦ってくれているから」

 

 

 ビビにとっては目の前の女も許せないが、優先順位は仲間との合流とクロコダイルの打倒だ。

 迎え撃つというのであれば、今頃ルフィたちも戦っている途中なのかもしれない。

 

 癪だが、ここは相手の意図に乗ってやろうと、先を急ぐビビ。納得はしていないものの、ペルもまたビビの後に続く。二人が足場を渡ってひとつ屋根を通り過ぎたところで、ハジメも橋に足をかけようとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「良かった。これで一つ目(・・・)の仕事は簡単に終わりそう」

 

「え」

 

 

 ミス・オールサンデーはくすりと笑った。

 

 

「“三輪咲き(トレス・フルール)”」

 

「おうっ!?」

 

 

 ハジメの体から三本の手が伸びる。

 首を、腕を、足を固められ、なす術無く体勢を崩されてしまった。

 

 

「ハジメくん!?」

 

「貴様、何をする!」

 

「元々王女様を連れてこいって命令だけだったのに、貴方がいるから仕事が増えちゃったわ」

 

「え、え??? は??? どゆこと???」

 

 

 完全に油断していたのか。それとも来るとわかっていても理由がわからないために対処できなかったのか。ハジメの表情には戸惑いしか浮かんでなかった。

 

 

「全オフィサーエージェントに命令されているの。『この男を見つけたら最優先で殺せ』って。

 船長や王女様よりも優先順位が高いみたいよ、覇気使いくん(・・・・・・)?」

 

 

 取り出した写真には確かにハジメの顔が。

 目玉が飛び出さんとばかりに驚いたような変な顔をしているのは、Mr.2がマネマネの実の能力で再現しているせいだろう。

 

 

「!?!?!?!???」

 

 

 ……奇しくも、今のハジメもそんな変な顔をしていた。

 

 

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

209:名無しの海賊団 ID:SGfuMbdVq

 エネル顔やん

 

210:名無しの海賊団 ID:ik7sztbIJ

 バレテーラwww

 

211:名無しの海賊団 ID:Xijz1tVQT

 イッチ、迫真のエネル顔

 

212:名無しの海賊団 ID:xsyCA8Hg9

 この先生きのこれないね

 

213:名無しの海賊団 ID:z3nEI2/TL

 ワニ「許さねぇぞ……よくもこの俺をここまでコケにしてくれたな……殺してやる……」

 

 ルフィ「くっ!」

 サンジ「やべェぜルフィ!」

 イッチ「大変だねあんたら」

 

 ワニ「殺してやるぞイッチ」

 イッチ「!?」

 

214:名無しの海賊団 ID:nY8eB5Fey

 草

 

215:名無しの海賊団 ID:W3SA+YHxm

 まあMr.3も自分の作戦をああも見破られたら報告するよね

 

216:名無しの海賊団 ID:2TbIv7MWo

 次回、イッチ死す! デュエルスタンバイ! 

 

217:イッチ◆oV+OwtFfi ID:hrSlOhN41

 死

 

218:名無しの海賊団 ID:7tiSCHf7t

 こっちでもそれ書くのか






・ハジメ(イッチ)
 なんだかんだ最初の安価を継続して体力はついてきたから砂漠もいけると思ったがそんなことはなかった。
 原作知識を活かしたアラバスタ内乱終息RTAチャートも考えたが、エースからのビブルカード受け取りイベントなどスキップすると後々のイベントに差し障ると思い断念。原作通りの展開を進めたはずなのに、現在進行系でピンチに陥っている男。
 余談だが、港町ナノハナで停泊した際の買い出しはサンジと同行していて、ちゃんと女性陣には踊り娘衣装以外の服も買ってあげている。衣装を気に入っているナミはともかく、なんでビビはずっと衣装のままなのか疑問に思っている。

・スレ民
 どこかの空気にあてられたのか、イッチが不在のときはスレの乗っ取りや下品な会話が増えてきた。今度は変な絵を描いてイッチの代わりに一味にいれてあげろとか言ってくる。

・ビビ
 アラバスタ編のもうひとりの主人公。幼少期の砂砂団といい、B.Wの潜入といい、ルフィとの殴り合いといい、相当アグレッシブなお姫様なので平気で砂漠横断しようとか言ってくる。
 余談だが、踊り娘衣装を着つづけているのは単に新鮮だから。決して着替えてから何も反応もないクソボケに対して意地になっているわけではない。

・ サー・クロコダイル
 Mr.3の報告を受けて、もしやと思いイッチへの警戒度がクソ高く設定されている。なんで七武海なのに覇気使えなかったのか諸々は、きっとこれからの本誌で補完されるはず。本作では“存在を知っている”程度にぼかしている。


 沢山の評価、感想ありがとうございます。
 ジャンプ+の無料期間中だから読み直しているけどアラバスタ編長い……長くない?

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。