安価で安住の地を見つける   作:ハンドルを右に

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【悲報】ワンピ世界に転生したけど海賊から足を洗わせてもらえない件part2/4

714:名無しの海賊団 ID:3rHKJFxjU

 ボン・クレー

 イワンコフ

 イゾウ

 菊の丞

 ヤマト

 クロコダイル

 

 結局のところ全部ホモなのでは……? 

 

715:名無しの海賊団 ID:Pi1yw31Bp

 >>714

 なんだァ、てめェ……? 

 

716:名無しの海賊団 ID:FcQ1wIho5

 >>714

 失せろ(ドン!)

 

717:名無しの海賊団 ID:fD1ji4O3q

 あまり強い言葉を使うなよ

 弱く見えるぞ

 

718:名無しの海賊団 ID:Pi1yw31Bp

 この世界のオカマは男らしいの最上級の褒め言葉

 

719:名無しの海賊団 ID:x0KE83PQc

 >>718

 そこは芯が強いと言って差し上げろ

 

720:名無しの海賊団 ID:T81NAgAQt

 性自認と性的指向は違うんだよなぁ……

 イゾウに関しては女装しているだけだし

 

721:名無しの海賊団 ID:S9QBTy4St

 しれっとクロコダイル女の子説を提唱するのはやめろ

 

722:名無しの海賊団 ID:Qt1ZXvLXk

 ヤマトに関しては他の属性が強すぎる件

 

723:名無しの海賊団 ID:/yOa/LGAE

 高身長アラサー巨乳鬼っ娘ボクっ娘無知ケモ反抗期箱入りお嬢様おでん

 

 属性ペガサス盛りキメラやん

 

724:名無しの海賊団 ID:I4fVbaSb1

 >>723

 天才かな? 

 

725:名無しの海賊団 ID:uZKgXK5pH

 >>723

 属性おでんとは

 

726:イッチ◆oV+OwtFfi ID:hrSlOhN41

 やばいやばいやばい死ぬ死ぬ

 

727:名無しの海賊団 ID:yHHUR4r4M

 君もおでんにならないかい? 

 

728:名無しの海賊団 ID:gpxfVacHt

 その覇気(だけ)練り上げられている

 至高の領域に近い(なお他)

 

729:名無しの海賊団 ID:POpqTGvOO

 >>726

 あれ、イッチじゃん

 

730:名無しの海賊団 ID:1X/AW+AXd

 まーた死にそうになってんのか

 

731:名無しの海賊団 ID:yJO/TXfWN

 いつものことじゃん

 

732:名無しの海賊団 ID:MSHqP0rl5

 今どこらへん?(定型文)

 

733:名無しの海賊団 ID:lMGd9j7E6

 はいはい覇気の訓練

 

734:イッチ◆oV+OwtFfi ID:hrSlOhN41

 >>732

 ワニ到着したタイミングで起きたんだけど

 

 ・ワニ、黒幕だったことを暴露

 ・広場全体に流砂展開して皆逃げられない

 ・機を窺っていたら発見されて攻撃される←今ここ

 

735:名無しの海賊団 ID:Pi1yw31Bp

 死んだな

 

736:名無しの海賊団 ID:GsMiyPNAG

 じゃあな! 

 

737:名無しの海賊団 ID:Hw2A9A6D8

 黙祷

 

738:名無しの海賊団 ID:mwS/cNd0m

 ち〜ん(笑)

 

739:名無しの海賊団 ID:dDVT0gVkI

 ワニさん顔真っ赤になってそう

 

740:名無しの海賊団 ID:Jxb4X9wcx

 爆弾で国王を脅迫する方針にしたのなクロコボーイ

 

741:名無しの海賊団 ID:b4OAJSKvy

 ルフィは? 

 

742:名無しの海賊団 ID:Oh0UbRKFl

 >>741

 多分ペルと一緒にアルバーナ向かってる最中だろ

 海軍も同じく

 

743:名無しの海賊団 ID:55xry35q7

 あっ……チャカの奮闘とツメゲリ部隊があれこれしたシーン丸々カットされてるからァ……

 イッチがその分時間稼ぎしないといけない……ってコト!? 

 

744:名無しの海賊団 ID:PZt6e/qA8

 >>743

 フ!(嘲笑)

 

745:名無しの海賊団 ID:6Orqut3la

 >>743

 YES! YES! YES! 

 OH MY GOD! 

 

746:名無しの海賊団 ID:/H5J8ucsU

 やっぱりテーマソング熱唱したのが悪いんや

 

747:名無しの海賊団 ID:S4rYHPC2L

 >>746

 あれやらなきゃまだどこかに隠れるくらいの体力はあっただろ

 

748:イッチ◆oV+OwtFfi ID:hrSlOhN41

 ギャーーーー!!!! フックの針出してきたああああああ!!!! 

 逃げろおおおおおおおおおおおおおおおお!!!! 

 

749:名無しの海賊団 ID:tvGNpAN/1

 毒使う気マンマンで草

 

750:名無しの海賊団 ID:MEjZFrzuH

 そりゃ(ここまで計画無茶苦茶にした奴がいれば)そう(毒でも何でも使って確実に殺す)よ

 

751:名無しの海賊団 ID:zNE4PboYk

 放っておくとさらに掻き回される危険あるもんな

 

752:名無しの海賊団 ID:N9MTGdrsI

 よかったなイッチ

 船長より先にクロコダイルから認められたぞ

 

753:名無しの海賊団 ID:F/C45Bukk

 お前だけは簡単に死なさんぞ……! 

 

754:名無しの海賊団 ID:dWfDQPl1D

 逃げるんだぁ……

 

755:名無しの海賊団 ID:KxiOMZdAn

 勝てるわけがない! 

 奴は伝説の王下七武海なんだぞ! 

 

756:名無しの海賊団 ID:1X/AW+AXd

 もうダメだ……おしまいだぁ……

 

757:名無しの海賊団 ID:gDJD3nWMM

 これではマスク・ド・アラバスタの名が泣くな!

 

758:名無しの海賊団 ID:aJ7157+0n

 腐☆腐

 地獄に行ってもこんな面白い殺戮ショーは見られんぞぉ

 

759:イッチ◆oV+OwtFfi ID:hrSlOhN41

 いいや! これは『勝つため』の逃走だ! 

 ルフィが来るまで時間かかるなら俺がこっちから向かってやる! 

 

760:名無しの海賊団 ID:Hw2A9A6D8

 どこへ行くんだぁ?

 

761:名無しの海賊団 ID:JMPPw/A6V

 おーおー体力うんち野郎が足掻きなさる

 

762:名無しの海賊団 ID:eTpvx6SsU

 こんな時にウルージさんがいればワンパンなのにな

 

763:名無しの海賊団 ID:evHyaYb6J

 戦わずしてカイドウを自殺に追い込む男と比べるのはNG

 

764:イッチ◆oV+OwtFfi ID:hrSlOhN41

 誰か助言頼む!!!!! マジで死ぬ!!!!!

 

765:名無しの海賊団 ID:bOf/sREzM

 やだよ

 

766:名無しの海賊団 ID:YyuBBPpnB

 やだよ

 

767:名無しの海賊団 ID:yHHUR4r4M

 大丈夫大丈夫

 

768:名無しの海賊団 ID:VLNOC0emo

 生き残るのは確定濃厚バレバレ

 

769:名無しの海賊団 ID:yaKAIqw5X

 死んでも生き残ってもまあ楽しかったからいいじゃないか

 

770:名無しの海賊団 ID:dmnaYZ6mY

 やだよがまわりまわってイッチにかえってきてる

 

771:名無しの海賊団 ID:IAAMSbJTJ

 人の心とかないんか? 

 

772:名無しの海賊団 ID:F/C45Bukk

 どうしても助かりたいなら……“理解(わか)”ってるね? 

 

773:名無しの海賊団 ID:2As1V6cYa

 もうこのスレ民の動かし方なんてあれしかないのわかってんだろ? 

 

774:名無しの海賊団 ID:jI8DV89b1

 さあ来いよ! “高み”に! 

 

775:イッチ◆oV+OwtFfi ID:hrSlOhN41

 うおおおおおおおおおおおお!!!!! 

 クロコからの逃走方法!!!! 

 >>776

 >>777

 >>778

 >>779

 >>780

 >>781

 >>782

 >>783

 >>784

 >>785

 >>786

 >>787

 >>788

 >>789

 >>

 

776:名無しの海賊団 ID:s/oTO5E6S

 

 

777:名無しの海賊団 ID:LI8rYd4QG

 途中送信してて草

 

778:名無しの海賊団 ID:DG5U6Kqk9

 必死過ぎて草

 

779:名無しの海賊団 ID:Wf/0SZlQd

 大盤振る舞いじゃんww

 

780:名無しの海賊団 ID:d9oCI8Uro

 全部やる気かこれwwww

 

781:名無しの海賊団 ID:uZKgXK5pH

 なりふり構っていられないよなwww

 

782:名無しの海賊団 ID:H0oLwqHXz

 こんなの安価スレじゃないわ!

 ただの助言スレよ!

 

783:名無しの海賊団 ID:472B5NarE

 >>782

 だったらアドバイスすればいいだろ! 

 

784:名無しの海賊団 ID:1WxiqSkQY

 >>782

 元々安価スレじゃないんだよなぁ……

 

785:名無しの海賊団 ID:ypp7cdTFa

 ずっと安価渋ってたのにえwww

 悔しいえwwww

 

786:名無しの海賊団 ID:r9bvd1cCh

 (命かかってるから)多少はね? 

 

787:名無しの海賊団 ID:F/C45Bukk

 そんなに怖いか? クロコダイルが! 

 

788:名無しの海賊団 ID:bGoCucOoe

 >>787

 腕に掴まれたら水分吸収されて死

 毒あるからフック掠っただけでも死

 

 怖いに決まっているんだよなぁ

 

789:名無しの海賊団 ID:GvmtJu5rA

 

 

790:名無しの海賊団 ID:s4dWEZmTD

 安価終わったぞwwwww

 

791:名無しの海賊団 ID:PupQfKJf2

 どうするwww

 

792:名無しの海賊団 ID:g1AEeXN9/

 雑談で終わったなwwwww

 

793:名無しの海賊団 ID:/E9oQykcJ

 安価ですら助けてもらえないの本当もう森生える

 

794:名無しの海賊団 ID:b5wDI6sIK

 >>789

 ここマジ悪意しかないだろwww

 

795:名無しの海賊団 ID:Pbawyi7SS

 >>793

 これには緑牛さんも安堵

 

796:名無しの海賊団 ID:GvmtJu5rA

 正直すまんかったあます

 

797:イッチ◆oV+OwtFfi ID:hrSlOhN41

 うわあああああああああああああああああああああ

 

798:名無しの海賊団 ID:KFRV6Ei5B

 いやこの安価の取り方はイッチにも責任は……いやスレ民が悪いな

 

799:名無しの海賊団 ID:5oIBVudxs

 プルトンの存在をチラつかせて無理矢理会話のテーブルに立たせろ

 それで時間稼いでルフィ到着まで待て

 

800:名無しの海賊団 ID:TS03ZYf8z

 なんとか水源探してクロコにぶっかける

 少なくとも動きは遅くなるからな

 

801:名無しの海賊団 ID:J+Uq7Sn1a

 戦い終わった仲間と合流するか

 ウソップとかいればギャグ補正でワンチャン生き残れるかもよ

 

802:名無しの海賊団 ID:fBGX4k+R+

 止まるんじゃない! 犬のようにかけ巡るんだ! 

 

803:名無しの海賊団 ID:BkQ2MtH3H

 遅い遅い遅い

 

804:名無しの海賊団 ID:V1y9RXjBt

 >>799

 >>800

 >>801

 もっと前に書いとけーーーー!!!! 

 

805:名無しの海賊団 ID:DVijIUKGh

 茶番が長いんだよォ! 

 

806:名無しの海賊団 ID:HbFqoKdUU

 イッチ大丈夫か? 

 

807:名無しの海賊団 ID:t8z0wcRa1

 生きてる? 

 

808:名無しの海賊団 ID:29svsTaBn

 反応して♡

 

 

 

 

 ・

 

 

 

 

 ・

 

 

 

 

 ・

 

 

 

 

819:名無しの海賊団 ID:pVDVxUmlk

 イッチの霊圧が……消えた? 

 

820:名無しの海賊団 ID:PupQfKJf2

 マジで反応ないぞ

 

821:名無しの海賊団 ID:bGoCucOoe

 え、マ? 

 

822:名無しの海賊団 ID:LIKwB329b

 ひょっとして本当にマズイ感じ? 

 

823:名無しの海賊団 ID:yaKAIqw5X

 スレ民のせいでイッチが死んじゃったァ……

 

824:名無しの海賊団 ID:Pi1yw31Bp

 うせやろ??? 

825:名無しの海賊団 ID:9euq9lDXZ

 あいつ死におったwwwww

 

826:名無しの海賊団 ID:WxUad5xHa

 >>825

 人が死んでるのに何ヘラヘラ笑ってんだよ!!!

 

827:名無しの海賊団 ID:teNPHnzO5

 俺は信じてるぞ

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 アラバスタ王国の内乱の構図は二度変わった。

 

 初めは国王軍と反乱軍の戦いだった。

 しかし、それは首都アルバーナに攻め込まれた時点で国王コブラ自らが降伏の意志を示したことと、安物のマスクを被ったなんだかよくわからない奴によるリサイタルにより膠着状態になる。

 その後すぐに駆けつけた護衛隊隊長イガラムが、この内乱の真相を語った。

 たった一人の海賊、それもこの国のヒーローとも言える者が、この国を乗っ取るための陰謀だった、と。

 

 

「嘘だろ……」

 

「クロコダイルがそんなことをするはずが……っ」

 

 

 いかに荒唐無稽な話のように聞こえようか。

 だが、生贄のように差し出された国王軍内にいたB.W(バロックワークス)のスパイたちと、この戦争の契機となったナノハナにいた少年カッパによる証言によって裏付けられてしまった。

 

 

「だ、騙されるな! これは国王が罪をなすりつけようと──────」

 

「その腕の刺青、ここに拘束されている者と同じように見えるが?」

 

「……くそっ!」

 

 

 こうして反乱軍側にいるスパイの存在も示唆された。

 見つかるのも時間の問題だと形振り構っていられなくなり、彼らは逃走を試みる。

 それを抑える反乱軍及び国王軍……否、アラバスタ王国の者たちとの対立へと変化した。

 

 そして、二度目の変化はすぐに起きる。

 

 

「……おい、どういうことだ? 予定では既にこの広場は戦争の真っ最中になっているはずだが?」

 

「クロコダイル!!!」

 

 

 睨み合っている中、全ての元凶が現れた瞬間だった。

 宮殿の門の上に立つクロコダイルに全員の視線が集まる。

 

 

「……よくも我が国を嵌めてくれたな」

 

 

 コブラは宿敵に対して隠すつもりもない敵意を向ける。

 他の者たちも驚愕、疑問……と言った感情が窺えた。

 

 クロコダイルは周囲を見渡す。

 この場にいる本物(・・)のコブラ王と、南から遅れてやってきているビビとコーザの姿。

 これらだけで彼は悟った──────己の計画の破綻を。

 

 

「……ハァーッハッハッハ!!!! 

 なるほど、全て知っているということか。ああそうさ、この内乱は全てこの()()()()()()()()さ!!!」

 

 

 高らかに宣言するように自白する。

 この瞬間から、対立構造はアラバスタ王国と海賊(・・)クロコダイルになることを決定付けられた。

 

 

「ようやく正体を表したな、海賊め」

 

「ああ、俺は所詮“海賊”だ。だが、その“海賊”を英雄だの何だの持て囃したのはこの国の民衆たちだ。そして、それに甘えていたのは他ならぬ王国だ。違うか?」

 

「……っ」

 

 

 コブラは黙るしかない。

 実際、娘がこの危機を知らせてくれるまで気づくことすらできなかったし、あの謎マスクがいなければ内乱はかつてない規模にまで膨れ上がり、多くの国民が犠牲になっていた。

 

 無意識なのか旗の柄を握る力が強くなっていた。

 怒りは勿論のこと、言い返せない己の無力さと弱さ。その心中は余人では計り知れないほど複雑に違いない。

 

 

「本当はこのまま英雄ごっこを続けてやろうとも思ったが……いいだろう、お前たちに免じてここからは“海賊”らしくやるとしよう」

 

 

 門から降りてきたクロコダイルは右手で地面に触れる。

 一瞬、体が宙に浮いた。

 まるで地面が揺れた感覚は、決して錯覚なんかではなかった。

 

 

「あ、足が!!!!」

 

「出られねぇ! 何だよこれ!?」

 

 

 アラバスタでは縁がないため彼らには例えようがないだろうが、地面が雪のように柔らかくなった。

 この場にいる人間は例外なく膝上まで沈む。いや、人だけでなく建物をも飲み込み、藻掻けば藻掻くほどに身を取り込まれる蟻地獄だ。

 

 

「クックック……安心しろ、この広場一帯の地面を柔らかくしてやっただけだ。変に動かなきゃ沈みやしねぇさ。広さは大体──────5kmってところか?」

 

「貴様ァ!!!!」

 

「ほう。その反応、やはり爆弾のことも知っているようだな」

 

「爆弾!?」

 

 

 この場にいる者全員の視線が集中する。

 ざわつく様子を見て、クロコダイルはさらに笑みを浮かべる。

 

 

「おっとしまった。これはまだ口にしてはいけなかったか?」

 

「くっ……」

 

「ククク、教えてやれよ王様。それとも、もうここまできて何でもありませんなんて言えるかな?」

 

 

 コブラは視線をチャカたち近しい配下を見る。

 一同は、目を閉じて首を縦に振った。

 ……やむを得ないか、とばかりにコブラは衝撃的な事実を告げた。

 

 

「っ……午後4時半、この男は広場に砲撃する段取りをつけている!」

 

「なっ……!」

 

「そうさ! 花火みてぇなチャチな威力じゃねぇぞ! この広場は間違いなく消し飛ぶことになる!」

 

 

 一瞬の静寂は嵐の前の静けさだったか。

 

 

「「「うわあああああ!!!」」」

 

 

 動揺と悲鳴が爆発する。

 ある者は脱出をしようとして、みるみる流砂に囚われ。またある者はここから抜け出そうと、他人を足蹴にする。

 

 このように暴露すれば死の危機に瀕した皆がパニックに陥ってしまう。故に、彼から存在を知らされた際にはチャカと言った近しい者たちにしか存在を教えなかった。

 かと言って、あのまま沈黙を貫いてはせっかく味方になった反乱軍たちの不信感を買ってしまう。

 

 苦渋の決断をさせられたコブラは、当のクロコダイルを一層睨む。

 狙い通りになった奴は混乱に陥る群衆たちを見下し、嗤っていた。

 

 

「…………」

 

 

 だが、クロコダイルの心中も決して晴れやかなものではない。実際、咥えていたはずの葉巻はくの字に折り曲がってしまっていた。

 爆弾が残っているのは幸いだったが、それ以上に腑に落ちないことが多すぎる。

 

 まるで計画の全容が筒抜けになっているような状況。

 一瞬、あの女(ニコ・ロビン)の顔が浮かんだが、振り返って見てみれば気味が悪いほどに普段通りの澄まし顔のまま黙っている。

 ……内通者という線は薄い。普通に考えて、あの女(ニコ・ロビン)の目的はクロコダイルの計画に乗っていた方が達成できる確率が高いからだ。

 

 であれば、残りの線は──────

 

 

「そこでじっとしてもらおうかコブラ王。この場にいる者たちの命はお前の判断に委ねられることになる──────そこか(・・・)!」

 

「ぐおっ!?」

 

 

 城壁の影に隠れていた伏兵に向けて砂の刃を放つ。

 幾百の兵が攻め入っても砕けない守りは瞬く間に切り刻まれる。

 左腕を掠っただけで辛くも避けられたようだが、受け身すらとれず無様に転げ落ちる。尻餅をつく男の焦りは、趣味の悪いマスク越しからでも見て取れる。

 

 

「Mr.プリンスか、それとも“覇気使い”か。

 さァ、お前はどっちだ?」

 

「はあ、はあ……ま、マスク・ド・アラバスタだ。覚えておくといいワニ野郎。フッフッフッフ!」

 

 

 クロコダイルは眉を顰める。額には確かに青筋が走っていた。

 このやり取りだけで確信したからだ。

 目の前のこいつが全ての誤算(・・・・・)であったことを。

 

 

「いいだろう、てめェは直々に殺してやる」

 

 

 右手に握っていた葉巻を一瞬で砂へと姿を変える。

 彼の象徴たる左腕のフックの針。刀の鞘のように黄金の針を手前に引くと、銀色の針が姿を現す。

 針から滴るそれはまぎれもない毒。

 掠るだけで致命傷になり得るクロコダイルの切り札だ。

 

 

「……はっ、やだよ。そんな終わり方ゴメンだ!」

 

「お前!?」

 

「逃がすと思ってやがるのか!」

 

 

 マスクの男は西側に向けて走り出し、それをクロコダイルが追いかける。コブラとチャカは止めようとしても、足が囚われていて動くことができない。

 

 彼の意図は察することはできた。

 自分がクロコダイルの注意を引きつけているうちに爆弾を止めてくれ、と。

 余裕がないにもかかわらず、あからさまな挑発をする理由などそれしか考えられない。

 

 

「くそっ!」

 

 

 だが、文字通り身動きが取れない今のコブラたちにできることと言えば、この地獄に囚われた国民たちを鎮めることくらいだ。

 無謀な賭けに出てくれたはずなのに、それに報いることすらできない。助けられてばかりな自分たちの無力さを痛感するしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだよこれ……」

 

「な、何があったの?」

 

 

 ビビたちが到着した頃には、広場は既に阿鼻叫喚に包まれていた。

 あれほど栄えていた街並みは廃墟のように傾き、沈もうとしていた。

 

 

「ビビ様!」

 

「イガラム! どうしたの!?」

 

 

 見れば、下半身が地面に沈んだイガラムがいた。

 気づいたのを確認すると、そのまま両手に抱えたそれをコーザに向けて投げ飛ばす。

 それがカッパだと確認すると、傷が痛むのを我慢しながら慌てて彼を受け止める。

 

 

「大変なんだ! クロコダイルが!」

 

「この広場にいる皆を爆弾を撃ち込んで吹き飛ばそうとしています!」

 

「なんですって!?」

 

「コーザ! その子とビビ様を連れてどこか遠くへずもももももも……

 

「イガラム!?」

 

 

 動き回ったせいで身を囚われ、言い終わる前に顔まで砂に浸かってしまうイガラム。

 この砂地獄の中には反乱軍も国王軍も、そしてB.W(バロックワークス)にいるはずの人間もいた。

 そして、自分の父とチャカの姿もあった。

 

 

「クロコダイル……!」

 

 

 せっかく内乱を止められたのに、今度は直接国民の命を奪おうとするのか。

 だが、裏を返せば奴自身も後がないことを悟っている証拠だ。確実に奴を追い詰めていることは間違いない。そう考えればほんの少しだけ溜飲が下がった気がした。

 

 ビビは他ならぬ怨敵を探すと、その姿はすぐに見つかる。

 奴は父を眼中に留めず、街の西側へと逃げる誰かを追いかけていた。

 

 

「“砂嵐(サーブルス)”!」

 

「うおおおおおおっ!?」

 

 

 巻き上げられる砂嵐と宙に舞う一人の男。

 ビビは遠目で見てもわかる特徴的なマスクに見覚えがあった。

 

 

 

 

 

『え、これ? 宴会芸用のグッズだけど』

 

『なんでアンタがいてそんな無駄遣いすんのよ!?』

 

『だって無駄遣いじゃないから』

 

『ふんっ!』

 

 

 ナノハナで買い出しに出た()が持っていたものだ。

 深刻な顔をしながらそんなことを答える彼に、ナミが顔面にパンチしてめり込んでしまったのは記憶に新しい。

 

 

「“砂漠の宝刀(デザート・スパーダ)”!」

 

「かはっ──────!」

 

 

 空中で無防備な状態に砂の刃が振りかざされる。

 首につけていた国旗が黒く(・・)染まり、盾のように広げて受け止めるが──────一瞬で元に戻り、呆気なく切り刻まれる。

 左腕に巻いていた包帯も切断され、砂嵐の中に消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

『よし! とにかく、これから何が起こっても左腕の“これ”が仲間の印だ!』

 

 

 上陸する前のルフィの言葉が反響する。

 ただ血が滲んだだけなのか、それともただの傷なのだろうか。彼の腕にはあの(・・)マークが見えた気がした。

 

 

「お願い、コーザ! 私をクロコダイルのところへ連れていって!」

 

「ば──────何言ってんだ! そんなことしたら俺たちも巻き込まれるぞ!」

 

「早くっ!」

 

「……ちっ、直線距離で行くと砂に巻き込まれる! 周り込むぞ! 

 お前は巻き込まれていない連中を見つけて、砂に囚われているやつらをロープで引っ張ってやれ!」

 

「う、うん! わかった!」

 

 

 ビビの必死な懇願には折れるしかなかった。

 コーザはカッパを置き、円形に広がる流砂の縁を沿うように馬を走らせる。

 ビビは、前に座るコーザの衣服を強く握りしめていた。皺どころか、そのまま破いてしまいそうだ。

 

 王国軍の遣いがイガラムを迎えに行っていた時点で薄々期待していた。何せ、ビビの手紙にイガラムの安否については書いていなかったからだ。にもかかわらず、迎えに行かせられる人間なんて、それこそ()以外に考えられない。

 もっとも、その期待は多大な不安へと反転してしまっていた。考えれば考えるほどに、己の予感が正しいことを思い知らされてしまう。

 

 ──────死体を見るまで死んだなんて信じてたまるか。

 

 辿り着くまでの数分間、彼から教わった言葉を何度自分に言い聞かせただろうか。

 しかし、彼女は知っている。

 この世界の現実はいつだって──────非情なことを。

 

 

「……来たか、ミス・ウェンズデー。コーザ」

 

「クロコダイル!」

 

こいつ(・・・)はお前の仲間とやらだろう。随分と煮え湯を飲まされたが、もはやこれまでだ」

 

 

 口火を切ったのはクロコダイル。

 ひと仕事を終えた後のように、新たな葉巻を咥えて火を灯していた。

 

 

「勝利を確信させた隙に死角から硬化させた糸を忍ばせて絞死を狙う。

 手段は悪くねェが、忘れていたわけでもあるまい──────“覇気”は決して“能力を封じるものじゃねえ”ことをな

 残念だが、肉体を自在に変化させられる自然(ロギア)系に対しては悪手だ。それこそ、打撃や斬撃に纏わせるべきだったな」

 

 

 ムカつく野郎を思い出した、と首元を触りながら独りごちるクロコダイル。特に傷はついていないのはコーザからは見えるが、ビビはその姿を直視ができない。

 見たくもないし、聞きたくないとばかりに視線を下に落として首を振るばかりだ。

 

 

「チッ、ここに来て小娘になるとはな」

 

 

 張り合いがねェ。

 そんな吐き捨てる言葉とともにクロコダイルから何かを投げつけられた。べちゃり、と投げられた先はコーザが乗る馬の足元。

 

 ──────お前のせいで、こいつはこうなったと。

 

 間違いなく、ビビへと見せつけようとする意図があった。

 

 丁寧に外された青いはずのマスクはすっかり鮮血に染まり、瞬く間に足元に血溜まりが出来上がる。

 肌の色は血を失っただけにしては明らかに毒々しい色へと変化しつつある。

 そして、()()()()()()()()は、血で染まろうともわかるほどに黒く残っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハジメくんっ!!!」

 

 

 変わり果てた仲間の姿を前に、ビビの悲痛な慟哭はアルバーナ中に響き渡る。

 悲しいかな。名前を呼ばれたはずの男は、既に動くことはできなくなっていた。

 

 

 

 





・ ビビ
 死んでないと思っていた仲間が本当に生きていてくれていたけど、目の前で殺されるという虐待コンボを食らわせられる王女。
 作中屈指の鋼メンタルだから大丈夫でしょ。大丈夫だよね?


・ コブラ王
 実はマスク野郎からロビンのことや爆弾の在り処までしっかり教えられているが、余計なことを口にして予定を早められても困るので口を噤んだ。
 結局ペルが来ないと解決しようがないため、Mr.7たちはそのまま刺激せずにしている。


・ サー・クロコダイル
 ビビ虐おじさん。アラバスタ虐待おじさん。
 ここまで計画を無茶苦茶にされて勝ったなんて言えるわけもなく。毒針を使ってまで殺しに来たのは覇気を警戒したのは勿論だが、知略で上回られた彼なりに海賊として敬意があったのかもしれない。
 アラバスタ軍事国家計画は半ば諦めて古代兵器の取得にフォーカスして目的達成に臨む。プルトンさえ手に入れられれば海軍も敵じゃねンだわガハハ。


・ ミス・オールサンデー(ニコ・ロビン)
 取引して見逃した男が良い意味でも悪い意味でも想像以上の働きをしているため、どちらに着くか決めかねている模様。
 平然とした顔で不干渉を貫いているが、内心穏やかではなかったりする。


・ 麦わらの一味の皆さん
 基本的に原作通り。
 船長は隼に乗ってリベンジしに向かっていて、他の仲間たちもエージェントたちを倒して集合しながら宮殿へ向かっている。










・ スレ民
 惜しい人を無くしてしまった。
 次のイッチはもっと幸福に安価することでしょう。


・ハジメ(イッチ)
 イッチは激怒した。
 必ずや、あの邪智暴虐のスレ民とついでにワニ野郎を根絶やしにしなければならぬと決意した。



 今回ネタ少なめで申し訳ないっス。
 そろそろ風呂敷を畳みにいく準備をしないといけないなァ……なんてネ……

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