転生して会長の甥っ子   作:ぬがー

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原作以前のクォーターデビル
第1話


 オレは支取(しとり)譲治(じょうじ)、十一歳だ。いわゆる前世の記憶というやつを持っている転生者でもある。

 この体の本来の持ち主はどうなったんだろうか、とかなぜ転生なんかしたんだろうか、とか色々考えていたが、いくら考えても答えは出ないし、第二の人生送れるなんてラッキー、と軽く考えて普通に過ごしてきた。精々「この世界は前世で見た作品の世界かもしれない!」って前世の作品キャラの名前や地名を思い出して探してみたりしたくらいだ。結構見つかったけど怖いのまで見つかり始めてやめた記憶がある。それ以外はハイスペックすぎる体を除けばほぼ前世と変わらない生活だったな。

 そんなある日の事、唐突に家族会議が開かれた。

 

「珍しいこともあるもんだね。いつもは家族の時間を滅多に作ろうとしない父さんがこんなこと言い出すなんてさ」

 

「う、それはすまん……。だが今回のは大事な話でな、お前にずっと隠していたことがあるんだ」

 

「隠し事? 父さん達の仕事で何かやばいことに手を出してたとか?」

 

「それもあるんだが、もっと別のことだ」

 

 それもあるのかよ……。聞いても答えてくれないし、仕事で家を空けることも多く、何に使うかさっぱりわからない商売道具などを持っていたのでそうじゃないかとは思ってたけどさぁ。

 で、それとは別の事ってなに?

 

「ああ、実はお前は純粋な人間じゃないんだ」

 

「は?」

 

 何言ってんだ、こいつは?

 

「ちょっ、そんな見下したような目をしないでくれ! ほら、母さんからも何か言ってくれ!」

 

「父さんの言ってることは信じられないかもしれないけどね、とりあえず最後まで聞いてみなさい。証拠だって見せてあげるから」

 

「んんー、まぁ、聞くだけなら」

 

「よし、じゃあまずは基本的なとこから行くぞ。本題に入るのにちょっと時間がかかるが我慢するんだぞ」

 

「へいへい」

 

 父さんの話をまとめると、こうだ。

 

 この世界には悪魔、神、天使、堕天使などの人外種がいる。

 このうち、悪魔、聖書に記された神と天使、堕天使がでかい戦争をしていた。

 この戦争が原因で、三勢力は滅びかけ。

 特に悪魔は主だった魔王を失ってしまったので一番やばい。

 力のある悪魔が指導者である新たな魔王に選ばれたのだが、魔王になったと同時に実家との縁も切れたので実家は跡取りがいなくなった。

 結婚して子供を実家に戻してくれそうもないし、できそうもない。

 上級悪魔同士では子供が生まれにくいので、このまま跡取りが生まれなければ家が絶える。

 純血は保てないが、血を絶やすことがないように人間と子供を作った。そうして産まれたのが父さん。

 だから俺にも悪魔の血が流れている。

 

「理解できたか? というか信じられるか?」

 

「翼が出せて空を飛べたり、水を操れたりできちゃったら信じるしかないだろ。で、それがどうかしたのか?」

 

 平然と返しているつもりだが、内心びくびくしている。

 どう聞いたって俺、『ハイスクールD×D』の世界に転生してるよねッ!? やばい世界観だったのはなんとなく覚えてるぞ!

 パワーインフレ進みまくりの、死亡フラグ満載の世界ッ!

 原作の主要キャラにこそ死人は出ていないが、モブの悪魔や魔法使いはバンバン死んでる物騒な世界ッ!

 こんな事実知りたくなかった! 無関係なまま人生を送りたかった!!

 だが知ってしまったモノはしょうがない。どうにかして安全を確保しなくては。

 

「いや、実はな、お前が生まれる少し前に正妻との間に子供も生まれてな。というか後継者が生まれて用無しになったんで家を出て母さんと結婚して好きに生きるつもりだったんだけど、お前神器を持ってるみたいじゃねぇか。それも結構強力そうなやつ。それで当主がお前を次期当主の眷属にしたいって言いだしたんだよ。俺らも元々あと何年かしたら裏の事も教えて、母さんの技術を継がせようと思ってたから、好待遇なそっちの方が良いと思ってな」

 

「……マジで?」

 

「マジだ。父さんは受けといたほうがいいと思うぞ。なんてったって神器があるってわかったのも神器狙いの堕天使に襲撃されたからだしな。今回は父さん達で撃退したけど、後ろ盾がないと危険だぞ」

 

「そうそう。母さんもそうしてくれると安心できるわ。父さんの実家は大貴族で、その眷属としてやっていくのは大変でしょうけど、母さんも魔法とか教えてあげるから頑張ってみなさい」

 

 う、確かに原作でも神器持ちを集めてた『禍の団』とかいたし、力もつけず単独でいるっていうのは危険過ぎるよなぁ……。

 

「わかった。その話、受けることにするよ。で、実家って何てとこなんだ?」

 

 俺の名字的に嫌な予感しかしないが、一応訊ねた。すると父さんは自慢げな表情でこう返す。

 

「元72柱の第12位の名門、シトリー家だ!」

 

 案の定、原作組のシトリー眷属だった。どうやら原作に巻き込まれるのは確定のようである。

 ……死ぬ気で訓練しないとなぁ。

 

 

 

 

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