転生して会長の甥っ子   作:ぬがー

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第11話

「「「「「「「「ゴァッ!!!!!」」」」」」」」

 

 開戦早々、ケルベロスとドラゴン、遠距離攻撃が可能な魔物が砲撃をしてきた。聖剣使いとやり合ってるグレモリー眷属の方に流れ弾が行くのはまずいし、全部撃ち落とさないと駄目だろうな。

 

「よっと」

 

 ケルベロスとドラゴンが放ったでかい炎弾は急造の氷壁で防いだ。あっちもタメなしの速射だったし、『戦車』補正の強固さと『僧侶』補正の魔力操作が合わさればこれくらいは軽い。

 残った雑魚が放った砲撃は匙が対処に動いた。

 

「ラインよ、伸びろ!」

 

 全ての炎弾や魔力弾に『黒い龍脈』からラインが伸び、魔力を吸い上げることで急速にそのサイズを縮めていく。十分魔力を吸い上げると、匙は吸った魔力を一本の剣に流し、ラインでつないで鞭のように振り回した。

 剣は魔物たちの防御をすり抜け、回避すれば追尾し、撃ち落とそうとすれば迂回して次々に切り裂いていく。この初手で雑魚は全滅してしまった。

 

「これで良し! あとはでかいのだけだな!」

 

「いや、確かにそうだけど……まぁいいか」

 

 雑魚がそこそこ残ってた方が不意を突かれたフリとかで時間を稼げるとも思ったが、倒してしまったモノはしょうがない。第一、あれだけのラインを出しておいて、あの程度の操作もできなかったら怪しまれていただろう。始めから使用本数の制限を伝えておかなかった俺のミスか。

 

「今はデカブツの始末に集中しよう。匙!」

 

「おう! もう準備はできてる! 行くぜ!」

 

 匙が腕を振り上げると、地面からラインが伸びてケルベロスとドラゴンに張り付いた。

 これはラインが実体剣などをすり抜けさせていることから思いついた使い方で、地面をすり抜けさせて死角から不意打ちを仕掛けたのだ。初めはラインの大部分を非実体化状態にするのは出来なかったが、神器は所有者の思いを読み取り、それに合わせて成長していくものなので練習しているうちにできるようになった汎用性の高い技術である。

 

「悪いけどラインこれで使い切った! 時々魔力弾で援護するくらいしかできねーぞ!」

 

「これだけの数のデカブツ縛ってるんだ。援護までは期待してない。それより防御は俺に任せて砲撃の準備だけしてろ」

 

「わかった。弾の準備ができたら言う。それまで任せたぞ」

 

 そう言って匙は手に作った一発の魔力弾にラインを作って目を閉じる。吸い取った魔力を全て魔力弾に注いでいるのだ。命なんかを燃料にして威力を出すより、ずっと確実で強力な技術だ。ただ魔力弾の完成まで暴発しないように抑えないといけないので、それだけに集中しないといけないという欠点がある。まぁ今後の訓練で克服できる程度の物なんだがな。それに今は壁役(オレ)がいるので問題ない。

 これで一体ずつ確実に潰していくことにしよう。チャージまでは時間がかかるという欠点も、時間を稼ぎたい今には長所となっているし。

 

「ここからは俺の仕事か。さっきのミスはここでとりもどさねーと。でも誠二たちの方に流れ弾が出ないようにもしねぇといけないし、割と面倒だな」

 

 匙のラインは力をかなりの勢いで吸ってるが、こいつらのタフさを考えるとそれだけじゃ時間内に片付けるのはきつい。適当に痛めつけておく必要がある。だが倒してしまっては意味がないし、加減が難しいところだ。

 そんなことを考えていると、ドラゴンが突っ込んできた。ラインは繋がってはいるが縛っているわけじゃないので自由に動けるのが厄介だ。

 

「おらッ!!」

 

 ベイに騎乗した状態で、氷で作った特大のメイスを振るう。突っ込んできたドラゴンは頭を横から殴られて吹っ飛んだ。

 これこそが『女王』の最も有効な戦闘手段『魔力を込めて物理で殴る』である。『僧侶』の魔力に『騎士』の速度、『戦車』の攻防力を兼ね備える『女王』にとっては魔力をフルに生かした接近戦こそが本来最も得意とするものなのだ。『王』の補佐役という役職ゆえに事務が得意な良い家柄の人が『女王』になることが多いので滅多に見られないけどな。

 俺の場合はシトリー家の得意分野である『水』と『氷』の中でも『凍結』と『氷の精製』を特に得意としているので、こんな風に魔力で作った武器で接近戦を行っている。水を使って流れるように移動とか、流水を乗せて殴るとかは無理だった。水で移動しようとすれば水が邪魔で普通よりずっと遅くなり、流水を乗せてもタイミングが合わせづらく普通に力いっぱい殴った方がはるかに強かった。どうも俺の魔力は『氷』ばかりに偏っていたようである。

 それはさておき、戦いの続きだ。

 その後二頭目が来るかと思ったが、残りはタメ撃ちの準備をしていた。魔物の類に大ダメージを与える聖なるオーラを警戒して、さっきとは比べ物にならない火力で一気に焼き払うことにしたんだろう。俺の本気の速度なら回避は余裕と言うことも知らずに。

 

「それならありがたいんだがなッ!」

 

 チャージを続ける魔物の一団に向かって突撃する。ケルベロスより弱い下位のドラゴンたちはそれに驚いて、タメが途中でもバラバラに砲撃を撃ってきた。

 

「効くかよッ!」

 

 単発で放たれた炎弾なら対処は楽だ。メイスで誠二たちとは違う方向に弾けばいい。炎は形がない物だが、魔力を込めて『殴り飛ばすイメージ』を持って殴れば意外といけるのだ。

 そうして近づいた時にはケルベロスのタメは終わったようだが、もう遅い。

 メイスで地面を殴ることでイメージを固め、氷柱を生やす。これで飛ぶことのできないケルベロスの口は強制的に閉じられ、内部で爆発した。

 

「「「「「「ッ!!!!????」」」」」」

 

 口腔内での爆発にケルベロスが苦しむ。だがこいつも火を吐く魔物、この程度ならすぐに落ち着いて今度はその巨体を武器に暴れ出すだろう。そうなると匙へのフォローがやりにくくなるので強制的に距離をとらせることにする。

 

「お前らも行っとけ!!」

 

 メイスで殴ってさっき飛ばしたドラゴンのところに吹き飛ばす。他のドラゴンもその後を追わせた。

 ぶつかりながら大体同じ場所に落ちていく。タフなケルベロスはすぐに起き上がって移動しようとしたが、巨大な氷柱を撃ちだしてそれを妨害する。

 全部集まったところで仕上げだ。魔力を一気に高めていく。

 

「凍ってろ!!」

 

 冷凍ビーム的な物を放ってまとめて氷漬けにする。俺の作った氷は聖なるオーラを帯びているので、魔物は徐々に弱体化していく。これに匙の吸収が合わさればちょうどいい感じで勝負がつくはずだ。

 あとはコカビエルへの警戒と匙の護衛を除けば氷の維持に集中しているように見せればいい。これ以上のことをやろうとすると魔力や魔法力の消耗が多くなるからこんな戦法をとっているのだとずっと思わせていられればこっちの勝ちだ。

 そんな感じでじわじわと力を削り、匙が超大玉螺旋丸みたいなサイズの魔力弾でケルベロスを一匹倒したころ、連絡用のイヤホンを介して仁村の声が聞こえた。

 

『譲治先輩、匙先輩。報告があります。顔や行動に出さずに聞いてください』

 

 緊急連絡とかじゃなくて報告か。裏で何かやっててそれの結果でも出たのかな? ともかく悪い情報でないと良いが。

 

『既にいる援軍を隠してまで私たちに任せているのにライザーさまが援軍に来るというのは、コカビエルと通じて戦争の再開を企んでいた人たちを釣る罠だったんです。ライザーさまの妨害をしコカビエルの作戦を成功させようした人たちが見事に釣れたので、ライザーさまはそのまま内通者の始末をやっています。つまりもう援軍を待つ意味はないのでコカビエルを倒すために動いてください。こちらも先ほど接触してきた聖剣使いを増援として中に入れますし、譲治先輩も思いっきり戦ってもいいそうです』

 

 なるほど、俺達が時間稼ぎそのものな戦い方を指示されてたのは俺達やグレモリー眷属の訓練じゃなくて、裏切り者にチャンスだと思わせるのが目的だったのか。そういえば監視系の術は援軍の物だから気にしないようにとか言われてたが、あれは裏切り者が様子をうかがっているのを怪しまないようにするためだったのかもな。あらかじめ伝えてなかったのは、たぶん顔に出るとまずいからだろう。匙とか兵頭みたいなドラゴンと相性のいい連中は思いっきり態度に現れるし、伝えるのは無理だったんだろうな。

 まぁ済んだことはいい。今はこいつらをさっさと片付けて誠二たちの加勢をすることにしよう。速攻で邪魔者を片付けたらコカビエルとの戦闘だ。兵藤が流れ弾で死なないよう気をつけながらいこう。

 

 

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