転生して会長の甥っ子   作:ぬがー

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第23話

 ゲーム当日。

 シトリーの居城地下にあるゲームの会場への転移魔法陣がある部屋で、オレ達シトリー眷属はゲームの開始を待っていた。

 俺と匙以外、つまり女性陣はグレモリー眷属がフェニックス戦で着ていたのと同じ、駒王学園の制服を戦闘用に改造したのを着ている。悪魔的にはセラフォルーさまの魔法少女コスプレと大差ないうえに、金魚のフン扱いがさらに加速するからやめてほしいと言ったんだが、結局聞き入れてもらえることはなかった。生徒会の正装はこれ以外ありえないんだとか。人間界の生徒会としてではなく、悪魔としてゲームに参加するんだと理解しているか怪しくなってきたな。本気で早く独立しないと将来がヤバい。

 で、匙は全身呪符でぐるぐる巻きだ。原作より強化されているとはいえ、天龍と深い縁が築かれていない状態で移植した影響だろうな。突発的に力を吸い取ったり呪いを流すラインが荒れ狂ったり、全身から消えない黒炎がまき散らされたり、牢に閉じ込めたり、魔法力を吸い取って最悪枯死させる空間を作ってしまう。制御可能にする方法もあるんだが、常時ってわけにはいかないのでこうして封じているわけだ。それでも完全に抑えられてるわけではないってのが恐ろしいところだな。オレ以外触ったら焦げるとか日常にも支障が出過ぎてる。レーティングゲームでは何かあるのがわかり易くて観客を楽しませやすいからいいんだけどな。

 そして俺だが、和平が結ばれてからずっと研究していた『ゲオルギウスの力を制御する魔法具』を着込んでいる。見た目がカソックを基本としていたり、十字架下げる必要があったりして、大分神父っぽい外見になったな。

 んで、見送りには現当主夫妻が来ている。だがどっちも頑張ってほしくなさそうな顔をしている。

 

「事故で死なんようにな。特に赤龍帝とその弟の火力はヤバいから危ないと思ったらすぐリタイアしなさい」

 

「公式戦じゃないんだし、勝敗に命かけるほどの意味ないんだからね」

 

 と思ったら口にも出してきた。だがソーナ姉さんはそれを軽く流す。好き勝手するのが仕事のセラフォルーさまに溺愛されてるソーナ姉さんはシトリー家のヒエラルキーでトップだからこんなことになってしまうんだよな、立場的には次期当主に過ぎないのに。しかも常識知らずなせいで婿入りしてきたやつに全権を現当主が譲っちゃいそうな感じなのに。セラフォルーさまにはもう少し厳しくすることを覚えてほしいものだ。職務的にも無理だとは理解してるが、身近にいるものとしてはそう思えてならない。

 そうこうしているうちに魔法陣が輝きはじめ、俺達はゲームの会場へと転送された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……会長、なんですかこれ? 城?」

 

「そのようですね。ただそれにしては飾り気がなさすぎるのが気になりますが……」

 

 転移した先にあったのはこじんまりとした飾り気のない城だった。原作とは違うフィールドだが、やっぱりとしか言えないな。

 なにせコカビエル戦で全力で攻撃されればあっさり破壊される無意味な結界張り続けたりはしてないし、三大勢力の和平会談の時に三人も自力で意識保って働いてたんだからな。若干評価も上がってるだろうし、グレモリー家も功績を独り占めできてないから原作より評価が下がってる。まぁ原作通りの試合にはならないわな。

 城をざっと見渡し、特に魔法的な防衛機構がないことが確認出来たころにアナウンスが始まった。

 

『皆さま、このたびはグレモリー家、シトリー家の「レーティングゲーム」の審判役を担うことになりました、ルシファー眷属『女王』のグレイフィアでございます。我が主、サーゼクス・ルシファーの名のもと、ご両家の戦いを見守らせていただきます。どうぞ、よろしくお願いします』

 

 審判は原作通りグレイフィアさまか。まぁ他に任せたらグレモリー家へのゴマすりのために偏った判定されかねないし、ここは不動だろうな。セラフォルーさまに人選任すのは論外だし、これしか手がなかったんだろう。

 

『今回のバトルフィールドはトラップ未整備の城とその周辺一帯を用意いたしました。ソーナ・シトリーさまの本陣は転移先の砦及び周囲三百メートルの範囲、リアス・グレモリーさまの本陣は無しとなっております。「プロモーション」する際は相手の本陣まで赴いてください』

 

 え、グレモリー本陣無し? つまりこっちは『プロモーション』禁止ってことか?

 

『また今回は特別なルールとして「城の制圧、もしくは破壊をもってグレモリー家の勝利」「一時間の防衛をもってシトリー家の勝利」となります。「フェ二ックスの涙」は両チームに一つずつ支給され、持ち込みは禁止です。

 これより三時間後にゲーム開始となります。それまでは相手チームとの接触が禁止された作戦時間となります。それでは、作戦時間開始です』

 

 …………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………何このルール?

 

「「「「「「「えええええぇぇぇぇぇぇッ!?」」」」」」」

 

 案の定、俺以外の全員が困惑の声を上げた。

 まぁグレモリー眷属……というか、バアル家の一番の得意分野である拠点攻めを受けろって言うんだからそんな反応にもなるわな。滅びの魔力にかかるとどんな高性能な障壁を作戦時間に用意しても防げないし。唯一の防御法は原作でケルベロスがやってたようにリアスさんの攻撃を上回る量の魔力を叩きつけることだが、赤龍帝の『倍加』と『譲渡』があるからそれもきつい。いや、この時点の二人なら俺が防ぎ続ければガス欠まで持つだろうけど、誠二と交代で休憩なしに攻撃されると絶対に持たない。匙もサポートタイプだし、普通にやり合ったら勝機ゼロだな。

 それにこのルール、ソーナ姉さん以外は気づいてなさそうだがもう一つ厄介なとこがある。それは対戦相手がグレモリー眷属でさえなければシトリー眷属が圧倒的に有利なルールだと言うことだ。

 フィールドは頂上に城のある禿山と麓の平地だけで隠れる場所などなく、グレモリー眷属が作戦時間に何をしているか丸見え。おまけに時間制限があるので攻め込まないと言う選択は出来ない。おまけにこちらの様子は覗けないしで、いくら作戦時間があろうと戦闘準備はできないってことだな。逆にこっちは城のを外から壊されないよう強度を上げて、内部に罠を仕掛けまくれば同格が相手なら地の利で一方的に勝利できる。それこそ、これで負けたら無能が過ぎると言うレベルで。

 実際のところこっちが圧倒的に不利なのに、周囲の評価としてはこっちが圧倒的に有利な条件でのゲーム。負ければ学園設立とか夢のまた夢になるな。確実にこのルールを決めた重臣たちは俺らを潰しに来てる。原作と違ってシトリー眷属の評価がグレモリー眷属より遥かに劣ってなかったのが悪かったのか。契約通り『女王』として補佐してきたつもりだったが、どうやら逆効果になっちまってたっぽいな。

 まぁ、今更過去の事を悔やんでもしょうがない。負けても死んだりするわけじゃないし、挽回の機会はこれからいくらでもあるんだからな。今は『王』の意見を仰ぐとしよう。

 

「どうします、ソーナ姉さん? かなりまずい状況ですけど」

 

「…………ゲームが始まったらジョージが城の防衛、真羅が私の護衛、他全員でリアスを探します。作戦時間中に地中に隠れるくらいはするでしょうからね。リアスが見つかったら匙が兵藤兄弟の足を止め、制圧と判断されないよう一人だけ残して他全員で討ち取りに行きます。それくらいしか策はないでしょう」

 

 ここまで詰んでると思いつくことは誰でも同じだったな。障害物とか碌になくて作戦の立てようがないって言うのもあるんだけどさ。

 あと匙の負担が大きすぎる気もするが、リアスさんの強襲用に俺を残すと他のメンバーじゃ足止めすらできそうにないしな。最悪誠二だけでも足止めしてくれれば十分だ。兵藤は相性が良いから立ちふさがれてもどうにかできるし。

 

「では準備を開始です。二時間かけてこの城が容易く落とされない程度に強化し、残り一時間でベストな体調に整えます」

 

「「「「「「「はい」」」」」」」

 

「ジョージは目隠し用の外壁を作った後、地下空の攻撃も防げる半球状の氷の城壁を作りなさい。自前の魔力だけでいけますか?」

 

「大丈夫です。誠二と限界まで倍加した後譲渡されたリアスさん以外なら壊せないってレベルのでも作れます」

 

 二時間かけて作ってもこいつらには一撃で壊されかねないんだけどね。デュランダルもらってゼノヴィアを戦力外にしておいて本当に良かった。今でもギリギリなのに戦力になるやつがさらに増えたら対処しきれなかった可能性が高いからな。

 

「分かりました。桃、憐耶、匙、貴方たちは城壁とその周囲にトラップを仕掛けてください。大威力の攻撃対策はジョージがするので、登ったり飛んで超えようとしてくる人への対策を。またそれと並行してグレモリー眷属の監視を行い、怪しい動きがあれば報告してください」

 

「「「分かりました」」」

 

「真羅たちは城の強化と内部に罠を。侵入できなくなるのではなく、ある程度入ったら迂闊に進むことも戻ることもできなくなるような、警戒心を煽るものを仕掛けてください」

 

「「「「分かりました」」」」

 

「私は地中を含めた広範囲を捜索する魔法陣の準備に取り掛かります。では行動開始」

 

 

 

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