転生して会長の甥っ子   作:ぬがー

24 / 68
第24話

『開始のお時間となりました。ゲームスタートです』

 

「ようやくか。できればもっと早めに言って欲しかったな」

 

「だな。禁手(バランス・ブレイク)の準備が進んでるのをただ見てるって言うのはきつい。あんなに無防備な状態でとんでもなく危険なことやってるのに潰しに言っちゃダメとか酷いよなぁ」

 

 三時間の作戦時間も終わり、ついにゲームが始まった。

 開始時点での俺と匙の配置は城壁の上、グレモリー眷属の正面だ。あいつらが作戦もなにもかも投げ捨ててゴリ押しすることを選んだためにこの配置になったのである。おかげで二時間かけて作った城壁やトラップの大半が無駄になった。マジで徒労感が半端ない。

 まぁ愚痴は後だ。まずは目の前の障害に対処しなくては。

 初手で誠二の魔弾が外壁を破壊し、ついでとばかりに仕掛けて罠も破壊していく。これであっさりと城壁までのルートができてしまった。まぁ壊されるの前提の壁と罠だ。問題はこの後。

 異常に才能に恵まれた精霊魔法の使い手の一番厄介なところは、何と言っても連射性だ。なにせ魔法力だけ渡しとけば勝手に精霊たちが術を構築してくれる。誠二並の才能ならレーティングゲームに連れて来れる程度の下級精霊でも大魔法を連発してくるのは間違いない。

 案の定、次の攻撃が迫ってくる。風精と雷精を使ったのであろう、旋風と稲妻が一直線に城壁へと向かう。

 この一撃だけなら城壁が破られることはない程度だが、これが当たれば罅は入る。そうなれば少ない魔力消費で壊されかねない。なのでこいつは止めるとしよう。

 ベイを促し射線上に出る。そして直撃、障壁が三枚破られた。中心部は予想より貫通力があったな、まき散らされた風と雷で誤魔化されたか。かなり悪質な魔法だなコレ。

 旋風と稲妻が止んだ直後、今度は石の杭が雨あられと降ってくる。一発一発に結構威力があってまた障壁が一枚破られた。さっきので罅が入っていたら城壁はそのまま壊されていただろう。止めに入って良かったと言える。

 で第三弾、火精による超高熱の大爆発。この三段撃が上手くいっていれば城を丸焼きにしていたであろう本命の一撃だ。『聖馬の寵』による障壁は最大八枚まで増えたので後四枚。悪魔にとって毒である精霊の力を帯びた炎を浴びるとダメージはほぼなくてもリタイアさせられかねない事を考えると直撃を受けるわけにはいかないか。

 

「匙! ちょっと威力を削いでくれ!」

 

「任しとけ! 行け『龍の牢獄(シャドウ・プリズン)』ッ!!」

 

 匙は神器を抑える呪布を右腕から剥がし、暴走に近い形で神器が発動した。

 地面から生えてきたのは『龍の牢獄』が生み出した黒い壁。本来なら対象の四方を囲うものだが、それを防御用に四重の障壁として出している。

 まぁ当然ながら元々防御用の物でもないし、なにより爆発の威力が桁違いなのであっさりと吹き飛ばされた。だが威力を弱めること自体は出来たようで、直撃を喰らっても障壁が三枚壊されるだけで済んだ。匙の援護以外では防御は一切行っていないのでパフォーマンスとしても十分だろう。

 外壁はなくなり罠も全滅、城壁も厚さが半分ほどになるまで溶けてしまったがどうにか残ってるし、誠二の城攻めは防げたと判断していいだろう。

 で、ソーナ姉さんの読みだとここから……。

 

「光の一千矢、収束ッ!」

「さっせるかオラァッ!!」

 

 リアスさんの砲撃の邪魔になる俺を排除させに行く。確かに誠二に殴られれば迎撃は無理だろうし、爆炎で隠れて接近して来たら感知は困難だが、やると分かってれば対策は立てられる。

 ソーナ姉さんの指示通り、隠蔽の魔法を施したラインが城壁や地中から現れ、誠二を拘束して投げ飛ばした。投げられながらきっちりラインは全部千切った誠二もすごいと思うが、分かっていたとはいえ視界がほぼ潰された状態で不意打ちにに対応できた匙も大概だな。原作キャラパネェ。

 そしてここからが俺の仕事、リアスさんの攻撃の妨害だ。俺を排除したタイミングで城に打ち込むためにもう発射準備に入っていて、これがフェイクで他の作戦に切り替えってのはありえない。幻惑の魔法や仙術の気配もないし、方向も間違えていないだろう。

 これならもう遠慮はいらない。役目は妨害だが『王』を取りに行くつもりでやってしまおう。

 

「切り裂け、デュランダルッ!」

 

 用途を声に出してイメージを固め、通常よりも高い鋭さを持たせた斬撃を飛ばす。

 射線上に木場が生やした聖魔剣の壁、ゼノヴィアが兵藤から借りたアスカロンで放った斬撃、姫島さんの雷撃、神器の使用をルールで禁止されたギャスパーとアルジェントの障壁、それらを苦も無く切り裂いて進むが速度が少し落ちてしまった。

 その間にリアスさんは滅びの魔力を放つ。それはデュランダルの斬撃と接触し、二つに裂かれたまま直進してくる。

 

「やっぱ当たった部分しか打ち消せなかったか。ま、本命はこっちだし問題なし。聖剣はエネルギーの大部分を負担してくれるから楽だしな」

 

 城壁を作るのと並行して作成した巨大魔法陣が光だし、上空の雨雲が巨大な氷塊に変化する。そして射出。滅びの魔力と接触し、同量の魔力だったため綺麗に対消滅した。

 

「…………けっこうきつかったな。やっぱバアルと赤龍帝のコンボは酷い」

 

 三時間かけて構築した魔法陣による補助とソーナ姉さんが探知魔法の為に作成した雨雲、それに魔力、魔法力を注いで作った氷塊でようやく相殺とか。リアスさんの魔力だけなら俺のチート級魔法力で圧倒できるし、まだ力を使い慣れていない兵藤のだけなら技術で逸らせる。なのに両方合わさると手が付けられなくなる。何でこれが原作で生かせてないのか不思議になるレベルの相性の良さだ。

 

『リアス・グレモリーさまの「戦車」一名、リタイア』

 

『リアス・グレモリーさまの「僧侶」一名、ルール違反によりリタイア』

 

 あっちでは塔城とギャスパーがリタイアか。たぶん塔城が仙術のオーラを寿命削る勢いで纏って壁になってギャスパーが焦点を合わせられるよう減速させ、ギャスパーが魔眼で斬撃を止めて、兵藤が横から殴って逸らしたんだろうな。そうしないと兵藤が命を捨てるつもりで壁になるか審判にリタイアさせられるか以外では防ぎようのない攻撃したし。

 ともあれ護衛が減った今がチャンス。誠二も巨大な『龍の牢獄』の中で匙と戦ってるし、速攻で片付けに行くとしよう。

 ただ魔力、魔法力は目新しさがないから聖剣中心でだな。タメ撃ちすると威力が出過ぎて危険だったやつ使うか。

 まず天界から買った量産品の聖槍を亜空間から取り出す。とてもじゃないが強力な武器とは言えない程度のオーラしか纏っていないがデュランダルの性質である同時に使用している聖なる武器の相乗効果で強化すればかなり強力な武器になる。

 さらに教会と堕天使の技術協力で作り上げた『聖ゲオルギウスの力を制御する魔法具』を起動させる。なんでもゲオルギウスにただの槍でドラゴンを倒した伝承が残っているのはゲオルギウス自身に『龍殺し』を武器に付加する力があったかららしい。アスカロンもそうして『龍殺し』を付加された剣の一本なんだとか。この魔法具は聖人固有の力を悪魔な俺が使うための物なのだ。

 そんなわけで今量産品の聖槍はアスカロン越え、デュランダルは燃費のいい魔帝剣グラムの聖剣版みたいになっている。序盤で持たせていい武器ではないのは間違いない。……いや、兵藤もこれ以上のチートアイテム持ってるんだし、この世界なら問題ないか。

 ともかく全力モードの準備は出来た。あとはリアスさんをぶっ飛ばしてゲームを終わらせるとしよう。

 

「目標、リアスさん! 兵藤は斬る、他は踏みつぶして進め! 行くぞベイッ!!」

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。