転生して会長の甥っ子   作:ぬがー

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第25話

「反省会を始めます」

 

 グレモリー眷属とのレーティングゲームの後日、俺達シトリー眷属は面倒なパーティなどをぶっちぎって駒王学園の生徒会室で会議を始めていた。議題は先日のレーティングゲームについてである。

 

「と言ってもゲーム時間自体短かったですし、大して話すことはありませんが。それでも何か思いついたことはありませんか?」

 

 シトリー眷属の反省会は眷属の成長を促すためソーナ姉さんはあまり意見を出さず、出た意見を吟味すると言う形をとっている。ソーナ姉さんにとっても自分にはない視点からの意見もあって勉強になるからこれからもこの方式で行くそうだ。

 なお他とは違って指導者を交えることはできない。下手なことを言ってセラフォルーさまの怒りを買うのは万が一にも御免なので誰も来てくれなかったのだ。正確には当たり障りのない言葉でやんわりと断られている。

 まぁ考えていると落ち込んでくる話は置いといて反省会に意識を戻すとしよう。

 ソーナ姉さんが言った通り、ゲームは開始一分もしない内に決着がついた。グレモリー眷属で俺を止められるだけの火力があるのは兵藤兄弟だけだし、兄の方には弱点攻撃ができるので感情を高ぶらせさえしなければ楽勝。そして弟の方は匙が足止めしていたのだから、城攻めを防ぎきってから一気に殲滅してしまったのは当然の結果だった。

 双方が有する飛び抜けた個人の相性の結果としか言えないので、これの作戦について何か言うのは結構難しいと思う。

 

「なら私から一つ」

 

 そう思っていたらいきなり真羅さんが意見を出した。

 

「眷属の内部で実力差が激しい以上、譲治と匙だけで試合を決めてしまうのも一つの手だとは思います。ですがそれと駒を遊ばせておくのは別だと思います」

 

 そう言って昨日の試合映像を流す。俺が誠二の『燃える天空』――罠を全壊させ城壁を溶かした火精による超高熱の大爆発――を喰らっているシーンだった。

 

「この場面では私が前に出て『追憶の鏡』で防いでおくべきだったとかと。そうすれば反撃が失敗した際に完全な状態で城壁を生かすことができましたし、大威力の反射でリアスさんの戦力を削ることもできました。城の防衛を万全にするためとはいえ、貢献できる箇所で出してもらえず戦力外扱いは心外ですし、これが原因で負けでもしたら会長の評価が下がります」

 

 まぁ確かに戦力の出し惜しみで負ければソーナ姉さんの評価は下がる。ゲームで活躍できないと眷属悪魔はなかなか昇格できないから活躍の場が欲しいのは分かるし、それを抜きにしても問答無用で戦力外扱いは戦士として納得できないだろう。神器の性能的にも、この一戦だけで考えるなら有効な手段だとは思う。

 だがこの意見には俺は反対だ。

 

「俺はその意見には賛成しかねます。真羅さんの『追憶の鏡』はカウンター系の神器。初見の敵にこそ最大の効果を発揮します。真羅さんは映像が残る場で神器を使ったことは一度もありませんし、一目見ただけで看破しそうなアザゼル総督も主にシトリー家、グレモリー家のアドバイザーをやっているのでそうそう情報は洩れません。グレモリー戦では地中の氷を使えばまだ余裕はありましたし、真羅さんは温存で正解かと。

 むしろ俺の最後の突撃こそ反省すべきでした。ゲオルギウスの力の威力を見せすぎ、余所に解析されたかもしれません。兵藤は倒さず威嚇だけして素通りし、リアスさんだけ討ち取る方が良かったでしょう」

 

 サイラオーグさまのとこ、『戦車』が二人とも防御重視で倍加反撃しても決定打にはならないんだけどな。だけど威力特化の『兵士』にならかなりの効果を期待できる。原作になかった運用や成長を見せて対策を考えさせたくなかったから前線は俺と匙だけにしてもらったんだよ。

 その分真羅さんの活躍は減ってしまうが、悪魔の寿命は永いんだしそのうちお礼はするってことで。

 

「ふむ、ジョージの意見も椿も意見も間違ってはいません。一度の戦いで勝利を得ようとすれば真羅の考えで行くべきですし、連戦と言うことを考えるとジョージの言うとおり切り札は温存しておくべきですからね。そのあたりのバランスをとるのが『王』の仕事ですし、参考にさせてもらいます。

 他にありませんか?」

 

「では私が。グレモリー眷属もそうでしたが、硬過ぎる相手に対する攻撃手段がないのは問題だと思います。シトリー家の書庫でも漁って数人でもできる儀式攻撃魔法でも探すべきかと―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――反省点の洗い出しはこのくらいでいいでしょう。次はこれからについてです。

 ジョージ、進行は任せます」

 

「はい。当主さまの話では次の対戦相手はバアル家になりそうとのことです。アガレス家やアスタロト家との知略戦を推す者もいるようですが、どうもセラフォルーさまが癇癪を起さないようソーナ姉さんの援護をする役割が回ってきただけのようですので、これで決定でしょう。予想通りの展開ですね」

 

 これは俺も同じ予想をしていたので意外でもなんでもない話だった。本当にソーナ姉さん、社交界では厄介者だと思われてるんだなぁ、と再確認したくらいだったな。

 だが予想できてなかった奴もいたようで、その中でも真っ先に仁村が質問してきた。

 

「すみません、理由を聞いても構いませんか?」

 

「構いません。要はバアル眷属にフルボッコされて現実を見てほしいと皆さんが思っているんです。ここが相手だとうちじゃ恥かかずに負けることすら不可能だから」

 

 一気に眷属一同の顔が怖くなった。自分たちの夢を絵空事扱いしてるって伝えたんだからそうもなるか。

 あと匙を除いて裏と関係のある武術家や退魔士なんかの家系からスカウトしてきた連中なので、戦闘面では誇りみたいなものを持っている。脆弱な人の身でも人外と渡り合える技術を継いでいるという誇りだ。そのうえで主から分け与えられた力によって普通の人間の弱点である地力すら上昇しているんだから、俺や誠二のような転生者、匙、兵藤兄のような伝説のドラゴンを宿した者のような悪魔社会でも明らかに特別な者(・・・・・・・・)以外に手も足も出ないと評価されるのは我慢ならないんだろう。

 割と高位のはぐれ悪魔なんかも狩ることが出来ていたために自信がついていたのもこんな反応の原因だろうな。

 ま、実際にやり合ってみれば真っ当な手段では越えられない素質の差を嫌でも理解できるだろう。今口で何を言っても無駄だ。

 

「会議を続けます。バアル家とのレーティングゲームはおそらく真っ向勝負を強制するようなルールになると思われます。シトリー眷属には俺と匙を含めて一発逆転が可能な力の持ち主はいないので、これから次のゲームまでの間は徹底的に基礎トレーニングを行い地力を上昇させるのが最善手だと思われます。どうなさいますか?」

 

「勿論、基礎トレーニングは今まで通り行います。ですが一対一を強制するルールはさすがにないでしょうから、少人数での連携訓練を増やすべきでしょう。それよりあなたと匙はどうするつもりですか?」

 

「バアル眷属の個人戦力考えたら現状で連携や戦術鍛えても意味ない気がするんですが……まぁソーナ姉さんの決定ならしょうがありません。

 俺と匙についてですが、学校サボって使い魔の森の中層部でサバイバル生活でもして力に体を馴染ませようかと」

 

 さすがに深層部は『天魔の業龍』ティアマットとか『邪毒蛇』ヒュドラなんかがいるせいで魔王でも下手すれば死ぬ領域なので無理だが、中層部なら出て精々成体になる前かなり立ての高位ドラゴンくらいなので力に慣れるには最適だ。

 おまけに様々な魔物の魔力が干渉し合って天然の迷宮みたいになっていてトラップを掻い潜る訓練にもなるし、研究の試料も手に入る。今の匙がいれば余裕ができるので、訓練とか関係なしに俺が行きたい場所でもあるな。

 だがこの提案はソーナ姉さんには気にいらなかったようである。

 

「学校をさぼるのはやめなさい。私たちは今学生ですし、生徒会の仕事だってあるんですよ? そしてあなたは生徒会の書記です。地位にふさわしい振る舞いをしなさい」

 

「いえそれを言ったら生徒である前にレーティングゲームを間近に控えた悪魔なんですが……いえ、やっぱり何でもないです。大人しく匙で新しい魔法試してます」

 

「そうしなさい。匙は頑丈ですから思いっきりやっても大丈夫でしょうし」

 

「ちょっ、俺が実験台になるのは決定ですか!?」

 

 匙がなにやら騒ぎだりはしたが、他に候補もいないのでこれで決定となった。

 まぁ匙はヴリトラ――この世界の強者ランキング五位の帝釈天(インドラ)に和平条約を結んで油断したところを不意打ちされ、弱点を突かれて倒されても一年後には復活していた邪龍。二天龍を丸ごと神器に封印できた『聖書の神』でも何十にも分割しないと封印しきれなかった存在――を宿してるし、ヴリトラの人格も目覚めてきた。おまけに本人の適性ゆえかヴリトラの力と同化し始めていたりもするので早々死なない、というか死なせられないだろうから的にはぴったりだな。龍殺しの性能もどこまで引き出せてるか分かるし。

 

「では次のゲームまでの訓練について、他に意見はありませんか? ……無いようですのでこれで会議を終わります。お疲れ様でした」

 

 

 

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