転生して会長の甥っ子   作:ぬがー

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第30話

 ロキの指示を受け魔物たちが動き出す。

 耐久力の高い子フェンリルを先頭に、走力の高いスレイプニル・クローン、最後に遠距離攻撃を持つミドガルズオルム・クローンという編成だ。

 片方はリアスさんたちの方へ、もう片方はヴァーリチームの方へ向かっていった。こちらは無視だ。

 まぁフェンリルを匙が拘束している時間が長いほどフェンリルは弱っていくので、たぶん気を見計らってこっちにも不意打ちを仕掛けてくるだろう。油断せずに戦局を見守ることにしよう。

 

「ふん、獣風情がっ!」

 

 タンニーンさまが業火を吐き出す。攻撃力なら魔王級とか隕石並とか言われてるだけあってすさまじく強力な炎だ。攻撃範囲も広く、これなら後続のスレイプニル・クローンとミドガルズオルム・クローンにも大打撃を与えられそうだ。

 

「何っ!?」

 

 だが相手が悪かったのか、子フェンリルが口を開くとそれをほとんど吸い込んでしまい後ろには届かなかった。

 たぶんこっちの子フェンリルはスコルだったんだろうな。太陽を喰らう狼からみれば元龍王の炎であっても食い物ってことか。これが月を喰らう狼のハティのほうだったら効いてたんだろうがな。

 

「火は効かんか。ならこうだッ!」

 

 巨大な尾を振り回し、スコルの横からぶっ叩いた。

 スコルを弾き飛ばした勢いで一回転し、再度火炎放射。今度はミドガルズオルム・クローンを焼き足を止める事にも成功した。

 だがスレイプニル・クローンは宙を駆けて炎を回避しスコルを上回る速度で近づいていく。

 それを空中にいたライザーさまが炎で目隠しをし、誠二とロスヴァイセさん、フェニックス眷属が撃ち落とす。地面に落ちた連中は上手くは飛べないグレモリー眷属が吹っ飛ばして距離をとらせた。

 なおこの時リアスさんも攻撃していたが、他の被弾を無視してでも最優先で回避されていた。原作世界でもこんな調子で最優先で避けられてたからあんまり活躍できなかったんじゃないかなと思う。

 ともあれ最初の、そして一番危険な突撃は凌いだ。さらなる増援による奇襲もバラキエルが警戒してるし、これであっちは大丈夫だろう。援護射撃は全く必要なさそうだ。

 ヴァーリチームも難なく凌いでいた。足止めでは黒歌が活躍したっぽい。気にくわないが戦力としてはやっぱり一流か。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 で、問題のロキ対二天龍の方はと言うと。

 

「ぐふぁッ!?」

 

「くッ、邪魔だそこをのけッ!」

 

「はははははは、二天龍揃ってこの程度か? 拍子抜けだな!」

 

 接近戦を仕掛けようとする兵藤はロキの魔法で一瞬足が止まったせいでスヴァジルファリに体当たりを喰らい弾き飛ばされてダメージを負い、ヴァーリは兵藤が邪魔で大規模な攻撃ができず小規模な攻撃は全てロキに弾かれている。スヴァジルファリがいるせいでドラゴンショット以外の遠距離攻撃ができない兵藤が完全に足を引っ張ってしまっている。

 逆に向こうはコンビネーションが抜群だ。ロキへの攻撃はスヴァジルファリが躱したり兵藤を盾にして防ぎ、スヴァジルファリへの攻撃はロキが防いだり、隙を作って体当たりを当てられるようにしている。

 このままじゃいつまでたっても攻め落とせそうにないな。むしろ先に兵藤が死にそうだ。

 まだこっちに仕掛けてくる様子はないし、ちょっかい掛けて仕切り直しさせるとしよう。

 

「あれくらいならシャツでいけるな。少なくともパンツとかブラジャーは過剰だ」

 

 亜空間から取り出した布にゲオルギウスの力を込める。今回込める力は槍やアスカロンに使われた『龍殺し』ではなく、姫の帯に込められた『ドラゴンを犬のように従える力』だ。これをアルジェントから買い取ったお気に入りだったシャツを結んで繋ぎ合わせて作った帯に込めている。

 いや原作でもすごいドラゴンに好かれてたからもしやとは思ってたんだけどさ、未使用、男性陣、他の女性陣のも色々買い取って比較実験してみたところ、格段に性能が良かったんだよ。実際に着ていた人によって大きく効果が異なるってわかるまでは冷たい目で見られたがやってよかったと思ってる。

 まぁ一部例外―――匙にはアルジェントよりソーナ姉さんのやつの方が効果があった―-―こそあったが、アルジェントの服を使えば大抵のドラゴンは支配できる。ヴァーリだってアルジェントのパンツを被らせれば行動を制限することだってできると思うし、今回の標的ならこれで確実に行けるはずだ。

 

「そらっ!」

「ゴァッ!? ……ぐるぁぁぁぁああああっ!」

 

 リアスさんたちに襲い掛かっていたミドガルズオルム・クローンのうちまだ元気そうな奴を選んで帯を投げつける。帯はグレイプニルと同じように、意志を持っているかのような動きで首のあたりに巻き付いた。

 巻き付かれたミドガルズオルム・クローンは途端にリアスさんたちへの攻撃をやめ、ロキの方へと突っ込んでいく。

 

「何ッ!?」

「やべ、避けれな―――」

 

 兵藤を撥ねてロキから距離をとらせ、スヴァジルファリごとロキを丸呑みにして移動させる。

 ロキを噛もうとしたらスヴァジルファリに弾かれていただろうが、虚を突いて地面ごと飲ませたからどうにかなった。まぁすでに内部で暴れているのかミドガルズオルム・クローンは弾ける寸前だが、それは既にチャージを始めているヴァーリがいるから大丈夫だ。

 

「おのれよくもやったな悪魔風ぜ―――」

 

 腹を突き破って出てきたところをヴァーリの砲撃で迎えられたロキ。これはさすがに効いたのか、ロキもスヴァジルファリも血を流していた。

 

「助かったけどもっとやりようなかったのかよっ!? 八つ当たり喰らえこの野郎!!」

 

 弾き飛ばされた兵藤が体勢を立て直して特大のドラゴンショットで追撃する。

 だがそれはロキが取り出した剣から放たれた炎に包まれあっさりと消滅してしまった。

 

「まだ何か持ってやがったのかよっ!? クソ、なんだその剣は!?」

 

「……なんだ。貴様、グレモリー眷属のくせに知らないのか。てっきりあの失敗作から聞いているものだと思っていたぞ。驚き焦る顔を期待していたのにがっかりさせてくれるな」

 

 ロキはまたスヴァジルファリを見せたときのような不機嫌な表情になった。やはり目立ちやがりの神としては、自慢の品が知られてないとかは嫌なんだろう。

 しかし「グレモリー眷属のくせに」「失敗作」ね。こりゃ持ってるのはあれで決まりだな。

 

「オリジナルのスルトから借りて来たのか? それとも自分でもう一本打ったのか? いずれにせよレーヴァテインとは物騒な物を持って来ているな」

 

 ヴァーリも気づいてたみたいだ。まぁロキが作ったスルトの剣『レーヴァテイン』とサーゼクスさまの眷属に力を制御できない失敗作として廃棄されていたスルト・セカンドがいるって知ってればすぐに連想できるよな。

 まぁ何か分かったからと言って対処が楽になるわけではないんだけどな。効果は見たままの炎の剣だし、威力がヤバいのもロキが切り札として取っておいたんだから察せる。何か全く分からなくてもできることは変わらない。

 俺もフェンリル放っておくわけにはいかないのでずっと援護できるわけじゃないし、ヴァーリはともかく兵藤にはきついか?

 今は見てるだけしかできないが、余裕が出来たらスルトさまの炎に焼かれ慣れてるライザーさまに援護を頼むべきかもな。

 

「白龍皇は知っていたか。知っての通りすべてを焼き尽くす炎を宿した剣。オーディンを殺すために新たに作ったこれを味あわせてやる。有り難く思

「兵藤一誠、お前は援護砲撃と囮に徹しろ。攻撃は俺が担当する」

 

「分かってるよ! お前こそ反撃で焼かれるんじゃねーぞ!」

聞け―ッ!」

 

 

 

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