転生して会長の甥っ子   作:ぬがー

32 / 68
第32話

「まずはこいつだ『乳語翻訳(パイリンガル)』ッ!」

 

 兵藤が謎のポーズをとり、俺の知っているどんな結界系、空間系魔法とも異なる謎の空間を展開する。

 謎のポーズを取りながら技名を叫びつつ発動することでイメージを固め威力を増大させているのは分かるんだが、行動が読める原理が理解不能だ。シトリーの術式の面影くらいは残っているが、個人に合わせた調整と言う範囲ではないくらいいじられていて、最早魔法とか魔力と言うより仙術っぽい構成になっている。魂や精神からじゃなく肉体から情報を抜き取る術だからそんなことになってるのかね?

 

「おっしゃ成功ッ! ジョージ! 悪いが指示出すからその通りに動いてくれ!」

 

「口頭で指示出して間に合うか! とっとと避けろバカッ!」

 

 氷柱を生やして心を読んでいるからとロキから目を放していた兵藤を弾き飛ばす。その直後、兵藤のいた位置に炎が降ってきて氷柱が消滅した。

 

「んなっ!? おっぱいは何もいってなかったのに!?」

 

「炎をまき散らしてるのは自発的な行動じゃなくて、制御しきれなくてそうなってるんだろうよ! 自発的な行動しか読めないんなら油断するな!!」

 

 自分の術ならこのくらいの特性確認してから実戦で使ってほしい。俺だからよかったようなものを、読心術信じて奇襲喰らって自分や仲間が死んだらどうするつもりだったんだ。

 だがまぁ、これでわずかだが情報が手に入った。意識して制御を緩めているんならたぶんそう聞こえていただろう。兵藤が何もわからなかったということは、本当に制御しきれていないだけと言うことだ。持久戦に持ち込んで、タンニーンさまたちがクローンを倒した後で合流してくれれば十分倒せる相手だろう。

 

「兵藤ッ! とにかく粘れ! 攻めるのは皆と合流してからだ!」

 

「おうッ! 持久戦ならひん剥くチャンスが増えるし、俺としても願ったりだ!」

 

「くっ、何を考えてる赤龍帝ィィィィッ!!」

 

 ロキがレーヴァテインを振り回す。人間大のサイズだった時とは比べ物にならない攻撃範囲だ。ほとんど壁が迫ってきてるようなものだな。

 だが対処できない攻撃というわけではない。攻撃面積を広くしたせいで炎の壁はかなり薄くなっている。胸の声を聴いて大きく距離をとった兵藤を確実に捕らえようとしたせいだな。ライザーさまの教育が生きてる。

 

「これならお前貫けるよな!? 任せた!」

 

「オッケー、任された!」

 

 フェンリルの『神殺し』の力とデュランダルのすべてを切り裂くオーラを込めた砲弾に対抗術式を込めて放つ。

 炎の壁に当たった直後は砲弾に纏わせたオーラが炎を退けたが、すぐにオーラが削られ始めた。レーヴァテインもデュランダルと同じく『すべて』を焼き尽くす力を持っているうえに、デュランダルは人間用、レーヴァテインは巨人用の武器なのでその出力差が出たのだ。人間大のサイズで使っていたときとは威力が段違いだ。

 それでもフェンリルの力も纏わせていたので炎の壁を貫通。俺と俺の後ろに隠れた兵藤に迫る炎を払いつつ反撃することに成功した。

 砲弾はロキの腹に命中し、絶息させ動きを止めた。そこに兵藤が畳み掛ける。

 

「本命をくらえ! 『洋服破壊(ドレス・ブレイク)』ッ!!」

 

 腕を突きだす動作と共にこれまた謎の波動が放たれる。

 謎の波動は俺が炎の壁に空けた穴を通ってロキに命中し、上半身の服とレーヴァテインを弾き飛ばした。それと同時に全ての炎の制御が途切れただその場で燃えているだけになった。

 

「なにっ!?」

 

 慌ててレーヴァテインに手を伸ばすロキ。このまま手の届かない位置に飛んでいけば自分が出した炎で焼け死にかねないから物凄く焦ってる。見逃してやる理由はないな。

 腕を狙って砲撃を連射。

 ついでにレーヴァテインの方にも砲撃を放ってみる。

 結果、レーヴァテインに放った砲弾は当たる前に溶けて消え、ロキの腕はズタズタになったがレーヴァテインを確保された。あと服も直していた。まぁそれでもさっきまでより制御能力は落ちているだろう。

 

「クソッ! おっぱいを隠された!!」

 

「それはどうでもいい! それより今のは炎越しでも使えそうか!?」

 

「あー、たぶん無理だ。今のも一気に全裸にするつもりだったのに失敗したし。炎で威力削がれるっぽい」

 

 この謎の波動もレーヴァテインの『すべて』の範囲内か。デュランダルでも同じことが出来るか試してみたくはあるな。

 

「なら俺が炎を剥ぐ。お前はそこに好きなだけ打ち込め。いいな?」

 

「オッケー! 服破くのは任せとけ!」

 

「貴様らふざけるのもいい加減にしろッ!!!」

 

 よーし、その調子で怒れ。そしてどんどん炎の操作を杜撰にしてくれ。反撃しやすくなるからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっしゃー! ロキ撃破! もう起き上がってこないよな?」

 

「大丈夫だろ。もう三回も起き上がってきたとこ潰したし。突きまわしても反応ないから」

 

 皆が合流してすぐ、あっさりとロキは倒された。まぁ元々フェンリル抜きなら原作の戦力でも十分と判断される程度だったのに加えて、魔改造ライザーさまに同じく魔改造された眷属、俺と誠二っていう転生者も加わったんだからこうなるよな。

 

「なら戦後処理に移ろう。まず会談やってるビルの警備に俺の眷属を戻すとして――――――これとあれ、どうするんだ?」

 

 めんどくさそうな顔でライザーさまが手に持ったレーヴァテインと撃破した魔物の死体、そしてグレイプニルで縛られたフェンリルが入っている氷牢を指しロスヴァイセさんに尋ねた。

 

「悪魔社会ではこういったときは持ってくるよう言われてたもの以外の戦利品は戦ってた連中で山分けするもんなんだが、これ北欧の秘匿技術とかも使われてるよな? 勝手に出した戦力に応じて分配して同盟にひびが入るのも嫌だし、そちらの意見を聞きたいんだが取り次いでもらえるか?」

 

「賢明だな。やはりリアス嬢はいい婿を貰った。とは言え俺は魔物は全てこちらの取り分、秘匿技術が使われていそうなレーヴァテインのみ北欧の取り分と言うのが良いと思う。ミドガルズオルムの情報や戦闘中の反応を見る限りそちらでも把握していなかった物のようだし、これ以上の譲歩は厳しいな。同盟を盾に強請れば何でも応じると思われてはかなわん」

 

 現政府の重役の大半を占める純血悪魔のライザーさまが譲歩を提案し、転生悪魔ながら強い発言力を持つ最上級悪魔のタンニーンさまが譲歩に否定的な意見を出す。『現政府は友好的にしていくつもりだけど、他が納得しないこともあるから限度はある』ってアピールも兼ねてるのかな? そこまで行かなくても多少の印象調整の意味はある気がする。

 

「そのことでしたら問題ありません。警備に着く前に『戦利品はフェンリル含め全て譲る』と言伝を預かっていますから」

 

 あっさり返すロスヴァイセさん。え、フェンリルまでいいの? 神殺しの獣を他人に渡すとか何考えてるんだオーディンは?

 俺らが怪訝な表情をしているのに気付いたのか、慌てて事情を説明しだす。

 

「ああ、その、これには裏もありまして。フェンリルの封印が万が一解かれた時にすぐ襲われるような距離に置いておきたくない、けれど封印が解けた場合はすぐに把握したい、という理由で『同盟を組んだ他の神話勢力に封印の管理を押し付けたい』とオーディンさまは目論んでいたようなんです。ロキが連れてきた魔物はその対価のようなものですね。公式な発言として残すわけにはいきませんので会議の場では伝えられていませんでしたが、三勢力のトップ勢には話を通してあるそうです。ただレーヴァテインのレプリカを作っていたのは予想外でしょうから確認をとらせていただきたいですね」

 

 なるほど。要は自分で爆弾抱えておきたくないって理由で押し付けることにしたわけね。三勢力は主も失って大分弱体化しているから同盟裏切って行動したらあっという間に滅びかねないし、裏切りの心配も薄いから押し付ける先としては妥当なところだしな。うちとしても詰みかけの戦場で敵味方関係なしに蹴散らしうる爆弾を所持しておいて損はないから同意したってとこかな?

 それに現場組としてはありがたい話だ。どうせフェンリルとスコルの管理と研究はヤバ過ぎてお偉いさんがやることになるだろうから、俺らにとっては魔物の死体を全部もらえるってだけの話だし。

 

「そうか。なら魔物は一旦俺が管理し、魔王さま方に確認をとった後に分配するとしよう。それでかまわないか?」

 

「私は構わないわ。ライザーとソーナはどう?」

 

「俺は構わない」

 

「私もです」

 

「ではこれで決定だな。俺は魔物の死体とフェンリルを持って魔王さま方のところへ持って行く。リアス嬢、ビルの警備は引き続き頼む」

 

「わかったわ。皆、会談をしているビルの警備に戻るわよ。宣戦布告もなしに仕掛けてくるところなんてまずいないでしょうけど」

 

 この後はリアスさんの予想通り誰も仕掛けてくることはなく、ただビルの周囲に突っ立っているだけで警備は終了した。

 この世界じゃ大抵の神や英雄はプライドが無駄なくらいあるから不思議なことではないな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あ、あとレーヴァテインの処理のためにオーディンは残っていたのでロスヴァイセさんは近衛クビになってないらしい。原作組の『悪魔の駒』にあの人を眷属にできるほどの余裕はないし、どうするか悩んでた666の知識狙いとかユーグリット対策押し付けれた。ラッキー。

 

 

 




 前話でヴァーリが「支援込みでちょうどいい特訓相手」といいましたが、ヴァーリの知らなかった技を使ったうえ、積極的に攻めず時間稼ぎに徹したのでロキ戦は描写すら省略される完全な作業になりました。

 これに伴い姫島の親子和解イベントは消滅。ただでさえグレモリー眷属の中では成長が遅れているのに、さらに遅れることになりました。
 ただ姫島は

 ・『王』の進退がかかったゲームでも個人的な感情を理由に本気を出さないほど忠誠心がない
 ・男に惚れたらそっち優先で、副官にふさわしいとは言えない
 ・身の程をわきまえず『王』のお気に入りに手を出そうとする
 ・リアスと同じ後方からの砲撃型なのでいなくても問題はない
 ・グレモリー眷属の中では才能に乏しく弱いので、替えが効く人材

なのでうちのオリ主がフォローすることはありません。イッセーの主人公補正に期待しましょう。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。