転生して会長の甥っ子   作:ぬがー

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第34話

 

 

 

 

 

 

 

 修学旅行二日目、なんだかんだ言いつつも生徒会の仕事をこなしながらの修学旅行を楽しむ兵藤たちと行動していると、昼を過ぎたころに京都の妖怪の女性がやってきた。兵藤たちは身構えたが、向こうに戦意は無いっぽい。

 

「私は九尾の君に仕える狐の妖でございます。グレモリー眷属の皆さま、先日は誠に申し訳ございませんでした。我らが姫君もあなた方に謝罪したいと申されておりますので、どうか私について来て下さいませ」

 

「ついて行くって……どこに?」

 

「我ら京の妖怪が住む―――裏の都です。魔王さまと堕天使の総督殿も先にそちらへいらっしゃっております」

 

 グレモリー眷属は昨日の自由時間に襲撃されてたらしいし、そのことでの謝罪か。となると俺らシトリー眷属はホテルの警備で待機か。呼ばれてもないのに行くわけにもいかんしな。

 

「シトリー眷属の皆さまもどうかご同行くださいませ。お二方から連絡事項があるそうです」

 

 そう思ってたら俺らも呼ばれた。ホテルの警備ゼロにするのはどうかとも思うが、半端に警備残して狙われる理由になっても困るし、泊まってる生徒の中にも戦闘力があるのがいくらか混じってるから放置でいいかと割り切ることにしよう。

 

「わかりました」

 

「ではすぐに向かいましょう。こちらです、ついて来て下さい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうしてある寺院の片隅に設置された鳥居を通り、妖怪たちの住む異界にやってきた。原作では金閣寺だったと思うが、やっぱり入り口はそれなりの数あるみたいだな。

 薄暗く独特の空気に満ちた空間。そこに並ぶ古い家屋群。そして住民たちが俺たちを迎えてくれた。

 

「ここが京都に住む妖怪の多くが身を置く場所です。私たちは裏街、もしくは裏京都と呼んでいます。悪魔の方々がレーティングゲームに使うフィールド空間があると思いますが、あれに近い方法でこの空間を作っていると思ってくれて構いません」

 

 レーティングゲームのフィールド空間に近い方法と言っているが、京都と魔術的に繋いだり、それを長期間維持したりと言ったことに悪魔には違った技術も多く使われているんだろうな。ちょっと気になる。

 そんなことを考えながら、好奇の視線を向けてくる妖怪たちの纏う妖力を観察しつつ歩いていると、巨大な鳥居が出現した。

 鳥居の奥にはデカい屋敷があり、そこに着物姿のセラフォルーさまとアザゼル総督、あと豪華な着物を着た狐耳の幼女とそのお付きっぽい人がいた。この幼女が九尾の姫の九重か。

 

「お、来たか」

 

「やっほー、皆☆」

 

 俺たちがセラフォルーさまに挨拶を返している横で、案内をしていた女性が九重の前に出る。

 

「九重さま、皆さまをお連れしました」

 

 それだけ言って彼女は炎を残して消えた。

 九尾の姫さまはグレモリー眷属の前に一歩出てきて口を開いた。

 

「私は京都に住む妖怪たちを束ねる者――八坂の娘、九重と申す。

 先日は申し訳なかった。お主たちの事情も知らずに襲ってしまった。どうか許してほしい」

 

 頭を下げる九尾の姫さまに対し、襲われた教会三人娘と兵藤が困ったような表情で返事を始めた。

 

「ま、いいんじゃないか。誤解が解けたのなら、私は別にいい」

 

「そうね、許す心も天使に必要だわ」

 

「はい。平和が一番です」

 

 と教会三人組。表社会で行われた布教に異端審問や魔女狩り、十字軍、コンキスタドールなどでの暗躍が原因で、異形の業界関係者には三勢力内で最も好戦的で横暴だと思われている教会の出身者―――しかも内一人は教会の後ろ盾である天使―――が事を荒立てる気はないと言っていることに向こうの従者たちはあからさまにほっとしているな。

 

「てな感じらしいんで、俺も別にもういいって。顔を上げてくれよ」

 

「し、しかし……」

 

 いくら重要な存在である天龍とはいえ、何の役職もない小娘の眷属ごときがそれなりの大きさを持つ集団の次期トップにタメ口というのはどうかと思うが、相手は気にしていないみたいだし放っておこう。

 それよりも全面的に許されてしまってかえって気にしてしまっている九尾の姫さまのために助け舟を出させるとしようか。

 

「(おい木場、何でもいいから貰えるよう提案しろ。悪さしたのにお咎めなしって前例作るのは良くないし、向こうが気にして関係が対等じゃなくなるのもまずいからな)」

 

 原作では兵藤が九尾の姫さまをハーレム要員化させて話はついたが、兵藤は一応悪魔陣営の所属なのだ。それなのに他の勢力のトップを愛人とかにしてしまうと、別の勢力からは「同盟の名目で実効支配しようとしている」ように見えてしまう。

 原作終了後に発覚し、それまでの不信感―――事件起こしているのが三勢力の関係者ばかり―――と合わせて暴発。一気に全勢力を巻き込んだハルマゲドンに、って展開もあり得るのでそれは避けたい。

 あとは勘違いで迷惑かけても謝れば問題なし、みたいに思われるのも嫌だな。プライドの高い神族はともかく、そこまで大きくない人外種の集落の連中とかならやらかしそうだ。その時の担当がグレモリー眷属みたいに謝罪を受け入れるとは限らないし、そのせいで交渉がこじれたらことだからな。

 ここにいる上の連中は実務面ではお飾りなので多少現場が面倒になろうと気にもかけないアザゼル総督に、自由人でえこひいき上等なキャラ設定のセラフォルーさまだからな。止めてくれないだろうし、俺から促さないと。

 ただ直接言うと俺と兵藤たちとの間でわだかまりができるかもしれんから木場が言ってくれ。お前、リアスさんの眷属歴この中で一番長いし、リアスさんの代理人としては適役だから。

 

「(ッ、そうだね。立場的に僕から提案した方が良いか)あー、では事件解決後に再び京都の観光に来た際、そちらの人員から案内人でも出していただけませんか? 主であるリアスさまも、彼らも喜ぶと思うのですが」

 

「な、なんじゃ。そんなので良いのか?」

 

「はい。僕らの主は京都が大好きですので問題ないと思います。皆もそれでいいよね?」

 

「「「「もちろん!」」」」

 

「なら決まりじゃ。最高のもてなしも用意しておくから楽しみにしておれ!」

 

 うん、これなら問題も残りそうにないし、上手く話をまとめられたと言えるだろう。

 では本題の方を聞くとしようか。

 

「セラフォルーさま、グレモリー眷属だけでなく我らシトリー眷属も呼ばれたということは何らかの依頼があるということですか?」

 

「うん、それなんだけどね。ここの長の救出に協力してほしいの。これ、魔王命令ね」

 

 契約ですらない救出対象からのお願いではなく、魔王からの『命令』か。これは断れないな。

 

「承知しました。ソーナさまには後ほど報告をしておきます」

 

「あー、ソーナちゃんへの報告は後でいいんじゃない? それよりほら、作戦の方に集中しましょ☆」

 

「いえ、しかし眷属は文字通り主の『駒』。中級悪魔の私はともかく、下級悪魔の匙たちを魔王さまの命令とは報告もなしに行動させるわけには……」

 

 実績を上げ信頼を得た中級悪魔からは人権っぽい物もありある程度の自由が悪魔政府から保証されるが、下級悪魔のうちは契約内容次第では使い捨てても大丈夫な上級悪魔の『所有物』なのだ。魔王さまからの命令とは言えそれを勝手に動かすのを黙って見ているのは『女王』の職務的にできない。

 ま、通るとは思ってないから一応保身のために言ってるだけだがな。主に社交界での立場を守るために。

 

「言わんでいいぞ。ソーナの嬢ちゃんに伝えたら、リアスんとこまで伝わるだろ? そしたら眷属心配してこっちに来かねない。今回は『最低でも龍王クラスの存在を殺さず拉致できる隠れた強敵』を釣るための囮をここのとこ目立ってるお前らやってもらうんだから、ロキの時みたいに年長者が庇って戦うのは無理だ。説得するのも面倒だし、報告は全部済んでからでいい。堕天使の総督が無茶言ってどうしようもなかったって言い訳すればあいつら以外の連中も納得するだろ」

 

「わかりました。そういうことなら従います」

 

 うっし、言質ゲット。他の連中を勝手に動かす傍流の『女王』とか「ソーナ姉さんを『事故死』させて家を乗っ取ろうとしてる」って疑われてもしょうがない感じになるし、避けられて良かった。

 

「なら事件の説明を始めるぞ。聞き逃すんじゃねーぞお前ら」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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