転生して会長の甥っ子   作:ぬがー

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第4話

「もう一年か。早いもんだな」

 

「そうだな。これで俺らも先輩かー」

 

 月日が経ち、俺や匙たちは二年生に、ソーナ姉さんたちは三年生になった。ついに原作開始のときである。

 結局、匙は原作よりも一年早く、駒王学園入学が決まると同時にシトリー眷属となった。駒の数は原作と変わらず『兵士』四駒だ。どうやら武術や魔法を少々覚えた程度では変わらないようだな。

 まぁ、こいつが早めに眷属入りしてくれて助かった。主に生徒会の仕事で。

 生徒会は完全にシトリー眷属だけで構成されているのだが、女性陣が関わりたくないと言う問題があるのだ。

 原作主人公である兵藤一誠たち、通称「変態三人組」である。

 こいつらは性欲を隠そうともせず、学校で堂々とエロゲーやAVを貸し借りし、覗きなどの問題行為を繰り返し、かつ反省も全く見えないという救いのない変態だ。認識疎外結界が存在する駒王学園じゃなかったら捕まっている。退学にならないのは結界の副作用の可能性もあるからだ。女性陣が説教をしてもいやらしい目をして「ご褒美ですッ!」と言いたげな表情をしているらしいから当然俺と匙に仕事が回ってくる。

 正直に言って、俺たちでもこいつらの相手は疲れる。原作での不屈の精神を全力で間違った方向につぎ込んでくるから始末に負えないのだ。

 女性陣だけなら反省文の枚数を増やすだけで放置になっていただろうが、仕事を引き受ける俺らがいるので変態行為を止めるように催促がくるからそうもいかない。俺一人でこいつらの相手は不可能だっただろう。本当に匙がいてくれて良かった。

 

「……あれ、なんだこいつ」

 

 そんなことを考えながら新入生の名簿を見ていると、見逃すことのできない名前が目に入った。

 ずいぶん俺は驚いていたのだろう。不思議がった匙が名簿を覗きこんできた。

 

「何が書いてたんだ? ……うわ、兵藤の弟かよ。こいつも変態じゃないだろうな?」

 

 兵藤(ひょうどう)誠二(せいじ)。原作ではいなかったはずの兵藤家の次男だ。

 

 

 

 

 

 

 

「そんなわけで呼び出したんだ。お前、転生者であってるよな?」

 

 放課後に学校の屋上に呼び出した。こいつは戸惑っていたが、有名な問題児である兄のことで話があると言えば逆らえないしな。

 

「いや、あってるけどさぁ……。単刀直入すぎるだろ。外れてたらどうするつもりだったんだよ」

 

「そんときは魔力使って忘れさせるさ。そのあと別件で裏に関わることになって思い出しても、前世の記憶があるか確認した程度の事を気にするような奴、悪魔にはそういないからばらされても問題ないし」

 

「え? マジで?」

 

「マジで」

 

 この世界では魂の存在がしっかりと確認されている。人間が死んだあとの魂の扱いはその土地を管理する神や契約した悪魔などによって変わるが、たまにどこにも行かずに生まれなおす奴がいるらしいのだ。それがこの世界での普通の転生者。人外種が死ぬと魂まで消滅するのが普通なのでこれは人間だけに起こる現象である。対象は人間だけなので精神年齢でも200程度が限界であり、一万年生きる悪魔からすれば誤差の範囲内だ。だから誰も気にかけない。

 ついでに言うと、何故か転生者は例外なく魔法力が豊富。魔法使いの家系では転生者が生まれるのは良いことで、うちの母さんも俺が転生者と知った時に「もっと早いうちに知りたかったーッ!!」って叫んでた。知ってた場合はすぐに裏について教え、魔法の英才教育を施していたらしい。俺としても魔法の行使や研究は楽しかったのでもっと早く伝えておけば良かったと後悔したものだ。

 

「そうなのかー。……で、お前はなんで接触してきたんだ?」

 

「いや、お前の行動方針聞いておきたくてな。俺tueeeeがやりたいだけなら別にいいんだけどさ、原作主義者で俺消しに来られたりとか、かませ系転生者的な思考でハーレム作るのの邪魔だって殺しに来られたら怖いじゃねぇか」

 

「兵藤一誠に()がいる時点で原作とは変わってくるだろ……。いや、まぁ、特にやりたいことがあるわけじゃないんだよ。でもこの世界、物騒だろ? 俺にも神器があったし、後ろ盾が欲しかったんだ。グレモリー家とシトリー家なら原作知識で良心的なとこだってわかってるからちょうどいいと思ってさ」

 

「あー、わかるぞ、それ。俺もそんな感じでソーナ姉さんの眷属になったからな」

 

 下手なやつに後ろ盾になってもらうと、そいつが最大の脅威になるからな。原作でライザーがリアスさんの眷属を勝手に皆殺しにしようとしていたように、元々悪魔じゃない眷属の命ってすごく軽いから簡単に『処分』されかねないし。

 かといって後ろ盾がないと上の方針もよく知らない下っ端の堕天使に狩られて神器抜かれるとか『禍の団』の使い捨ての兵隊にされるとかよりやばい状況になりかねないからな。目先の安全を確保したければ、たとえ大事件に巻き込まれるとしても原作知識で安全と分かっている上級悪魔のところに行くのがベストだろう。

 

「まぁ、そういうことならどうにかなると思うぞ。眷属になれなくても管理下におくって名目で庇護下においてくれるから。俺の方からリアスさんに「別件で接触してみたら神器持ちだった」って伝えておいてやるよ。つーわけで、神器見せろ」

 

「別にいいけど……いきなりなんだよ?」

 

「バカめ。どんな神器を持ってるかもわからないやつを大貴族の姫さまにいきなり会わせるわけないだろ。最悪俺が処分されるわ。結界張ってやるから早くしろ」

 

「わかったよ。ちょっと離れててくれ」

 

 反応からして攻撃系っぽいのでどのくらいの威力なのかくらってみたかったが、一先ず我慢して距離を取る。

 誠二の手から炎の弾丸が放たれた。炎の弾丸は空中を飛び交い、お互いにぶつかって爆発して消えた。

 次に出てきたのは雷の弾丸。誠二の周囲でしばらく静止した後、さっきと同じように飛び交い、今度は雷撃をばらまいて消えた。

 その後も風、水、砂などの属性を持つ魔弾が放たれた。悪魔にとって毒である光や、光を喰らう闇の弾丸も放てていたな。

 

「とまぁ、こんな感じで誘導操作性のある魔弾が撃てるんだよ。他にも収束させて威力を上げたり、拳に乗せて殴ったりできる。ネギまの基本攻撃魔法みたいにな」

 

「俺も図鑑でそれ見たときに思ったぞ。直接見るのは初めてだけどな。ちなみに名前は『魔法の射手(サギタ・マギカ)』であってるぞ」

 

「そのまんまなのかよ? ひょっとして浮かんでこなかったんじゃなくて、これが本当の名前だって思えてなかっただけなのか?」

 

「そうかもしれないな。ま、呼び名はどうでもいいんだよ。これならグレモリー眷属入りは確実じゃねぇか? 結構強力な神器だしさ」

 

 出てくる弾数は本人の魔力、魔法力の量によるとはいえ、全属性の弾丸を即座に、高い誘導操作性を付加したうえで撃ちだせる神器だ。この世界はパワーインフレが進んでるから千本単位で撃ちだせる人も歴史上にはそこそこいたし、譲渡の魔法を使って集団で万本単位で撃ったりもできて、今も欲しがってる魔法使いは結構多いんだぜ?

 

「うわぁ……もっと弱いので庇護下に入るだけの方がよかったかも」

 

「もう諦めて力つけていった方が気が楽だぞ? 引っこ抜くわけにもいかないんだからさ」

 

「わかったよ。……ところであんたの神器ってどんなのだ?」

 

「おいおい、そういうのはレーティングゲームで敵対したときに備えて必要もないのに見せたりしないものなんだぞ、普通は。俺は隠す意味ないから見せるけどさ」

 

 神器の使用を意識すると、一頭の白馬が現れた。聖なるオーラを纏っているため悪魔からすれば悪寒がして仕方がない馬だが、所有者である俺には何ともない。

 

「かの聖ゲオルギウスも所持していたって言う、騎乗した者を無敵にする独立具現型神器『聖馬の寵(セイント・ホース・プロテクション)』だ。ま、無敵って言っても鎧みたいに強固な障壁張ってくれるから普通の人間レベルでは無敵なだけなんだけどな。それでも障壁は上級悪魔でも破るのは難しいし、俺もこいつの聖なるオーラを使えるようになるから対悪魔戦では十分に強力だ。あと、こいつの名前はベイだ。ゲオルギウスのベイヤードからとってみた」

 

 さらに所有者は騎乗してなくてもある程度強力な障壁に守られ続けるんだが、これは別に言わなくていいだろう。近い将来、グレモリー家対シトリー家でレーティングゲームする時に罠として使えるかもしえないしな。

 神器の見せ合いも終わったので、この後は少々雑談して解散になった。原作の事件への介入についても聞かれたが、序盤以外の原作の事件は一悪魔がどうこうできるような規模じゃなかったと思うから、特に何もしてないと言うしかなかったしな。事件を起こしているのが他勢力だったから上に説明しても無駄だったろうしさ。

 さて、やることもできたしさっさと行動するか。赤龍帝が悪魔の味方になるように、アーシア用の『僧侶』が空いてるようにしないとな。まぁ誠二を眷属にしようと思ったら変異した『戦車』か『兵士』八駒くらいじゃないときついだろうし、どっちか空いてれば兵頭兄も眷属になれるだろうからそう心配しないで大丈夫だとは思うけど。




 
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