転生して会長の甥っ子   作:ぬがー

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第56話

 交渉を終え、ソーナ姉さんたちが準備しておいてくれた魔法陣へ人間界から転移する。

 魔法陣は魔王レヴィアタンが所有している―――ことになってるだけでシトリー家に放置されていた。陸の魔獣王ベヒーモスを眷属にしているセラフォルーさまには何の役にも立たないモノだからだ―――戦場用車両内にある一室に設置されていた。セラフォルーさまがシスコン全開でソーナ姉さんに使わせた物なのだろう。かなりの機動力と防御力を誇っていて、俺が本気で殴っても何発かもつ一級品だったはずだ。。

 作戦の詳細は聞いていなかったが、これで距離を取りつつ休憩をはさみ、全力での砲撃を繰り返していたのだろう。おそらくこの車両の外には同じ任務についている連中が使っている装甲車が走っているはずだ。

 

「ジョージ。もう話がついたのですか?」

 

 ちょうど休憩しているところだったソーナ姉さんと匙が転移の反応を感知してやってきた。

 

「ええ、天龍が近くで見つかったって時点で近いうちに何か起きるって保証されたようなものですからね。あらかじめこう言った場合の行動について契約は結んでましたから。細部の調整と値段交渉だけで済みました」

 

「てことはこいつが援軍か。納得の魔法力の量だな。マジで譲治クラスじゃねえか?」

 

 魔法力の感知が得意な匙は、魔法力を抑え込んだ状態だって言うのにある程度見抜いて見せた。こいつはそれに驚きつつも得意げに返す。

 

「相性のいい敵になら譲治以上に戦えるぜ。今回の敵はそこそこの相性みたいだけど」

 

「それはいいですね。ではこちらに。リアスもアザゼル総督も別室でいますから自己紹介と打ち合わせと行いましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「次期姫島朱雀候補の一人、姫島朱羽(しゅう)です。得意技は錫杖に霊力―――悪魔風にいうと魔法力を込めての殴り合い、もしくは砲撃です。苦手なのは細かい術ですね。それでも結界で足場を作って空中戦くらいならできます。

 あと実家はある事件のせいで堕天使絶対殺すマンの集まりになってますので、一部の人は姫島家の縄張りで遭遇したら死を覚悟してください。以上です」

 

 シュウの軽く行った自己紹介で場の空気が凍る。

 服装は魔術的な強化が施されてこそいるものの完全に普段着。おまけに武器の錫杖も亜空間にしまっているために手ぶら。誰も素性に気付いていなかったのだろう。誠二を除く全員が驚愕しているが、特に姫島さんとアザゼル総督の反応が顕著だ。

 

「ほ、本当に姫島の者なんですか……?」

 

「あそこ、俺ら堕天使と和解したからって悪魔とも距離取ってなかったか? よく交渉できたなおい」

 

「堕天使が嫌いなだけで悪魔が嫌いなわけじゃないですから、個人的な知り合いが相手なら交渉くらいはします。とはいえ今回は以前結んだ契約で交渉しないって選択肢はなかったんですけどね」

 

 姫島さんとアザゼル総督の言葉にもきちんと返事をするシュウ。それにさらに困惑していく二人。うん、予想通りの反応だ。

 なにせシュウは俺と同じ原作知識持ちの転生者なうえ、前世の記憶が戻ったときには姫島朱璃はすでに家から離れた後だったので恨みもない。せいぜい堕天使を見つけたら殺しに行かなくいけなくなって面倒、くらいのものだろう。無駄に戦意を向けたりするようなことはない。

 

「ジョージ、姫島の者との個人的なコネなどいつ作ったんですか? 貴女の交友関係は西洋系の魔法使いばかりだったと思うのですが」

 

「向こうから接触してきたんですよ。あいつも転生者なんで、知り合いの占術使いに同類を探すよう頼んでたらしく、シトリー家での教育が終わってすぐに知り合いました」

 

 これは嘘ではない。本当に向こうから接触してきたのだ。シュウ曰く「原作の事件を悪い方へ歪められたら姫島家にも被害が出る。原作組の足を引っ張らず、原作を壊しすぎないように行動できる奴を配置しておきたい。が、姫島家の事もあるし自分が行くわけにはいかない」とのことで、原作組の情報を得るための窓口として同類の転生者を探していたんだそうだ。ある程度成長してから教えられた俺と、生まれてすぐに教育を受け始めたシュウの差だな。

 それ以来俺はこいつの事を主にも話さないまま情報を流す代わりに、こいつは交渉を拒否しないし適正な額を出せば依頼を断らないと言う契約を結び、友人関係を続けている。

 

「とりあえず家系の事とかは一旦置いておこう。あのデカブツ相手にどれくらい足止めできる?」

 

「小細工する知性はなさそうですし、封印術使えば半日は止められます。でも倒しちゃダメなのんすか? 俺の術がどこまで通じるか試してみたくて来たって言うのが本音なんですが」

 

「……できるんならそっちの方が良いが、八坂姫―――京都の妖怪の頭でも足止めが精いっぱいなんだが。死んでもこっちは責任はとれんぞ」

 

「勿論ヤバくなったら逃げます。撤退の自由はあるが死んだら自己責任、って言うのも来る前の契約で了承済みです。賭ける価値くらいはあると思うので、譲治と兵藤誠二、赤龍帝に『黒邪の龍王(プリズン・ドラゴン)』、この四人を貸してくれませんか? 撤退する時は俺が殿を務めますので」

 

「んー、どうするお前ら?」

 

 困惑をいったん棚に上げ交渉していたアザゼル総督がこっちに確認をとった。つまり俺たちが了承すればこの作戦は認められるのだろう。躊躇う必要はないな。

 

「俺は大丈夫です。頑丈ででかい体で押しつぶして進むだけ、なんていう魔法具の試し打ちに最適な相手がいるんですから。ちょっとくらいはしゃぎたいです」

 

「俺も問題なしです! 精霊魔法がメインなんで対悪魔のアンチモンスターとか普通の魔獣と大差ないですし、やられっぱなしでストレス溜まってましたから!!」

 

「俺もやれます! 攻撃には全部魔力が乗っちゃうんでオフェンスは無理だろうけど、サポート役でなら役立つはずです!」

 

「俺もいけます! ある程度弱らせれば喰って始末できます!」

 

 俺含め四人ともが即答する。というか三人の食いつき方が凄い。小型のアンチモンスターに対処し、進行を遅れさせるだけで土地をめちゃくちゃにされるのを止められなかったのが我慢ならなかったんだろう。途中で逃げ遅れた民とかもいただろうし、味方の死には慣れてなかったから相当こたえたんだろうな。戦力が揃った今、許可が出れば即座に飛び出しそうだ。

 

「わかった、わかったから落ち着け。じゃあまず姫島のが仕掛けて、単独で無理なら誠二が参戦。イッセーとジョージはフォローに回れ。匙は止めの為に待機だ」

 

「「「「はい」」」」

 

 揃って返事をし、出撃の準備を始める。といっても俺は魔法具は常に亜空間にしまっているので鎧を着こむだけ、匙と兵藤は体一つ。手間がかかるのは連れてきている精霊たちを戦闘形態に変えないといけない誠二だけだがな。

 だがその前に、グレモリー眷属から異議が上がった。

 

「ちょっと待ってほしい。ここにルフェイからもらった『支配の聖剣(エクスカリバー・ルーラー)』がある。これでエクスカリバーが七本すべてそろった。これをデュランダルと交換してもらえば私も露払い程度だが貢献できると思う。見ているだけというのは少々辛い」

 

 発言したのはゼノヴィアだ。今まで声をかけてこなかったから原作とは変わっているかと思ったが、もらってたのか。

 たしかに武器の力で戦うゼノヴィアなら、魔力で戦うリアスさんや姫島さん、創造系神器ゆえに武器に魔力が込められてしまう木場とは違ってアンチモンスターともまともに戦えるだろう。彼女の言うとおり露払いくらいは努められるはずだ。

 

「……姫島の。お前の意見は?」

 

「すみませんがなしで。人間界じゃ壊しちゃいけないモノが多すぎるから、全力戦闘って実は初なんです。なので今言った四人は『戦力になるメンバー』じゃなく『攻撃に巻き込んでも死にそうにないメンバー』を選んだんです。彼女じゃ耐久力が低すぎます。人間のままなら来てもらったんですけどね」

 

「じゃあなしだな。でも交換はやっといたほうがいいかもな。今回ジョージはサポート役だし」

 

「…………わかりました。ほらジョージ、交換条件は満たしたぞ。戦うのは我慢するから、せめてデュランダルは返してくれ」

 

「戦う直前に武器交換とか剣士に言ったらぶっ飛ばされるぞ。俺は敵に合わせて武器を変えるタイプだから問題ないけどさ」

 

 デュランダルを手渡し、『支配の聖剣』と六本統合エクスカリバーを受け取る。戦い始めて「やっぱり使えませんでした」ってなると不味いので実験が必要だ。

 というわけで『支配の聖剣』で『擬態の聖剣』を支配し、変形能力を両方に発動してみた。結果、二本とも液状化し、一本の剣に統合させられた。

 うん、発動自体は問題なく出来そうだ。どこまでできるかは実戦で試すのが一番だな。

 

「準備は出来たみたいだな。じゃ、いくとしますか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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