転生して会長の甥っ子   作:ぬがー

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変異乱発のデイウォーカー
第66話


「ではこれよりシトリー眷属、支取眷属の合同会議を始めます」

 

 天使が駒王学園の生徒を拉致、殺害し、街でも騒動を起こした事件の翌日、駒王学園の生徒会室に全員集まって会議を開いていた。

 未だ事件の後始末や警備体制の変更などは終わっていないが、学園で経営のやり方を学んでいるだけのシトリー眷属には発言権はないことになってるし、身内の問題を早めに解決しておきたかったのでこちらを優先させてもらった。

 

「議題は今回の反省と今後の動きについて。まずは反省からですが、これについては俺から意見があるので最初に言っていいですか?」

 

 ソーナ姉さんに確認をとり、承諾が得られたのでのルガール以外のシトリー眷属を見ながら話し始める。

 

「今回の事件において、発生を防げなかったのは仕方ありません。天使が裏切れるとか予想できるわけないし、予知しても他の人は信用してくれませんから。上が今回の情報を有効活用できると信じましょう。

 で俺らの反省点ですが「自衛手段のないやつらに、守れもしないのに人質としての価値を持たせた」こと。これが最も反省すべき点だと思います」

 

 シトリー眷属一同の表情が固まる。例外はルガールだ。人狼と魔法使いの混血で生まれたときから異形の業界で生きてきたこいつだけは支取眷属同様に平然としている。

 

「自衛手段のあるやつと交友関係を結ぶのはいい。ピンチになっても助けに行ける相手と親しくなるのもありです。だけど助けにも行けない多数の無力な相手と仲良くなるのは駄目でしょう。狙ってくださいって言ってるようなものですし」

 

 今までそう言うところから攻めてくる敵がいなかったのに加えて、周囲にいる実力者も人質作戦などより直接殴り込みに行くような奴ばかりだから意識していなかったんだろう。何度か俺が事務的に接して親しくならないようにした方が良いって助言しても、聞く奴一人もいなかったからな。

 その点うちの眷属には問題はない。

 華宮と氷羽子は元々こっちの業界関係者だし、織莉子は狙われる危険を考えて親類とすら縁を切った。摩理は駒王学園とは別の学校に親友と共に通っているが、必要となった場合は親友以外の学友は切り捨てる覚悟が出来ているし、通っているのは金持ちの子供ばかりの学校なので金銭を対価に『契約』をすることで助けるための大義名分も獲得できる。元は俺のペットだったタマは言うまでもない。

 シトリー眷属にも多少でいいからこういう対処をしておいてほしかった。まぁこれからはやってくれるだろうし、そのための準備は今回の事件でできた。

 

「だがまだ挽回は出来ます。今回の事件で生徒を見捨てるっていう選択をとりうると外部に示せたし、舐めた真似すればとんでもないことになるってアピールできましたから。はぐれ魔法使いどもの動きも大分抑えられるはずだし、今後も今まで通り生徒と接していれば「始めから生徒は研究試料としか見てなかった」って思わせられるから被害も出なくなるでしょう」

 

 まぁ完全に今まで通りはきついだろうが、表面上は今まで通りにしてもらうしかない。今まで忠告を無視してたツケだと思って我慢してもらおう。

 

「あの、ちょっといいですか?」

 

「どうした仁村?」

 

「いえ、少し気になったんですけど、はぐれ魔法使いの動きを抑えられるって本当ですか? あの人たち、自分以外の人が酷い目に遭った程度で自重するようには見えなかったんですが」

 

「まぁ殺されるくらいなら自重なんかしなかっただろうが、悪魔の戦利品にしたからな。迂闊なことはしないだろう」

 

「ですから、戦利品にされた程度で止まるんでしょうか?」

 

「いや、さすがに止まるだろ?」

 

「なんでですか?」

 

 予想外の方から質問が出てきたな。だがそういえば俺は魔法使いたちの死生観について説明してなかったわ。もしかして他の奴らも「誰かがやってる」って思ってたのか? なら言っといた方が良いな。

 

「はぐれ魔法使いどもがアホなことする理由として「どうせ次がある」って言うのがあるんだ。これはわかってるな?」

 

「え、でも死んだらお終いじゃ……?」

 

 うん、やっぱりこれを教えられていなかったようだ。なら戸惑うわな。

 

「悪魔は肉体が死ねば魂も滅んでお終いだけど、魔法使い……というか人間は死んで終わりじゃないんだよ。その土地の神話勢力のところに行って浄化され、次の体に生まれ変わる。人間に伝わる伝説では輪廻転生が否定されてる宗教もあるが、処理の仕方に差はあるが基本的にどの神話勢力でも魂の扱いは同じだ。稀に俺みたいに記憶を保持したままの転生者になるやつも出てくるんだが、はぐれ魔法使いどもは自分が転生者になれるよう術をかけてから仕掛けて来るんだよ。だから次があると考える。

 だが悪魔の戦利品になってしまえばそれで終わりだ。その後どうなるかは運次第だが、少なくともほとんどの奴に次なんて来ない。来るとすれば英雄派だったゲオルクレベルの奴らにだけだ。腕試しで死ぬ覚悟は出来ても、魂まで滅ぶ覚悟はできないだろうな」

 

 まぁ自分をゲオルクとかと同等だと思ってるやつは来るが、そういうのはガチの実力者かただのアホの二択になるからな。実力者の方はどんなリスクがあっても変わらず仕掛けてくるだろうし、アホの対処は容易い。この辺は例外と考えていいだろう。

 なお悪魔に魂をとられたり、天界で幸せしか感じられない状態で信仰心を採取され続けたり、解脱したりと魂が輪廻に帰らないことも結構あるが、その分各神話勢力で増産もされているので総数は少しずつ増えているらしい。

 

「話を戻します。今回の反省点は守れもしない無力な一般人と親しくなり過ぎたこと。だから今後は内実はどうあれ傍目には一般生徒や民間人には人質としての価値がないように見える行動を取るべきだと思います。他に意見がある者は?」

 

 他のメンバーに確認をとるが、誰からも意見は上がらない。

 まぁ今回の事件は「天使が堕天しないまま裏切ることはできない」っていう前提が崩れたのが発生を防げなかった一番の原因とされているからな。こんなの誰にも予想できないし、誰かに伝えても信じてもらえなかっただろう。「事件を起こさせてしまったのも仕方がない」みたいな空気だし、それ以外の最大の問題点は俺が言ったからこの反応は予想できた。

 

「では次に今後の話です。予知だと吸血鬼の国で事件が起こり、巻き込まれたリアスさんを助け『禍の団』の行動を邪魔するためにシトリー眷属、支取眷属、グレモリー眷属からも人員を出すことになります。吸血鬼の誰かが細工でもしたのか、人数制限は無しで。

 ただし送り込み過ぎると再度駒王学園で事件を起こされるし、少ないと全滅します。なんで全滅したかは、弱いやつから狙われるせいで途中で織莉子が死んで最後まで予知できてないから不明ですが」

 

 予知の中での俺は織莉子を守っていたみたいだが、手が足りず織莉子が殺されてしまったり、俺自身の防御が薄くなって先に殺され無防備になったりするせいで織莉子が吸血鬼の国に行って生き延びれる可能性はほぼないみたいだった。そのせいで敵の持ち札については完全には把握できていない。

 まぁ他の個人戦闘能力が低い連中も織莉子同様優先して狙われるようであり、吸血鬼の国には精鋭が行く必要があるってことはわかったがな。

 

「そこで俺からの提案ですが「織莉子が吸血鬼の国に行かなかった」未来の予知で、最も人員の生還率が高かった編成で行くのが最善だと思います。最高の結果を得られる編成ではないかもしれませんが、今後の事を考えれば安全な策で行くべきでしょうから。当然駒王学園で事件は起こされますが、一クラス分くらいの生徒が家族ごとやられるだけですし。人質無視して下手人殺せばこっちは被害ゼロで解決できる事件ですし、この事件を起こさせないくらい戦力を残すと生徒たちの人質としての価値はあると思われかねないですから」

 

 なんでか俺の死亡率高かったからな。でも俺が行かないと全滅確定だったから行かないと言う選択肢はないし、できるだけ対策はとっておきたい。ソーナ姉さんが俺の提案を蹴っても了承を得られるまで粘るつもりだ。

 幸い多少の異議は出たが、生徒を守ろうとすることによってかえって危険にしてしまう、ということをソーナ姉さんは理解していたためにこの提案は受け入れられた。

 

「では編成については俺の案で仮定し、グレモリー眷属との会議で決定し次第通達していくことになります。他に意見はありますか? ……無いようなのでソーナ姉さん、号令をお願いします」

 

「これで合同会議を終わります。皆さん、準備を怠らないようお願いします」

 

 

 

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