「ちょっと……目立ち過ぎか?」
並みの人間であれば五分とその姿で歩み続けられよう筈もない漆黒肉厚の
しかもどうしたことか、後ろの二人はそれぞれ両肩に、やはり並みの人間であれば僅かに床から浮かせることも叶わないであろう
計四つ。空箱であろうか。否、歩む都度微かに聴こえる金貨の擦れ合う音からすれば、その中身が稠密であることに疑う余地はない。なれば、それは如何ほどの重さであろうか。そして、胸板厚い執事はともかく……いや、それはそれで異常ではあるのだが……同じくこれを軽々と運ぶ細身の美女は何者か!
常識的に考えれば、いくら治安のよい帝都とは言え推定五千枚には達するであろう金貨を収めた箱を、白昼堂々無防備に両肩に晒して運ぶなどあり得ない話ではある。
が、たかだか金貨五千枚
いったいそれらはどのようにして振るうものか。
否、そもそも甲冑にあれらを背負ってなお、歩み軽やかとは何事か!
注目を浴びつつも自然と行く先の人が分かれて道が生まれる一行は、
ちなみにこれらの金貨は、アインズが不良貴族共を屠る都度接収し、いつか穏当に人間たちから何か調達する場合に備えて蓄えていたものになる。<
とまれ、現下話し言葉が通じぬことはわかっているので、帝国風の書体で、
<ぴかるよーひし、ごせんでうってちょ。>
と書かれた小さな紙片まで用意されている。
ニグレドによる探査を経て、動線も綿密に計算済みだ。
三人組が古物商に入って三分後に一行は到着する予定になっている。連中と入れ違いに店に入り、すかさず買い押さえる寸法だ。ナザリック史上最大の作戦、と銘打ったわりにはせせこましい展開になっている点は否めないが、現地交金貨五千枚程度の
一行は、古物商が面する長い直線状の裏路地に入り、人通りがめっきり減る。
「モモン様。」
背後からセバスの声がかかり、振り返らぬままにモモンが応じる。
「どうした?」
「僅かでは御座いますが……竜の気配がいたします。」
その言葉が終るか終わらないかのところで、如何なる素材で織られたものか、不気味に黒光りする
「
モモンの
同時にモモンは胸騒ぎと既視感を覚えている。今も一行を支援監視しているニグレドは、道服の人物について警告を発しなかった。つまり、道服はどうやってかその目を
そして、モモン……アインズはその人物に殺意も親近感も、そのいずれも覚えない。
結論に至ったのと
「服……だけ?」
紳士靴のつま先に貫かれた道服はバラバラに
そして
(想定していた中でも最悪の
刹那!
俄に<
「<
……
次の瞬間、裏路地の空間が歪むや狭しと並んだ建物が左右方向へ波にでも呑まれたかのように弾け飛び、アインズたちの正面には光沢
竜王はアインズたちを一瞥はしたものの強い関心を持ってはいないようで、さきほど自身の傀儡、黒い道服が行動の自由を奪った三人組の体をまさぐり、器用にその爪先で革鞄を掬い取る。間髪入れず巨大な翼を開いて
対するアインズの頭脳は瞬時に、あらゆる不測の事態に備えて組み上げていた戦術
<始原の魔法>で<
おそらくは
であれば……
よもやないとは思っていたが、
「両名とも心赴くままの遊撃を許可する。可能な限り市民たちを巻き添えから守ってやれ!
<
シャルティア、今すぐオレの横に
執事と女中が担いでいた収納箱を中空に打ち捨てて思い思いの方向へ散ったのと、漆黒の甲冑が輝きとともに光の粒となって吹き飛びアインズが真の姿を現したのと、シャルティアが<
グゥォォォーン!
「シャルティア・ブラッドフォールン、
舞い散る瓦礫を背景に、場違いに嫋やかな
それに応えてやる
「<
天に向かって両の骨の手の平を開いてかざしたアインズは、矢継ぎ早に
これは時間との勝負だ!
「<
敢えて竜王から見えるように<
それを確認するや、アインズはシャルティアに早口に命じる。
「迷わず今すぐ、オレをあの竜の背目掛けて投げつけろ!」
「仰せのままに!」
シャルティアは応えるが早いか、本当にまったく迷わず……ここまで迷わないところを思えば、本当はコイツはオレのことが嫌いなんじゃねーか?……至高の主たるアインズを、
自分で考えておいて何だが、よもやコレをシャルティアに投げ飛ばされつつ使う羽目になろうとはな。
「<
飛び去らんとする竜王目掛け、砲弾の如く飛翔するアインズの後背に機械仕掛けの時計が出現する。
到達時間は丁度いい頃合いだ!
「<
シャルティアの馬鹿力によって得られた初期速度は加速しつつある竜王の推力を大きく上回っており、満願成就への
アインズは、両手両足で
そして!
「名も聞かず仕舞いだが、お別れだ!」
カチリ。
時針が
「ふふふ……」
思わず笑いが漏れる。
眼下では、遅延発火した<浮遊大機雷>が打ち上げ花火のように華開いた。
「わはははははっ!」
笑いは哄笑に転じた。
だって笑わずにいられるか?
この速度、<
「我ながら<モモンガ
ま、
帝都の空を、神々しい緑色の光を放ちつつ笑う骸骨が天高く昇ってゆく。
*
帝都は開闢以来の大事件に未曽有の大騒ぎだ。
下町の一角が突如爆発飛散したかと思いきや、空から金貨が雨の如く降り注いだのであるから。
事態に気づいた帝国騎士団がたちまちに動員され、生存者の捜索救護が開始されたが、爆心地にいたと思われぺしゃんこになった三人の遺体の他に死者はなく、大量の瓦礫がまき散らされたわりには大怪我を負ったものも報告されなかった。
どう考えても巻き添えになって死んでいておかしくない場所で蹲っていた生存者たちは口々に「
ブツは、自ら投げ飛ばした至高の主の行方を呆然と見つめていたシャルティアにより補足され、無事回収された。
アインズは、というと、成層圏近くまで達し霜塗れになった頃
ひょっとして第一宇宙速度に達していたら、オレはこの世界初の人工衛星になっていたのだろうか、とブループラネットの知識から借りた妄想を弄ぶも、司書長ティトゥスの言葉を信じれば「この世界では物理法則によってかくあるのではなく、かくあるべくしてそうある」らしいから、そういうことは起こらないのかも知れない。この世界に愛想が尽きたら、シャルティアに「ありったけの力で真上へ投げろ」と命じてみようか。宇宙の果てまで行けるかも知れん。
などと阿呆なことを考えているのは、偏に「穏便に回収する」と大見得切って出かけておいて、やったことが帝都大爆破と竜王瞬殺とはいくらなんでもあんまりで、愛するアルベドに合わせる顔がない今の気分を誤魔化すためだ。
「ま、いっか。
今に始まった話でもなし。」
帰投してみれば、思った通り顔は笑っているが目だけが笑っていないアルベドに出迎えられた。
怖ぇーよ!
「十四個目の
今宵は出血大
あーやめてー!
わかっているから、オレの勝手が過ぎたから!
「まー、何だ!
竜王の介入は、ツアーでない、という点だけは想定外ではあったが、万全に備えていたからこそ
あ、目が笑った!
「では……出血大奉仕していただける、ということで手を打ちましょう。」
うふ、ばっち
その後、改めて鹵獲品の精密鑑定がおこなわれ、想定通り世界級アイテム<
並行してデミウルゴスは、件の三人組が当泊していた宿を特定し遺留品の調査を進めていた。部屋に遺されていた予備の衣服に付着した植物の種から、彼らは帝国の更に北東、ナザリックからすると未踏の領域となるカルサナス都市国家連合方面からやって来た可能性が高い、とのこと。
そんなことまでわかるのかよ?
何者なんだ、おまえは!
更には、彼らの装備品が基本的には帝国の
彼らは帝国を発してカルサナス都市国家連合領域で
その報告を聞くやアインズは即座に恐怖公へ<伝言>を発し、バハルス帝国北東以遠に眷属の八割を差し向ける旨を指示した。これで
続いて、名も聞かぬまま殲滅してしまった竜王が現れたのは偶然か、必然か、が話題になる。
ナザリックの面々は少なからず手持ちの世界級アイテムをナザリック外に持ち出しているが、そこにこの
一時居候を決め込んでいたツアーが、ナザリックにあっては生を養うのに必要な
その傀儡をセバスの鉄拳一撃で破壊されたにも関わらず、目当てのお宝に未練があって後先考えずに自ら<転移>で飛び込んできたところはツアーなどと比べれば浅はか、としか評しようもないが、いくら強大な力を振るう竜王と言えども
つまるところ、これは出来過ぎた偶然だ、と結論された。
<巫女の布告>を最優先標的としていたオレたちが、あの時点で竜王による持ち去りを阻む術は
一方で、
「ムカついたから
というか、そもそも、こういうことを考えさせられているのが不愉快だ!
だが……この一件を幕引くに当たっては、少なくとも一度はアイツ、
初めて出会ったときに発せられたあの言葉。
「キミは世界を
記憶を保持し続けることが出来ないアインズではあったが、その言葉は思いの外、彼の存在の
*
<話し言葉を教えて頂きたく
自ら日課とした市街見廻りを終えたキーノは、普段はエ・レエブルの商工会議所として使われている建物を訪れている。そこで日常執り行われるところの、
誰が言い出したものか、ギンのように出自社会階層を跨いで何とか会話が成立する人々は
用意しておいた
察したキーノが当たり障りのない挨拶を口にすると、たちまちに男は難渋な表情を浮かべたが、やおら筆談用の黒板を取り出し、
<貴女を
と書き示した。キーノは頷いて是と応えた。
男に導かれて未だ行き方が決していない難民たちが逗留している区画へ案内される。
その奥に、所在なさげにぼんやりしている女が居た。歳の頃は三十前後か。栗色の
男がやはり手振りで女の注意を惹くと、こちらを一瞥した女は、意外なことにかろうじてキーノにも聞き取れる言葉を発した。
「おんやー。
殺したくなるような可愛いお嬢ちゃんだねー、どちたのかなぁー?」
言葉の意味はわかる!
わかるが言っている意味がわからない。
いささか困惑しつつもキーノは言葉を返す。
「おまえは私の言葉がわかるのか?」
「耳障りな建前
アンタ、法国の神官長か何かぁ?」
この間、男は持ち歩いていた黒板に何やら書き続けていた。キーノの肩を叩いて示されたところを読めば、この女は難民に紛れてやって来たものの何処から来たかは露知れず、誰にも意味がわからない古臭い言葉で話すが辛うじて旧王国の
うんうん、とキーノが頷いて見せると男は背を向けて、あとは仲良くどうぞ、とばかりに
キーノには知る由もないことになるが、スレイン法国は大陸西部にあって六大神の時代からの文化風習を最も保守的に堅守してきた国であり、その言語も、三百余年前に
女は言葉が通じると見て警戒心を解いたのか、へらへらと締まらない微笑みを浮かべながらキーノに歩み寄って来たが、あと数歩というところになって急に表情を真顔にして立ち止まった。
「っつーか、アンタ……
あ、わかるんだ。
「まぁ……大声で誇るようなことではないが。
有り体に言えばそうだ。」
慣れ親しんだエ・レエブルの町衆であればいざ知らず、そりゃ余所から来た奴なら引くよな、とキーノは苦笑する。辛うじて言葉が通じるのは有難いが、この女から言葉を習うのは無理だろうか?
対する栗色髪の女はしばし緊張の表情のまま何か考えていたようだが、ややあって再び締まらない笑みを浮かべた。
キーノは内心、
「んで、吸血鬼さんが私に何の用かなー?
ひょっとして私、血、吸われちゃぅー?
きゃー、
……何なんだ、こいつは?
とまれ、吸血鬼である私を恐れて相手にしてもらえない、ということはなさそうだ。
「キーノ……キーノ・インベルンだ。
エ・レエブルで冒険者をやっている。おまえに
「はぁ?」
再び女は真顔に戻る。
随分と
「んなもん
今度は
「第一、アンタご立派に喋れてんじゃん?」
「……この辺りの連中とはすっかり言葉が通じなくなってしまった。
それを何とかしたくてな。」
「馬鹿だねぇー!」
突如女は哄笑に転じ、口を三日月型に吊り上げてキーノを罵った。
キーノからすれば、地力の差があり過ぎて足元から蟻ん子に罵倒されているようなものだから立腹も何もあったものではないが、自分に何が欠けていてこの頭のおかしな女にここまで小馬鹿にされたものかについては興味が湧く。
「……そうだな、確かに私は随分と長く旅してきたわりには馬鹿だ。
だからこそ、この辺りの言葉にも通じるというおまえに、言葉を学びたいと思っている。」
猫の目のようにころころと変じる女の表情は、今度は呆気に取られたものになった。
だが、何を思ってか再び締まらない笑みを浮かべ、
「そんなことよりさぁー」
とキーノに擦り寄って来た。ホント、頭大丈夫なのか、コイツ?
「血を吸ってよん!」
「……はぁ?」
「アンタの眷属にしてくれって言ってんの、うふ!
ずっと一人で孤独だったんでしょぉ?
お望みのままにアンタの犬にでも猫にでもなってあげるからさぁ。
あ……わ・た・し。どっちもイケるくちなのよぉん!」
私の犬?
私の猫?
そういう気配は感じないが、隠しているだけで半獣半人の物の怪の類なのだろうか?
「私の孤独を気遣ってくれるのは有難いが、おまえは勘違いをしている。
吸血鬼は死なないんじゃない。
これは呪いだ。
その呪いに、おまえを巻き込むことは出来ない。」
このキーノの返しに女はさきほど同様、否、その数倍は呆気に取られたようで、しばしポカンと丸く口を開けたまま立ち尽くしていたが、やがてへにゃへにゃとその場に座りこんだ。慌ててキーノもしゃがみ込んで声をかける。
「大丈夫か、おまえ?」
聞こえているのかいないのか、女はしばらく床に視線を落としたままでいたが、キーノが心配そうに覗き込んだままでいると、目は伏せたまま問わず語りに喋り始めた。
「相手へのお任せ具合。」
「……は?」
「法国では、相手に伝わるか伝わらないかは話者の責任。王国ではお作法に則っているかどうかだけが評価され、帝国では理解できるかどうかは相手にお任せ。」
「……何言ってるんだ、おまえ?」
「漆黒聖典で言われてた、各国人に成り済ますときの秘訣だよん。」
「……?」
「元は同じ言葉なんだからさぁ。さっき言った秘訣を頭に叩き込んで、自分は生まれたときからそう考えてたんだ、ってな気分で喋ってりゃ、自然に喋れるようになって相手の言うこともそのうち難なくわかるようになるさね。」
「そういうものなのか……って、おまえ、漆黒聖典だったのか!」
キーノは突如俎上に登った、既に解散させられたと聞く旧スレイン法国特殊部隊の名に驚いてみせる。が、問われた女の方には何の感慨もないようで、
「大声で誇るようなこっちゃないけど、有り体に言えばそう。」
と、吸血鬼か、と問われたキーノが返した言葉をそのまま粗雑にして返した。
この、吸血鬼か、に、誇るようなことでない、漆黒聖典か、に、有り体に言えばそう、の掛け合いがキーノには存外可笑しくて変なツボが突かれてしまい、空気的には笑うような場面でないことはわかっていたつもりだったが、
「ふふ……ふふふ!」
と思わず笑いを漏らしてしまった。
すると、女が栗色の髪を振り乱しながら顔を振り上げてキーノを見た。目が合った瞬間その目が血走っていたので、キーノはさきほどの
「ぷっ……あははははっ!」
と吹き出してしまった。
女はしばらく鬼の目でそんなキーノを睨み続けていたが、キーノのあまりに屈託のない笑いにほだされたのか、自らも、
「く……くくく……あははははっ!」
と笑い始め、遂にはお互いに肩をバンバンと叩いて、周囲にまばらにいた難民たちの冷たい視線を無視したまま笑いあった。
ひとしきり笑い合った後、キーノは右手を女に差し伸べて、
「おまえ、妙な奴だけど面白いな。
秘訣、ありがとう。努力してみるよ!」
と握手を求めた。女は少し躊躇したようだがやがてその手を取り、
「アンタも、変な吸血鬼だけど面白いね。
しばらくはここに居るから、また訪ねて来てよ。
出来れば今度は何か美味しいものでもご馳走してくれると嬉しいかなぁー!」
とすっかり元の調子を取り戻した。
「こう見えて
キーノはない胸を張ってそう応じ、勇気を出してここに来てみてよかった、と深く深く思ったのであった。
女の名前を訊き損ねたのに気づいたのは定宿に戻ってからのことだ。
キーノもクレマンティーヌも、呪われているわりにはまことに愉快な感性の持ち主である。
*
「これからどうなるんだろうねぇ。」
女は傍らに腰かけている男に水筒を手渡しながら問うた。
二人は決して深くはないが落ちればただでは済まない谷に面した
「どう……って何が?」
水筒を受け取った男はたちまちには女の意を解さぬ様子。
「何言ってんのさ。突然亜人の都市と言葉が通じなくなって、連合崩壊か、って話じゃないか!」
彼らの所属するカルサナス都市国家連合は、過分に異なる来歴を有する十二の都市国家がゆるやかな連合を組んで成立している。互いに利害が相反することも多く、さらには生活様式から倫理観までかなり異なる亜人国家も加わってさえいるが、連合形成の契機となった過去の大戦争への反省から、
が。
二ヶ月ほど前に始まった<バベルの災厄>以来、日に日に緊張感が高まっていることは、都市間を行き来して生計を立てている誰しもがひしひしと感じている。もどかしいことには、生活が都市内で完結している同胞にはこの緊張感がなかなか伝わらない。彼女は言葉が通じなくなった他都市よりも、むしろ言葉が通じるのに危機感が共有できなくなった同胞に恐れを
「……そんなこと言ったって、おいら達に出来ることなんかないだろうよ。」
あぁ、共に都市間を渡る
「そんなことないわよ。何か出来ることがあるはずだわ!」
と女は声を
彼女の腰かけた切り株の根元から、彼女を不思議そうに見上げる一匹のゴキブリが居たのだ!
「そうか、当たりを引いたか!」
エントマを介して恐怖公から
アインズが恐怖公の眷属に命じたのは、実に単純な数任せの力技だ。
十メートル間隔の隊列を
<
おおよそ有限の時間を生きる者には思いつかぬ戦術であるが、ここにいくら時間を要しようとも屁とも思わぬナザリック地下大墳墓とアインズにとっては、これこそが最適解であった。
恐怖公の眷属が意味のわかる現地人の言葉を聴いた地点は、予想通りカルサナス都市国家連合と現地人が呼ぶ領域に当たり、その北端、二つの人間種の都市国家を結ぶ辺鄙な街道に沿って流れる河川の崖の下に、エドモン・ウェルズのものと思われるギルド拠点遺構が埋没していた。
外形的な予備調査で判明したのは、そう遠くない過去に起こった鉄砲水で崖が崩れ、決して目立つものではないが拠点内の回廊が露出したものらしい。自然災害
YLGR誌はエドモンがユグドラシルにおいて何者であったか……鈴木悟が
この辺り、現実において自身が何者であるかを親しくない他プレイヤーに知られることを
とまれ、意味するところはエドモン……これもユグドラシル内のアバターの名前ではなく、プレイヤーの本名なのであろう……が寿命のある種族であったのか、アインズのように寿命がない存在であるのかは判然とせず、このギルド拠点に何者かが潜んでいるのかについて決定的な情報はなかった。
もちろん、人間の盗掘者
腰を据えて取り掛かる必要があるな。
そこで最初にアインズがおこなったのは近接する街道の封鎖になる。
周辺調査でわかったのは、この街道は歴史的なもので
アインズはマーレに命じ、自然の崩落に見える箇所を選んで街道の東西入口をそれぞれ通行不能にした。どれだけ土木に巧みな連中であろうと、再び通行可能にするには半年は要する破壊で、予備の街道の復旧に強いてそこまでの労力を割く者はいないだろう。
加えて、それぞれの崩落個所を越えて調査に立ち入った者をたちまちに屠る
さらに、ニグレドがナザリックに
と、鉄壁の防諜体制を敷いた上で、調査隊はアインズ自ら指揮することになった。
エリュシオンとは異なり、招かれざるギルド拠点を探訪するのは転移後初めてのこととなり、
同行者は、迷宮探索に秀でる者としてアウラ、マーレの
果たしてそこに待ち受けるものは何であろうか?
重厚に過ぎる陣容に漂う空振り感を
<次話予告>
「こ……これは?」
エドモン・ウェルズのギルド遺構が示す驚愕の事実。
一方、幸の薄さで友情を育みつつ在る
「ど……ど……髑髏様だぁ?」
憶持のオーバーロード第9話『暴かれる
だいたいアインズが悪い!
とツアーは責任を転嫁する。