憶持のオーバーロード   作:wash I/O

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第8話 炸裂!モモンガ(キャノン)

「ちょっと……目立ち過ぎか?」

 

 並みの人間であれば五分とその姿で歩み続けられよう筈もない漆黒肉厚の溝付全身甲冑(フリューテッドアーマー)を纏ったモモン(アインズ)と、二歩下がって付き従う、鉄筋でも背筋に仕込まれたかのような姿勢の執事服姿の老人(セバス)、夜会巻きの青白く透き通った肌の美しい女中(ユリ)

 

 しかもどうしたことか、後ろの二人はそれぞれ両肩に、やはり並みの人間であれば僅かに床から浮かせることも叶わないであろう重厚(じゅうこう)収納箱(チェスト)を担いでいる。

 計四つ。空箱であろうか。否、歩む都度微かに聴こえる金貨の擦れ合う音からすれば、その中身が稠密であることに疑う余地はない。なれば、それは如何ほどの重さであろうか。そして、胸板厚い執事はともかく……いや、それはそれで異常ではあるのだが……同じくこれを軽々と運ぶ細身の美女は何者か!

 

 常識的に考えれば、いくら治安のよい帝都とは言え推定五千枚には達するであろう金貨を収めた箱を、白昼堂々無防備に両肩に晒して運ぶなどあり得ない話ではある。

 が、たかだか金貨五千枚(ごと)きのために、一命を賭してこの一団に挑む者がいようとも思えない。漆黒の甲冑に至っては、身の丈ほどもあろう長身の両手剣(グレートソード)を、あろうことか二本も交差させて背負っているではないか。

 

 いったいそれらはどのようにして振るうものか。

 否、そもそも甲冑にあれらを背負ってなお、歩み軽やかとは何事か!

 

 注目を浴びつつも自然と行く先の人が分かれて道が生まれる一行は、(くだん)のいかがわしい古物商目指して歩みを進めている。ブツが売却されるや否や、即座に即金五千枚強で買い取ることが目的だ。

 ちなみにこれらの金貨は、アインズが不良貴族共を屠る都度接収し、いつか穏当に人間たちから何か調達する場合に備えて蓄えていたものになる。<換金箱(エクスチェンジボックス)>に放り込んでも純度が低いためか値付けが悪いのでこうなったものだが、終ぞ使う機会がなかった。

 

 とまれ、現下話し言葉が通じぬことはわかっているので、帝国風の書体で、

 

<ぴかるよーひし、ごせんでうってちょ。>

 

と書かれた小さな紙片まで用意されている。

 

 ニグレドによる探査を経て、動線も綿密に計算済みだ。

 

 三人組が古物商に入って三分後に一行は到着する予定になっている。連中と入れ違いに店に入り、すかさず買い押さえる寸法だ。ナザリック史上最大の作戦、と銘打ったわりにはせせこましい展開になっている点は否めないが、現地交金貨五千枚程度の端金(はしたがね)世界級(ワールド)アイテムが贖えるのだから、名前倒れでは決してないだろう。

 

 一行は、古物商が面する長い直線状の裏路地に入り、人通りがめっきり減る。余人(よじん)にはこの距離では見えはすまいが、三人には自分たちと逆方向から歩み来る三人組が既に視認されている。うち一人が肩から革鞄を掛け大事そうに抱えているのが見えるが、おそらくはあの中に問題のブツが収まっているのだろう。

 

「モモン様。」

 

 背後からセバスの声がかかり、振り返らぬままにモモンが応じる。

 

「どうした?」

 

「僅かでは御座いますが……竜の気配がいたします。」

 

 その言葉が終るか終わらないかのところで、如何なる素材で織られたものか、不気味に黒光りする道服(ローブ)を頭からすっぽりと(かぶ)った人物が不意に脇道から現れ、ブツを運んで来た三人組と交錯したかと思いきや、三人がぱたぱたと力なく倒れたではないか!

 

()け!」

 

 モモンの(めい)が発せられるよりも前にその突撃は開始されていた。

 同時にモモンは胸騒ぎと既視感を覚えている。今も一行を支援監視しているニグレドは、道服の人物について警告を発しなかった。つまり、道服はどうやってかその目を()(くぐ)ったのだ。

 

 そして、モモン……アインズはその人物に殺意も親近感も、そのいずれも覚えない。

 

 傀儡(くぐつ)

 

 結論に至ったのと収納箱(チェスト)を担いだまま駆け寄ったセバスの蹴りが道服を捉えたのもまたほぼ同時だ。血飛沫が飛び散るかと思われた必至の一撃にもそのようなことは起こらず、当のセバスは手応え……足応え?の無さに当惑する。

 

「服……だけ?」

 

 紳士靴のつま先に貫かれた道服はバラバラに千切(ちぎ)()んで四散する。

 そして漆黒の甲冑(モモン)の中でアインズは苦笑いを浮かべた。

 

(想定していた中でも最悪の事態(ケース)……の類似といったところか。)

 

 刹那!

 

 俄に<転移門(ゲート)>に似た禍々しい気配が生じるが、アインズはそれが位階魔法ではないことに気づいている。

 

「<原初の魔法(ワイルドマジック)>?

 ……竜王(ドラゴンロード)御出座(おでま)しか!」

 

 次の瞬間、裏路地の空間が歪むや狭しと並んだ建物が左右方向へ波にでも呑まれたかのように弾け飛び、アインズたちの正面には光沢黒鉄(くろがね)の鱗に身を包んだ竜王の姿があった。

 

 竜王はアインズたちを一瞥はしたものの強い関心を持ってはいないようで、さきほど自身の傀儡、黒い道服が行動の自由を奪った三人組の体をまさぐり、器用にその爪先で革鞄を掬い取る。間髪入れず巨大な翼を開いて(ひと)羽ばたき、巨体がふわりと宙に浮き上がった。

 対するアインズの頭脳は瞬時に、あらゆる不測の事態に備えて組み上げていた戦術選択肢(オプション)から最適解を割り出しつつある。

 

 <始原の魔法>で<転移(テレポーテーション)>してきたコイツは、翼を開いて飛翔しようとしている。

 おそらくは再充填時間(リキャストタイム)の都合で連続<転移>が出来ないのだろう。

 

 であれば……

 

 よもやないとは思っていたが、()()()が介入してきて、かつ、屠らざるを得なくなる場合に備えて考案した戦術が使える!

 

「両名とも心赴くままの遊撃を許可する。可能な限り市民たちを巻き添えから守ってやれ!

 

 <伝言(メッセージ)>!

 シャルティア、今すぐオレの横に()い!」

 

 執事と女中が担いでいた収納箱を中空に打ち捨てて思い思いの方向へ散ったのと、漆黒の甲冑が輝きとともに光の粒となって吹き飛びアインズが真の姿を現したのと、シャルティアが<転移門(ゲート)>からその愛らしい顔を覗かせたのと、黒鉄(くろがね)の竜王が咆哮を上げて飛翔開始したのは、これまたすべてほぼ同時の出来事。

 

 グゥォォォーン!

 

「シャルティア・ブラッドフォールン、御身(おんみ)の前に。」

 

 舞い散る瓦礫を背景に、場違いに嫋やかな膝折礼(カーテシー)を執るシャルティア。

 それに応えてやる(いとま)もない。

 

「<魔法可視化(ビジブルマジック)>、<魔法標的複数化(マスターゲティングマジック)>!」

 

 天に向かって両の骨の手の平を開いてかざしたアインズは、矢継ぎ早に魔法強化(エンハンス)詠唱(キャスト)した。

 

 これは時間との勝負だ!

 

「<浮遊大機雷(ドリフティング・マスターマイン)>!」

 

 敢えて竜王から見えるように<可視化(ビジブル)>した罠を、竜王の想定飛行経路に沿って螺旋状に展開する。これでしばらく奴は、<浮遊大機雷>が形作った仰角六十度の直線状の空中回廊に沿ってしか飛べない。目論見通り、竜王はそのほぼ中央を加速しながら昇っていく。

 

 それを確認するや、アインズはシャルティアに早口に命じる。

 

「迷わず今すぐ、オレをあの竜の背目掛けて投げつけろ!」

 

「仰せのままに!」

 

 シャルティアは応えるが早いか、本当にまったく迷わず……ここまで迷わないところを思えば、本当はコイツはオレのことが嫌いなんじゃねーか?……至高の主たるアインズを、(ボール)投げ槍(ピルム)であるかの如く竜王に向かって力任せに投げつけた。

 

 自分で考えておいて何だが、よもやコレをシャルティアに投げ飛ばされつつ使う羽目になろうとはな。

 

「<あらゆる生ある者の目指すところは死である(The goal of all life is death)>!」

 

 飛び去らんとする竜王目掛け、砲弾の如く飛翔するアインズの後背に機械仕掛けの時計が出現する。

 

 到達時間は丁度いい頃合いだ!

 

「<魔法効果範囲拡大化(ワイデンマジック)>、<嘆きの妖精の絶叫(クライ・オブ・ザ・バンシー)>!」

 

 シャルティアの馬鹿力によって得られた初期速度は加速しつつある竜王の推力を大きく上回っており、満願成就への秒読み(カウントダウン)を進める都度その背がみるみる近づいて来る。既に高度は余裕で二百メートルを越えた。計算通り、市街に被害が出ることもあるまい。

 アインズは、両手両足で装束(ローブ)をぴんと翼のように張り、自身の軌道に微修正を加える。ミリタリーマニアだったギルメン、ガーネットの誘導砲弾に関する知識を借りて思いついた戦術だが、その姿はまるで飛栗鼠(モモンガ)だ。あれ?ユグドラシル時代もコレをやるからモモンガって名乗ったんだっけか?んなわけないよな。

 

 そして!

 

「名も聞かず仕舞いだが、お別れだ!」

 

 カチリ。

 

 時針が満願(ゼロ)に達したのと、竜王の尾にアインズの手が微かに届いたのもこれまたほぼ同時。次の瞬間には眩い閃光が走り、見事、黒鉄(くろがね)の竜王の巨躯は抗う術もなく塵となって消し飛んだのである!

 

「ふふふ……」

 

 思わず笑いが漏れる。

 眼下では、遅延発火した<浮遊大機雷>が打ち上げ花火のように華開いた。

 

「わはははははっ!」

 

 笑いは哄笑に転じた。

 

 だって笑わずにいられるか?

 この速度、<飛行(フライ)>くらいじゃ止まらんぞ!

 

「我ながら<モモンガ(キャノン)>は良案(グッドアイデア)だと思ったんだが……詰めが甘かったか。

 

 ま、()()()に使う羽目にならなかっただけマシか。」

 

 帝都の空を、神々しい緑色の光を放ちつつ笑う骸骨が天高く昇ってゆく。

 

 

                    *

 

 

 帝都は開闢以来の大事件に未曽有の大騒ぎだ。

 

 下町の一角が突如爆発飛散したかと思いきや、空から金貨が雨の如く降り注いだのであるから。

 

 事態に気づいた帝国騎士団がたちまちに動員され、生存者の捜索救護が開始されたが、爆心地にいたと思われぺしゃんこになった三人の遺体の他に死者はなく、大量の瓦礫がまき散らされたわりには大怪我を負ったものも報告されなかった。

 どう考えても巻き添えになって死んでいておかしくない場所で蹲っていた生存者たちは口々に「筋肉(マッチョ)執事が破片から守ってくれた!」「いや夜会巻きの美女だ!」「真っ黒な(ドラゴン)が飛び去ったのを見た!」「いや飛んでいたのは中華服(チャイナドレス)の女の子だ!」と不規則発言(たわごと)を発して帝国騎士を混乱させた。

 

 ブツは、自ら投げ飛ばした至高の主の行方を呆然と見つめていたシャルティアにより補足され、無事回収された。

 

 アインズは、というと、成層圏近くまで達し霜塗れになった頃(ようや)く落下に転じ、以降は<飛行(フライ)>でゆるゆる戻って来た。

 ひょっとして第一宇宙速度に達していたら、オレはこの世界初の人工衛星になっていたのだろうか、とブループラネットの知識から借りた妄想を弄ぶも、司書長ティトゥスの言葉を信じれば「この世界では物理法則によってかくあるのではなく、かくあるべくしてそうある」らしいから、そういうことは起こらないのかも知れない。この世界に愛想が尽きたら、シャルティアに「ありったけの力で真上へ投げろ」と命じてみようか。宇宙の果てまで行けるかも知れん。

 などと阿呆なことを考えているのは、偏に「穏便に回収する」と大見得切って出かけておいて、やったことが帝都大爆破と竜王瞬殺とはいくらなんでもあんまりで、愛するアルベドに合わせる顔がない今の気分を誤魔化すためだ。

 

「ま、いっか。

 今に始まった話でもなし。」

 

 帰投してみれば、思った通り顔は笑っているが目だけが笑っていないアルベドに出迎えられた。

 怖ぇーよ!

 

「十四個目の世界級(ワールド)アイテム鹵獲をお寿(ことほ)ぎ申し上げます。

 今宵は出血大奉仕(サービス)にてお祝いいたしましょう。」

 

 あーやめてー!

 わかっているから、オレの勝手が過ぎたから!

 

「まー、何だ!

 竜王の介入は、ツアーでない、という点だけは想定外ではあったが、万全に備えていたからこそ最優先標的(プライマリターゲット)()(さら)われずに済んだわけだし、自分で言うのもなんだが、アレが出来たのはオレだけだろうから……結果十分(オーライ)、ということにしておいて……くれないか?」

 

 あ、目が笑った!

 

「では……出血大奉仕していただける、ということで手を打ちましょう。」

 

 うふ、ばっち()ーい!

 

 その後、改めて鹵獲品の精密鑑定がおこなわれ、想定通り世界級アイテム<巫女(ヴォルヴァ)の布告>であることが確認された。これは然るべきときまで宝物殿にて厳重に保管されることになる。

 

 並行してデミウルゴスは、件の三人組が当泊していた宿を特定し遺留品の調査を進めていた。部屋に遺されていた予備の衣服に付着した植物の種から、彼らは帝国の更に北東、ナザリックからすると未踏の領域となるカルサナス都市国家連合方面からやって来た可能性が高い、とのこと。

 

 そんなことまでわかるのかよ?

 何者なんだ、おまえは!

 

 更には、彼らの装備品が基本的には帝国の請負人(ワーカー)の間で普及しているもので占められていることから、その来歴もおおよそ見当がついた。

 彼らは帝国を発してカルサナス都市国家連合領域で宝探し(トレジャーハント)をおこなっていたものであり、何らかの幸運から<巫女の布告>の発見に至ったものの、同連合では言葉が通じないため売却をおこなうことが叶わず、帝都に引き返して来たものではないか、と。事態の発生、すなわち彼らによる何処からかの<巫女の布告>の持ち出しと本日までの時間差が、想定される移動経路の所要時間と整合することもこれを裏付けた。

 

 その報告を聞くやアインズは即座に恐怖公へ<伝言>を発し、バハルス帝国北東以遠に眷属の八割を差し向ける旨を指示した。これで()()()を引く確率はかなり向上したはずだ。

 

 続いて、名も聞かぬまま殲滅してしまった竜王が現れたのは偶然か、必然か、が話題になる。

 

 (みな)(みな)ではないらしいが、竜王の中に、自身用いたり喰らったりするわけでもないのに、金銀財宝に執着する(さが)のものがあることは、以前からツアーに聞いて知ってはいた。おそらくはその(たぐい)であろう、という点では(みな)の見解が一致している。そういうものがあるのか、については確かめる術がないが、竜王だけに覚知し得る世界級アイテム特有の匂い、のようなものがあるのかも知れない。

 ナザリックの面々は少なからず手持ちの世界級アイテムをナザリック外に持ち出しているが、そこにこの黒鉄(くろがね)の竜王が現れたことがないことを思えば、こいつはカルサナス都市国家連合の辺りを縄張りにしていたと考えるのが妥当だろう。

 一時居候を決め込んでいたツアーが、ナザリックにあっては生を養うのに必要な()を吸収できずに窒息しかけたことから察すれば、連中は密閉空間にある宝物の匂いを感じ取ることは出来まい。件の三人組が<巫女の布告>を地下に埋没したギルド拠点から持ち出し、換金可能な場所を求めてウロウロした上で帝国方面に転進したのだとすれば、それによって撒き散らされた匂いに気づいた竜王が自らの傀儡にこれを追わせた、というのは納得のいく説明になる。

 その傀儡をセバスの鉄拳一撃で破壊されたにも関わらず、目当てのお宝に未練があって後先考えずに自ら<転移>で飛び込んできたところはツアーなどと比べれば浅はか、としか評しようもないが、いくら強大な力を振るう竜王と言えども所詮(しょせん)は獣。その中にあって、ツアーが突き抜けて変わり種だ、と考えるべきなのだろう。

 

 つまるところ、これは出来過ぎた偶然だ、と結論された。

 

 (みな)はそれで納得したが、アインズ自身には引っかかっていることがなくもない。

 

 <巫女の布告>を最優先標的としていたオレたちが、あの時点で竜王による持ち去りを阻む術は()()しかなかった、のは確かだ。少なくともニグレドには竜王の傀儡が見えていなかったから、一旦離脱されれば再捕捉する手立てはなかっただろう。

 一方で、黒鉄(くろがね)の竜王が<巫女の布告>のみに関心を示し、基本的にはアインズたちを無視したのも事実だ。このオレを目前にしてその態度はどうなのよ、というのは一旦措いておいて、少なくとも竜王は自身の欲したものを本能の趣くまま持ち去ろうとしただけで、オレたちや結果的に被害を与えた帝国に敵意を抱いていたわけではなかろう。それをオレは問答無用に屠ってしまったわけで、これをアイツがどう思うか、はいささか気掛かりだ。

 「ムカついたから()ってやった」と嘯くべきか、はたまた、帝国の危機を救うべく……はあからさまに嘘臭いな。「あれ以外に手立てはなかったんだ」と言い訳じみた物言いをするのも(しょう)に合わないし、さりとて黙っておいて実は先に気づかれていたら、それはそれで気まずくなくもない。

 

 というか、そもそも、こういうことを考えさせられているのが不愉快だ!

 

 だが……この一件を幕引くに当たっては、少なくとも一度はアイツ、白金の竜王(プラチナムドラゴンロード)ツアーとの対峙は避けられない、とアインズは考えていた。

 

 初めて出会ったときに発せられたあの言葉。

 

「キミは世界を(けが)(もの)なのかい?」

 

 記憶を保持し続けることが出来ないアインズではあったが、その言葉は思いの外、彼の存在の奥深(おくふか)くに突き刺さったままでいる。

 

 

                    *

 

 

<話し言葉を教えて頂きたく御願(おんねが)(たてまつ)(そうろう)。>

 

 自ら日課とした市街見廻りを終えたキーノは、普段はエ・レエブルの商工会議所として使われている建物を訪れている。そこで日常執り行われるところの、何某(なにがし)を某日に幾許かの金員で買い求める権利の売買、などという込み入った話はキーノの理解の及ぶところではないが、只今は北辺からの難民受け入れに際し、言葉に困る人々を支援する拠点として使われている。

 誰が言い出したものか、ギンのように出自社会階層を跨いで何とか会話が成立する人々は架橋者(ブリッジャ)と呼ばれるようになっており、此処はその選抜と紹介をもその業務としていた。

 

 用意しておいた紙片(メモ)をキーノが差し出すと、受付の男……名前をしかと覚えていないが、確か(シルバー)級の冒険者で、商家の三男坊として生まれたが生来無頼の連中と折り合いが良く、(こう)じて盗賊(シーフ)の才を開花させて冒険者になった男だ……は、身振り手振りで「何か喋ってみて」と促す。

 察したキーノが当たり障りのない挨拶を口にすると、たちまちに男は難渋な表情を浮かべたが、やおら筆談用の黒板を取り出し、

 

<貴女を()()わせたき御仁(ごじん)御座候(ござそうろう)。>

 

と書き示した。キーノは頷いて是と応えた。

 

 男に導かれて未だ行き方が決していない難民たちが逗留している区画へ案内される。

 その奥に、所在なさげにぼんやりしている女が居た。歳の頃は三十前後か。栗色のおかっぱ(ボブヘア)で、つるぺたなキーノからすれば、豊満でこそないが引き締まった肉体美が羨ましくすら感じられる美しい女だ。一見さほどの強者とも見えないが、おそらくは大怪我を負うか何かして引退した元戦士ではないか、とキーノは当たりをつけた。

 男がやはり手振りで女の注意を惹くと、こちらを一瞥した女は、意外なことにかろうじてキーノにも聞き取れる言葉を発した。

 

「おんやー。

 殺したくなるような可愛いお嬢ちゃんだねー、どちたのかなぁー?」

 

 言葉の意味はわかる!

 わかるが言っている意味がわからない。

 

 いささか困惑しつつもキーノは言葉を返す。

 

「おまえは私の言葉がわかるのか?」

 

「耳障りな建前(くさ)い喋りに聞こえるけどねー。

 アンタ、法国の神官長か何かぁ?」

 

 この間、男は持ち歩いていた黒板に何やら書き続けていた。キーノの肩を叩いて示されたところを読めば、この女は難民に紛れてやって来たものの何処から来たかは露知れず、誰にも意味がわからない古臭い言葉で話すが辛うじて旧王国の卑語(スラング)は通じるので、キーノと会話が通じるのであれば求めるところに合致するのではないか、とのこと。

 うんうん、とキーノが頷いて見せると男は背を向けて、あとは仲良くどうぞ、とばかりに肩上(かたうえ)に持ち上げた手の平をひらひら振りながら元居た受付の方へと戻っていった。

 

 キーノには知る由もないことになるが、スレイン法国は大陸西部にあって六大神の時代からの文化風習を最も保守的に堅守してきた国であり、その言語も、三百余年前に源流(ルーツ)を有するキーノのそれと辛うじて通じるものだったのだ。

 

 女は言葉が通じると見て警戒心を解いたのか、へらへらと締まらない微笑みを浮かべながらキーノに歩み寄って来たが、あと数歩というところになって急に表情を真顔にして立ち止まった。

 

「っつーか、アンタ……吸血鬼(ヴァンパイア)ァ?」

 

 あ、わかるんだ。

 

「まぁ……大声で誇るようなことではないが。

 有り体に言えばそうだ。」

 

 慣れ親しんだエ・レエブルの町衆であればいざ知らず、そりゃ余所から来た奴なら引くよな、とキーノは苦笑する。辛うじて言葉が通じるのは有難いが、この女から言葉を習うのは無理だろうか?

 

 対する栗色髪の女はしばし緊張の表情のまま何か考えていたようだが、ややあって再び締まらない笑みを浮かべた。

 

 キーノは内心、怪態(けったい)な奴、と訝しく思う。

 

「んで、吸血鬼さんが私に何の用かなー?

 ひょっとして私、血、吸われちゃぅー?

 きゃー、変態(へんたーい)、エロ助平(すけべー)!」

 

 ……何なんだ、こいつは?

 とまれ、吸血鬼である私を恐れて相手にしてもらえない、ということはなさそうだ。

 

「キーノ……キーノ・インベルンだ。

 エ・レエブルで冒険者をやっている。おまえに()()を教えてもらえないか、と思ってここへやって来た。」

 

「はぁ?」

 

 再び女は真顔に戻る。

 随分と(せわ)しない奴だ。戦士稼業を引退した際の怪我で、頭でも強く打ったのだろうか?

 

「んなもん他人(ひと)に習うようなモンじゃねぇだろ?」

 

 今度は強面(こわもて)に転じた女がそう言うので、ますますキーノの中で「この(ひと)は可哀想な女だ」との思いが強くなる。

 

「第一、アンタご立派に喋れてんじゃん?」

 

「……この辺りの連中とはすっかり言葉が通じなくなってしまった。

 それを何とかしたくてな。」

 

「馬鹿だねぇー!」

 

 突如女は哄笑に転じ、口を三日月型に吊り上げてキーノを罵った。

 キーノからすれば、地力の差があり過ぎて足元から蟻ん子に罵倒されているようなものだから立腹も何もあったものではないが、自分に何が欠けていてこの頭のおかしな女にここまで小馬鹿にされたものかについては興味が湧く。

 

「……そうだな、確かに私は随分と長く旅してきたわりには馬鹿だ。

 だからこそ、この辺りの言葉にも通じるというおまえに、言葉を学びたいと思っている。」

 

 猫の目のようにころころと変じる女の表情は、今度は呆気に取られたものになった。

 だが、何を思ってか再び締まらない笑みを浮かべ、

 

「そんなことよりさぁー」

 

とキーノに擦り寄って来た。ホント、頭大丈夫なのか、コイツ?

 

「血を吸ってよん!」

 

「……はぁ?」

 

「アンタの眷属にしてくれって言ってんの、うふ!

 ずっと一人で孤独だったんでしょぉ?

 お望みのままにアンタの犬にでも猫にでもなってあげるからさぁ。

 あ……わ・た・し。どっちもイケるくちなのよぉん!」

 

 心的外傷(トラウマ)を刺激されて一瞬眩暈を覚えたキーノではあるが、続く言葉の意味不明さが巻き起こした脳内の混乱が辛うじて彼女に正気を保たせた。

 

 私の犬?

 私の猫?

 

 そういう気配は感じないが、隠しているだけで半獣半人の物の怪の類なのだろうか?

 

「私の孤独を気遣ってくれるのは有難いが、おまえは勘違いをしている。

 

 吸血鬼は死なないんじゃない。

 ()()()()んだ。

 

 これは呪いだ。

 その呪いに、おまえを巻き込むことは出来ない。」

 

 このキーノの返しに女はさきほど同様、否、その数倍は呆気に取られたようで、しばしポカンと丸く口を開けたまま立ち尽くしていたが、やがてへにゃへにゃとその場に座りこんだ。慌ててキーノもしゃがみ込んで声をかける。

 

「大丈夫か、おまえ?」

 

 聞こえているのかいないのか、女はしばらく床に視線を落としたままでいたが、キーノが心配そうに覗き込んだままでいると、目は伏せたまま問わず語りに喋り始めた。

 

「相手へのお任せ具合。」

 

「……は?」

 

「法国では、相手に伝わるか伝わらないかは話者の責任。王国ではお作法に則っているかどうかだけが評価され、帝国では理解できるかどうかは相手にお任せ。」

 

「……何言ってるんだ、おまえ?」

 

「漆黒聖典で言われてた、各国人に成り済ますときの秘訣だよん。」

 

「……?」

 

「元は同じ言葉なんだからさぁ。さっき言った秘訣を頭に叩き込んで、自分は生まれたときからそう考えてたんだ、ってな気分で喋ってりゃ、自然に喋れるようになって相手の言うこともそのうち難なくわかるようになるさね。」

 

「そういうものなのか……って、おまえ、漆黒聖典だったのか!」

 

 キーノは突如俎上に登った、既に解散させられたと聞く旧スレイン法国特殊部隊の名に驚いてみせる。が、問われた女の方には何の感慨もないようで、

 

「大声で誇るようなこっちゃないけど、有り体に言えばそう。」

 

と、吸血鬼か、と問われたキーノが返した言葉をそのまま粗雑にして返した。

 

 この、吸血鬼か、に、誇るようなことでない、漆黒聖典か、に、有り体に言えばそう、の掛け合いがキーノには存外可笑しくて変なツボが突かれてしまい、空気的には笑うような場面でないことはわかっていたつもりだったが、

 

「ふふ……ふふふ!」

 

と思わず笑いを漏らしてしまった。

 

 すると、女が栗色の髪を振り乱しながら顔を振り上げてキーノを見た。目が合った瞬間その目が血走っていたので、キーノはさきほどの諧謔(ユーモア)との乖離(ギャップ)がさらに可笑しくなってしまい、ついに我慢できなくなって、

 

「ぷっ……あははははっ!」

 

と吹き出してしまった。

 

 女はしばらく鬼の目でそんなキーノを睨み続けていたが、キーノのあまりに屈託のない笑いにほだされたのか、自らも、

 

「く……くくく……あははははっ!」

 

と笑い始め、遂にはお互いに肩をバンバンと叩いて、周囲にまばらにいた難民たちの冷たい視線を無視したまま笑いあった。

 

 ひとしきり笑い合った後、キーノは右手を女に差し伸べて、

 

「おまえ、妙な奴だけど面白いな。

 秘訣、ありがとう。努力してみるよ!」

 

と握手を求めた。女は少し躊躇したようだがやがてその手を取り、

 

「アンタも、変な吸血鬼だけど面白いね。

 しばらくはここに居るから、また訪ねて来てよ。

 

 出来れば今度は何か美味しいものでもご馳走してくれると嬉しいかなぁー!」

 

とすっかり元の調子を取り戻した。

 

「こう見えて(かね)には困っていないんだ、請け負おう!」

 

 キーノはない胸を張ってそう応じ、勇気を出してここに来てみてよかった、と深く深く思ったのであった。

 

 女の名前を訊き損ねたのに気づいたのは定宿に戻ってからのことだ。

 キーノもクレマンティーヌも、呪われているわりにはまことに愉快な感性の持ち主である。

 

 

                    *

 

 

「これからどうなるんだろうねぇ。」

 

 女は傍らに腰かけている男に水筒を手渡しながら問うた。

 

 二人は決して深くはないが落ちればただでは済まない谷に面した峠道(とうげみち)で、束の間の休憩を取っている。この辺りは年の始めに滅多にない鉄砲水を伴った水害があって、桟道が随分と流されてしまった。今も、すべてでこそないが道ならぬ道を進まざるを得ない場面が多々あって、予定していた行程は遅れ気味だ。

 

「どう……って何が?」

 

 水筒を受け取った男はたちまちには女の意を解さぬ様子。

 

「何言ってんのさ。突然亜人の都市と言葉が通じなくなって、連合崩壊か、って話じゃないか!」

 

 彼らの所属するカルサナス都市国家連合は、過分に異なる来歴を有する十二の都市国家がゆるやかな連合を組んで成立している。互いに利害が相反することも多く、さらには生活様式から倫理観までかなり異なる亜人国家も加わってさえいるが、連合形成の契機となった過去の大戦争への反省から、今日(こんにち)までなんとか平和裏(へいわり)に均衡を維持してきた。

 

 が。

 

 二ヶ月ほど前に始まった<バベルの災厄>以来、日に日に緊張感が高まっていることは、都市間を行き来して生計を立てている誰しもがひしひしと感じている。もどかしいことには、生活が都市内で完結している同胞にはこの緊張感がなかなか伝わらない。彼女は言葉が通じなくなった他都市よりも、むしろ言葉が通じるのに危機感が共有できなくなった同胞に恐れを(いだ)いていた。

 

「……そんなこと言ったって、おいら達に出来ることなんかないだろうよ。」

 

 あぁ、共に都市間を渡る通信使(メッセンジャー)を務めるこの男ですら、問題意識を共有できていないとは!

 

「そんなことないわよ。何か出来ることがあるはずだわ!」

 

と女は声を(あら)らげたが、まさにその通り。彼女はその名こそ遺しはしないし本人もそれを知ることすらないだろうが、歴史的な仕事をたった今成し遂げたのである。

 

 彼女の腰かけた切り株の根元から、彼女を不思議そうに見上げる一匹のゴキブリが居たのだ!

 

 

 

「そうか、当たりを引いたか!」

 

 エントマを介して恐怖公から()()発見の一報を受けたアインズは小躍りして喜んだ。決して勝率の高い賭けではない、とは思っていたが、他に効果的な方法も思い浮かばなかっただけに、課金ガチャでお目当てのレア品を引いたくらいの喜びはある。うーん、比較対象が貧しいなぁ。

 

 アインズが恐怖公の眷属に命じたのは、実に単純な数任せの力技だ。

 

 十メートル間隔の隊列を網目(メッシュ)状に組んで隈無く大地を巡り、意味のわかる言葉を聴いた者は速やかに報告せよ。

 

 <ロゼッタの石碑(ピエール・ド・ロゼッタ)>は、<巫女の布告>による範囲拡大こそ失ったものの、そもそもの半径二百メートルの効果範囲は失ってはいないはずだ。であれば、その近傍では相変わらず<翻訳>はおこなわれるだろう。それが収蔵されているであろうギルド拠点遺構が地下に埋もれているとしても、普通の人間の侵入を許したからにはナザリックほどの大深度に及んでいるはずもなく、であれば、十メートルほどの間隔の隊列を組んで聞き耳を立てつつ総当たりを敢行すれば、遅かれ早かれその位置を特定出来るはずだ。

 

 おおよそ有限の時間を生きる者には思いつかぬ戦術であるが、ここにいくら時間を要しようとも屁とも思わぬナザリック地下大墳墓とアインズにとっては、これこそが最適解であった。

 

 恐怖公の眷属が意味のわかる現地人の言葉を聴いた地点は、予想通りカルサナス都市国家連合と現地人が呼ぶ領域に当たり、その北端、二つの人間種の都市国家を結ぶ辺鄙な街道に沿って流れる河川の崖の下に、エドモン・ウェルズのものと思われるギルド拠点遺構が埋没していた。

 外形的な予備調査で判明したのは、そう遠くない過去に起こった鉄砲水で崖が崩れ、決して目立つものではないが拠点内の回廊が露出したものらしい。自然災害(ごと)きで露見するなどギルド拠点の隠蔽がなっていない、と言えばそれまでだが、少なくとも七百年は盗掘を免れていたようであるし、直近の鉄砲水が暴露の真因ではなく、長い時間の中で繰り返された浸食が遂に道を開いた可能性もある。

 

 YLGR誌はエドモンがユグドラシルにおいて何者であったか……鈴木悟が死の支配者(オーバーロード)モモンガである、といったように……について触れておらず、彼の現実(リアル)における職業に言及するとともに掲載されていた写真は人間エドモンのものであった。

 この辺り、現実において自身が何者であるかを親しくない他プレイヤーに知られることを禁忌(タブー)視する傾向の強かった多数派日本人プレイヤーと好対照を為していて、そのことにアインズは興味をそそられた。今振り返ってみて、アインズは何故自分たちがかくも現実(リアル)の自身について他者の目が届かぬよう細心の注意を払っていたものか、その動機が理解出来ない。

 

 とまれ、意味するところはエドモン……これもユグドラシル内のアバターの名前ではなく、プレイヤーの本名なのであろう……が寿命のある種族であったのか、アインズのように寿命がない存在であるのかは判然とせず、このギルド拠点に何者かが潜んでいるのかについて決定的な情報はなかった。

 もちろん、人間の盗掘者(ごと)きが立ち入った挙句、よりにもよって世界級アイテムを持ち出したのだから、鉄壁の防護がおこなわれている、というわけではないのはわかっている。が、だからといって曲がりなりにも詳細情報のまったくないギルド拠点に徒手空拳で踏み入るなどというのは、アインズにとっては慮外の行為だ。

 

 腰を据えて取り掛かる必要があるな。

 

 そこで最初にアインズがおこなったのは近接する街道の封鎖になる。

 周辺調査でわかったのは、この街道は歴史的なもので今日(こんにち)あまり頻繁に使われてはいないことだ。特定の二都市間を結ぶ機能しか有しておらず、しかも最短経路として隧道(トンネル)が随分と昔に開削されているようで、この街道は予備の経路、さらに、通行が厳密に管理される隧道を避けて人目につかぬよう行き交うための裏道であることがわかった。これも、当該ギルド拠点遺構が長く盗掘を免れた遠因になっているのだろう。

 アインズはマーレに命じ、自然の崩落に見える箇所を選んで街道の東西入口をそれぞれ通行不能にした。どれだけ土木に巧みな連中であろうと、再び通行可能にするには半年は要する破壊で、予備の街道の復旧に強いてそこまでの労力を割く者はいないだろう。

 加えて、それぞれの崩落個所を越えて調査に立ち入った者をたちまちに屠る不死者(アンデッド)を展開した。返って好奇心を煽っては意味がないので、死霊(レイス)を適量配置する。決して人間や亜人に駆逐が不可能な難度(レベル)怪物(モンスター)ではないが、この不死者は観察者からは自身と同じ種族として認知される、という特性を有するため、万が一侵入者を討ち漏らしても、生存者が人間であれば人間の姿を見ているのみ、となり、それは確実に生じるであろう他の犠牲者と見分けはつくまい。つまり、難路に挑んでの事故死として処理されることになるだろう。

 さらに、ニグレドがナザリックに(とど)まる限りその探査可能範囲外となることから、これを補うために集眼の屍(アイボール・コープス)がアインズの手によって多数召喚された。死霊の防衛線のさらに内側に展開され、その目を活かして防空監視も兼任する形になる。これらすべてを突破して遺構に無事(たっ)せられる者はまず居るまい。

 

 と、鉄壁の防諜体制を敷いた上で、調査隊はアインズ自ら指揮することになった。

 エリュシオンとは異なり、招かれざるギルド拠点を探訪するのは転移後初めてのこととなり、過敏(センシティブ)な判断が要されるからだが、さしものアルベド、デミウルゴスも、こうなることは既定路線と諦めていたようで異論はなかった。

 同行者は、迷宮探索に秀でる者としてアウラ、マーレの闇妖精双子(ダークエルフ・ツインズ)。アインズの近衛として近接戦最強の蟲王(ヴァーミンロード)コキュートス。如何なる状況にも対応し得る相談役として三賢者(トリニティ)が一人、二重の影(ドッペルゲンガー)パンドラズ・アクター。

 

 果たしてそこに待ち受けるものは何であろうか?

 重厚に過ぎる陣容に漂う空振り感を余所(よそ)に、一行は<転移門(ゲート)>を(くぐ)る!





<次話予告>

「こ……これは?」

 エドモン・ウェルズのギルド遺構が示す驚愕の事実。

 一方、幸の薄さで友情を育みつつ在る二人の女傑(キーノとクレマン)の間に緊張が走る。

「ど……ど……髑髏様だぁ?」


 憶持のオーバーロード第9話『暴かれる源流(ルーツ)


 だいたいアインズが悪い!
 とツアーは責任を転嫁する。
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