東方流生録   作:トロントロン

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今回は繋ぎの話ですので、短いですがご了承してチョーダイな?

ハジメ「もっと別の言い方があるんじゃないかな…?」


13話

「「オラと戦えだぁよ」」

 

 黄鬼と緑鬼がまるで双子のように声を揃えて喋る。

 色の違いさえなければ双子にしか見えない。あ、赤鬼も入れたら三つ子か。

 身長、喋り方、体内を巡っている妖力の流れ…どれをとっても同じだ。

 

 身体能力まで同じだったら、苦戦するかもな。

 普通に戦った場合は。

 

 さっきと同じ様に殺せば良いだけじゃないか。

 動きを封じて急所を一突きだ。余裕余裕。

 

「永琳さん、少し下がっていて。さっきと同じことをするから、近くにいたら危ないよ?」

 

 危ない、と言うのは彼女が人間だからだ。

 妖力はその名の通り妖怪の力。

 人間にとっては毒でしかないのである。

 

 俺がこのまま妖力を集めて触手を作った場合、高密度な妖気に当てられて永琳さんが体の器官に何かしらの悪影響が出るだろう。

 この世界に転生して数ヶ月しか経っていない俺だが、これくらいは知っている。

 実際の経験って大事だと思うんだ、俺。

 

 ちなみに俺は人間だが、妖気に侵されても平気だ。

 この世界に転生しての数ヶ月の間に色々あって、気の巡りが良くなったからな。気は生命力に直結する(俺の勘だが)だろうし、この程度の密度の妖力なら近くにあっても大丈夫なのだ。

 

「わかったわ」

 

 その場に溜まっても自分の身が危険なのはわかっていたのか、永琳さんは大人しく離れてくれた。

 まあ、せっかちな俺が既に触手を作り出していたので、恐くなって下がったのかもしれないが。

 

「よーし、覚悟は良いか?鬼共……え?」

 

 あれー?何か殺したはずの赤鬼が立っているー?

 何事もなかったかのように黄鬼と緑鬼の横に立っているぞ!?

 

 赤鬼の死体は…うん。まだあるな。

 よく見れば立っている赤鬼は俺が殺した赤鬼に比べて、『赤』の色が薄いではないか。

 

 …別人なのか?

 なら赤鬼モドキだな。

 

 

「オメェが何もしないのならぁ…」

「「「オラから行かせてもらうだぁよ!!!」」」

 

 

 しまった!考えている暇があるなら殺しとけば…!

 

 鬼共は焦る俺にあっという間に接近し、黄鬼が大きな棍棒をスイカでも割るかのように降り下ろしてくる。

 

 俺はそれを体を反らし、ギリギリで避ける。

 耳元でブォン!と大きな音が聞こえた。

 

「フゥゥゥンダァァァ!!!」

「クッソ、あっぶね!?」

 

 今度は赤鬼モドキが俺の頭の辺りを狙って、棍棒を横からスイングしてくる。

 あったまを下げればっ!ぶつかりまっせん!

 

 内心で懐かしい歌を思い出しつつ、思い出した歌の通りに頭を下げる…というかしゃがんで攻撃を避ける。

 

「隙あり、ダァァァヨォォォオオオオ!!!」

 

 そしてしゃがんだ俺を待ち受けていたのは、緑鬼の棍棒での突き!

 眼前に迫る木製の太い棍棒の迫力といったら!

 

 だが、その攻撃は俺には届くことはない。

 

「あが…ゴフッ…!」

 

「間一髪って所か。残念だったな!」

 

 血を吐き、崩れ落ちる緑色の巨体。

 その左胸には大きな空洞が空き、止めどなく血が溢れてくる。

 

 これも汚いので、赤鬼の時と同じように流血を止める。臭いし、汚れるし、俺の気分が盛り下がるからな。

 

 さて、緑鬼の左胸の穴だが、なぜ空いたのかと言うとだ。

 単純に後ろから触手で貫きました。

 

 鬼が俺に気を取られている間に、やつらの背後に移動させて、一思いにグチャッと殺ったわけだ。触手を操るために集中するのは大変だったけど、俺は頑張ったよ。うん。

 

 ハジメ君は頭が弱いけど、この程度の作戦なら練れる訳なんですよぉ、ドヤァ。

 

「何て無駄の多い作戦なのかしら…」

「えーいりーんさーん?聞こえてますよぉー!?」

 

 天才と一緒にするなこっちは凡人なんだぜこんちくせう。

 さっきまでドヤア、とか言っていた俺がバカみたいじゃないか!

 

 あ、俺はバカだったっけ。忘れてた。

 

 

「許さないだぁよ…!」

 

 黄鬼が棍棒を持っていない方の手で何かを断ち切るような動作をしている横で、赤鬼モドキが緑鬼を殺した俺に対する怒りを露にする。

 全身が既に赤いので、今以上に顔が怒りで赤くなることはなかったが、表情や雰囲気から相当怒りを抱いていることは確かだ。

 赤鬼モドキの全身からも、先程まで相手してきた下級妖怪など目にならない程の、妖力が漏れ出ている。

 凄まじい威圧感だ。おお怖い怖い。

 

 

「許さない、と言われても…元々俺ら人間を殺しに来たのはお前ら妖怪じゃないか。お前のその怒りは逆恨みってもんじゃないか?」

 

「妖怪と人間は元々互いに殺し合うものだぁよ。それにぃ、仲間が死んで怒りを抱くのはぁ…生き物として当然のことだぁよ!!」

 

「…ッ!?」

 

 赤鬼モドキが瓦礫を投げてきたので、しゃがんで避けた。

 瓦礫が頭上を通り抜けた際に生じた風圧が俺の体を襲い、如何に凄まじい力を籠めて投げたのかを理解させる。

 

 あんなのがただの人間に直撃したら、人間が木っ端微塵だぞ…!

 これが鬼…鬼の力強さ…!

 

「まだまだいくだぁよ!オオォォォォォ!!!」

 

 雄叫びと共に瓦礫を連投してくる。

 連続して投げているにも関わらず、一投一投に恐るべき力を籠めている。

 

「あぶねえって言ってるだろ!」

 

 俺は鬼を中心として、円を描くように走る。

 

 脳からの電流を止めたいのはやまやまだが、少しばかし集中しなくてはならず、その”少しばかし”がこの鬼の戦いには命取りなのだ。

 

 俺が殺した最初の赤鬼がまるで嘘のような強さだ。

 

「「オラたちもぉ手伝うダァァァ!!」」

 

 先程まで瓦礫を投げていたのは赤鬼モドキだけだったのが、今度は黄鬼と緑鬼も加わった。

 ……うん?緑鬼?

 

 何事もなかったかのように緑鬼がいる。

 赤鬼モドキと同じく色が薄くなっている。

 

「クッソ…どうなってるんだよ!のわっ!?あぶねっ!」

 

 三対二か。でも永淋さんの矢は鬼にはダメージが全然通らないようだし、この瓦礫の中を矢が鬼の元まで飛んでいくことは難しいだろう。

 実質、三対一である。

 

 時間がかかるが、もう一度触手を作るか。さっき作った触手は集中を切らしたせいで、また空気中に四散してしまったようだし。

 

「もう良いだぁよ。…能力を使ってぶち殺すだぁよ!」

「「んだぁな!!」」

 

 一旦瓦礫の嵐が止んだ。

 

 ここまで来て、やっと能力を使うっていうのか。

 今までナメられていたのか?癪にさわるな。

 

 だが、この状況は不味い。この様子だと相手三体全員が能力持ちということになる。

 もし三体が広範囲に及ぶ能力を持っていたとすれば、俺だけでなく永琳さん…最悪な可能性を言えば永賀さんやロケットまで被害を被るかもしれないのだ。

 

 それを食い止めるには"少しばかし"の集中ができる今を活用するしかない!

 

 俺は妖力の流れを一ヶ所に向けて作り出す。

 こちらの狙いは向こうにバレているだろうが、向こうが何かしらの手を打つ前に俺が鬼を全員殺せば良い。

 

 奴等が棍棒を持っていない方の腕を振り上げる動作が視界に入る。

 何をするつもりなのだろうか…いや、今は集中を切らすべきではない!

 

 時間がゆっくりに感じる。

 奴等が腕を振り上げきり、今度は降り下ろす動作に入ろうとしている。

 

 触手に十分な妖力が集まる。

 

 

「いっけぇ!!!」

 

 

 触手を獲物に向けて放つ。空気の流れを変えて、触手にかかる空気抵抗を最小限に抑えているので、永賀さんが射る矢の様に飛んでいく。

 

 俺の感じているゆっくりとした時間の中で、触手だけが異常に素早く動いているかのような錯覚に陥る。

 俺と鬼との距離は百メートルはありそうな距離だが、触手は1秒とかからずに鬼の元へたどり着き、標的の命を刈り取ろうとしている。

 

 鬼はまだ腕を降り下ろす動作に入ったばかりだ。

 やはり触手以外の全てが遅く見える。

 

 周囲がゆっくりとした動きをする中で、普段通りに触手が動き、黄鬼の左胸に穴を開ける。

 黄鬼の背中からゆっくりと吹き出る血飛沫と共に触手が出てきて、今度は赤鬼モドキの頭…脳に向かって飛んでいき、これも問題なく潰す。

 仕上げに緑鬼の頭も潰して終わりだ。

 

 …

 

 ……

 

 ………

 

 

 ブワァっと効果音が付きそうな感じで、触手が空気中に溶けると共に、ゆっくりとした感じが消えた。

 

 鬼達の巨体が血飛沫を上げて崩れ落ちる。

 ここで「アベシッ」とか言ったら、どこぞの世紀末っぽいのにな。

 

 

「ハジメ!今のは一体…?」

 

「何が?」

 

 周囲が安全になったからか、永琳さんが俺に近寄ってくる。

 

「何って…一瞬で鬼を倒したじゃない!?何をしたのよ…」

 

 俺には周囲がゆっくりと見えていたが、その周囲からすれば、一瞬の事だった、と。

 

「わからない。触手を使ったんだけど…周囲がゆっくりと見えてさ。空気抵抗がなくなるようにしたのが原因かな?」

 

 単純に触手の進行方向にある空気を流して退かしただけなのだが。

 

「無意識に時間の流れでも停めていたんじゃないの?」

 

「いや、それにしては消費された霊力が少ないし…」

 

 妖力を操るには妖力。それ以外は霊力で操っている。

 霊力はやや減っているものの、時間の流れを停めたと仮定するには減りが少ないのだ。

 逆に時間の流れを速めるのもまた同じことである。

 

「…そんなこと、今は良いわ。早く父上を助けに行きましょう」

 

「そだね。そうしよ」

 

 考えることは後でもできる。だが、永賀さんはまだ戦っているのだ。

 いくら永賀さんといえども、負傷した迎撃班人と戦うのは厳しいだろう。

 ましてや、相手は鬼だ。身体能力が鬼畜仕様の鬼なのだ。

 

 

 俺と永琳さんは永賀さんの元へ急いで向かった。

 

 

 …そしてそこで驚くべき光景を目にするのであった。

 

 

「おいおい…冗談だろう?これは…」

 

「父上!?ご無事ですか!?」

 

 

 俺達が目にしたものとは…




ハジメ「あ、そこで終わるんだ」

まあ、丁度キリも良いんで。
いやー、どんな光景が待っていたんだろうなー(棒)

ハジメ「いや、知っているのお前だけだから。俺は行き当たりバッタリで行動しているだけだから!」

全ては俺のみぞ知る、ってね。
次回もお楽しみに。
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