東方流生録   作:トロントロン

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や、お久しぶりです。テストや模試が重なっていたり、PS○2をやっていたりしたので執筆作業がなかなかできませんでした。

ハジメ「…ん?今なんか全く関係のない言葉が…?」


19話

 月夜見様との闘いで完全敗北した俺は、意識がハッキリしてから大荒れだった。

 

 

「ぬわぁぁぁぁ!!!チクショォォォオオオオ!!」

「ヒィッ!?落ち着いて!?落ち着いてください!?」

 

 

 始めは何故天井を見上げているのだろうかと、ボーッとした頭で考えていたが、その理由を思い出したために先程のように叫んでいたのだ。

 月夜見様が少し力を解放しただけで気絶させられたのだ。これが叫ばずにいられようか。

 

 叫んだことにより、看護役の兎の耳の少女…玉兎の子に随分と迷惑をかけてしまった。

 

 

 運ばれてきたご飯を食べていた時なんか、少女から見た俺はただの酔っぱらいにしか見えなかっただろう。

 

「美味しいぞぉぉぉおおお!!メシが美味しいぞぉぉぉおお!!」

「え、あ、う、ありがとうございます!?」

 

 とか

 

「畜生!完敗だッ!悔しいぞ!ご飯美味しい!!乾杯!」

「え?乾杯ですか!?未成年者の飲酒はダメ…でも体は100万歳だから良いのかな…?…ふぇぇぇぇ?」

 

 何故か意味を勘違いされたり、悩んだあげくに酒を持ってきて、自分で飲みだして一杯で酔い潰れていた。

 少女は何がしたかったのだろうか。錯乱状態に陥っていた俺にも言えることなのだがな。

 

 だが、他人が混乱しているところを見ると、人は何故か落ち着くものである。

 酔い潰れた少女を見た俺は正気に戻り、ナースコールを押してたら別の看護婦がやって来て、少女は首を掴まれて引き摺られていった。

 その後暫くしてから「ごめんなさいぃぃぃ~~~~………」と聞こえてきた。兎も角、無事(?)で何よりである。

 

 ちなみに、朝刊には『"月の長"月夜見様、全力解放!?一般人のHさんを気絶させ、自身は"海と山を繋ぐ月の姫"綿月豊姫氏に強制連行!強制的に政務をすることに!?尚、一般人のH氏は無事に○○病院に運ばれた模様。』と一面記事があった。

 

 文中のH氏は俺のことなのだろうが、誰さ。綿月豊姫って。永琳さんの言っていた"月の姫"とやらはこの人なのか?(※違います)

 それよりも月夜見様。ザマァ!

 

 

 ◆

 

 

 さて、気を取り直して俺が月で過ごすにあたっての目標を定めよう。

 人間とは弱い生き物だ。目標もなしに人生を歩んでいくとその人生は恐らくつまらないモノとなってしまうだろう。

 だからこそ目標設定をし、人生を彩ろうというのだ。たとえその目標が金儲けであれ、世界征服であれ、ポケモンマ○ターであったとしても目標のない人生よりずっと楽しめるだろうと。そう考えたのだ。

 

 そして、俺が定めた目標は三つ。

 

 壱  打倒、月夜見様。目指せフルボッコ。

 

 弐  スイーツを気の赴くままに食べ尽くす。

 

 参  地球に帰る。

 

 

 一つ目は言うまでもないだろう。

 仮に言うとすれば、思っていた以上に俺が負けず嫌いで、バトル好きだったということ。

 

 二つ目。

 そもそも俺の心のオアシスとはスイーツである。折角美味しい店があるのに食べないというのは勿体ないものだ。

 

 三つ目。

 俺って、月には来ない予定だったんだよね。月よりも地球の方が広いし、空気が美味しいし。

 あんまり知らないし、覚えていないけれども原作キャラに会えるかもだし。闘ってみたい。

 

 

 

 というわけで…

 

 

「永琳さん。訓練場借りてもいいかな?」

「警備に気付かれずによくここまで来れたわね。警報装置とか備えていたのに作動していないし…」

 

 俺は永琳さんの仕事部屋に直行した。警備なんて『流体変化』を使って気体に変身すれば楽チンでした。

 機械?そもそも永琳さんのいる建物の外で『流体変化』して気体になって、永琳さんの仕事部屋の開いていた窓から入ってきたから機械なんて気にする必要がなかったね。

 

 超余裕!

 

 ただし永琳さんには呆れられ、パスポートを渡されて、次からは建物から今渡されたパスポートを使った正規の手続きを行って入るようにと言われた。

 実際にやるかやらないかと言われたらめんどくさいからやりたくないのだが、永琳さんに嫌われるのも嫌なので手続きはしようと思う。

 

「永琳よ。何故我が仕事をしなくてはならんのだ!?」

「 黙 っ て 仕 事 し な さ い 」

「ごめんなさい」

 

 ちなみに部屋には月夜見様がいた。

 永琳さんに怒られてショボンとしながら仕事している。ザマァ!

 

 Q.神様を黙らせた上に仕事をやらせることができる永琳さんとは何者ですか?

 A.大物です。

 

 解決。これ以外の答えは最早必要ない。

 しかし、俺との闘いで見せたあの威圧感の持ち主が永琳さんに怯えて仕事をしているのを見るのは何とも複雑である。

 でもやっぱりザマァ!

 

 用件を済ませた俺は、月夜見様が仕事している様子を月夜見様の正面からニヤニヤしながら見ていたが、視線に耐えられなくなった月夜見様が半泣きになってきたところで永琳さんに帰ってくれと頼まれたので帰ることにした。

 尚、永琳さんが俺に頼んできたときは、永琳さんも半泣きになっている月夜見様を見てニヤニヤしていたのはご愛嬌だろう。

 

 

 ◆

 

 帰れと言われても病院以外に帰る場所のない俺は訓練場に遊b…訓練に来ていた。

 玉兎兵士も大勢いたのだが、その多くが訓練をサボっていた。俺が訓練場に入ってきた途端に訓練(に見えること)をやり始めたのだが、時は既に遅く、サボっていた所を俺に見られた後である。かといって、俺は咎めることなどするつもりはない。

 

 できるだけフレンドリーな笑顔を浮かべながら、サボっていいから訓練場の一部を使わせてくれ、と玉兎達にお願いしたら

 

「へい!よろこんで!」

 

 と一斉に言われた。何処の居酒屋だと突っ込みたくなったが、一字一句間違えることなく全員同時に言える辺り、連携は完璧である。

 後日聞いたところによると、玉兎達はテレパシーを使えるようなので、連携できて当然だったようだ。俺の感動を返せ。

 携帯電話要らず、戦争になっても伝令や指揮を採りやすい等と便利で羨ましく思った俺は悪くないだろう。

 

 

 ここで俺は訓練場を借りたものの、何をやるか全く決めていなかった事を思い出す。

 取り敢えず、現在の俺の状態を並べてみよう。

 

 先ず霊力。

 ……月夜見様との闘いの間では気づかなかったが、明らかに増えている。というか増えすぎ。

 どんだけ~と言われたらこんだけ~としか答えようがないのだが、例えるならカプセルホテルと都内の高級ホテルのスイートルーム程の違いがある。

 …逆に分かり難かった。

 コップのに注いだ水とダムが満タンになるまで溜まった水の量程には違いがある。

 やったねたえちゃん!おっと今のは冗談だ。

 

 次は気。生命力の元。

 これはあまり変わりはない。元々が気の持ち主の生命力や心の状態如何だし。俺の心は安定の眠い・スイーツ食いたい・闘いたいの三大欲求が揃って…揃って…あれ?なんか違う気がする。兎も角、大抵は安定しているので体外に放出しない限りは変わらないのだ。

 

 三つ目、妖力。

 俺は人間だから持ってない。当たり前か。

 持っていたら軽くホラーである。そして「俺は人間を辞めるぞぉーー!!!」とか言うつもりはない。普通の人間であり続けるのだ。

 

 最後。魔力。

 そもそも分からないです。エロイムエッ○イムとかベホマ○ンとかア○テマとかやってみたいけれども、男のロマンは諦めるしかないだろう。悔しいですっ!

 

 

 霊力が増えたので、霊力を使った特訓をするのが一番良さそうだな。

 しかし…と俺は首を傾ける。どんな技にしたものか、と。

 

 

「コラッ!訓練をサボるな!」

「ご、ごめんなさい!」

 

 突然訓練場に響く女性の声。ガールズトークをしていた玉兎達に一喝したようで、玉兎達は慌てて訓練を開始した。俺は俺で急に聞こえてきた怒号にビクッとなった。

 声の主は俺の姿を見つけると、ツカツカとこちらへ歩み寄ってくる。

 

「…む?貴方は何故ここに?ここは玉兎のための訓練場ですよ?」

「俺の名前はハジメです。己を鍛えるべくここに来ました。”月の頭脳”の永r…八意さんからは直接許可を得ました」

 

 俺はこう見えて人見知りなので、初めてあった人なんかは敬語を使って話す。砕けた話し方になるのは、相手の許可を得たときか、暫く同じ時間を過ごした者などだ。後は俺の気分次第だったりする。

 ここでは永琳さんなどと気安く呼ぶのは不味いかと思い、家名の方で呼んでみた。

 永琳さんって偉い人だから、ここを使うには永琳さんから許可を貰えば問題ないはず。

 

「ハジメ…?八意様に直接許可を得た…?…そうですか。貴方が永琳様のお父上を救ったお方か。無事に眼を覚ましたようで何よりです。八意様から許可を頂いたのでしたら、ここを遠慮なく使ってください」

 

 そういえば、俺が永賀さんを助けた話とか、100万年眠り続けていた話って俺の知らないところで広がっていたりするのかね?

 別に俺が気にするものではないけど。え…英雄扱いになっていたらどうしようかなー?何て思ったりはしていないよ?ホントダヨー?

 

「…どうかされました?」

「ああ、いや。大丈夫です。本当に大丈夫ですから」

「なら良いのですが…」

 

 視線をあちらへこちらへとさ迷わせている俺に綿月さんが少し心配そうに尋ねてきた。

 

 ごめんなさい。別に妄想を膨らませていたりはしているわけではないのです。

 ちょっとあり得たかもしれない未来を想像しただけなんです。

 

 …人はそれを妄想と呼ぶ。

 

 

「あー、コホン!私の自己紹介をしていませんでした。私の名は綿月依姫です。貴方の話に出てきた八意様の教え子の一人です」

 

 うーん…綿月ってどっかで聞いたような名字だな…

 …………あ、新聞に出ていた綿月豊姫っていう人の縁者かな?

 

 薄い紫色の髪で赤い目をしており、白いシャツの上に赤いサロペットスカートの様なものを着ている。

 赤い柄の細身の剣を腰に刺している。凛とした雰囲気を持っており、真面目そうな女性だ。

 

 しかし、俺の強者センサー(笑)がこの綿月さんにビンビンに反応している。

 まず立ち振舞いに隙が見当たらないし、歩くときに重心がぶれていない。何時でも最大威力での攻撃ができるのだろう。

 彼女の場合は剣が主な武器だろうから、相当重い斬撃をしてくるだろうし、つばぜり合いになっても押されることなく、むしろ押し返してくるだろう。

 何より、霊力でも妖力でも気でもない、不思議な力を感じる。まるで月夜見様の持っている神力のような…そんな不思議な力を。

 

 でも何で綿月さんは”イイエガオ”をしているのかが非常に気になるのだけど…?

 

「確か貴方は己を鍛えるべくここに来たのですよね」

「え、ええそうですけど…」

 

 唐突に嫌な予感がしてきたため、俺はその場から逃げ出したくなったのだが、いつの間にやら綿月さんに肩を掴まれていたため逃げ出せなかった。

 俺の背中を冷や汗が流れる。

 

「一緒に鍛練をしませんか?」

「はいぃ…」

 

 グッと顔を近づけて笑顔で言われたら断れまい。有無をも言わせぬ迫力があったのも確かだが。

 

「助かります。近頃、相手をしてくれる人が全然いなくて困っていたのですよ」

「ハハ…そうですか」

 

 それは綿月さんが強すぎるからでは?という言葉は呑み込んだ。

 彼女の足さばきにしろ、重心の置き方にしろ、雰囲気、佇まいのどれを取っても洗練された鋭さがあるのだ。

 そんな綿月さんが弱いはずがない。それにパッと見て、剣だってかなりの業物だろう。剣については、というか武器については詳しくはないのだが、何となくそう感じさせられる不思議な力を感じたからだ。

 

「でも、鍛練って何をするんですか?やはり組手ですか?」

「そうだな…」

 

 単に鍛練と言っても様々な種類がある。前世では戦いとは無縁の人生を送ってきたために、その辺のことはわからない。無縁と言っても中学の頃は剣道をしていたのだが、小さい体格で筋力の付き難かった俺は筋トレや基礎稽古が多く、試合を意識した練習はしていない。ちなみに中学最後の大会では身長180cm並の人と試合することになったのだが、籠手を一本取った後は相手に力押しされて負けた。

 相手は竹刀を少し降り下ろすだけで良かったのに対し、俺は振り上げていかないといけなかったのだ。動作の少ない相手の技が決まりやすいに決まっている。俺の打ちが遅かったということもあるのだろうが。

 

「では42.195kmを走りましょう。訓練場の外周の距離が大体その位ですし、丁度良い準備運動になると思います。そこから組手でもしましょう」

「わかりました」

 

 前世を思い返していると、綿月さんがメニューを決めてくれたようだ。

 でもフルマラソンじゃないですか、やだー。

 …と、前世の俺なら泣いていたが、今世の俺は気による身体能力の強化はできるし、素の身体能力が何故か高くなっているしで、楽勝だ。まさに丁度良い準備運動だろう。

 

 俺達は軽く筋肉を解し、走り始めた。

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 訓練場の外周を一回りした俺達は小休憩を取っていた。

 

「ふぅ…競いあったせいか、何時もより速いペースで走ってしまいました」

 

 額の汗を拭いながら依姫さんはそう言うのだが、その気になればより速いペースを出せたのではないかと思う。

 俺がペースを上げれば依姫さんがよりペースを上げ、俺が疲れてきたら依姫さんも少しペースを落として俺の速さに合わせてきていたし。

 

 とは言ってみたものの、俺自身も依姫さんと雑談を交わしながら走っていたのでお互い様と言うところだろうか。

 

「そんなこと言っているけど、綿月さんはまだまだ余裕じゃないか」

「そう言うハジメ余裕そうですよ?」

「まあ、そうなんだけどね」

 

 雑談を交わしている内に打ち解けて、丁寧語ではなくて良いと言われた。殆ど寝ていたとは言えども、一応俺の方が年上だからだそうだ。また、名前呼びするようにも言われた。なんでも、「姉上といる時にややこしくなってしまうから」だそうだ。

 俺も依姫さんに砕けた話し方でも良いと言ったのだが、彼女自身は丁寧語が癖になっているらしく、そのままの口調でいるが、名前で呼ぶようお願いした。

 

「では、軽く組手にしますか」

「お願いします」

 

 一応、俺は組手をお願いする立場にいると思うので、礼はするべきだと思う。

 

 俺と依姫さんは互いに距離をとって向かい合う。

 月夜見様との闘いの時と違うのは、開始の合図がないことだ。しかし、お互いの中では既に闘いは始まっている。

 

 依姫さんは体を俺に対して半身になり、剣を体の後ろの下の方に向けて持っている。

 上体はやや前に乗りだし、俺の方に左足を少しだして、いつでも俺に接近できるようにしている。

 目付きは鋭く、俺を見つめて動かない。

 

 正直なところ隙がない。

 どう接近しても必ず依姫さんからの一撃を先にくらってしまい、後手に回ってしまうだろう。

 ならば依姫さんが俺に接近してきたところをカウンター気味に攻撃するのが良いのだろうが、相手の実力がハッキリしない内に”待ち”でいることは、自分の予想よりも相手の実力が高かった場合は瞬殺される恐れもある

 

 また、準備運動中に聞いたのだが、依姫さんも能力を持っているらしい。名付けるならば、『神霊の依代となる程度の能力』だろう。

 八百万の神々をその身に宿らせ力を借りれるらしい。所謂神降ろしと言われるものだろう。

 本来は儀式をするなどの“正式な手順”が必要だが、彼女はそんなまどろっこしいことなどせず、素早く神を降ろせるようだ。

 

 ちなみに組手で公平とするために俺の能力も伝えている。

 依姫さんは俺の能力を聞いて少し眉をひそめていた。恐らく俺の手札を予測し、対策を練っているのだろう。

 流石は賢者さんの弟子である。

 

 俺も彼女の能力に対策を練りたかったのだが、正直なところ八百万の神々と言われるほどいる神の力を引き出せる彼女に対して、どんな策を練ればいいのか俺にはわからなかった。

 

 その結果が今の睨み合いの状況に繋がり、動けずにいるワケだ。

 どう動くべきか、どのタイミングで仕掛けるか。

 俺は依姫さんの出方を窺っていた。

 

「・・・」

「・・・」

 

 ただ見あっているだけなのに汗が額から滴り落ちる。肌にビリビリと伝わってくる威圧感。

 滴り落ちた汗が地面に落ちるか落ちないかのタイミングで、依姫さんの不思議な力が動く。

 

 ーー来る!

 俺は直感的に悟る。

 

 

「経津主神よ その名に相応しき刀剣の切れ味を、その神徳を見せつけよ!」

 

 

 依姫さんの言葉と共に、彼女の背後に幽霊…ではなく、彼女の言葉の通りであるなら『経津主神』が現れる。

 経津主神は腰に刀を帯刀しており、遠目からも判るほどに身体に筋肉を付けてある男だった。

 そして月夜見様とまでは言わないものの、思わず身体が縮こまってしまいそうになるような威圧感を放っている。

 

 経津主神は剣の柄をその手で握り、姿勢を低めにとって居合い斬りの如く正面を水平に斬った。

 斬られたその空間から凄まじい力の流れを感じとるやいなや、俺は咄嗟にその場にしゃがみこむ。

 

 

 ーーーーブォォォン!

 

 

 次の瞬間には頭上で風が唸ったような音が聞こえる。

 しゃがんでいなかったら上半身と下半身がサヨナラしていたかもしれない。何が組手だ。殺しに来ているじゃないか。

 

「経津主神。この"フツ"は刀剣で物が斬られる様から付き、刀剣の威力を神格化したのが経津主神だと言われています。斬撃の威力を高めれば衝撃波が飛ぶのも極々自然なことです」

 

 俺が恐怖を感じていると依姫さんがそう言った。

 解説ご苦労様です。ですからその物騒な神様は一旦返してあげてください。そんな自然なことがあったら堪りません。俺の精神力が0どころかマイナスにまで振り切ってしまいます。

 

「また、経津主神は軍神に分類されるため、武器の扱いもお手のものです。今日は経津主神でお相手致そうと思うのですが?」

 

 鍛練相手が神様ってなんて贅沢なんだろうか。嬉しくなって思わず泣きながら「完全に殺しにきてるね☆」とでも言いたくなってしまう。

 

 しかし、月夜見様も剣を使っていた。経津主神も剣を扱う。

 逆に考えるんだ…これは、対月夜見様用の特訓に繋がると…!

 思い出せ、月夜見様の剣技に防戦一方だったじゃないか。最終的には威圧感で押し潰されたけど、ここで剣に馴れておくのは後々役に立つ!

 

 そう考えると俄然とやる気元気覇気勇気。おまけに殺る気までもが湧いてくる。

 

「お願いします!」

 

 俺は立ち上がり、経津主神を見据える。当の本人はどこ吹く風、といった様子だが。

 

「やる気があるのは良いことです。隠れて怠けている兎に見習ってほしいですね」

「俺には目標があるからできることなんだが、ここ()はそもそも攻められる事の少ない場所だろ?どうせ平和なんだから訓練する必要がないのだから怠けるのも当然じゃないのか?俺だって目標がなかったら、腑抜けてただの穀潰しとなっているさ」

「確かに今のところは平和そのものですが、将来的に地上の者が月に来ないとは限らないので」

 

 前世でも月まで行った宇宙飛行士がいたから、今世の世界でも地上から月に到達するのは確実と見ていいだろう。

 しかし、俺が生きていた頃は月に施設を建てることも儘ならなかったため、実際には気の遠くなるほど先の話だろうが。

 

「地上の者と交流をするつもりは?」

「…彼らはきっと穢れを持ってくるでしょう。その穢れは払うことはできますし、交流を持っても私は構いませんが、他の月人は納得しないと思います。…喋りすぎました。訓練を再開しましょう」

「…わかった」

 

 俺は地上から月にやってきたため、月人とは言えない種族であり、多くの殺傷を行ってきたため穢れを多く持っているかと思ったが、依姫さんの言葉から推測するに俺の穢れは払われたのではないかと思う。

 

 何故他の月人は地上の者との交流を持つことを納得しないのだろうか。それは俺にはわからない。穢れを持たないのならば気にすることはないだろうというのが俺の考えだ。そもそも地上が穢れた土地であるという考え自体、俺は持っていなかったのだが、月人は地上を穢れた土地として見下しているのだと依姫さんに先程教えてもらった。

 

 しかし今はそんなことを考えるべき時ではない。組手の途中なのだ。

 俺は全身の気の流れを活性化させ、依姫さんと経津主神を見据える。

 先程は驚かされたが、今度は俺が驚かす番だ。

 

「『霊力カッター』!」

 

 霊力の刃の嵐が依姫さんを襲う。それを迎撃すべく、剣を構える依姫さんと経津主神を見て、俺は内心でほくそ笑んだ…

 

 




ハジメ「計画通り」

はいはい。
…そういえば、俺って東方は音楽から入ったクチで、原作全部未プレイ+書籍版すら見ていないっていうにわかっぷりだから、原作とは設定が明らかに違ったり、矛盾するところあるんですけどご容赦ください。

ハジメ「駄目作者もある程度は調べているようだが、永淋さん達の月への行き方とか玉兎の訓練場のある場所とかエトセトラ…」

(´・ω・`)くここまで来たら突っ走る!

ハジメ「ここまでお読みいただき、ありがとうございました。では、また次回でお会いしましょう」
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