能力の解釈が強引です。考えなしの初心者の作品なんか読みたかねーよ、って人はブラウザバックを。
風を切る音がする。耳元でビュウビュウと非常に煩い。
俺は目を開いた。先ず目に入ったのは雲ひとつない青い空。いやー、快晴ですな。
でも、足が地面に着いている感じがしないし、何か落ちていく感じがするのは何故かな?と思い、首を回して下を見る。すると、あら不思議。遥か遠くに地面が見えるではないですか。その遥か遠くに見える地面が少しずつ近づいてきているように見える。このまま行くとアレですね。逝くことになりますね。
第2の人生初始めって早々に終了か。なにこのベリーハードモード。あの神様はドジなのか?仕事ミス多くないか?
しかし、ここに神様はいないので、抗議することを諦めて、この状況を何とかできないものかと考えてみる。ああ、神様と言えば、能力を付けてくれてたっけ。『流れを操る程度の能力』とか言うの。使い方が分からないけどぶっつけ本番でやってみようか。なにもしないよりはマシだもんね。
とは言ってみたものの、どうやって使うんだろ。やっぱりイメージかな?俺に向かって吹く風、地上から見れば上昇気流が俺に向かって強く吹くのを想像してみた。
その途端に、ゴウッ、と強い風が俺から見て下から吹いてきた。風が強すぎて息が詰まりそうになるが、我慢する。地面でベシャッとなるよりもマシだ。
だんだんと地面が近づいてくる。上昇気流のお陰でゆっくりと落下しているものの、怖いものはやはり怖い。
そして運命の瞬間が来た。地面とのキスだ。興奮しないし嬉しくない。
地面とのキス、という表現はMな人なら興奮するだろうな。俺は生憎と”ノーマル”の”N”だ。普通で悪かったな。
俺はそんな下らないことを頭から落ちながら考えていた。・・・頭から?
待て待て。このままいったら地面とキスどころか、神様こんにちは。さっきぶりですね。なんて会話をするハメになる。それに痛い。何よりも痛い。俺は痛いのは嫌いなのだ。誰だってそうだと思うけどね。しかし、Mの人は以下省略。
そう言えば、重力って地球の中心に流れる力っていう解釈ができるよね。この流れを俺の所だけ無くせば良いんじゃね?思い立ったが即行動。やってみようか。
しかし
(あれ?地面がこんなに近い・・・?)
現実とは非常なモノで・・・
(頭から逝っちゃうよ?これ・・・)
俺は、思い付くのが遅かったようだ
(え、ちょ、ま、せめて受け身だけでも!)
ーーーーーーーーーゴキッ
「ギィャァァァァァァ!!!!」
頭を守ろうとして、変に体をよじったせいで首から落ちた俺は、首から鳴った音とその痛みに思わず叫び声を上げた。
暫く地面でのたうち回った後、落ち着いた俺はとりあえず生きていることに感謝した。
上昇気流のお陰で何とか一命をとりとめたのだろう。それに力がフッと抜けるような感じもしたので、ほんの一瞬だけだが、重力の流れをなくせたようだ。
ああ、生きてるって素晴らしいな、チクショウ。
でも、首が痛くてとても動けそうにないんだけど。さっきまで、のたうち回っていた元気がどこにも見当たらないんだけど。首痛い。
うーん。さっきまで、のたうち回っていれたってことは、首を通っている神経は無事なようだな。つまりは首の痛みだけをなんとかできれば良いということか。
能力で時間の流れとか戻せないかな?俺は首に意識を集中させ、過去の時間、首が逝ってしまう前の状態をイメージする。首の痛みがイメージの邪魔をしてくるが、できるだけ意識を痛みに向けないようにする。
すると、体からフッと何かがたくさん抜けるような感じがした後で、首の痛みが退いていった。
完全に首から痛みが消えると、今度は急に体が重くなって動けなくなった。瞼も重くなり、徐々に閉じられていく。
俺は理由を考える間もなく、意識を闇に沈めていった・・・
**********
パチパチと何かが燃える音で目が覚めた。知らない天井だ。何となく中世ヨーロッパを思い出すような天井だ。
そう言えば、パチパチって、文字だけ見たら拍手の音だよな。
普段から働かせていないのに、目が覚めたばかりで余計に働かなくなった頭で、そんな仕様もないことを考えていた。
暫くの間、ボーッとしていると、抑揚の少ない、落ち着いた感じのする女性の声が聞こえてきた。
「目を覚ましましたか。体の方は大丈夫ですか?」
声のする方を向くと、美人さんがいた。黒く長い髪の毛は腰まで伸ばしており、何故か白衣を着ている。背丈は160cmはあるだろうか。少し小柄である。
「はい、大丈夫です。あなたが助けてくださったのですか?」
俺が大丈夫だと言うと、嬉しそうに笑った。
「ええ。町の方が空から何か落ちてきている、などと言うものですから。言われた場所に行くと、あなたが気絶して倒れていたので、家まで連れ帰ったのです」
そう言えば、空から落ちるときに、町っぽい所があったな。結構離れた場所にあった気がする。
「ありがとうございます。おかげさまで、元気になりました。えっと、お名前を伺っても?」
「
俺の名前はどうしようか。前世の名前も良いけどな。新しい人生だし、自分で決めるか。
新しい人生、か。前世を水に流して始めからやり直す。始めから、か。よし、決めた。
「じゃあ、ありがたく。そっちも敬語は使わなくて良いよ。それと、俺の名前はハジメだ。」
我ながら安直だと思うが、前世の俺とは別の生き方をしたいので、『新しい人生を始める』の『始める』をとって、この名前にした。
「そうハジメね。ハジメは3日間ほど寝ていたから、お腹が空いているでしょうね。もうすぐ主人と娘が戻ってくるでしょうから、帰ってきたらご飯にしましょう。」
3日間も寝ていたのか。相当迷惑をかけたことだろう。それでもご飯も貰えると。俺の好感度がグングン上がっていきますな。
既婚者っていうのが残念だ。
暖炉で暖まりながら俺は桜琳さんと世間話をしていた。
今の季節は暖炉が付いていることからも判るように、冬だった。
それ以外に解ったことと言えば、桜琳さんと旦那さんがラブラブだと言うことだ。いつの間にか世間話ではなくて、惚気話になっていた。
初めて出会った場所とか。付き合い始めた理由とか。始めてデートで行った場所とか。プロポーズの時の台詞とか。寝ているときの顔が可愛いとか。仕事の時はとてもキリッとしているのに、桜琳さんといるときだけは甘えてくることとか。実は妖怪退治もできるんだとか。弓の扱いが達人級だとか。国のお偉いさんだとか。でもやっぱり可愛いんだとか。
文字にすれば少なめだが、一つ一つ旦那さんの台詞やら仕草やらを事細かに話してくるものだから、聞いている俺としては堪ったもんじゃない。
しかも、幸せそうに話すし、息をつく間もなく話続けるので、話題転換ができない。
もうお腹一杯です。ご馳走さまです。砂糖が喉の奥から出てきそうです。誰か助けてください。
そう思い始めた頃に漸く旦那さんと娘さんが帰ってきたようだ。
た、助かった・・・!
今に旦那さんと娘さんが入ってきた。それを見た俺は立ち上がり、挨拶をする。
「はじめまして。俺は倒れていたところを桜琳さんに助けていただいた、ハジメと申します」
「ああ、目を覚ましたんだね、よかったよかった。私は
人好きのする雰囲気を放つ旦那さんだと思う。包容力のあると言うか、なんと言うか。
胴体だけを見れば細めなのに、肩と脚の筋肉がかなり発達をしている。相当な数の弓を弾いてきたんだろうなと分かった。桜淋さんの言う通り達人なのだろう。
「私は永琳よ。敬語はいらないわ。ヨロシクね、ハジメさん」
半分が赤でもう半分が青の変わった服を着ているのが、娘さんのようだ。スカートの色は服の色と逆である。
服にもスカートにも星座が描かれている。
銀髪だな。両親は黒髪なのに。先祖に銀髪がいたのかな?
ツッコミ所が多いが、めんどくさいのでつっこまない。
その後は食事を4人で取った。桜琳さんは料理がお上手でした。
そして、夜も遅いのでと、俺はもう1日泊まっていくことになった。
この家族には感謝してもしきれないな。
うーん。やっぱり、時間がかかった。
遅くなってごめんよ。