恋愛短編小説集   作:松平 蒼太郎

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夜中に隣に住む可愛い女の子が遊びに来るシチュ。


隣に住む知り合いの女の子が夜中に窓から遊びに来た

今日は部活で疲れたので、早く寝よう……と、思っていた矢先、突然窓が叩かれた。

 

え、お化け?と思い、恐る恐る振り向くと、そこには女の影が……

 

「よっすー。遊びに来ちゃった♪」

 

「朝倉かよ…びっくりさせんなって。お化けかと思ったぞ」

 

朝倉佳代。俺のクラスメイトで、俺ん家のお隣さんである。クラスメイト兼隣同士ということでなんとなく知り合いになったのだが…こんな夜中に何の用だろうか。

 

「え、お化け呼ばわりは酷くない?可愛いお隣さんが人目を偲んで遊びに来てあげたってのに」

 

「夜中に窓叩くやつがあるか。玄関から入れ、玄関から」

 

「いや、玄関は無理。今夜中じゃん。つか、玄関より窓からのが早いし」

 

そう悪びれもせず答える。この野郎…

 

「とりあえず中入れてよ。人に見られたらまずいし。ほら、早く早く」

 

そう急かされたので、仕方なく部屋の中に入れてやった。

 

 

 

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「夜中にごめんね?なーんか眠れなくてさぁ…」

 

ごめんと言ってる割にはあんまり悪そうにはしていない。とりあえず俺も適当に言葉を返した。

 

「もしかして眠れなくて暇になったから、こっち来たとかじゃないよな?」

 

「そ。おっしゃる通り。暇んなったから、遊びに来たの。悪い?」

 

「人の眠り妨げてる時点で普通に悪いだろ。てか、俺の部屋で何するつもりだ?」

 

「いや?ノープランだけど?何する?ゲームとか?」

 

思わずため息をつく俺。予想はしていたが、案の定何も考えてなかったようだ。というか、女の子が同年代の男の部屋に夜中に遊びにくるのはいかがなものか。

 

「いや、あのさ…俺ら、クラスメイトと隣同士ってだけで、別に大した関係じゃないじゃん?彼氏彼女とかならともかく」

 

「へー、なに?じゃあ彼女だったら、窓からの不法侵入も許すんだ。高岡君も結構無防備だね」

 

「いや、そこまで言ってないし、一般的な例えだろ。要するに、お互い気心の知れた者同士ならこういうことも多少は許されるってこと。言ってること、分かるよな?」

 

「じゃああたしは高岡君が心を許してる相手って事でいい?窓から入れてくれたし」

 

ああ言えばこう言う…コイツ、何気に舌戦強いんだよな。このあいだも、教室のド真ん中でクラスのリーダー格の女打ち負かしてたし。

 

「仕方ないだろ。お隣さんが通報されて警察沙汰になるとか、面倒で敵わん。ていうか、今まさに朝倉という存在自体が面倒」

 

「うわー、ひどっ!あたし、そんなめんどくさくないし!ちょっと夜中にかまちょしただけじゃん!」

 

夜中だというのに、騒ぎ出す朝倉。そのかまちょが面倒くさいと言ってるのだが…

 

「うーん、この朴念仁は…こういう、なんて言うの?日常の中の非日常を楽しむのがいいんじゃん。お隣さんが女の子で、しかも夜中の喋り相手になってくれって頼むこと自体、滅多にないからね?」

 

それはたしかにそうだが…それより今は眠いから寝かせてくれ…頼むンゴ…

 

「あー、はいはい。そうですねー。大切な思い出として覚えときまーす」

 

「相変わらずテキトーだなぁ…あしらうにしても、もうちょっと優しく扱ってよー。バカー。相手は女の子だぞー?」

 

朝倉はそんなことを言いつつ、肩を揺らしてくる。うわー、めんどくさ…

 

「大体、高校生なんて大人になる一歩手前みたいなもんだし、女の子って歳でもないだろ」

 

なんてことをぼそっと言ったら、朝倉の顔色が変わった。

 

「は?まだ10代だし、余裕で女の子ですけど?てかその発言、デリカシーなさすぎ。つーことで、有罪(ギルティ)。デコピンの刑ね」

 

と言うや否や、マジでデコピンしてきやがった。いってぇ…!

 

「マジでする奴があるか…!痛すぎだろ…!」

 

「バーカ。デリカシーない男には必要な仕打ちでしょ。むしろ下の急所じゃなかったことを感謝すべきだと思うけど?」

 

無駄に強いデコピンしてきたくせに、逆に恩着せがましいこと言ってきやがった。なんて女だ。その上半身にぶら下げてる二つのブツも含めて実にけしからん。

 

「朝倉、お前なぁ…!」

 

「はいはい、大声出さない。家族の方、起きちゃうよ?」

 

最初に騒いでたのはどっちだ。単純な声のデカさなら、お前の方が上だぞ。というかまだ帰らんのか、コイツは…

 

「あ、そうだ。せっかくだし、本読ませてよ。何かある?」

 

俺が悶々としていると、朝倉は俺の部屋の本棚を漁り出した。やりたい放題だな、コイツ。

 

「えーっと……あ、これでいっか。ちょっと借りるねー」

 

「それはいいけど…とりあえず早く自分の部屋に戻れ。俺はもう寝るから」

 

「え?やだよ、面倒臭い。自分の部屋に一々戻るのとか、手間じゃん」

 

「えー…俺の安眠の時間は…」

 

「大丈夫、すぐ読み終わるから。ちょっと居候すんねー」

 

朝倉はそう言うと床に寝っ転がり、本をめくり始めた。仕方がないので朝倉のことは放っておいて、俺はこのまま寝ることにした。

 

「じゃ、俺は寝るから。いびきうるさかったら、帰っていいからな」

 

「はいはーい。おやすみなさーい」

 

朝倉の本をめくる音をBGMに、俺は眠りの底に落ちていったのだった…

 

 

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朝、目を覚まして寝ぼけ眼でリビングに降りると、俺はいきなり妹に首根っこ掴まれた。

 

「ちょっとお兄ちゃん!あれ、どーいうこと⁉︎ いつのまに彼女作ってたの⁉︎」

 

「は?意味わからん。寝ぼけてんなら、早よ顔洗ってこい」

 

「誤魔化すの禁止!見たよ、お兄ちゃんの部屋で女の子が寝てるの!しかも地べたに寝かすとかお兄ちゃん、彼氏として最低じゃない⁉︎」

 

…妹の言わんとしてることは理解した。理解はしたけど、どう答えていいかわからずにいると…

 

「なんだ?お前、一丁前に彼女つくったのか。大したもんだな」

 

「あなた、感心してる場合?この子、女の子を連れ込んで不純異性行為をしてたかもしれないのよ?」

 

両親まで参戦してきて、これはいよいよまずい状況になった。というか、完全に俺が女の子を無理やり部屋に連れ込んで、襲ったみたいな流れになってる。誰か助けて。

 

「い、いや、違うんだよ…あれは完全にあいつの方から一方的に押しかけてきて…」

 

「へー…ホントに?お兄ちゃん、恋愛弱者っぽいからなぁ。間違ってそういうことしそう」

 

「ちゃんと女の子からの同意は取ったのか?俺はそれだけが気がかりなんだが…」

 

「陽介。正直に言いなさい。あの子、お隣の朝倉佳代ちゃんよね?夜中に隣の窓から侵入してお持ち帰りしたんでしょ?」

 

「逆逆!向こうがこっちの窓から侵入してきたんだって!とりあえず待ってて!すぐ釈明してもらうから!」

 

俺はそう言い捨てると、家族の追及から逃れるように、家の階段を駆け上がった。

 

 

 

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「あ、おはよー。ごめん、あのまま寝落ちしちゃってさー」

 

寝ぼけ眼をこすりながら悪びれもせず、朝倉は言った。こ、コイツ、俺がさっきまでどんだけ苦労していたと…!

 

「本、ちょっと汚しちゃったけど勘弁しt……ってどうしたの?そんな血相変えて…」

 

「俺の冤罪を晴らせ。今すぐに」

 

「へ?冤罪って…何が?どゆこと?」

 

何もわかっていない朝倉に先程家族から問い詰められた件を一から十まで懇切丁寧に説明してやった。すると、朝倉はちょっとバツが悪そうに頭を掻きながら言った。

 

「あ、あー…下が騒がしかったのってそういう…」

 

「そうだぞ。そもそも朝倉から始まったことなんだから、説明してもらわないと割に合わない」

 

「あ、あはは…ごめんごめん。ちゃんと釈明するから」

 

ホントに分かってるのだろうか?俺の訝しげな表情を見て取った朝倉は、少し面倒臭そうに言った。

 

「分かってるって。このままだと君、女の子を無理やり部屋に連れ込んだクズ男になるんでしょ?」

 

「あぁ…できるだけ早急に頼む。間違っても、警察には突き出されたくないんでな」

 

「りょーかい。頑張って君の弁護しますよーっと」

 

呑気にあくびをする朝倉とともに、俺は家族の待つリビングに再び降りていくのだった。

 

 

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朝倉が釈明したことにより、なんとか俺が女の子を無理やり襲ったという冤罪は晴れた…のだが…

 

「ふー…よかったね。なんとか誤解が解けて」

 

「いや、まだお前が俺の彼女だって疑惑持たれてんだけど…」

 

「あ、そうなの?マジかー…大変だねー、君も。まぁ頑張って」

 

他人事のように言う朝倉。コイツはどこまで俺をおちょくれば気が済むのだろうか。

 

「朝倉〜…!お前、他人事みたいに…!」

 

「どーどー。そんな怒らないでって。ちょっとは悪かったと思ってるからさー」

 

この女は反省という概念を母親の腹の中に置いてきたものと思われる。おのれぇ…

 

「んー…じゃあさ、ほんとに付き合う?あたしら…」

 

朝倉からそんな言葉が飛び出し、俺は一瞬頭が真っ白になった。俺が?付き合う?朝倉と?

 

「あはは、何照れてんの?可愛い〜。もしかして本気にしちゃった?」

 

からかいながら、俺の肩をこづいてくる。地味に痛いからやめろ。その流し目も何気に可愛i…ウザい。

 

「付き合うって…本気か?俺らは単なるお隣同士…」

 

「ふふふっ…さぁ?付き合う付き合わないは、君の決断と今後の態度次第かなー」

 

なんだそりゃ?俺が付き合えって言ったら付き合うのか?女心はさっぱりわからん…誰か教えてくれ。

 

「ま、とりあえず昨日はぐっすり眠れたし、マジで感謝してる。ありがとね」

 

「…どういたしまして。地べただとアレだろうし、今度は布団でも用意してやるよ」

 

「お、マジマジ?サンキュー。じゃあまた眠れなかったら、夜中に来るから、そん時はよろ〜♪ にひひ♪」

 

朝倉は何がそんなに可笑しいのか、笑いながらそう言った。何故だか分からないが、俺はこれからもコイツに振り回される…そんな確信に近いような、予感を抱いたのだった。




登場人物

高岡陽介
→その辺にいる普通の男子高校生。自由気ままなお隣さんに手を焼いている模様。多分これからも焼く。ちなみに彼女のことを異性としては少し意識している。

朝倉佳代
→自由気ままなお隣さんで、クラスメイト。口がよく回る。いたいけな男子高校生の心をかき乱す小悪魔ちゃん。

高岡一家
→父、母、妹。多分、力関係的には女性の方が強い。
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