もしもTot Musicaの代わりにうっせぇわを歌っていたら   作:匿名希望の雑草さん

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海軍から派遣された大将を藤虎から緑牛に変更します。
藤虎だとプロットが崩壊するんだけどあいつズシズシの実の激重人間か?


6話

 少し気づいたことがある。この革命軍の船に乗るエンポリオ・イワンコフとモンキー・D・ドラゴンについて。この2人と話してみたんだけどなんていうかこう、人形と話しているみたいな、まるで役割を与えられ同じセリフしか喋らない演劇の登場人物のような、そんな感覚がする。

 ドラゴンなんかほとんど喋らない。それっぽいセリフを言ってあとは『ああ』とか『うむ』とかだけ。本当のドラゴンが『うむ』というのかは謎だ。

 ひとまずこれ以上の考察は無用だね。

 

「ありがとなイワちゃん。助かった!」

 

 革命軍と別れを告げココヤシ村を歩いて行く。ココヤシ村は子供でも外縁をグルっと回ってしまえるくらい小さな島の中に存在している。その名の通りヤシの木が村中に生えていて人々はミカン栽培を始めとした農業や漁業で生計を立てている。とはいえ、それは魚人のアーロンが村に奇襲をかけて船を全部沈めるまでだったけど。

 

______

 

 私が1人でフーシャ村を出たあと、島を転々としながらなんとか生きていた。幸いにして戦闘はシャンクスから教わってたから動物には対処できたし、襲ってきた海賊はウタウタの実で眠らせば簡単に金品を奪うことが出来た。

 ある時海で遭難してしまい徐々に食糧が底をつきた。

 

『私は強い子…空腹は無視…島はどこかなぁ』

 

 初めての飢えは耐え難く、頼る術も対処する方法もなくて一人ぼっち。波の音も海鳥のなく声も恨めしく思えた。

 やっとの思いで島へ辿り着いたところを助けてくれたのがベルメールさんだった。

 あの時のシチュー、人参が入ってて丁度いい固さまで煮込んでて美味しかったな。私は泣きながら食べてベルメールさんはそれを優しい顔で見ていた。

 ベルメールさんちにはノジコとナミの2人の養子がいる。

 貧乏でノジコとナミを養うのだって大変だったのに『子供がそんなこと考えなくていい』なんてさ、気にするよ。

 

 私が元気になるとナミとノジコとはすぐに仲良くなって3人でよく遊んだ。

 ノジコは私より1つ年上でしっかりもの、2人でベルメールさんの助けになるためにお金を稼ぐ方法を考えたり、刺繍を教えてもらったりして次第に本当のお姉ちゃんだったらいいのになんて思ったり。

 ナミは中々に手癖が悪く、本を万引きしたいと言ってきた。ナミは航海士になるのが夢でどうしても本が必要だったんだ。本屋の店主をウタウタの実で眠らせて上手く盗んだけどすぐにバレて2人してベルメールさんにこっぴどく怒られたりした。

 

『歌を私欲のために使うなんて赦さない』 

 

 私の存在でベルメールさんがかなり切り詰めて生活しているのは分かってた。

 少しでも返したかったから手持ちのベリーで生活費を支払おうとしも『それは自分のために取っときな』って拒否されちゃう。だからゲンさんに相談して家の前で路上ライブを開いて使用料として渡すことでなんとか受け取ってくれた。

 

『そっか、ゴア王国のグレイ・ターミナルが燃やされて友達も殺されちゃったんだ』

 

『うん、だから、こんな悲劇のない新時代を創りたいの』

 

 なんとか3人の子供の生活費を捻出しようと悪戦苦闘する傍ら、私の相談にも乗ってくれた。…私はベルメールさんになんの恩返しも出来てないのに。

 

『それで子供なのに飛び出してきちゃったわけだ』

 

 そのダダンって人も頭抱えてそうだ。ベルメールさんは手を頭に当てため息を吐いた。

 

『私だってもうちょっと成長してから村を飛び出したわよ…』

 

 ベルメールさんも同じことをしたらしい。なんていうかベルメールさんは結構勝ち気で正義感のある人だから意外だ。

 

『ウタ』

 

『うん』

 

『ウタの志は否定しないよ。復讐に走らず世界をよくしようとするのはいい事だから。だけどね、もう少し準備してから旅立ってもいいんじゃないかな。飢えは怖かったでしょ』

 

『うん、ひもじくてでも何もできなくて』

 

『そう、何もできない。もしも海賊や天竜人に捕まったら?その何もできないが一生続くの。ウタはそれでもいいの?』

 

 そんなことはおきない。と言いたかった。だけどサボはそれで船を出して殺された。ココヤシ村にいた頃はサボはすでに死んだと思っていた。

 

『なら、もっと成長して力をつけてからもう一度旅立ちなさい。フーシャ村に帰してあげる。いつか旅立つ日が来たならもう一度私のところへ来て話を聞かせてほしいな』

 

【それからのことと これからのこと】

 

 数日後アーロン一味がやってきた。

 

『ゴキゲン麗しゅうくだらねぇ人間どもよ!!!!今この瞬間から!!!この村 いや この島を おれ達の支配下とする!!!』

 

 私はこの時ベルメールさんと喧嘩して飛び出したナミを迎えるために料理の手伝いをしていた。美味しい料理で仲直りできるといいなと考えていると知らない男の声が聞こえた。

 異変に気づいたベルメールさんは応戦したけどすぐにアーロンに倒され怪我をしてしまう。

 私もウタウタの実で眠らそうとしたけど、

 

『あれ、なんで眠らないの』

 

 なぜか眠らず変な子供と思われただけだった。

 そうこうしている内に私達4人に対して命の代金大人10万ベリー子供5万ベリーを要求し、払えないものは殺すと言ってきた。

 

 ベルメールさんの全財産はヘソクリを合わせて10万ベリーしかない。私の手持ちを合わせても20万ベリー、子供1人分足りない。子供の金を頼る親がいるかと言う魚人達の笑い声か耳障りで、憎悪と恐怖と罪悪感で押しつぶされそうで。

 でも私は3人が好きだから有り金を全部置いて去ろうとした。どうせダダンのところに帰るつもりだった。すぐに島を離れるなら見逃してくれると甘いことを考えながら。

 

『ごめんねウタ、一人分だけ余分に払ってくれる?』

 

 だけどベルメールさんは子供3人分払った。多分わかっていたんだ、島の船は一つ残らず壊されていること、子供にすら慈悲をかけずに殺してしまう連中だってことを。

 そしてベルメールさんは銃を突き付けられた。

 

『どうして眠らないの!眠れ!眠れ!嫌!やめて!!ベルメールさん!!!!』

 

 もう一度歌った事でいよいよ私が能力者だとばれ口を塞がれもう何もできなかった。

 

『ノジコ!!ナミ!!ウタ!!大好き』

 

 そしてベルメールさんは殺された。

 能力が使えなくなりアーロンから単なるカナヅチと判断された私は見せしめのためにナミの目の前で崖から落とされようとしていた。

 

『どうして!ウタはお金を払ったでしょ!!私達に手を出さないって約束したのに!』

 

『大人しくしていればという約束だ。だがこいつはおれに歯向かった。ならここで殺さなきゃ示しがつかねぇだろ。おれ達はたとえ子供でも容赦しねえ!!!』

 

 落ちる間際、私は『必ず助けにいくから』と言った。笑顔で涙を流しながら。

 

 波に飲まれ力は抜け薄れゆく意識の中で吸盤のようなものが見えた気がして、次に目を冷ました時にはローグタウンの病室にいた。

 お金を払えない私はすぐに抜け出し街の路地裏でひたすらにがむしゃらに鍛え始めた。

 

『もっと成長して力をつけてからもう一度旅立ちなさいってベルメールさんは言ってた。もっと強くならなくちゃ』

 

 力を、もっと力を。それがこの世の真理だから。そうすればみんな守れる。

 

 私はローグタウンの悪ガキを全員ぶっ倒すまで成長するとグランドライン行きの船へ乗った。もうあんな結末は迎えないと心に誓いながら。いつか音楽家を目指す女の子がこんな理不尽な目に合わないために。そして何より勝手に人のものを奪う勝手な奴らにストレートを浴びせるために。

 

【怒りよ今 悪党ぶっ飛ばして】

 

______

 

「ねぇルフィ、ココヤシ村で起こったことは知ってる?」

 

 そしてルフィはココヤシ村をアーロンの一味から救った。ならどういう経緯で倒したか、どうやって倒したか聞きたいと思った。

 

「知らね。その辺の話はナミにも聞いてねえからな。ただあいつを泣かせるもの全部壊した」

 

 私は分かっている範囲でいいからどうやってココヤシ村を救ったか聞いた。

 ナミが軟禁されていた製図室を壊す下りを聞いていると、爽やかな風が私を海へ誘い波の音は静かにメソメソとさざめいた。そのまま弱い私をさらってしまえ。石を拾い海へ投げ捨てる。

 たどたどしくルフィが語った顛末はまるで物語の主人公のように爽快でナミがルフィに救ってもらえて本当に良かったと安堵した。そしてルフィのことが少し分かった。

 

「ルフィは他人の過去を気にしないんだね」

 

「……」

 

 相手も過去も現在も関係ない、自由気ままに思うように進む暴風雨のように気に入らないやつはみーんなボコボコにする。

 その過程でみんな助かる。

 

「ココヤシ村のみんなを救ってくれてありがと」

 

「やめろよ。おれは別に感謝はされたくてやってんじゃないんだ!」

 

「それでもここにいる小さな女の子のしこりを消してくれた。だからこれは貸しにしといて」

 

______

 

 私とルフィの2人がココヤシ村の通りを歩いていると不審な男を見かけた。青白い水気の多い肌に手には水かき、魚人だ。

 

「このココヤシ村はアーロンに支配された時代みたいだね」

 

 やっぱり時系列が合わない。

 

「んじゃ、どうする?」

 

 私は目をつぶり、自分の心と向き合った。ベルメールさんを殺したアーロン達、そして。

 

『復讐に走らず世界をよくしようとするのはいい事だから』

 

 風車を回せそうな風を全身に感じて、ここに復讐する意味はないと思い至った。多分、ウタワールドをこんなことにしているのは私への攻撃なんじゃないかな。なら答えは一つ。

 

「ちょっと励ましに行ってくる。私の妹に」

 

 ルフィはニカッと笑顔で答えた。

 

______

 

 少女ナミはアーロンパークの一室で泣きはらしながら海図を書いていてた。この場から逃げ出すことは敵わない。データを海図に起こすまで部屋を出ては行けないという命令をアーロンから受けていた。逆らえば何をされるかわからない。相手は子供も殺すような残虐な奴だ。月明かりとスタンドだけが頼りの暗い部屋の中で、どれだけ悲しくても海図を書き続けるのがナミの運命だった。それでも監禁というわけではなく、海図を起こせば部屋を出て良いとされていた。その時間を使いナミはひたすらにベリーを稼いでいる。いつかこの村を買い取るために。ココヤシ村を…いやゴサを救うために。

 

(ウタ…)

 

 ナミは死んでしまった少女を思い出していた。父親のシャンクスが大好きでいつも世界の歌姫になると言っていた。悲しい出来事があり家を飛び出したと聞いたがナミはそれ以上のことは知らない。がむしゃらに何かをしようとしていた姿は今のナミ自身にダブって見えて親近感のようなものさえ感じた。それでもナミの前で崖から落とされて死んでしまったという事実は変わらない。あのウタが、生きていたら必ず歌で有名になっていたあのウタが、死んでしまった。殺されてしまった。だからだれもあの歌声を聞くことはない。私が死ねばよかったとさえナミは思うがココヤシ村を救うためにはもう自殺は許されない。

 

 それでも誰かに甘えたかった。苦しみを打ち明け、泣きはらし、助けを請いたかった。それがダメだとしてもせめて歌を歌って欲しい。できればウタが歌っていた歌を。

 

【どうして あの日遊んだ海のにおいは どうして すぎる季節に消えてしまうの】

 

 ナミは歌を歌い始めた。ウタはもっと上手かった。どれだけ歌っても寂しさがますばかり。魚人たちも歌を歌うことくらいは許してくれるのか誰も文句を言いに来なかった。泣きながら歌う歌は音程もめちゃくちゃで聞けたものではなかったがそれでも誰も来なかった。

 

【どうして かわることなく見えた笑顔は どうして よせる波に隠れてしまうの】

 

 歌が途切れてしまう。その先を歌うことができなかった。暗闇の中で自分を励ますことすらままならない。

 すると窓をガラリと開ける音が聞こえた。温かい風がナミを優しく包み、そして聞き覚えのある歌声を耳元まで届けた。

 

【信じられる? 信じられる? あの星あかりを 海の広さを】

 

 もう会うことはないと思っていた、密かに憧れていた赤と白の髪の少女ウタだった。

 どうして、危ないからここに来ないでと言いたかった。しかしナミからそれらの言葉が出ることはなく、ただ嗚咽だけが歌にかぶせて響くだけ。

 

【信じられる 信じられる 夢のつづきで 共に生きよう 暁の輝く今日に】

 

 ウタが歌い終えると。ナミはウタに泣きついた。ウタはナミの頭を優しくなでると耳元でつぶやいた。

 

「ナミ、いつかあなたを開放する人が現れるよ。だから待っててね」

 

 行かないで、私を連れてってというよりも早く、扉が開いた。そこには6つの腕を持った魚人はっちゃんがいた。本名がはっちゃんである。はっちゃんは驚いた顔をしたあと扉を閉めウタに顔を近づけた。

 

「悪いことはいわねぇ、いますぐここから出ていくんだ」

 

「少ししたら行くよ。ついでにあなたに言いたいことがあったの」

 

 ウタは魚人相手にも物怖じしなかった。大人でも怖いのにまるで10年以上年上のようにもナミは感じた。それにアーロン一味のはっちゃんがウタをかばうようなことを言うことも意外だった。

 

「にゅ、少しだけならいいぞ」

 

「ねえ、私をローグタウンまで連れてったのはあなたよね」

 

 はっちゃんは黙った。しかし得心がいったような顔でウタはお辞儀をした。崖から落とされたあの時、確かに吸盤が見えた。ルフィにウタが確認をすると確かにタコの魚人がいた、ルフィはなんとかはっちゃんという名前を思い出しついでに今はたこ焼き屋をやっていると言っていた。だから機会があれば感謝の言葉をかけたいと考えていたのだ。

 

「助けてくれてありがとう。おかげで今こうしてここにいる」

 

「にゅ~。さすがに子供を殺したくはなかっただけだ。次はかばわないぞ」

 

「いいよ。じゃあねナミ。また現実で会いましょう」

 

 ウタは今度こそ窓からアーロンパークを後にした。

 

______

 

「用事はすんだか?」

 

 待ち合わせ場所として指定していた岸辺に行くと、ルフィと茨を巻き付けた長髪青髪の女性がいた。どことなく優しい雰囲気を感じるその女性は【マザーランド】の歌の化身だった。

 

「うん、ルフィ、【マザーランド】さんと会ったの?」

 

「ああ、こいつナミの話したらものすごく食い下がってな。ずっと喋ってた」

 

 私はじっと【マザーランド】さんを見つめて、その瞳の中にある慈悲や親心を見て得心がいったようにうなずいた。

 

あなたはベルメールさん?

 

 カッと目を見開くと青色の茨がバラバラと彼女のそばから離れていきやがて前髪を伸ばしそれ以外を刈り上げた女性が現れた。私はベルメールさんにぎゅっと抱きついて彼女から私の顔を見えないようにした。

 

「ただいま」

 

「おかえり。ウタ」

 

 死別した母親にもう一度会う子供がどれくらいいるだろう。私はその限りなく低い幸運を確かに手にしていた。

 

『なら、もっと成長して力をつけてからもう一度旅立ちなさい。そうしたらもう一度私のところへ来て話を聞かせてほしいな』

 

 いつかの約束を、果たせない約束を果たせる。私はベルメールさんと他愛のない話をした。あのあとどうしていたのか、歌姫のこと、ライブのこと。ルフィのこと。ルフィはまた眠ってしまって私もベルメールさんも呆れ顔で寝かしたままにした。

 

「ねえウタ、歌ってなんだと思う」

 

 ベルメールさんが不意にそんな話をしてきた。私は考えをまとめずに思いついたままを話し始める。

 

「それは…歌は寄り添うものだって思ってる。どんなに悲しい時でも歌をうたうことで世界が少し優しくなって、私の苦しみを少しだけ理解してくれるの」

 

 エレジアで他の国で色々な楽譜に出会って歌ってきた。悲しい歌。勇敢な歌。孤独に耐える歌。自由を夢想する歌。

 その歌を作曲した人の人となりが少しだけ垣間見えてまるでその人がすぐ近くにいるように感じる。時を超えて、場所を超えて私に語りかけてくる。

 『わたしはこんなことを思っていて、それを誰かに伝えたいんだ』というような音楽家の声に耳を傾けてふとその人物の足跡を辿ってみたりする。この繊細で壊れやすい、けれど人を引き付けるこの音楽家は一体どんな人生を歩んで、どんな結末を迎えたのだろう、と。

 

 大抵は『天竜人に召し抱えられて幸せに暮らしました』になるけど。みんなマリージョアの暮らしが楽しくて曲なんてつくる暇はないみたい。それ以外は病気か戦争で死んでしまう。だからある年齢でみんな死ぬと言われるくらい音楽家の寿命は短い。私も、そうなるんじゃないかと思って怖くなったこともある。

 

 けれどやって見なくちゃわからないよね。夢は終わる。現実はすぐにでも押し寄せてくる。だけど夢を志す限り何でも出来る。ならとことん楽しんでもっと色んな国に行って、もっと色んな歌を知らなくちゃね。世界の歌姫という夢の果てに掴むものが『みんなと幸せに暮らしました』となるように、いや必ずなると信じるんだ。そしてそのあとも私の人生は人生は続いていく。その時に私は何になりたいかな。音楽の先生になったりして次世代の音楽家たちを導く、そういう新時代を迎えられたらいいね。

 

 こんな答えでどう?とベルメールさんに言うと、へえと楽しそうにニヤリと広角を上げた。

 

「くよくよしてたらはっ倒そうかと思ってたけどいらないみたいね。なによ、前は切羽詰まってたのに、幼なじみに会った途端落ち着いてきちゃって。」

 

 ベルメールさんは茨を操りハートマークを作った。

 

「なら答えは見つけている。歌は誰かの心にいつまでも残り続けること。空白の100年を超えて受け継がれるもの。ウタウタの実の本質は『心に残る』事なんだ」

 

「じゃあベルメールさんがウタワールドにいるのも『心のなかで生き続けている』から?」

 

「たぶん条件はある。私の中で有力なのはその人物の人となりを知っていてかつ死ぬ瞬間を見ていること」

 

 ベルメールさんは気がつくとウタワールドにいたそうだ。最初はキレイな景色が広がる世界だったけど、徐々に周りには私がかつて会ってきた人々が同じように入ってきたそうだ。

 その中には自我を持たない人もいてそういう人はその人物に対する私の解像度が低いゆえに自我を持つまでに至らないらしい。エンポリオ・イワンコフに関しては恐らくルフィがウタワールドに入ってきた結果、そこそこ喋られるまでの自我を手にしているそうだ。

 私がウタウタの実を再び使えるようになった時には住人で相談して、姿を変えて私の前に現れることにした。私が混乱したりウタワールドに引き籠もろうとしないようにという配慮らしい。

 やがてTot Musicaがウタワールドで暴れるようになってウタワールドの住人は日々戦っていたそうだ。殆どの場所は奪われてしまったけどフーシャ村だけは守り続けることができていた。だからフーシャ村は平和だったんだね。

 

 現在の状況を教えてくれたベルメールさんに私は決心する。

 

「私があなたを閉じ込めているなら、私はベルメールさんを開放したい」

 

 心の中に閉じ込められるのはどのような気持ちなのだろう。わからないけれどそれがもしも苦痛なら私は開放したい。そう聞いてベルメールさんはニッコリと笑顔でこう返した。

 

「私はウタの心の中にいて辛いと感じたことはないよ。だからウタが決めてもいいし、私に任せてもらってもいい」

 

「ベルメールさんに?」

 

「ウタワールドにずっといたいっていう人もいるし、私みたいにどっちでも良いって人もいる。なら個々人の自由に任せていいんじゃないかな」

 

 まあその前にTot Musicaをどうにかしないといけないけどね。そういうとベルメールさんは立ち上がってルフィを起こしにかかった。

 

「さあルフィ、話は済んだから行くよ」

 

「んぇ?どこ行くんだ?」

 

「Tot Musicaが支配しているウタの心の深奥さ。何をするにしてもまずはあそこに行く」

 

 ベルメールさんが手をかざすと大量の茨が地面から飛び出し、やがて大きな穴を形成した。

 

「あれ、私の力が強くなってる…ウタとの繋がりが強くなったから?まあいいわ。行くよウタ、ルフィ、ここから先は危険だからしっかり警戒しな」

 

「うっし、んじゃおれが先行くぞ」

 

ルフィがいち早く飛び降り、続いてベルメール、最後に私が降りて茨の穴は完全に閉じた。

 

使用楽曲

ウィーアー!

逆光

世界のつづき




 描写を入れられなかったけどカリーナとあってたりローグタウン以降もしっかり歌の練習をしていたり、しています。

 ココヤシ村にはベルメールさんの墓の隣にウタの墓があって、生存確認された後はゲンさんがニッコニコで取り外してるといいと思う。

次は現実の方を進められればいいですね。

使用楽曲コード:07066627,N01175964,N01175967

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