もしもTot Musicaの代わりにうっせぇわを歌っていたら 作:匿名希望の雑草さん
ローグタウンでストリート・チルドレンとしてほっつき歩いていた頃、色々な戦い方を試していた。
剣・銃・槍、どれもしっくり来なくて少し触ってはまた別の武器に変え、また少し触ってはを繰り返していた。ルフィのゴムゴムのピストルが頭に残っていて、ルフィとおそろいの拳で戦う方がいいかなってとにかくジャブやストレートの練習をしていた時のことだった。
その頃のローグタウンは少し肌寒くて私は適当な家の屋根裏で寒さを凌いでいた。ふと下が騒がしいなと思って隙間から下階を覗くと。
『はい、アン・ドゥ・トロワ!アン・ドゥ・トロワ!』
と大人が子供にバレエを教えている光景が目に飛び込んだ。ここはダンス教室のスタジオでそうと走らずに屋根裏に忍び込んでいたんだ。
そういえばシャンクスといた時は踊ったり演技をしながら歌を歌ったなと思い出すと踊ってみたい気分になった。それにダンスは体を鍛えるのにちょうどいい。演技力も上がって歌って踊れる世界の歌姫ウタ!というのもいいよね。そう考え毎日夜、誰もいなくなったスタジオでおいてあった教本を手本に踊りの練習をするようになった。
このダンス教室はバレエやシャッフルダンスといった様々なダンスを教えていたようで一通りのダンスの教本がありそこにはちょっとした豆知識も載っていた。
知ってる?カポエイラはダンスでも格闘技でもあるんだって。それにブレイクダンスはそのカポエイラやカンフーを取り入れてるんだって。ということは私流にダンスと格闘技を融合させたものを作ってもいいじゃん!
しばらく練習を続けて行くと、私はどんどん強くなって気づけば誰も私に勝てなくなっていた。そろそろ島を出ようかと考えているといつも練習に使っているスタジオに一人の老人がいるのに気づいた。
『随分切れのある動きをするな、流石シャンクスの娘なだけある』
その男はレイリーと名乗った。このときは気づかなかったけど海賊王の右腕だった男だ。シャンクスから話を聞いてここまで来たんだって。それってシャンクスが私のこと気にかけてるってことだよね。なんだか嬉しい気分。
『気にかけているどころじゃないなあれは、ゴア王国のこともココヤシ村のことも知ってたぞ。随分と心配していて気をもんでいたからな、少し様子を見てやろうと思ったのだ』
心配はいらないみたいだがな。グイッとグラスに入れた酒を飲むレイリーに私はココヤシ村を救ってほしいとお願いした。この人なら簡単にアーロン一味を倒せるんじゃないかな。なら頼りたい。
『慈善事業は受け付けてなくてね。気が向いたときだけだ。いつか大きくなったときに自分でココヤシ村に行くといい』
けれどレイリーは断った。私は怒ったけど、『私は聖者ではないよ』となだめられて落ち着きを取り戻した。そうだよね。欲しいものは自分の力で手に入れないとだめだよね。ならともっと強くなる方法を教えて欲しいと頼んだ。
レイリーは更に力をつけるなら女ヶ島に行ってみるといいと言った。男子禁制の島でそこでは覇気と呼ばれる力が身につけられる。
『そうだ、女ヶ島のことを教えたお礼に君の歌を聞かせてくれないかな、シャンクスが自慢していたからな。エレジアでも褒められたそうじゃないか』
その言葉に私はすっかり気を良くして何曲も歌った。他人に歌ったのは久しぶりで嬉しくて、やっぱり歌が一番好きだな~って思えた。レイリーもシャンクスのことを話してくれた。宝箱の中に入っていた赤ん坊がシャンクスだったこと、ロジャー海賊団でのシャンクス、思えば他人から見たシャンクスをしらない私にとって新鮮な気分だった。フィガーランド家だってことはこの後にロジャー海賊団の足跡を調べて突き止めたことで、この頃の私はシャンクスも同じように宝箱に入っていたことを聞いてなんだか安心した。
『お前のことをたった1人の最愛の娘と言っていたよ。また会える日を楽しみにしてるとさ。だからもっと歌を上手くなって、父親に会いに行けるように応援するよ』
その次の日、私はレイリーとひとことふたこと別れを告げグランドラインに入った。もっと強くなって、もっと歌が歌えるようになるために。
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トットットットッ、一定のリズムでふみ鳴らす。
呼吸を整え、心を整理し、今だけを見つめる。
両手の拳を胸の辺りまで上げ、敵を見つめる。
名前の知らない海賊達が後ろから襲ってきた。どことなくクラゲのような前髪の男だ。私は斬りかかられる直前に足を組み替えながら避ける。そのまま1人目に蹴り、蹴りの反動で逆回転しながら2人目に裏拳。最後の1人に高速で近づきながらもう一方の腕でアッパーカットを食らわせる。
「ウタさんはボクシング、いや格闘するのか」
「半分だよ」
くるくると指を回しながら答える。長い間模索してとうとうたどり着いた、私だけの戦い方。ローグタウンのスタジオから私が築き上げた12年間の証。
いろんな国に行っていろんな歌やダンスに触れて育んだとても大切なもの。
「それはダンスアルか?いつもの電伝虫でやってるライブで見たことあるアル」
声の先にはうるティがいた。
「そうだよ。歌姫でもこれくらい出来なくちゃね」
ダンスに必要なのは足さばき手さばき、素早く切れのある動きでリズミカルに世界を表現し観衆を魅了する。歌だけじゃなくダンスも極めてこそ、世界の歌姫に近づけるの。
そして、ダンスは格闘に通じるところがある。バレリーナのしなやかで反りのある動きで敵を蹴り上げ、シャッフルダンスのリズムで相手の懐にもぐり込み強烈なアッパーを決める。
ウタウタの実が使えなくなった時、自分には何があるか考えてダンスで戦えばいいと気づいたの。それから私はウタウタの実が再び使えるようになるまでこれ一本で戦ってきたんだ。
歌とダンスが揃えば私は誰にも負けない。
「うるティ、あなたは百獣海賊団の海賊船で育ったって聞いたよ。私は赤髪海賊団の海賊船で育った。同じ四皇の海賊団で育ったもの同士、大人しくライブに参加するなら攻撃しないよ。でも、海賊なら欲しい物は奪う、そうだよね」
うるティは一瞬マスク越しに嬉しそうな顔をすると、すぐに獰猛な笑みへ変えた。さっき会ったばかりだけどうるティには何かシンパシーを感じていた。育ちが似ているからかな?
「そうだ。お前が実力行使するリアリストだから私はお前を好きになった!そうじゃなきゃここにはいないアル。ぺーたん、こいつは一緒にやるアルよ」
海賊が二人いて、目的が異なるのなら有るのは血みどろの戦い。でも勝つのは私だから。
「来なよ、私は最強だよ」
「は!お前が最強なんて馬鹿言ってんじゃねぇよ!!最強は!!!カイドウ様だろ!!」
うるティが襲いかかる、あれは頭突きの構えだ、来る!
「ウル頭銃!」
ステージにヒビが入る。空気がビリビリと振動し黒い稲妻が走る。あれは覇王色!?大きな衝撃に土煙が上がり辺りの視界を悪くする。
見聞色で音を探知すると死角から襲いかかる音を聞いた。
ページワンの牙を避けると、うるティが瞬時に移動し私の頭目掛けてモーニングスターを振りかぶった。バック宙をする要領で飛び上がりながら着地点のうるティの頭を手でつかみ、そのまま勢いをつけたまま地面へ叩きつけようとする。
「この!」
叩きつけられる直前うるティは体をねじり無理やり足から着地した。宙に浮いた私の体へ頭突きをかます。うるティの顔を思い切り殴りつけ、その反動で頭突きのダメージを最小限にする。このタイミングで襲いかかるページワンもいなす。
「グッ、ガ!」
うるティは頭を攻撃され少し意識が混同したのかフラつくがすぐに体勢を整えた。
ものすごくタフ!ゾオン系の古代種なだけある。
「ハッ!お前の攻撃なんて大したことねぇアル!ガフッ!!」
「結構効いてんじゃねぇか!姉貴無理すんな!」
武装色でそれも内部破壊の攻撃を受けたのだからそれくらいはダメージを負ってくれないと。とはいえ私も少し効いたかも。
「覇王色持ち、しかも私の武装色も耐えるタフさはもしかして覚醒済み?」
女ヶ島で教わった覇気は私の自信の一部になっている。億超えの賞金首だろうと叩き潰せるくらい練度を上げている。それを耐えるのは流石四皇幹部!とても鍛えてる。
「覇王色?何いってんだ。お前も歌えば勝確の能力者なくせに随分覇気を鍛えてやがる」
うるティとページワンは示し合わせたかのように人獣形態に変身する。私も更に覇気を練り上げる、より強く。より鮮明に音を聞き分ける。
「てめえの相手は俺だ!」
サンジがページワンを蹴り飛ばし引き離す。
「きゃー!!よくもぺーたんを!」
「あなたはこっち!」
動揺したうるティの鳩尾目掛けてパンチを浴びせる。
倒れない!耐久は四皇並なの!?
「は、は、捕まえた!!」
私の腕を掴みうるティが頭突きの構えをする。武装色を頭に集中!!
「ウル頭銃!」
間に合った!!武装色硬化でダメージを相殺!!
瞬間衝撃。
だけど意識は飛ばない。そのまま踵落としを食らわす。
そこからは殴る蹴るの応酬が続く。こちらはダメージを相殺できているとはいえ恐ろしいくらいのタフさで私の攻撃を耐えてくる。結局なんども殴ることでようやくダウンした。
歌無しだと四皇幹部クラスは体力を使うみたい。侮ってたし驕ってた。もっと強くならなくちゃ。
「カイドウ様…ヤマトのバカを見てないで…私を見てくれ…」
気絶する寸前にうるティがつぶやく。うるティはもしかして四皇カイドウに父親として認知してほしかったの?私はその辺の事情は知らないけどきっとうるティにも戦う理由があったんだ。きっとそれは私がシャンクスに持つ感情と少し似ているのかもしれない。シャンクス…もうずっと会ってないけど私はあなたの娘だからね。
はあ~。やっぱりそれぞれの事情があって戦ってるって思うとままならないね。相手の立場を考えるのも限度があるし、どうしようもない状況が多すぎるよ。
サンジもジンベエと協力して難なくページワンを倒したみたい。やっぱり能力者には海だね。海流がものすごい勢いでページワンを流していった。
えーとビッグマム海賊団もゾロ達が応戦しているしあっちに行くかな。そう思っていると海軍の方で動きがあったみたい。準備ができたのかな。
急に眩しい光が見えたので慌てて避けると私がいたところが熱を帯びて吹き飛んでいた。あれが黄猿、見たことのない男はもうひとりの大将かな。
うん、ムリ。歌おう。
歌って自分を強化しようとすると衝撃が走った。
あれ?私の見聞色も感知しない。
だれ?と言おうとすると息だけがでた。これは、まずい。多分私の能力完全に対策してる。さっと逃げようとするとサングラスを掛けた男の腕が木と化し行く手を阻んだ。
「なんじゃこれは?」
「ウタさんは大丈夫か!」
近くにいた2人が駆けつけてくれたので身振り手振りで声が出せないことを伝える。ウタウタの実でのテレパシーは歌っている間でないと出来ないのでどうしようもない。
「らはは、ウタウタの実を封じられた気分はどうだ?おまけに覇気も結構使った見てぇだしまだ手は残ってるのか」
「チッ!ジンベエ!俺が月歩でウタさんを逃がす!」
サンジが上を見るとすでに黄猿が迎撃体制を取っていた。あれでは逃げられない。
「空も対策済みだよ~」
「で、だ。シャンクスの娘なんてこの世にいちゃいけない存在のお前にちょうど見せたいものがあるんだ」
男の後ろからスタスタと小さな人の影がこちらへ近づいてきた。体は褐色で翼が生えていて、白い髪で顔は
顔は、、私そっくり。ちょうど幼い頃の私の顔つきだ。
背筋が凍る。反射的に両腕を抱くように掴む。
「よかったじゃねぇか。お前が死んでもお前の歌は残り続ける」
「なんじゃあれは!?」
「ウタさんそっくりじゃねぇか」
「言うなればお前のスペアさ!そして何でも言うことを聞く兵器だ!!」
そんな事可能なの!?私そっくりの子供を作って、しかも体をいじって!!??褐色になってるの絶対ジャルマックの好みでしょ!?いやそんなことより。
そんな事は許せない。兵器として子供を生産するなんて。私そっくりなその子は口を開き歌いだした。
【残念に 生まれ損なったあなたには どう足掻いても 見るも無残な生き先しか 残っていないから】
瞬間音が完全に消える。耳鳴りのキーンという音だけが聞こえる。
最初のワンフレーズしか聞こえなかったけど確かに私そっくりな歌声だった。
もう歌わなくてもいいのにあの子は歌い続けている。歌うことが条件なの?多分ナギナギの実の能力?
周囲の人の聴覚を奪う歌声なんて…私へのあてつけ?皮肉?こんなに悪意のこもった攻撃は初めて…
そうこうしているとあの子が近づいてきて私に殴りかかってくる。さっと避けるとしなやかな動きで追撃をかけてくる。…この動きは私の戦い方…そこまでコピーできるの?
『長い間模索してとうとうたどり着いた、私だけの戦い方』
さっきの私の考えていたことがリフレインする。武装色硬化をまとった腹に攻撃がもろに入る。強い、武装色硬化を貫くなんてまるで機械でも相手にしているみたい。
崩れる私にジャルマック聖が近づいてくる。
まだ手はある、Tot Musicaを歌えばこの事態を変えることが出来るかもしれない。使ったことはないしナギナギの実のような能力を打ち破れるかわからないけどかけるしかない。
息を吸って準備をしようとすると前にトラファルガー・ローが現れて私を何処かへ連れて行った。
使用楽曲
うみなおし
次回ジャンクスとロー激怒
ウタがミラーボール島に行ったかどうかでさんざん悩みました。結局行かずにグランドラインに直行しました。
素人目だけどワンピース公式youtubeにある振り付け動画は鍛えていないウタでも踊れるような配慮がされているように感じた。ゴードンさんが考えてたりして。
(ヒノカミ神楽とウタウタの実の相性は最高だと思います。炭十郎あたりがエレジアで継承すれば例え原作ルートであってもウタが生存出来るのでは?ネズキノコを食べなければ生存できるのであれば代替の手段を提供すればいい。でも師匠として相性がよさそうなのはジョジョのシーザーと徐倫。次点でリサリサ先生。ジャンプの垣根をこえるならヴァン・ホーエンハイム、彼なら同じ国を滅ぼしたものどうしウタの罪悪感を受け入れてくれる)