雁夜「あぁ、なんか、
鵺野『ふーん、でもスッキリしたぜ。ありがとな』
雁夜「そりゃどうも」
鵺野『ところで..........葵さんとはいつ結婚するんだ?』
雁夜「な、な、なななな、何で俺が葵さんと暮らしていることを知ってんだよ!!」
鵺野『さぁ?何でだろうな』
私の実家、禅城家の女は配偶者の血統における潜在能力を最大限引き出した子。
つまり、夫となる人物の秘めたる力を持った子どもを産むことができる家として有名だった。
私の娘たちもその例に漏れず、姉の凛が『
私にとって、凛と桜は大切な宝物。
そして..........夫にとっても、時臣さんにとっても、この子たちは宝物なのだろう。
私はそう信じていた.................つい数週間前までは。
数週間前、夫の弟子である言峰さんが屋敷にやって来た.............可愛らしい娘さんを連れて。
娘さんの名前はカレン。
言峰さん曰く、亡くなった奥さんに似ていると言峰さんが言っていた。
ちなみに、カレンちゃんはうちの娘たちと秒で仲良くなっていた。
応接室で、どうしてここに来たのかを時臣さんが尋ねた時、言峰さんはこう答えた。
『あなたと決別するため』
その言葉を聞いた時、私は耳を疑った。
あんなにいい関係だったあの言峰さんが?
時臣さんと決別?
私は何故かと言峰さんに問いかけると、衝撃の事実が判明した。
何と、時臣さんが凛か桜のどちらかを間桐の家に養子として出そうとしていたらしい。
このことを知った時、私の中で何かが切れた結果、人生の中で初めて時臣さんに怒り、そして気がついた時には離婚届を出していた。
でも、離婚したことに後悔はしていない。
ただ..........時臣さんに対して烈火の如くキレてしまったことが原因で、娘たちがギャン泣きしてしまったことは反省している。
その後、私たちは幼馴染の雁夜くんの家で暮らすようになった。
と言っても、海外だけどね。
葵「雁夜、色々とありがとう。何から何までお世話になっちゃって..........なんだか申し訳ないわ」
雁夜「いいんだよ、それに俺たちは幼馴染、だろ?」
葵「雁夜くん.......」
雁夜くんは相変わらず優しい。
娘たちも雁夜くんに懐いているし、このまま暮らしてもいいのかもしれない..........。
あれ?もしかして私、雁夜くんのことを.................いやいや!!そんなわけないわ!!
だって、雁夜くんは..........幼馴染.......なんだもの。
それに、雁夜くんには『初恋の人』がいるっていうし.................。
でも..........ひょっとして.................。
雁夜「葵さん?」
葵「ひゃあ!?」
雁夜「さっきからボーッとしてるけど.................まさか」
葵「あ!?いや、実は雁夜くんのことが好きだなんて思ってな」
雁夜「え」
あぁ、恥ずかしい.................まさかテンパって本音を言うなんて..........。
もう!!私のバカバカ!!
穴があったら入りたいわ.................。
雁夜「..........葵さん、一ついいですか?」
葵「.............何?」
雁夜「実は........俺の初恋の人は.....葵さんなんだ」
葵「..........え?」
雁夜「だから..........この気持ちは忘れようと思っていた..........でも....でも.................やっぱり葵さんのことが忘れられなかった!!」
葵「雁夜くん.................」
雁夜「葵さん..........こんなに頼りない俺だけど.....その....結婚を前提にお付き合いしてください!!」
雁夜くんの言葉を一つ一つ聞くたびに、私はこう思った。
雁夜くんは.................本気で私を愛しているんだと。
時臣さんのような気品さや知的な雰囲気はない、でも.................私の答えは既に決まっている。
葵「.................私ね、時臣さんと結婚した時にこう思ったの、『もう恋なんてしないんだろうな』って」
雁夜「葵..........さん?」
葵「でも..........人間って不思議ね。だって、今まで友だちだと思っていた人と一緒にいると、胸がドキドキしてずっと一緒にいたいって自然に思ってしまうんだもの」
雁夜「じゃ、じゃあ!?」
葵「不束者ですが..........どうぞよろしくお願いします」
こうして私は、雁夜くんとの結婚を前提に交際することになった。
言峰さんにそのことを伝えたら
『うん、まぁ、そんな気はしてました』
と、言っていた。
もしかしたら..........言峰さんは私たちのキューピッドなのかもしれない。
私は遠い異国の地でそう思うのだった。
言峰「父上、葵さんが結婚を前提に間桐雁夜と交際しているらしいですよ」
摛正「何!?ならばすぐに式場を」
言峰「父上、気が早すぎます」
摛正「ではケーキを」
言峰「いや、だから」
摛正「そうだ!!ウェディングドレスの予約を」
言峰「父上?」