海軍が誇るインペルダウン。世界最高の海底監獄と呼ばれるここには全6つの階層が存在する。レベル1から順に凶悪犯が収容されておりそれぞれのレベル毎に様々な拷問が与えられている。
しかし、このインペルダウンは世間にはレベル5までしかないと公表されているが実際には更に下のレベル6が存在する。ここには世界から抹消されるような凶悪犯が収容されており、何もない退屈と言う苦痛を与える所となっている。
そんなレベル6にノワールが“黒の英雄”と呼ばれる所以となった3人の海賊が収容されていた。彼らはまるで何かを待っているように檻に入れられてから一歩も動かずに座っていた。
「……来たか」
「時ハ満チタ」
「……」
ふと、何かを理解したように呟くと3人は立ち上がる。ここに入れられて初めて動き出した3人に牢に入れられた囚人たちはざわめきだす。
「何だ? こいつらいきなり……」
「お、おい。あれ……」
ざわめきが起こる中、一人の囚人が牢の外を指さす。そこには先ほどまで何もなかったはずにも関わらずに豪勢な扉が出現していた。そして、ゆっくりとドアノブが回り、扉が開く。
「……どうやら皆さん生きている様ですね」
現れたのは一人の女性であった。美しい容姿の多いこの世界においては格段優れた容姿ではないものの、全てを包み込むような母性を感じさせる雰囲気を出していた。
「さぁ、可愛い子供たち。同志を救いだしますよ」
「「「「「はーい!」」」」」
扉を通って複数の子供が姿を現す。全員が10歳程度の子供であったが刀や銃を装備した子供たちは異様と言えた。全員が3人の海賊が収容されている牢に向かっていく。その様子を見た一人の囚人が顔を青くして騒ぎ出した。
「こ、こいつ……! “大聖母”マザー・グースだ!」
「マザー・グース!? 懸賞金8億のか!?」
「いや、確か9億に上がっていたはずだ……。子供を使って海賊行為を行う最悪の海賊。子供たちには母の如く慕われている大聖母」
「だが確かその子供たちって……」
「そうだ。全員が裕福な家庭の子供たちだ。そいつらを利用する事で人質としても扱う外道だ……!」
囚人たちに良い様に言われているがマザー・グースは微笑むだけで何もしない。そもそも彼女の眼中に入っているかさえ怪しかったた。そして、子供たちの一人が牢に触れるとその牢は光だし、鉄格子は一瞬にして消え去った。
「っ!? なんだ今のは!?」
「悪魔の実の能力か……?」
囚人たちが驚いている中、ゆっくりと3人が出てくる。子供が3人の手枷に触れれば同じように消え去り、自由となった。
「体に異常はありませんね?」
「問題ナイ」
「強いているなら体が少し鈍ってしまっているくらいか」
「……」
3人とも腕を回したり手枷がついていた箇所をさするなどして動きに問題がないかを確かめている。目の前で簡単に行われようとしている脱獄に対して囚人たちは色めき立つ。
「お、おい! 俺らも助けろ!」
「そうだ! この牢から出してくれ! そしたらまた暴れてやるからよ!」
「今度こそ白ひげに復讐するんだ!」
「……うるさい連中だ」
そんな囚人たちに対してぎろりと睨みつけながらつぶやいたのは“犬獣”の異名を持つロックだった。彼は覇王色の覇気ではないが殺気を放ち、囚人たちに死の恐怖を叩きこんだ。
「っ! な、なんだ今のは……?」
「覇気、ではないよな?」
ただの殺気とは思えない濃密な恐怖に囚人たちは恐怖すると共に困惑する。しかし、それでもう充分と言わんばかりにロックはそれ以上の殺気はやめた。
「さて、今はどうなっている? 上が騒がしいが……」
「ふふ、何と今このインペルダウンに侵入者が現れたようですわ。名前はモンキー・D・ルフィ。貴方達を捕らえたノワールの実弟ですわ」
「! 成程。あの一族ならやりかねないな。目的は?」
「義兄、ポートガス・D・エースの救出」
「……成程な。それは入れ違いになった訳だ」
先ほど、エースは公開処刑の為にレベル6から連れていかれた。もう少し早ければ確実に出会う事が出来ただろうが現状では失敗したと言えるだろう。
「間もなくここにモンキー・D・ルフィ及びその協力者となっているエンポリオ・イワンコフがやってきますわ」
「ほう、あのオカマと共にか。それならば我らも急いだほうが良いだろう。看守が来た」
ロックは見聞色の覇気で複数の人間が階段を降りているのが感じ取れた。そして、その数秒後には看守数名が階段を降りてきて牢を出ている3人の海賊とマザー・グースを見て驚きを露にした。
「なっ!? 囚人たちが牢を出ているぞ!?」
「しかも手枷を外して……!」
「邪魔だ!」
ロックは驚いて固まっている看守たちに一瞬で近づくと両腕を獣の如く変形させて切り裂き、殴りつけて無力化する。
「流石は“犬獣”。約7億もの懸賞金をかけられるだけの事はありますわ」
「ふん。お前がそれを言うのか? てめぇは9億だろうが」
皮肉にも聞こえるマザー・グースの誉め言葉をロックは眉をひそめてそう返した。ロックにとって子供すら道具にして扱うマザー・グースの事がとても好きになれる存在とは言えず、反抗的な態度を取ってしまうが彼女はそれが子供らしいと慈愛が込められた笑みを浮かべる。
「……そんな事よりも俺達も任務を果たすぞ」
「あら、そう言えばそうでしたわね。では始めましょうか。ここに
「2人だな。後は話すらしていない。する必要もないってのもあったがな」
「分かりました。ではさっさと
「お、おい? 俺たちをどうする気だ?」
不穏な様子を見せるロック達に囚人の一人が恐る恐ると言った感じで問う。海楼石の手枷をされ、力をまともに発揮できない彼らに対して出来る事は少ない。
そんな不安を感じる囚人に対してロックは獰猛な笑みを浮かべて言った。
「単純な話だ。敵候補の
「ぎっ!?」
ロックは手始めと言わんばかりに近くにいた牢を切り裂くとそのまま中にいた囚人たちを殺していく。悲鳴すら上げる暇もなく呆気なく殺されていくのを確認しながらマザー・グースは微笑む。
「さぁ、子供たち。果物の準備は出来ていますか?」
「「「「「はーい!」」」」」
子供たちは様々な果物を掲げて見せる。そして、その一つに紋章のようなものが浮かび上がり色が変形していく。
「どうやら一つは手に入れたようですわ。ロックさん。その調子でお願いします」
「ふ、ふざんけんな! お前ら絶対殺して……!」
「大人シク死ネ」
喚きだした囚人が入れられた牢にピッタリと収まる鉄のキューブが高速で飛んでいき、中の囚人たちを一人残らず潰した。
「相変わらず使える能力だな。
ロックはそう言いながら次々と牢を襲撃していった。レベル6にはこれまでにない悲鳴と叫び声が響き渡り、それは階段を駆け下りていたルフィ達にも聞こえてきた。
「な、なんだ!?」
「麦わらボーイ! 気を付けなさい。明らかにただ事ではないギャブルよ!」
そして階段を下りきった先でルフィ達が見たものは牢が尽く破壊され、中にいたであろう囚人たちの無残な姿だった。そして、そんな中でたたずむ複数人の影。あまりの光景にルフィすら絶句する程の光景がそこには広がっていた。
「な、なんだよこれ……」
「ん? もう来たのか。意外と早かったな」
囚人を殺す事に夢中になっていた為か、見聞色の覇気でルフィ達の接近に気付けなかったロックが意外そうな顔でルフィ達を見てくる。一方で、イワンコフが彼が誰なのかを理解し、警戒する。
「麦わらボーイ。気を付けなさい。あれは“犬獣”。厄介な相手よ」
「“犬獣”?」
「懸賞金6億9000万ベリーでかつてグランドラインで大暴れしていた海賊よ。ヴァナータの兄であるノワールによってここに入れられたけどね。そしてそれ以外にもこの場にはヴァナータの兄が取られた者ばかりよ」
「へぇ、意外と詳しいなイワンコフ。インペルダウンに収容されているとは思えない情報収集だ」
イワンコフの説明にロックは獰猛な笑みを浮かべるがそんな彼をマザー・グースは制した。
「落ち着きなさい。悪魔の実はおおよそ回収できました。これ以上ここに居る意味はありませんわ。撤退しましょう」
「……ちっ!」
マザー・グースの言葉にロックは渋々賛同すると彼女が作った扉をくぐっていった。他にもシャハリヤールとウェンディ、子供たちも扉を通っていく。
「な、なんだ?」
「ふふ、モンキー・D・ルフィ。貴方の探している兄はあちらに入れられていましたわ。尤も、遅かったと言わざるを得ませんが」
「それってどういう……!」
「精々このインペルダウンから無事に逃れられますように。早くしないと
最後に不穏な言葉を言い残してマザー・グースは扉をくぐった。すると、扉は自動的に閉まると瞬きする間に消え去り、何事もなかったかのように静かな空間のみが残された。その場には、何が起きたのか理解できないルフィ達と何とか生きながらえた数少ない囚人たちが残されるのだった。
悪魔の実のメカニズムはネット上の考察で見つけた以下の物を採用しています
・悪魔の実はそれぞれ宿る果物が決まっている。
・それが近くにある場合はそれに宿る。
・無ければ世界にランダムで出現する。
その為、マザー・グースは様々な種類の果物を複数個用意してきたという感じにしています
次は一番書きたかったマリンフォード頂上戦争になります
ノワールの力
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本
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実