私がその子たちにあったのは10年も前になる。フラッと故郷に戻るガープがその日連れて来た二人の子供は自分の孫だと言い、海兵になりたいと言ったがために連れて来たと。突然の話に私は驚いたがガープの孫だ。将来有望な可能性が高いとして育て始めたが兄であるノワールの方は直ぐに頭角を現すようになっていた。
出会った当初から
それでもノワールは異例とも言えるスピードで出世していった。弟のルートも負けじと功績を上げていった。世間ではノワールを“黒の英雄”として称賛する声が上がり、海軍内でも将来の大将候補と言われる程になっていた。
しかし、私はそれを素直に喜べなかった。理由はいくつかある。一つ目はノワールが今も何かを思い詰めている事。10年も経ったのに傷は癒えるどころか深くなっているように見える。次にノワールの動きだ。そもそもアリゲーターを倒した時から彼は悪魔の実の能力を持っているようだがその詳細を人に話す事はなかった。力も完全に出している様子はなく、何故能力を隠すのかがずっと疑問に感じていた。
そして、これが一番の理由かもしれないがノワールの本質は海軍にはあっていない。海軍は正義の名のもとに市民を守っている。しかし、ノワールは違う。彼は
最近ではマリージョアに出入りする事が増えた。天竜人の一つであるアーズガルド家に気に入られているのは確認済みだが何をしているのかまでは分からない。流石に天竜人の周囲を確認する事は出来ないからな。
せめて彼が今後も海軍の英雄として活躍してくれる事を期待する事しか出来ないな。
ワシは正直に言ってノワールを異質じゃと思っている。バカ息子の長男だがワシが知らぬ間に出来ておった事も関係しているのかもしれん。
とは言え幼少期はそれはそれは可愛い孫の一人じゃった。「じいじ!」と言って笑顔で近寄ってくれるたびに心が癒されたものじゃ……。そしてルート、ルフィと孫は増えていったがノワールは兄としての自覚が目覚めたのか一歩下がった位置にいる事が増えた。
じゃが、ある日を境に代わってしまった。それは赤髪海賊団が故郷のフーシャ村に滞在するようになって暫く過ぎた頃じゃ。とは言えそれは親代わりのマキノから聞いた話であり、ワシが知ったのは赤髪海賊団が去ってからじゃ。ノワールは一人で泣いていた。その姿は
結果として分かったのは赤髪海賊団にはノワールたちと年が近い娘が乗っており、村にいる間は交流していたがある日を境に訪れなくなったという事。シャンクスの雰囲気と言葉から亡くなったと感じた事。そこで恋心を持っていたと気づいたと思われる事。
……正直、ワシは一体何を見ていたんだと思ってしまった。孫が苦しんでいたにも関わらずに気づく事さえ出来なかった。ワシは親として失格じゃ。
そう思っていたがノワールは海兵になると言いだしていた。ルートは元々なりたいと言っていたがノワールはそうではなかった。……あやつがなんの夢を持っていたのか思い出せないが少なくとも海兵になりたいと言った事は一度もなかったはずじゃ。そんなノワールが何故海兵になりたいと言い出したのか。それが痛い程伝わって来たからワシはルフィを山賊のダダンに預けるとノワールとルートをマリンフォードに連れて行き海兵になれるように鍛え上げた。
その結果、ノワールは大物海賊団を壊滅させられる実力を手に入れ、ワシとほぼ同じ海軍本部少将に、ルートも大佐まで昇り詰める事が出来た。世間ではノワールを“黒の英雄”と呼んでいるがその称号に相応しい実力を持っていると感じ取れる。覇王色の覇気の適正こそなかったがノワールは見聞色、武装色の覇気を使いこなし、更には六式すら習得して見せた。ルートも覇気こそ習得には至っていないが剃を用いた高速抜刀術による斬撃を主体とする自分の型を作り上げている。
「じいちゃん。どうしたんだ?」
白ひげ海賊団の船員であり、ルフィの義兄であるエースの公開処刑。それを阻止しようと現れるだろう白ひげ海賊団に備えて準備をしているとノワールを見つけた。馬鹿なルフィがシャボンディ諸島で犯した天竜人を殴り飛ばした件で出ていったが結果的に乱入したくまによって始末されたと報告書を出しておったの。
「なに、孫の様子を見に来ただけじゃ」
「……そっか。なら見ての通りさ。ルートも今朝目を覚ましたらしいし白ひげ海賊団との戦闘では充分力を出せるよ」
「……それなら良いんじゃが」
ノワールは笑顔でそう言ってくる。ノワールなら心配はしていない。じゃが、何故だろうか? この戦争が始まればノワールは何処か遠くの存在となってしまうような気がして来る。ウォーターセブンで婚約していた件と言いノワールは秘密ごとがおおい。それを包み隠さずに話してくれる日が何時の日か訪れるのじゃろうか……?
ノワールの力
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本
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実