まさかの乱入者であるルフィ達囚人241名はダイヤモンド・ジョズが開けた大穴に落下した事で、氷に叩きつける事なく助かる事が出来た。
脱出できたことでレベル6での虐殺を生き延びた元王下七武海のクロコダイルが白ひげへの攻撃を行い、それをルフィが阻止したうえで白ひげ相手に無謀とも言える張り合いを見せて協力体制に入る等の経緯を経て、再び戦場は動き出した。
「ルフィ。お前は本当に羨ましいよ。俺にはない、
一種のカリスマとも呼ぶべき素質をルフィは持っている。ノワールは幼少の頃からそれが何となくだが理解していた。そして、それはウォーターセブンで再開した時にはっきりと形となって理解できてしまった。
今もエースを救おうと海兵たちを潜り抜けて進んでいくルフィを支えようと様々な人間が手を貸している。それはとても数日程度で出来たとは思えない程の結束力を持っていた。それがどのような経緯であれ、今こうしてルフィの力となっているのだ。
ノワールの脳裏に、一人の少女が思い浮かぶ。死んだと思い、それに関連する音楽に触れずにここまで来た。結果として彼は野望とも言える夢を抱き、引き返せる場所を過ぎ去っていた。後はたった一つ、彼の号令で全てが終わり、始まる。たくさんの人々が彼の号令を今か今かと待っているのだ。
「センゴク元帥も動き始めたようだな」
眼下ではセンゴク元帥がエースの処刑を早めようと動き出していた。更には湾頭に海軍が開発した新兵器パシフィスタが複数体投入されているのがノワールの位置からでも確認できた。白ひげ海賊団傘下の海賊たちは白ひげの指示で湾内には入らずに周囲の軍艦に攻撃をしていたが、それがなく湾内に侵入していれば蓋をされた形となって窮地に陥っていただろう。
「……頃合いだな」
パシフィスタの投入により、白ひげ海賊団傘下の海賊たちは殲滅され始めている。このままいけば傘下の海賊たちは全滅し、互いの戦力差は更に海軍有利になっていく事になる。これ以上は
「戦場は最高潮を迎えた。これより我らが
『『『『『オオォォォォォォォォッ!!!!!』』』』』
パシフィスタの投入後、海軍は白ひげ海賊団を叩くために湾内を囲むように包囲壁を起動させる準備に入った。これにより湾内に閉じ込められる形となり、白ひげ海賊団を一網打尽に出来るはずだった。
「大変です! 氷に阻まれて壁が起動しません!」
「馬鹿な! 壁を起動させねば広場に上がられるぞ! 出力を最大にして起動させろ!」
青雉が湾内を凍らせた影響で壁が上がらなくなってしまっており、作戦がそもそも始められないという状況に陥りつつあった。それでも出力を最大にして壁を起動させようと海兵たちは部屋中を駆け回っている。
そこに、何かが投げ込まれる音とともに、部屋中に紫のガスが充満する。海兵たちは慌てて逃げ出そうとしたがその時には既に遅く、目や鼻、口から大量の血を噴き出してその場に倒れ込む。ガスは数秒ほどで空気に溶け合って完全に消失し、後には血で彩られた部屋と動かなくなった海兵の死体だけが残されたが、そこに一人の男が入って来る。インペルダウンのような黒い軍服に身を包み、赤い腕章をしたその男はガスマスク越しに荒く呼吸をしながら壁の操作盤に近づくとそれを修復不可能なレベルにまで破壊した。
「どうした!? 何が……! こ、これは……!」
そこへ、異変に気付いたらしい海兵が飛び込んできたが部屋の惨状に絶句していると男は振り返り、手に持ったグレネードランチャーをその海兵に向けて射出する。それは空気が抜ける音を出しながら海兵の腹部に直撃して先ほどと同じ紫のガスを出した。
「ご、ごれば……!??」
海兵は全身から血を噴き出しながら訳も分からずに部屋の遺体の仲間入りを果たした。男は用事は済んだと言わんばかりにその場を離れて行った。
……この部屋のような惨状は全ての壁の起動部屋で起こっており、中にいた全員がガスによって即死ししており、更に壁の起動盤も破壊されて海軍が想定していた壁の展開は不可能となった。
「元帥! 大変です! 壁の起動盤が破壊されて展開が不可能となっています!」
「何!?」
それはすぐさまセンゴク元帥にも伝えられたがまさかの事態に流石の彼も驚きを露にした。
「白ひげの仲間が潜んでいたのか? ……いや、ならばこのような戦況になる筈がない。奴の事だ。徹底的に裏をかくはず。ならば、これは第三勢力か? この戦争を利用しようとする者がいるのか?」
センゴク元帥の脳裏に、“黒の英雄”と呼ばれる人物が浮かんでくる。可能性が高い野望をうちに秘めたその者ならば可能ではないか? とは言え証拠はないとセンゴク元帥は首を振ってその考察を止めたが、それを後押しするように、マリンフォード正面より、白ひげ海賊団とは違う、統率された軍勢が向かってきているという報告が入ってきた。
「全軍、前進せよ」
オーダー001を受け取ったノワール配下の軍勢は、直ぐにマリンフォードに姿を現した。それらは“大聖母”マザー・グース、“剣牙”アリゲーターなどの海賊船が多数を占めており、乗っている物もその船員が多くみられた。しかし、それ以上に異質と言えるのが黒い軍服を着た不気味な者達と、本来ここに居るはずのない、世界貴族アーズガルド家の面々がいた。
「湾頭戦力を叩くぞ! シャハリヤール! 道を作れ」
「……」
先頭を行く船に乗り込んだ“犬獣”ロックは“千両箱”シャハリヤールに指示を出す。立場上は上であるロックの指示に従ってシャハリヤールは自らの悪魔の実の能力であるキュブキュブの実で鉄のブロックを船から飛ばしていく。それらは海に落下して足場となったり、軍船に直撃して甚大な被害を与えるなどしていき、露払いを見事に勤め上げた。更に海賊船から砲撃も行って上陸地点の確保を行っていく。
「っ!? パシフィスタだ! 奴は俺とウェンディで叩く! 行くぞ!」
「イイダロウ」
見聞色の覇気でパシフィスタの接近に気付いたロックは今度はウェンディと共に出撃する。自らの悪魔の実の能力の力で人狼になると船から跳躍し、向かってくるパシフィスタの前に踊り出る。一方のウェンディも背中から黒い羽のようなものを出すと一気に羽ばたき、ロックの後を追う。
「はぁっ!」
「……」
ロックは人狼になった事で強化された腕力でパシフィスタの首を切り落とし、ウェンディは黒い羽を用いてパシフィスタを切り裂いていく。海軍が作り上げた人造人間も億越えの大物海賊の前には硬くてデカいだけの人間と変わりはなかった。
そんな二人に鼓舞されるように軍勢は上陸に成功した。
「ウイルスランチャー放て!」
アーズガルド家一の武闘派であるアーズガルド・ヘイルダムは自分たちの親衛隊である黒い軍服を着た者達に指示を出す。彼らが武器として持っているのは壁の操作をする部屋で使われた細菌兵器である。それらが一斉に放たれる。その数は20以上。紫のガスを発生させたそれは海兵、白ひげ海賊団関係なく襲い掛かり、着弾した付近の人間を用いて赤い噴水をいくつも生み出していった。
「上陸地点の確保は成功した。……これより、我らは親衛隊を前衛としてマリンフォードに乗り込む! 目標はこの場の白ひげ海賊団及び海軍の約半数を殲滅する事! それと“白ひげ”エドワード・ニューゲートと“火拳”ポートガス・D・エース、海軍元帥センゴク乃至いずれかの海軍大将一人の
「「「「「オオォォォォォォォォッ!!!!!」」」」」
白ひげ海賊団と海軍によるマリンフォード頂上戦争。両軍の戦いは第三勢力の介入によって大きく動き出そうとしているのだった。
ノワールの力
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本
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実