英雄の孫にして革命家の息子の三兄弟   作:鈴木颯手

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やばい。なんかめっちゃ伸びてる……


第4話「ルフィ」

「おう、お前らがじいちゃんが育てている海兵か」

「は、はい! 海軍本部曹長コビーです!」

「同じく海軍本部軍曹ヘルメッポです!」

 

 祖父であるガープに呼び出されたノワールが船にやって来ると最近ガープが育てている二人の新兵が出迎えた。ノワールの目から見ても大物になりそうな原石と言える二人であり、将来が楽しみと言える者達だ。

 

「来たかノワール! これからわしと共にウォーターセブンに行くぞ!」

「ルフィに会いに行くんだな?」

「そうじゃ! 相変わらず察しがいいのぉ!」

 

 一蹴りで地上から船の甲板に上がったノワールに上機嫌なガープが簡潔に伝える。ノワールとしてもガープの突発的な行動は何時もの事であり、直ぐに何をするのかを察して指示に従った。

 そんなノワールを甲板に上がったコビーは憧れとも言える目で見ていた。

 

「ルフィさんのお兄さんにして海軍本部少将! 将来の大将候補と会えるなんて……!」

「弟のルート程ではないが様々な海賊団を捕まえて僅か22で少将か……。こりゃとんでもねぇ人物だな」

 

 ノワールとルートがガープの孫であるという話は知れ渡っている。英雄の孫もまた英雄に相応しい人物として海軍内で功績を上げ続けているのは海軍にとっても、その上の世界政府にとってもプロパガンダとして丁度良かった。

 

「懸賞金3億の“暴風”ウェンディ、懸賞金4憶8000万の“千両箱”シャハリヤール、懸賞金6億9000万の“犬獣”ロックなどの大物海賊を捕縛して更には懸賞金15憶の“剣牙”アリゲーターをあと一歩の所まで追い詰め、懸賞金9億の“大聖母”マザー・グースの海賊団を壊滅させるなどの凄い功績を残しています!」

「お前詳しいな……。まぁ、確かにそんだけ大物を倒していれば将来の大将候補って言うのも納得だな」

 

 まるでオタクかの様にぺらぺらとノワールの功績を話すコビーにヘルメッポは呆れつつも同意した。自分たちではどれか一つでも相手にする事は出来ないだろう。それだけの実力差があると理解していた。

 

「ようし! では出港するか!」

「了解。ついたら教えてね」

 

 ノワールは手伝う気はないようで出港準備で慌ただしく動く海兵たちを尻目に甲板にビーチチェアーを広げ座るとそのまま寝始めた。あまりにも自由過ぎるノワールに海兵たちはええぇ……、と言った反応を見せてガープは可笑しそうに大声で笑っている。

 そんな孫と祖父の様子を見てコビーとヘルメッポも茫然としていた。

 

「……ノワール少将ってやっぱりガープ中将の孫なんだな」

「中将の理不尽や自由奔放さをがっちり引き継いでいるからな」

 

 そんな彼らを乗せて船はウォーターセブンへと向かっていく。様々な人たちの再会の機会を乗せて。

 

 

 

 

 

 

 ウォーターセブンとは水の都として知られている。町中を水路が通っており、水路を用いた交通網が整備されていた。そんな都市にはもう一つの特徴がある。それは造船業が盛んと言う事であり、世界政府の船から海賊船までいろいろな船を作っている。

 ノワールの弟であるルフィ率いる麦わらの一味は少し前にこの町にやってきていたがその結果として様々な事件に巻き込まれる事となった。市長兼ウォーターセブン唯一の造船所であるガレーラカンパニーの社長であるアイスバーグの暗殺未遂にその容疑者が麦わらの一味の一人であるニコ・ロビンと言う事で町全体から追い回されたり、真の容疑者がCP9と呼ばれる諜報機関でありニコ・ロビンを攫って行ったが為に麦わらの一味と裏社会で解体屋をしているフランキーとその子分たち、真相を知り一緒についてきたガレーラカンパニーの職長達と共に司法の島と呼ばれるエニエスロビーに殴り込みをかけ見事救い出すと言ったなんとも濃い出来事が起こっていた。

 それ故に、ガープ中将の船が姿を現した時には島中が騒然となったがその足を止めさせることは誰にも出来なかった。それも当然でありただでさえ相手は海軍と言う事に加えてガープ中将とは英雄として名高く正面に立つ事さえ出来る者は少なかった。最後の砦とばかりにガレーラカンパニーの職人たちが止めようとしてもガープ中将に追い払われてしまい結果として麦わらの一味が匿われている建物の前まで到着を許してしまった。

 

「二人ともここで待て」

「「はい!」」

 

 恩人であるルフィと再会できることで落ち着きがないコビーとそのついでと言わんばかりにヘルメッポと共に待機命令を出すとガープは建物の扉、には向かわずにその横にある壁に向かうと思いっきり殴りつける。山さえ吹き飛ばすガープの一撃に木製の壁が耐えきれるはずもなく、凄まじい風圧を起しながら壁を粉砕した。

 

「うわぁぁっっ!?」

「ぐっ! なんだ!?」

「誰だ!?」

「お前らか。麦わらの一味とは」

 

 中にいた麦わらの一味とフランキー、海列車の駅長をしているココロとその娘チムニーはいきなりの事で戸惑いを露にする。そんな彼らに対して壁を破壊して中に入ったガープは周囲を見回す。

 

「モンキー・D・ルフィに会わせたい奴らが居るんじゃが……」

「海軍!?」

「くそっ! こんな時に……!」

 

 ガープが海軍と分かると臨戦態勢を取るがそんな事など眼中にないとばかりに鼻提灯を出して寝ているルフィを見かけると一気に跳躍した。

 

「なっ!? しまった……!」

「ルフィ!」

 

 一瞬にしてルフィとの間に入ったサンジとフランキーの間を飛び越えていったガープに焦りを見せるが止める間もなくガープの拳がルフィの額に直撃する。

 

「起きんか! 馬鹿者ォォォッ!!!」

「ぎゃあぁぁァァァッ!?」

 

 いきなりの攻撃にルフィは避ける事も出来ずに直撃を喰らいその場に沈みこむ。その場に小さなクレーターが出来る程の威力だが悪魔の実を食べてゴム人間となったルフィに打撃は効かないはずである。しかし、

 

「い、いてぇぇぇっ!! いてぇぇぇっ!!」

「いてえ!? 今のパンチだぞ!? ゴムに効く訳が……!」

「愛ある拳は防ぐ術なし。随分暴れてるようじゃの。ルフィ?」

「げぇっ!? じ、じ、じいちゃん!?」

 

 まるでこの世の地獄でも見たかのような真っ青な表情でそう言ったルフィに対して仲間たちは違う驚きを持っていた。

 

「じ、」

「「「「「じいちゃん!?」」」」」

 

 まさかルフィの祖父が海軍中将とは思わずに叫んでしまうが、サンジだけはルフィの兄であるルートが海兵だった事を思い出しており比較的驚きは少なかったがそれでもまさか中将の孫と言う事には驚きを露にしていた。

 

「ガープ中将にまだ孫がいたのか?」

「しかも海賊なんて……」

 

 一緒についてきた海兵たちはあまりの出来事に驚き、そう話しているがその声を拾った航海士のナミはその名に再び驚く。

 

「ガープ!? ガープって海軍の英雄の名前じゃない!?」

「何!? おいルフィ! 本当にお前のじいちゃんなのか?」

「そうだ! お前ら誰も手を出すなよ! 俺は昔、じいちゃんに殺されかけたんだ!」

 

 ルフィは恐怖を押し殺し仲間を守るように立ち上がる。そんなルフィの言葉を聞き殺されかけた?と疑問を持つがその答えを示すように第三者の声が聞こえてきた。

 

「ルフィ。それはじいちゃんの前で海賊王になるなんて言い続けるからじゃないか。少しは頭を使えばよかったのに」

「え、その声って……。に、兄ちゃん!!??」

「よっ、ルフィ。10年ぶりだな」

 

 ガープの背からひょっこりと姿を現したのはルフィの兄であるノワールだった。正義のコートを羽織り、気さくに話しかけるノワールに再び誰もが驚く。そして真っ先に反応したのはルートを知っているサンジだった。

 

「兄!? ルフィ、お前って兄が二人いんのか!?」

「二人? サンジ君、それってココヤシ村で話してくれた……」

「そうだ! ルートにいちゃんのにいちゃん! ノワール兄ちゃんだ!」

「ルフィ、お前も海賊らしく悪名を轟かせているみたいだな。俺の所にまで話が来ているぞ」

 

 そう言って笑うノワール。これ以降ルフィと親しく話をする事は出来ないだろう。そう言う思いを胸に抱きながらノワールを10年の距離を埋めるようにガープの横に並ぶのだった。

 

ノワールの力

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