「ルフィ、お前の仲間もいるみたいだし改めて自己紹介を。俺はモンキー・D・ノワール。海軍本部で少将をしている」
「海軍本部少将!?」
ガープの中将に次ぐ少将と言う地位に誰もが驚きの声を上げる。しかし、それ以上に驚きの表情を浮かべていたのはこの中で最も博識と言っていいニコ・ロビンだった。
「“黒の英雄”……」
「ん? そこの女性は俺を知っているのか?」
「ロビン、お前兄ちゃんを知っているのか?」
ニコ・ロビンの呟きに意外だとノワールは興味を示し、ルフィは兄を知っているからなのか何処か嬉し気に聞く。ニコ・ロビンは何処か神妙な顔をしながらゆっくりと話し始めた。
「モンキー・D・ノワール。海軍中将ガープの孫にしてそれに劣らない功績を上げている。詳しくは分からないけど本人が悪魔の実の能力者でその戦闘方法から“黒の英雄”って言う異名が付けられているって噂を聞いたことがあるわ」
「悪魔の実? 兄ちゃん悪魔の実なんて食べたのか?」
「ん? まぁ、そうだな」
ルフィの疑問に対してノワールは何処か言葉を濁して返事をする。そして直ぐに話を逸らすように会話を続ける。
「それにしてもまさか知っている人がいるなんてな。俺が活躍している地域はグランドライン中心だからあまり知られてはいないはずなんだけどな……」
「昔の仲間……、があなたの情報をよく持っていたのよ」
昔の仲間と言う所で少し嫌そうな顔をしたニコ・ロビンに対してノワールはふーんと軽く相槌をうった。しかし、興味なさげな言葉に反してその表情は鋭く、まるで敵かどうかを見定める様だった。
「そんな事より!」
しかし、話を置いてけぼりにされていたガープが遂に我慢ならなくなったのか大声を上げルフィを見た。
「お主海賊になりおって! わしがなんのためにお前を鍛えてやったとおもってるんじゃ!」
「だ か ら! 俺は海賊になりたいってずっと言ってたじゃんか!」
「赤髪に毒されおって……! 下らん!」
「し、シャンクスは命の恩人だ! 悪く言うな!」
「言うなとはなんじゃ! じいちゃんに向かってその口の聞き方はぁ!」
「ぎゃあぁぁっ! ごめんなさぁぁぁい!!!」
反抗するルフィの胸倉を右手でつかむとそのまま持ち上げる。そして左手は握り拳を作り直ぐにでも拳骨出来る状態を作っている。その様子に一味の誰もが慌てるが相手は海軍の英雄であり、ルフィ本人もこれまでの経験から反抗する気力がわかない程ボコボコにされてきたせいでジタバタともがく事しか出来ていない。
「まぁまぁ、じいちゃんも落ち着いて」
そんな一触即発の空気を止めたのはノワールだった。彼はルフィの胸倉を掴んでいるガープの右腕を掴み、少し力を入れる。それに気づいたガープもノワールをぎろりと睨みつけるがノワールも不敵な笑みを浮かべたままガープと視線を交差させている。
「……ふん!」
そしてガープは仕方ないとばかりにルフィを離した。それをみたノワールもガープから手を離しルフィの方を見る。
「やっぱりルフィは少しは嘘をついたり罠を張ったりを覚えた方が良いかもな。お前の直情的な性格は美徳かもしれないが海賊には向かないぞ」
「うるせぇ! そんなめんどくさい事俺はしない!」
「……そんなんだからウタに負け続けてたんだよ」
「違う! あいつが卑怯な手を使ったのが悪い! だから俺が勝ってた!」
「勝負に卑怯も何もないと思うけどな」
どこか悲し気な表情をしつつルフィの言い分に呆れるノワール。ウタの事を知らない他の皆は一体何の事だと疑問符を浮かべている。
「まぁ、お前がそのままでいるって言うんだったら俺も止めはしないさ。精々俺たちに捕まらないように気を付ける事だ」
「当たり前だ! 俺は海賊になるんだ!」
「だったらじいちゃんの攻撃を避けるか耐えきれるくらいには強くならないとな。今のままじゃ直ぐに全滅するぞ」
「っ!」
ルフィとてエニエスロビーでの戦闘がどれほど大変だったかを理解している。それだけにノワールの言葉に反論は出来なかった。しかし、直ぐに覚悟を決めた表情でノワールを見た。
「絶対に強くなってやる! 兄ちゃんたちよりもな!」
「ほう、それは楽しみだな。今のままじゃ俺が能力を使う必要もないくらいにお前らは弱いからな」
そう言うとルフィの額にデコピンを放つ。決してデコピンで出ていい音ではない鈍い音が響き渡りルフィの体が吹き飛ぶ。
「ぎゃあぁぁ!!!!!」
「なっ!? また……!」
「
「くっそー!!」
そんな風に戯れていると後ろの方が騒がしくなる。よく見れば麦わらの一味の一人である海賊狩りのロロノア・ゾロが海兵を相手に無双してこちらに向かってきていた。
「ほう、威勢のいいやつがいるようじゃな。よし! お前ら止めてみろ!」
「「はい!」」
ガープはゾロを見て物は試しとコビーとヘルメッポに命令を下す。ヘルメッポはククリナイフを両手に持ってゾロに切りかかり、コビーは二人を止めようと外に出てきたルフィの相手をしたが二人は呆気なく無力化されてしまう。
「へぇ、六式を使えるのか」
「コビーには武器を持たすよりこっちの方があっておるからの」
六式とは海軍、おもにCP9が用いる武術の事であり、一瞬で移動したり、鉄の様に体を硬化させる、空を飛ぶなどの人間離れした事が出来る技であった。それらを入隊してから一年も経っていないコビーが使えるという事実にノワールは面白そうな笑みを浮かべていた。
その後はコビーとヘルメッポがルフィとゾロと再会を懐かしんだり、シャンクスが四皇と言う地位にいる事、ルフィの父親の正体を明かされて誰もが驚くなどの出来事があった。そしてガープは用が済んだと船に戻る事を話した。
「そう言う訳じゃ。お前は孫だからこの島で捕らえるのは止めた! と、上にはうまくごまかしておく! ゆっくり滞在すると良い」
「言い訳になってないので逃げられたことにしましょう」
「ボガードさん。それで上手くいくと思います?」
「だが他に言い訳できるか?」
「あ、無理ですね」
ガープの言い訳にもならない起こった出来事をそのまま伝えるような言葉に呆れながらボガードが別の案を出すがノワールとしてはそれで許されるとは思えなかったが他に良い案もないとそれに賛同した。
「第一ワシは二人の付き添いで来ただけじゃからな。そいつらとはまぁ、ゆっくり話せ。わしゃぁ、帰る!」
「おう、じゃあな」
瞬間、ガープの拳がルフィにさく裂した。
「軽すぎるわぁ! もっとおしめ馬鹿者!」
「どーすればいいんだよ! 俺殴られただけじゃんか!」
「それでもわしは孫全員に愛されたいんじゃぁっ!」
「だったら愛される様な行動をすればいいのに……」
ガープの理不尽とも言える言動に麦わらの一味は血筋を感じ、ノワールは本人の態度のせいだと呆れていた。そんなノワールは気を取り直してルフィに話しかけた。
「そう言えばルフィ」
「ん? なんだ?」
「俺結婚する事になったんだ」
瞬間、その場が固まった。ガープですらノワールの言葉に唖然としている。
「え? そうなのか?」
「ああ、婿に入る事になってな。具体的な日取りとかは決まってないけど挨拶は済ませてある」
「ち、ちょっと待てぇい! ワシはきいとらんぞ!」
「ん? まぁ、最近決まった事だからな。発表するのはまだだいぶ先だ」
「そ、そうか……」
孫の結婚話が自分の知らないところで進んでいた。それが悲しくてショックを受けるガープに対してルフィは純粋に「おめでとー!」と言っている。
「あ、因みに嫁さんは秘密さ。じいちゃんにもルフィにもサプライズを用意しているから楽しみにしててくれ」
「おう!」
「そんな……。ワシは孫の嫁さんの顔を見れないのか!?」
「ちゃんと場所を設けるからそれまで我慢してよ」
あまりの発言にガープは茫然としていたがノワールや海兵たちに引っ張られて行き船へと戻る。
「じゃぁなルフィ。次に会う時にはもっと強くなっていてくれよ」
「おう! その時は兄ちゃんに勝つ!」
「……ふ、それは楽しみだな」
ルフィの無邪気な笑顔にノワールは小さく笑うと茫然とするガープを連れて帰っていった。
ルフィとノワール、そしてルート。彼らの再開は意外な形で、それも早く訪れる事になる。
ノワールの力
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本
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実