「よく来たな」
聖地マリージョア。そこには世界政府を作り上げた20人の王たちの末裔、世界貴族が住んでいる。余程の事がない限りマリージョアに外部の人間が入る事は出来ないと言っていいが例外はある。中の人が招待した場合だ。
「これから我らは家族になるんだ。頭を下げる必要はないぞ」
「それは有難い。俺も頭を下げる行為はあまりしたくないのでね」
マリージョアの一角にある屋敷。そこの応接間でノワールは3人の世界貴族と対面していた。現在の世界貴族にありがちな傲慢で他者を見下すような下種な性格はこの3人からは見受けられず、ノワールを一人の人間として見ている事が分かる。
「では早速だが我がアーズガルド家の婿に入るという事でよろしいな?」
「ええ、その代り俺も貴方達を
「構わんとも。我らとてお主の夢は魅力的だからな」
世界貴族、アーズガルド家当主は不敵な笑みを浮かべてノワールを見ている。その両隣には二人の男女がおり、男性の方はルートと同じくらいの年齢だが凶暴な目つきをしており世界貴族と言われても一瞬分からない程不良らしさが出ていた。女性の方は十人が十人美人と言える美貌を持っているが目つきは鋭く、キツイ性格をしている事がうかがえる。
「そちらの様子はどうなっていますか?」
「半数が理解を示した。残りは決行日に対処する」
「こちらも三分の一がこちらに従ってくれています。インペルダウンにも協力者を潜り込ませました。報告はありませんが少なくとも協力者は増えているはずです」
「それは素晴らしい。こちらも出来る限りのサポートはしよう。それで? 決行日は決めたのか?」
「……いや、まだだ。いい機会がなくてな。まぁ、何かあればすぐに教えるさ。尤も、俺よりもお前達の方が情報収集能力は高いと思うがな」
「ふ、確かに我らは世界中に情報網を持っているが海軍は別だ。海軍に限ってはお前の方が高いだろう」
「確かにそうかもな。そう言う訳で今日はここまでにしよう。良い話が出来てよかった」
そう言うとノワールは立ち上がり、出口の扉に向かっていく。
「……ああ、そうだ。七武海に関してですが“黒ひげ”と言う男が候補として挙がったそうです」
「“黒ひげ”……? 一体誰だ?」
「無名なようですがどうやら七武海に入るために色々と手強い海賊を探している様です。もし、その時に捕まえた海賊次第ではそれが決行日を決めるきっかけになるかもしれません」
「……そうか。なら“黒ひげ”と言う男の動向にも気を付けておこう」
「俺も自分の方で情報を集めておきます。それでは」
ノワールはそれだけ言うと扉を開けて部屋を出ていった。足音が聞こえなくなってからアーズガルド家当主はため息をはいた。
「全く、流石は英雄の孫だな。対峙するだけで強者だと分かる」
「そうですね父上。少なくとも私など勝てる相手ではないです」
当主の言葉に隣に座る男は賛同する。世界貴族とは思えない程引き締まった体から汗を流す彼の体は震えており、ノワールがどれ程の相手かを示している様だった。
「お父上さま。彼は何故婚姻に賛成してくれたのでしょう?」
「それはお前も分かるだろう? 彼の野望の為だ」
「……私を愛して、ではないのですね」
どこか悲し気に呟く女性に当主は複雑な思いを抱く。最初に迫ったのは女性からであり、その後に当主と取引をして婚姻に至った。内密に動いている為に自分たちとの関係を知る者は少ないがこれが愛あるものではないというのははっきりとしていた。
「彼には好意を寄せている人物がいるようだな。それも
「……ですがそれでもかまいません。私は彼の傍に居られるのならどんな扱いだって喜んで受け入れますわ」
「……それが非道なものでない事を祈っておるよ」
当主は野望の為とは言え娘を利用しているがそれでも幸せにはなって欲しいと心から願うのだった。
そして、決行日を決定する重要な事件が海軍にもたらされた。
―白ひげ海賊団二番隊隊長“火拳”のエースを“黒ひげ”マーシャル・D・ディーチが捕縛する。海軍はエースの公開処刑を決め、“黒ひげ”は王下七武海に任命された。
ノワールの力
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本
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実