英雄の孫にして革命家の息子の三兄弟   作:鈴木颯手

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夜にもう一回FILM REDを見てきます。なので次話が明日に投稿できないかもしれないです


第7話「舞台裏」

 シャボンディ諸島。ここは諸島と名が付けられているが実際には巨大なマングローブの集合体であり、その樹木より分泌されるシャボン玉によって独特な文化と風景を生み出している。更にここはレッドラインを超えて新世界に行く者達が集う場所であり、二つしかないレッドラインを超える方法の両方が集まる場所でもあるために中継地点としてにぎわっていた。

 それ故に海賊が多く、治安の悪い場所が多く存在した。その為に海兵も多く配置されていて常に海賊と海兵の争いが絶えなかった。

 しかし、そんなシャボンディ諸島において台風の目となる勢力がある。世界貴族、天竜人と呼ばれる者達である。手を出せば海軍大将が軍艦を連れてやって来る。それが出来る権力を持つ彼らに逆らう事など許されない。誰もが彼らの姿を見れば膝をつき頭を垂れて過ぎ去るのを待つしかない。

 

「何度来ても胸くそ悪いな」

 

 基本的に天竜人はマリージョアを出る際にはマスクをつける。これは下々民と見下す一般人と同じ空気を吸いたくないというプライドの表れであり、彼らがどれだけ見下しているのかが一目でわかるものだった。しかし、そんな天竜人にも例外は存在する。今街を歩いている不良の如き姿をした男もそうである。

 誰もが思うまい。海賊擬きのような不良の見た目をした男が天竜人、それもその中でかなりの力と影響力を持つアーズガルド家の長男だとは。天竜人には見えない姿、言動、態度が人々に天竜人として認識させずにいつも通りの風景を見せていた。

 そんな彼の前にはガタイの良い男に跨り治安の悪い地域を闊歩する同類(天竜人)の姿が映っていた。誰もが頭を下げる中あんな下種に下げる頭は無いと考えている彼は建物の影に隠れて相手、チャルロス聖を睨みつけていた。そんなチャルロス聖は彼の視線に気づかずにアイスを片手に街をさ迷っている。その場にいる人間からすれば今は生きた心地がしないだろう。

 その時、チャルロス聖の横を医者たちが通り過ぎた。彼らも天竜人への無礼は承知の上だったが急患を優先した結果の暴挙だった。しかし、それは当然天竜人への無礼としてチャルロス聖の怒りを買い、急患の男を殺してしまう。更には医者と一緒にいたナースを見て妻として迎えると決め、それを止めようと寄って来たナースの婚約者を銃撃した。

 

「……父上が勧誘しなかったロズワード一家。ある意味では正しい行動だったな」

 

 これ以上見るものはない。そう判断した彼がその場を去ろうとした時だった。チャルロス聖の前を堂々と歩く男が現れたのだ。その男は天竜人を知らなかったらしくチャルロス聖が怒りと共に銃を向けた時にはカウンターで切り殺そうと動くほどだった。しかし、それをチャルロス聖の後ろからやって来た()()()()()()()()が死んだふりをさせた事でそれ以上の行動はせずにチャルロス聖は去っていった。

 チャルロス聖がいなくなった後、女性が男に怒りをぶつけているが彼は面白いものを見たと意外そうな表情をしていた。

 

「“海賊狩り”のロロノア・ゾロ、だったか。成程、()()()()()()()()()()()()()()()()()()の事はある。世界の常識が良い意味で通じない」

 

 彼は口角を上げ、好戦的な笑みを浮かべると男、ロロノア・ゾロに背を向けて裏路地を歩き出した。

 

「彼らが大物になれば自然と我々と交流する数は増えよう。その時が敵としてか味方としてかは分からないがどっちだったとしても楽しめそうだな」

 

 彼はそう呟くと目当てである一番グローブで行われるヒューマンショップ会場へと足を向けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「“剣牙”のアリゲーターだな? 貴様の首もらっt……!」

「邪魔だ」

 

 とある町、そこの裏路地に立ち寄ったアリゲーターは目の前に立ちはだかり命を狙ってきた賞金稼ぎの首を瞬時に切り落とした。片刃だけののこぎりの様にギザギザが付いた剣は彼の異名となっている通り剣の牙と言えるものだった。

 そんなもので切ったにも関わらずに切られた男の切断面はキレイであった。それだけで男の剣の実力がうかがい知れた。

 

「……」

 

 無駄な事をしたと言わんばかりに剣を背中に背負うと再び歩き出す。かつて彼の後ろをついてきていた仲間たちはいない。新世界において一定の勢力を持ち、順当に行けば四皇クラスにまで昇り詰められたかもしれない彼の海賊団は突如として襲撃を受けた。

 

『悪いけど君たちには俺の実験に付き合ってもらうよ』

 

 彼の海賊団を襲撃したのは一人の海兵だった。それも将校ですらない、一等兵になったばかりのノワールだった。彼は誰もが見たことがない力をふるい、僅か一時間程でアリゲーター以外をみなごろしにすると彼と相対した。

 

『貴様……! 俺の首が狙いか!?』

『別に。俺の力の確認と強いて言うのなら手ごまの確保だ。どうだ? 俺の手ごまとなれば命は助けてやるぞ?』

『その台詞は俺を倒してから言うんだな!』

 

 アリゲーターはそう言って切りかかった。新世界に独自の勢力を持つだけの事はあり、武装色、見聞色の覇気を用いて攻撃を繰り返すがその全てを防ぎ、躱し、圧倒的な力で以てアリゲーターを瀕死に追いやった。

 

『ぐっ!?』

『思ったより強かった。きちんと準備をしてこなければ、力を手に入れて有頂天になっていれば敗北していたな。やはり力を手に入れただけでは意味がないな。自分の手足以上に扱えるようにしないと……』

 

 アリゲーターとの戦闘でデータを収集したらしいノワールは改めて彼の方を見るがその目は冷たく、返答次第では何の躊躇もなく殺してくると理解できる瞳をしていた。

 

『選べ。服従か、死か』

『俺は……』

 

 アリゲーターが選んだのは服従だった。とは言え心の底から服従したわけではない。いずれ機会を見て復讐する事を考えていた。しかし、その程度ノワールには予測済みであった。」

 

『っ!? 何をする!?』

『お前が俺に心から忠誠を誓うおまじないさ』

『や、やめ……。グアァァァァァッ!!!』

 

 その後、ノワールはアリゲーター海賊団の殲滅を功績として一等兵から一気に繰り上がり、准尉にまで昇格した。そこからは様々な大物海賊団を捕らえたり壊滅させていき今では海軍本部少将となり、将来の大将候補として様々な人から慕われ、尊敬される存在となっていた。彼の動き次第でそれに追随する人は数多くいる。それが彼がどれだけの偉業をなしてきたのかを物語っていた。

 そして一人生き残ったアリゲーターはノワールからの密令を受けながらノワールの夢の為にこき使われる毎日が始まった。そして、その日々の中で気付けばアリゲーターの反抗的な心は消え、まるで神を信仰するような崇拝の気持ちが出てきていた。

 それだけに彼はお目当ての場所にいた人物を見つけると獰猛な笑みを浮かべてこう言った。

 

「我らが()()の為に働く気はないか?」

 

ノワールの力

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