初めて誰にも渡したくないものが出来た。譲りたくないし、渡したくもない。誰かの手に渡るところなんて絶対に見たくもない。もし、他の人と親しそうに話しているところを見てしまったら私は本当に何をしてしまうか分からない。
誰よりも沙花叉は飼育員さんのことが好きだ。愛していると言ってもいい。いや、愛しているなんて言葉では足りないぐらいに沙花叉は飼育員さんのことを想っている。
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「ごちそうさまでした」
沙花叉は配信を終えて、すぐにある一部屋に向かった。その部屋とても綺麗に整頓されているが…暗い。そしてその部屋の中央に椅子が固定されており、その椅子の上に成人ぐらいの男性が固定されている。男は目と口を布で塞がれており叫べない状態になっている。
「来たよ。飼育員さん」
「…………」
「口を塞いでいたんだったね。はい、これで喋れるようになったでしょ」
「…ど、どうして…さかまた…」
「沙花叉は嫌だったんだ。飼育員さんが他の人と楽しそうに話していたり、勝手に沙花叉の飼育員さんに触ったりするのが許せなかったんだ。沙花叉の飼育員さんだったらお世話をするのは沙花叉だけ」
誰だって自分が好いている人と異性が親しくしていたら嫌な気持ちになるよね。それと同じで沙花叉は飼育員さんが他の人と親しくしているのが許せなかった。
だから、沙花叉は飼育員さんが絶対にどこにも行かないように閉じ込める事にした。もっと早く閉じ込めておけば良かったんだ。そしたら飼育員さんが女と話して腹立たしく感じることもなかったんだ。
沙花叉以外とは絶対に接触が出来ないようにすることにしたんだ。そうすれば、飼育員さんは私から離れることはない。もう一生、飼育員さんのことを離す気はない。
「これからずっと沙花叉と一緒に暮らすんだよ」
「…いまならなかっ「絶対に離さないよ。飼育員さんは分かってないんだよ。沙花叉がどれだけ飼育員さんのことを想っているのかを」
沙花叉は飼育員さんの顔を両手で抑えて、唇を奪った。どれほど、この時を待ちわびたか。
「飼育員さんのファーストキスは沙花叉のもの。飼育員さんの唇は沙花叉専用。これから一生」
その時の沙花叉の表情は…誰も見たこともないほど笑顔だった。まるで子供が欲しいものを手に入れたかのように。そこには普段の沙花叉とは少し違う、沙花叉が居たのは確かだった。
そしてそれから男の姿を見た者はいなかった。沙花叉以外にはね。
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