ある駅の前に紫っぽい髪色をした女の子が端末をいじりながら誰かを待っているようだ。見た目は高校生ぐらいで黒い帽子を被っている。顔も整っている事から道行く人からの視線も多く浴びている。本人は全くそんなことを気にしていないようで視線はずっと端末を見ている。だけど、その表情は少し曇っているようだ。
それから十分ぐらいして彼女の元へと一人の男が掛けていった。
「ご、ごめん……はぁ……」
「もう遅い!」
「本当にごめん。寝坊してしまって」
「それだったら連絡してくれればいいのに…。全く連絡なかったから事件にでも巻き込まれたんじゃないかと思っちゃったじゃん」
「それは本当にごめんね。僕がちゃんと連絡しておけば良かったよ」
今回に関してはボクが全部悪い。トワさんを待たせてしまった自分が全ての責任。一応、会社には少し遅れると連絡はしてあるから少しなら遅れても大丈夫。それにここからなら10分もしない内に事務所には着ける。着いたら謝らないとな…。
「では事務所に向かいましょうか」
「うん」
二人で歩いているとさっきまで不機嫌さを一つも感じなかったトワさんから不機嫌オーラみたいなものが出始めた。こんな事を言っても誰も信じてくれないだろうけど、トワさんといる時間が長かったから何を考えているのかが少し分かるようになった。
「さすがに怒っていますか?」
「ううん。別に」
明らかに怒っている。言動にも感情の全てが出てしまっている。マネージャーとしてタレントに任せるなんて言語道断だからな。
「怒ってますね。どうしたら許してくれますか?」
「……アイス……」
何か言ったのは分かるんだけど、何を言ったのかその内容までは聞こえてこなかった。
「アイス買って!」
トワさんがアイス好きなのは知っていた。前に一度だけ奢ったことがあったから。でも、まさかアイスを奢るだけで許してくれるとは思ってもいなかった。
「う、うん。分かったよ。全ての収録が無事に終わったら帰りに買いましょう」
今日の収録はある程度長いから帰るごろには日暮れの頃になるだろうけど、そこら辺は仕方ないか。
「絶対だよ!」
「はい、分かっていますよ。約束はちゃんと守りますよ」
その後、トワさんにアイスを奢ることになったのは言うまでもない。
でも、アイスを食べている時のとてもいい笑顔を浮かべていたトワさんの顔は忘れられない。アイスを奢っただけであんなに良い笑顔を浮かべてくれるなら毎日のように買ってあげてもいいなと思ってしまったのは秘密だ。
投稿頻度はかなり落ちてしまいます。
続きを書いて欲しい話がある?
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