「プレイボール」
その掛け声と共にビッチャーがボールを投げて試合は始まった。
「ほら始まったよ!!興奮するね!」
そう話している天音さんの方が興奮している気がするけどな。僕は野球に関してはルールを少し知っている程度でそんなに詳しいわけではない。
「ほらキミも立って!!応援するよ!」
「う、うん」
そして予想以上に僕も盛り上がってしまった。ホームランが出たりすると盛り上がりも最高潮になり、近くの人とハイタッチをしたりもした。
そうこうしている内に4回裏まで終わり、時間は20時の差し掛かっていた。
「天音さん、食事はどうしますか?なんか適当に買ってきましょうか?」
「い、いや…弁当をつくったんだけど…」
「本当ですか?」
「う、うん。だから良かったら一緒に食べないかな?」
「天音さんが作って来たものなら、ぜひ食べてみたいです」
天音さんとの付き合いは長い方だけど、出掛けたりすることがあんまりなかったので天音さんの料理の腕に関しては知らないのだ。
天音さんはカバンから二つの弁当箱を取り出した。そしてその内の一つの弁当箱を渡してくれた。弁当箱を開けるとそこには色とりどり料理が詰められていた。
「きれい!すごいね。こんなの作れるなんて」
「今回はすっごく張り切ったからね!」
僕はまず最初に目についた、だし巻き卵をはしで取り、口に運んだ。
「う~~~おいしい!!天音さんがすっごく美味しいよ!こんなに美味しいだし巻き卵を作ったのは初めてだよ」
「そ…そっか……それは良かったよ…///」
そして今日の試合は逆転で買ったので色々と盛り上がった。逆転した瞬間なんて天音さんと抱き合ってしまった。今、思えばよくそんな事をしてしまったなと後悔しているが、天音さんがあんまり気にしていないのならこっちが気にしなくても良いかな。
「今日の試合はすごかったね!!」
「うん!あんまり野球のルールを知らない僕でも盛り上がりましたよ!それに天音さんが野球のルールに関しては途中で解説してくれたりしてとても分かりやすかったですし」
多分、野球のルールに疎い僕を見かねてルールを説明してくれたんだと思う。ルールを知らないような人に一から教えるのはとても苦労したんじゃないかな。
「そ、そうかな……ボクはキミが楽しめたなら良かったよ!」
「すごく楽しめたよ!」
それから帰路に付きながら今日のことについて語り合った。あそこのホームランがすごかったとか、先発ピッチャーの投球のここが良かったよね、などなど。
「ここで大丈夫だよ。もう家は近くだし」
「そうですか。今日は本当に楽しかったです!誘ってくれてありがとうね」
「……う、うん…///」
「天音さんが色々と説明してくれたお陰で野球のルールも知れたし、野球のことが好きになったよ」
今まであんまり知らなかった野球を今日一日で好きになれたのは天音さんのお陰だ。
「あ、あの!!」
「ど、どうしたんですか!?」
「も、もし、よろしければ次も一緒に行きませんか!??」
急に大きな声で言うものだから、一瞬驚いてしまった。
「…はい、喜んで!」
「ぜ、ぜったいだよ!約束破ったらおこるよ!」
「はい、大丈夫ですよ。絶対に約束は守りますから」
そして僕は天音さんが家に帰っていく姿を見送って、自分の家へと帰る事にした。
――――――――――――
天音かなたは部屋の扉を開けて中に入っていった。玄関で急に力が抜けたように膝から崩れ落ちてしまった。
「はぁ、はぁ…きんちょうした~~ それにしても…」
天音かなたは自分の手を見つめたり、自分の服の匂いを嗅ぎ始めた。彼女のことを知らない人が見たら、変な子と思われるような行動。
「だきついちゃった……」
抱き着いた時の感触を思い出すように天音かなたは自分を抱きしめた。その時の顔は目にハートを浮かべているように見えるほどにうっとりとしていた。
「今度も試合も逆転だといいな……」
続きを書いて欲しい話がある?
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