今まで博衣さんの助手として様々なことを手伝って来た。それは博衣さんの力になれるならどんなことでも良いと思っていた。でも、まさかそれがこんな結末を生むとは思っていなかった。
「じょしゅく~~~ん」
甲高い声が響き渡る。勿論、その声は男の耳元まで届いている。
「……」
男は自分の口を塞いで声や吐息が漏れないようにしている。男がなんでこんな事をしているのかはすぐに分かる。
「どこに隠れてもこよは絶対に助手くんがどこに居たのかは分かるんだ~野生の直観というなのか、はっきりしたことは分からないんだけどね………クンクン」
「…………」
「…ほら見つけたよ。こよから逃げられると思わない方がいいよ。これ以上、逃げられるとこよもさすがに面倒だし、ごめんね」
そういって、こよりはポケットから注射器を取り出してきた。明らかに何等かの液体が入っているが、それに関しては考えない方が良いかもしれない。この状況で体に良いものなわけないのだから。急いで男は注射器を指されるよりも前にも逃げ出す。
だが、こよりも逃がすつもりは全然ないらしく注射器を何故かビッチャーのように構えだした。
「絶対に逃がさないよ~」
そしてこよりは構えから勢いよく注射器を投げて、その注射器は逃げている男に直撃した。すると男の足は止まり、急に倒れた。こよりはその様子を眺めながら一歩一歩と倒れている男の元へと歩み寄る。
「助手くん。こよから逃げられると思わないでね。こよは絶対に助手くんのことを手放さないからね。だから、こよから逃げようなんて考えないでね。また逃げたら、こよはキミのことを捕まえないといけないからさ」
――――――――――――――――――
男は誰かの呼びかける事で目を覚ました。だが、起きたばかりということもあって視界はぼやけていて正確な状況を掴めていない。だけど自分を起こした人物の声には聞き覚えがあると男は感じた。
「やっと目を覚ましたね、助手くん」
男の視界にはピンクのコヨーテが笑顔を浮かべている光景が映っていた。男はどうにか逃げようと動こうとしてやっと自分が置かれている状況を理解し始める。
「は、はくいさん」
男の手は縛られていて椅子に固定されている。まるでもう逃げられないように捕らえられているかのように。
「そんな他人行儀な呼び方止めてよ。こよはなんて呼んで欲しいって言ったっけ?」
博衣こよりは男の耳元で囁くように話した。
「…う…う……こよりさん……」
「こより」
「…こより」
「よくできました!これからはずっとそう呼んでくださいね」
こよりによってはよほど嬉しいことなのか、あふれんばかりの笑顔を浮かべている。
「…は…こ、こより」
「なんですか?」
「手の拘束を解いてくれないですか?」
「その頼みは聞けませんね。こよは助手くんとずっと一緒に居たいんだよ。この拘束を解いてしまったら助手くんは絶対に逃げ出すでしょ。また捕まえるのはさすがに疲れちゃうしさ。それにこのままの方が助手くんのことを好きに出来るじゃないですか」
こよりの目は男しか捉えていない。取って食おうとしているんじゃないかと勘繰ってしまうほどにこよりは鋭い眼光をしている。
「………」
「じっとしててね…こよはなるべく優しくするからね」
それからどうなったかは誰でも分からない。
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