僕は最終的に仕事を辞めることにした。これ以上、すいせいさんに心配を掛ける訳にもいかないので。だから、仕事を辞めてから家の家事全般を僕がやることにしている。お金は稼いでもらっている以上は僕が家事をやるのが当たり前。
そして今は朝食を作るためにキッチンにいる。でも、食事を作ることが出来ない。その理由は僕の胸辺りに両腕を回して抱きしめている、すいせいさんがいるから。
「ねぇ、そろそろ離れてくれないか?」
「い・や・だ」
「この状態じゃ朝食を作ることが出来ないんだけど…」
「じゃあ、朝食は後にしてすいちゃんにかまって」
「すいせいさんは今日、昼事から仕事だと言っていませんでした?」
だから、いつもよりも早く食事の支度をしようと今日は早起きをしたんだ。
「そ、そうだよ」
「それだったらそろそろ朝食を作らないと間に合わなくなっちゃいますよ。だから離れてください。もし、すいせいさんが火傷をしてしまったら嫌なので」
さすがにここまで言えばそろそろ離れてくれるかと思ったが、逆にすいせいさんの抱きしめる力は強まっていくのを感じる。
「いいよ。だ、だったら適当にコンビニで買っていくから……。すいちゃんはキミとの時間を大切にしたいの。仕事を辞めてくれらから少しでも一緒に過ごしたいの!今まで一緒に居れなかった分を堪能したい」
「それは嬉しいですけど、すいせいさんは僕の弁当はいりませんか?」
「……ほ、ほしいに決まってるよ。キミの作るお弁当はとても美味しいんだもん。それにキミがすいちゃんのために作ってくれたお弁当が美味しくないわけがない。世界で一つだけのお弁当だから」
後ろを振り向かなくとも恥ずかしがっているのがすぐに分かってしまう。何だかんだ言ってすいせいさんは僕のお弁当を気に入ってくれているらしい。
「そこまで言ってくれるなんて嬉しいよ」
「これでも言い足りないよ!キミのお弁当は本当に美味しいんだよ!!もっとキミも自身を持って!だけど、一つだけ心配がある?」
「心配?」
「うん。キミが他の人にこの料理を食べさせないかの心配」
「…?」
「キミの料理はとっても美味しいよ。だからこそ、この料理を他の女に食べさせたりしないかが…」
僕はすいせいさんの両腕をを解いて向かい合う形となった。そして少しかがんですいせいさんの耳元で話した。
「大丈夫ですよ。すいせいさん以外には食べさせないですから。僕はすいせいさんが好きですから」
すいせいさんがそこまで心配するのなら他の人には料理を振舞わないようにしよう。すいせいさんを悲しませるような事はしたくないですし。
「………///」
「……だ、だいじょうぶですか?少し顔が赤いようですが。も、もしかして風邪かもしれません!すぐに体温計を取って来るので椅子に座って待っててください」
――――――――――――――――
キミが体温計を取りに行くためにリビングを出たのを見送ってから私は膝から崩れ落ちた。
「はぁ……やばい…」
今の私はとても赤くなっているのが自分でも分かる。もし、ここに友達が居たらからかわれてしまうか、熱を疑われてしまうほどに。
「なんで、キミはああいうことをするのかな……こっちがやられちゃうよ…」
キミは何でか恥ずかしい言葉を普通に言えるんだよね。私もそれなりに押しが強い方だけど、キミは私以上だなんだよね。キミが相手だとすいちゃんが受けに回っちゃうもん。
「キミぐらいだよ。すいちゃんをここまで追いつめて来るのは……」
続きを書いて欲しい話がある?
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