「ご主人がいないと生きていけない…です」
僕の家で雇っているメイドさんがそんなことを言い出した。
「……?」
「だから、ご主人がいないと生きていけないんです!!」
「いや、それは聞こえてるんだけど……どういうこと?」
「あてぃしってご主人に迷惑を掛けることも多いですよね…」
まあ、確かに。本人には絶対に言わないが、この人にメイドは向いていないんじゃないかとは思っている。
「絶対に他の家だったら辞めさせれていたと思うんです……」
「…………」
まあ、確かに皿を割られたり、電子器具を壊したりと数えていたら切りがないほどの事を起こしているからな。他の家だったら辞めさせているのかも。
「だから、ご主人が雇ってくれないとあてぃしはメイドを続けられないんです」
「いや、そんなことを急に言われても。それに別に湊さんを急に辞めさせるなんて事はしませんよ」
「え、ほんとですか?」
「うん。なんでそう思ったの?」
「だ、だってご主人の書斎を通しかかった時に「止める」「止めさせないとな」とか言ってたじゃないですか」
「……ああ、それは『タバコ』のことですよ。親父が肺の悪いのにタバコを吸っているから止めさせないとなと考えているんです。親父も年なので。そして僕も少しずつですけど、タバコを止めていこうかなと」
僕の言葉を聞いて安心したのか、湊さんは膝から崩れ落ちた。よっぽど心配だったんだな。
このままタバコを吸っていると早死にする気がする。まだやらなきゃいけない事も多く残っているのに死ぬ訳にはいかない。それにこの屋敷にはメイドさん以外のも執事などたくさんの人がいる。この人たちは路頭に迷わせる訳にはいかないからね。
「そうだったんだ……」
「はい、だから、湊さんを辞めさせるなんて事はないので安心してください。でも、皿を割るのは減らしてくださると嬉しいです。お皿だけで毎月10万以上の出費になっているので…」
このままのペースでお皿を割られると年間で120万円以上の出費になってくる。まだ……それだけ…いや、それだけでもかなり問題なんですよね。でも、それはお皿だけ。全てを合わせればどれだけの出費をしているのかはもう数えてない。だって切りがない。
「…なるべく頑張る」
「そうしてもらえると助かります。少しずつでも家事に慣れていきましょう」
今はまだメイドとして完璧とは言えないけど、いつかは完璧なメイドになってくれると信じよう。その日がなるべく早く来ることを切に願う。
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