「私、頑張ったよ」
明らかに褒めてほしそうな顔を浮かべてこちらを見ている人が一人。その人はピンク色と青色の髪色をしていて、猫耳がピョコピョコとしている。人が見れば可愛いと言って何でも許すのかもしれない。だが、僕の目の前に広がっている光景は…可愛いからとかで許せる範囲ではない。
皿は割れ、水は床にこぼされてるし、洗濯物は床に放置されてるし、お菓子の袋がテーブルに放置されていたりする。
「僕はキミに掃除を頼んだと記憶していたんだけど、違ったかな?」
「…そ、そ、そう、だよ…」
「僕が帰ってくる前よりも散らかっている気がするけど気のせいかな」
「……………」
最初の褒めてほしそうな顔とは打って変わって今は泣き出しそうだ。多分、本人としては精一杯頑張ったんだろう。ふざけたわけじゃなくて本気でこの惨状だと何とも言えなくなってしまう。最初の頃は何度、メイドさんを業者に問い合わせ変えようと思ったか分からない。
でも、ここまで来るともういっそスゴイと言っていいかもしれない。やろうと思っても部屋をこの惨状にするのは難しいんじゃないかな。
「はぁ……でも、頑張ってくれたんだよね。なら、仕方ないよ。少しずつ家事を覚えていこうね」
僕はあくあの頭を優しく撫でながら言った。人を成長させる時に褒めて伸ばす方が良いのか、厳しく叱って伸ばすのか、本当はどちらの方が良いのだろう。その人に合った方法があると思うんだけど、だとしたら、あくあに合うのは褒めて伸ばす方なんだろうか。
「う、うん。わかった、頑張る!」
「焦らなくていいからね。少しずつで本当にいいから…」
また何かを壊されたら後々、面倒だからね。
「じゃあ、これを片付けますか」
「わ、わたしも「キミはいいよ」」
「……だ、だってこれをやったのは私だよ」
多分、あくあは自分でやったことなんだから、自分で片付けるべきだと思っているんだろう。
「キミはこれから配信だったんじゃないかい?」
うちのメイドはメイドの仕事以外に配信の仕事もしている。 よく兼業でどうにかやりくりしているなと感じてしまう。メイドの方はお世辞にも…完璧とは言えないが意欲は買っている。
「あ、」
「だからまずは配信をしてきな。遅らせるわけにもいかないだろうし、片付けなら僕一人だけでも出来るからさ」
「で、でも」
「僕はキミが配信しているところを見るのが一番好きなんだからさ」
「…………///」
あくあの顔は赤く染まっていき、頭から蒸気が出ているように見えるけど多分、気のせいだろう。
「お~い。大丈夫?」
「……………」
このままじゃあ、後十分ぐらい固まってそうだから、あくあの耳元で囁くように呟いた。
「あくあ」
「え……」
「配信の時間が近づいて来てるよ。急がなくていいの」
「あ、急いで準備しなくちゃ」
そう言って駆け足で自室に戻っていった。その後ろ姿を見送りながら僕は目の前に広がっている光景を見ながらため息を付いて、片づけを始めるのであった。
続きを書いて欲しい話がある?
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ある
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ない