今日もいつものように事務所で星街すいせいとマネージャーが話している。端から見てもマネージャーから見ても普通に話しているだけで別に特段変わったことはない。
「ねぇ…マネージャーさん」
「どうしたんですか?今日は事務所に来る予定ではなかったと思うんですけど…」
「うん、今日はちょっとマネージャーさんに急用があって」
「え、なんですか?」
「ちょっと…この紙に書いてあった言葉を言って!」
「え……こ、これですか!?」
マネージャーは手渡された紙に目を通して驚いている。でも、目の前の星街すいせいは別に微動だにしていない。
「うん!」
「これは…星街さんがよくボイスの奴じゃないんですか?」
「そうなんです。ちょっと今回のボイスは…エスコートするみたいな感じのシチュエーションなんですよ。ちょっと言い方とか悩んでて…こういうのは男性が言っているのを聞いてからの方がイメージしやすいかなぁって」
「僕でいいんですか?もっと他の人に…」
「マネージャーさんがいいんです」
そして二人は場所を代えて…マネージャーは頑張って役に成りきってボイスの台本を読んでいた。
―――――――
自宅へと帰った、私は携帯を胸の辺りで抱きしめる。だって宝物を手に入れたんだもん。
「はぁ…やっと手に入れた」
ちょっと強引な手段だったけど、そんなことはどうでもいい。手に入りさえすれば何でもいい。
「それじゃあ、早速聞こうかな~」
自室からヘッドホンを取ってきて…リビングのソファーに腰を下ろす。そして深呼吸をしてから携帯の録音されているものを再生する。
『今日はキミだけ見るよ!』
『大好きだよ』
『オレはキミのことが世界で一番大好きだよ』
そこから再生されたのは…マネージャーの声だった。さっきまでマネージャーが呼んでいたボイス台本。なんでそれがここで聞こえているかと思えば…録音していたから。
「やっぱりマネージャーさんの声はいいなぁ~」
私は一恩も聞き逃さないためにヘッドホンで聞く。私がマネージャーさんの声に夢中になったのは出会った時だった。「これからよろしくお願いします」とマネージャーさんに言われた瞬間から夢中だ。たぶん、今から思えばあれは一目惚れだったのかも。
「……これは永久保存にしないと…」
マネージャーさんに気付かれたら引かれるのは確定だけど止められないんだよね。こんなことは絶対に叶わない望みだけど、どうしてもマネージャーさんのボイスが欲しい。それでもマネージャーさんのボイスなんて発売させる訳がない。マネージャーさんがボイスを出してくれるならその費用はいくらだって惜しむ気はない。それぐらいに私にとっては価値のあることだから。
でもまあ、そんなことを言ったらマネージャーさんが承諾をしてくれる訳ない。だからこういう方法しかない。
「やっぱりマネージャーさんの声に包まれると…幸せ」
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