沙花叉さんと一緒に暮らすようになって1ヶ月が過ぎた。日々は驚くほどに順調で問題もない。喧嘩もすることなく、幸せな生活を送っている。
でも最近…おかしなことが起こるようになった。それは僕個人に起こるのではなく、仕事場で起こっている。
なぜか無断欠勤をする人たちが増えてきている。まだ1人くらいなら本人の事情なのかもしれないけど、今や5人だ。さすがに何かしらの問題が起こっているとしか思えない。会社でもその噂で持ち切りだ。
「ただいま」
「うん~おかえり~」
「うん。いつも出迎えてくれなくても大丈夫だよ。大変だろうし」
「沙花叉が出迎えたくて出迎えているんだからキミが心配することは何もないよ」
「そう言ってくれると嬉しいけど…」
夕飯を一緒に食べて、お風呂に入り、今はリラックスタイムを過ごしている。沙花叉さんは配信者としても活動しているので夜型の人間だ。だからこういう時間でしかお互いに話すことはない。もちろん、連絡は取り合っているがやっぱり面と向かって話すことが大事ですし。
「沙花叉さんって可愛いですよね」
少し時間が経って…僕は自分が無意識に恥ずかしいことを言ってしまったことを気付いた。恐る恐る、隣に視線を移すとそこには顔を真っ赤にした沙花叉さの姿があった。
「……あ、ありがとう…」
「そういえば…最近、奇妙なことが起こるんだよ」
「奇妙なこと?」
「うん。無駄欠勤が増えてきているんだよ。普通休むなら会社に休みぐらい言ってもいいと思うんだけど……」
「それって〇〇さんとかのこと?」
沙花叉さんは最近飲み会で仲良くなった女性の名前を挙げた。確かにあの子も最近見かけないな。もしかしたら無断欠勤をしているうちの一人なのかも。
「うん。そうかも」
「それはそうだよ。だって沙花叉が排除しておいたもん」
「う……はいじょ?」
「うん。だって〇〇さんとかさ、キミと仲良くなったんだもん。キミが飲み会から帰ってきた時にスーツから香水の匂いがしたんだよ。だから酔っているキミにそれとなく聞いたんだよ。そしたらキミは仲良くなった〇〇さんのことを嬉しそうに話してくれたよね。沙花叉にはどうしてもそれが許せなかったの。沙花叉とキミの関係を邪魔しようとする人間は居ちゃいけないんだよ」
沙花叉さんはまるで何かに洗脳されているかのように話しだした。僕が知っている、沙花叉さんとは全然違うように感じたのは気のせいじゃないはずだ。
「ど、どうしたの?」
「沙花叉はただキミのことを愛しているだけだよ。沙花叉とキミの関係を壊そうとする奴はどんな奴でも絶対に排除するよ」
まるで当たり前かのように沙花叉さんは話している。沙花叉さんは別に自分は間違ったことをしていない様子。
「…え、沙花叉さんが〇〇さんとかに何かしたの?」
「したよ。ちょっと消えて欲しかったからね。だって沙花叉がやっと見つけた運命の人を誰かに奪われるなんて我慢ならないし」
すると沙花叉さんは僕に抱き着いてきた。僕のぬくもりを確かめるかのように…何分も抱きしめている。今の話が本当だとしたら言わなくちゃいけないことがたくさんあるのに沙花叉さんはそれを言わせないとばかりに僕に口づけをした。
沙花叉さんはまるで僕を食ってしまうかのような肉食の気配を感じた。
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