どんな恋でも実るチャンスはある。だけど、どうしても実らない恋というものは存在する。それは自分の好きな人にもう心に決めた人が居て…左手の薬指に指輪をはめてしまっている時。
マリンはそんなマネージャーさんに恋をしてしまった。いつもマリンのために頑張ってくれる、その姿をいつの間にか追うようになってしまっていた。でも…マネージャーさんは結婚している。マリンのマネージャーになる前から結婚していたので、どっちにしてもチャンスはなかったけど。
だからといって…マネージャーとは離れたくないと思っちゃう。どうしても辛ければ、事務所に言ってマネージャーを変えてもらうという手段もない訳じゃない。でも、それをしないのはマリンが未練がましく未だにマネージャーのことを好きで…大好きで…愛していて…少しでも一緒に居たいと思っちゃたから。新しい恋を探す方に切り替えられればいいんだけど、それができない。
マリンってこんなに…執着する人間だったんだと感じたりもした。
今日は収録があるのでスタジオに来ている。今は収録が始まるまで…楽屋で待機をしているという状況。
「はぁ…本当に…マリンは」
そんな独り言を呟きながら…バッグの中を探るとそこにはある小さな怪しい瓶があった。
「これを…」
この瓶は一週間ぐらい前に…こよりから貰った。
「マリン先輩!」
「どうしたの?」
「これをどうぞ!」
「…う、うん。ありがとう。それでこれは?」
「これは惚れ薬です!」
「惚れ薬ねぇ…」
「これでマリン先輩の大好きなマネージャーもマリン先輩にメロメロになりますよ!」
「…へぇ…」
「ほら、これでやっちゃってください」
そして、こよりはマリンに惚れ薬を渡して風のように消えていった。こよりが去ってからもマリンはずっと惚れ薬を見つめていた。
「これがあれば……」
科学の力に頼ってマネージャーの心を奪う。だけど、これを使ったらもう…マリンは……。
ここでマリンは…惚れ薬を捨てることをしなかった。肌に忍ばせて…使えるように。
楽屋にはマネージャーも一緒にいる。マネージャーはマリンのことを信用してくれているからやろうと思えば、いつでもやるチャンスなんてある。
でも、もしこのことを知られたらマリンは一生、マネージャーに軽蔑されることになるかもしれない。やるんだったらそれぐらいの覚悟をしないと…。
「ねぇ…マネージャー」
「なんですか?」
「マネージャーって今、幸せ?」
「…なんですか、その質問は?」
「良いから答えてよ。マネージャーって今、幸せなの?」
「幸せですね。結婚してそれなりに巡分満帆な生活を送っている方だとは思いますよ」
そう答えている時のマネージャーの顔は幸せそのものだった。そんな顔をされたら…やっぱりマリンにはキミの幸せを壊せない。元々、キミの幸せを壊す権利なんて誰にもない。もちろん、マリンにも。
だってキミには…笑顔が似合うからね。
「マリンさんはどうですか?」
「わ、わたし!?」
「はい、マリンさんは今、幸せですか?」
「どうなんだろう…。自分で幸せって思うことはないけどさ。たくさんの良い友達に囲まれて…好き勝手やらせてもらって…それでも一味の皆は付いて来てくれて……幸せだと思う」
「そうですか。それは良かったです。ここで幸せじゃないとか言われたらどうしようかと思いましたよ」
「…そ、それに…好きな人と近くに居られるし」
「え、マリンさんって好きな人とかいたんですか!?」
「……まあね」
それがマネージャーだよなんて言える訳もない。それにマリンは今の距離感をそれなりに気に居ちゃっているんだよね。マネージャーと普通に話せて…一緒に居られるというこの空気がいい。
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