もし、自分の大切な人の命があと少しだと知らされたら人はどんな反応をするのだろうか。
私は放心状態になってしまった。
目の前の彼は少し笑顔を浮かべながら話している。どう考えても話している内容は笑えるような内容じゃない。
「なんでキミはそんな顔をしているの」
「………」
「白上は嫌ですよ。キミと一緒に居られなくなるなんて!白上はキミのことが大好きで何ものにも代えられない大切な存在なんだよ!キミは白上がどれだけキミのことをいつも考えて、想っているのか分かっていないんです!」
キミが白上のことを大切に想ってくれているのは分かっているつもり。いつも白上のことを第一に考えてくれているからこそ、彼は自分のことよりも白上のことを優先してしまう傾向がある。
「白上はキミともっと色々なことをしたい!まだやりたい事がたくさんあるのに……」
「本当にごめん…」
「そんな風に謝らないでよ…ずるいよ……キミにそんな顔をされたら白上は何も言えなくなっちゃうの知っている癖に…」
白上はキミの悲しそうな顔を見たくないんだ。いつも笑っていて欲しい。
白上はキミが白上を想っているよりも何倍もキミのことを考えているし、好きなんだ。誰にも渡したくないし、白上以外のものになるなんて想像しただけで吐き気がするぐらいに。
これ以上、私が何かを言ってもキミの状況が変わるわけではない。なら前を向くべきだ。キミのためにも。
「まだ時間はあるんだよね!?」
「あ、うん…」
「だったらこれから旅行に行こうよ!行く場所はキミの行きたいで!」
キミはとてもうろたえていた。
「え……急にそんなことを言われても…」
「善は急げだよ!これからたくさんの思い出を作ろう!!これでもかってぐらいの思い出を作ってさ。白上の脳がキミとの思い出だけで埋め尽くされるぐらいの」
時間がないのなら少ない時間を大切なものにすればいいだけ。
「…うん。でも、それだけ迷惑を掛けないかい?フブキさんだって仕事があるはずだよね」
「そんなことはどうにかなります!やり直すとすればやり直せます。でも、キミと一緒に過ごせる時間は限られているんです!白上にとっては何ものにも代えられない時間なんです!!」
「…………」
「だから…私と一緒に居てくれませんか?あなたの意見を尊重します。どうしてもキミがダメというのなら仕方りません。白上はキミの意見を押し切ってまで事を行いたくはありませんから」
白上にとってはキミの意見がとても大切だから。
「…分かりました。フブキさんの言葉を受け入れましょう」
「無理に押し切ったような感じになっていませんか?」
「いや、僕の命の灯が落ちるよりも前にフブキさんとの思い出を作りたいというのは僕も考えていましたから」
そう口にするキミの顔がとても悲しそうに見えて白上は一瞬、何も言えなくなってしまった。白上が色々と騒いでいますが、本人が一番辛いはず。
自分が後、短い命だと言われて「はい、わかりました」と受け入れられる人なんてごく少数でほとんどの人が受け入れられないもの。
「……ではすぐに行きましょう!」
「今からですか!?」
「はい!キミとの時間を一秒でも無駄にしたくないですから!」
白上はキミの手を取って走り出した。キミは戸惑っているような顔をしていた。
まあ、急に手を取られて走り出されたら困惑するのは普通のことかもね。白上が強引にキミの手を取ったのには理由がある。
だってキミには悲しい顔は似合わない。白上はキミが笑っている姿が何よりも好きなんだから。
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