「はぁ……はぁ…おそくなっちゃった」
沙花叉は急いで家に帰ってパソコンの電源を付ける。すぐにヘッドホンを用意するのと…立ち上がったパソコンを操作して動画サイトに入る。登録しているチャンネルの中の一つだけ…『プレミア公開』とあった。
そして深呼吸をすると同時に…クリックする。
『じゃあ…今日はこのぐらいにしましょうか。それではみなさん、お休みなさい』
そこで沙花叉は現実世界に帰ってきた感覚に陥って時計を確認すると…もう23時を過ぎていた。家に帰って来たのが21時頃だったからもう2時間も経ったのかな。
「それにしてもやっぱりいいなぁ…」
かなり集中し過ぎて…急に疲れがやってきた。動画を見ている間は疲れなんて感じないし、夢中になり過ぎていてそれどころじゃない。
「…生放送とかやってくれないのかな。ぜったいに…いいと思うんだけど…」
沙花叉はある配信者に夢中。その配信者を見るきっかけになったのはシオン先輩だった。前にお家に泊まりに行った時に『今、ハマっているもの』という話題になった時にシオン先輩がある配信者のことを話していた。それを話している時のシオン先輩はとても楽しそうだったんだよね。沙花叉が嫉妬しちゃうぐらいに…シオン先輩をこんなに夢中にさせられている人がいるなんて…。
沙花叉もその配信者を見るようになった。それからハマるまではすぐだった。企画に関してもすごいし、聞き取りやすい声をしているし、どんな話題でも絶対に面白くできるし、本当に配信者として必要なものを全て持っている気がするんだよね。ここまで配信者に向いている人はそう多くないんじゃないかな。
まだ…そこまで登録者は多くないけど…視聴回数はそれなりに多い。それはかなりの固定客が付いているということ。沙花叉とかみたいにすごくハマっちゃっている人が多いんんだと思う。
絶対にこれから伸びていくと思うし、逆に伸びない理由というものが思いつかないぐらい。有名になって欲しい反面、ちょっと寂しくもあって…複雑な気持ち。
収録の合間に端末で情報をチェックしていると…目の疑うような情報が入ってきた。
「え…まじ」
沙花叉はびっくりし過ぎて端末を地面に落としてしちゃった。
「…そ、そういうことなら…もっと早く言ってよぉ~」
沙花叉が驚いたのはついに…あの人が生配信をするという告知が流れてきたから。それに今日。もっと早く言ってくれていればしっかりと時間の調整をしたのに。
「…で、でも…時間は…22時って書いてあるし。早くすればリアタイで見れるかも。それに記念すべき生配信一回目を見逃すわけにはいかない」
本当は今からでも…家に帰って、デスクトップパソコンの前で正座をして待ちたいところ。でも、沙花叉にも待ってくれているファンがいるし、頑張らないと。
それから、沙花叉はこんなに頑張ったのは久し振りと思うほどに頑張った。結果的に予定していたよりも1時間も早く収録は終えて…急いで帰路についた。収録が終わった時の時刻は9時30分を指していた。
「ま、まにあった…はぁ…はぁ」
パソコンを起動して…立ち上がると彼のチャンネルに飛んで待機した。本当にギリギリだけど、配信が始まるよりも前に家に着けたのは良かった。
息を整えて、沙花叉は落ち着くと急に手汗がひどくなってくる。自分の配信でもここまで緊張することないのに。
「ふぅ~~おちつけ、おちつけぇ~~さかまた」
そしてBGMと共に…声が聞こえてくる。この声を聞くだけでも今日の疲れが一瞬で吹き飛ぶ。
『今日は見に来てくれてありがとうごさいます。初めての生放送なので色々と問題が起こるかもしれませんが、そこら辺はご了承ください』
この人は本当に丁寧な口調で話すんですよね。もっとため口とかも聞きたいって気持ちもあるけど、今の話し方も沙花叉が好きなんだよね。
『あ、翼さん。スパチャ、ありがとうございますね。あまり無理はなさらないでくださいね。皆さんが聞いてくれるだけで嬉しいので』
そこで沙花叉は気付いた。生配信であれば…スパチャという機能があるのではないかと。これであれば沙花叉の感謝を伝えることが出来る。そしてそういう考えに至ったのは沙花叉ではないようで最初にスパチャをした人に続くようにどんどん流れていく。
『ほ、ほんとに皆さん、大丈夫ですからね!お金は大切にして皆さんが本気で推している人とかに』
いや、それがキミなんだって。沙花叉しかり…他のスパチャをしようとしている人やもうしている人もキミのことを推しているかたスパチャをするんだって。
でも、いざスパチャをしようとしている時に思ったけど、さすがに沙花叉クロヱのアカウントでのスパチャは避けた方が良いかも。彼に迷惑を掛けてしまうかもしれないし、沙花叉にだって推してくれる、ファンがいるんだし、心配をさせたくない。
急いでサブ垢を作って、すぐに3000円のスパチャをした。本当はもっと高額でも良かった気がしたけど、さすがにそんな高額で怖がってしまうかもしれないし。
『シャチさんもスパチャありがとうございます!!いつもシャチさんは来てくれますよね。知っていますよ。これからも気が向いた時に来てくださいね』
キミの声でそんなことを言われたら……『絶対に推すしかないじゃん!』。沙花叉のことを認知してくれているのがまさか…ここまで嬉しい事とは思わなかった。
それからも沙花叉は生配信を満喫しながらスパチャを繰り返したのだった。
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