もしも、サソリに嵐のような親友がいたらの話 作:先生たこあし
と言っても3000字と少しですが。
今回も例の如く急に始まって急に終わります。そして時は進み、羅刹とサソリは14歳になっています。さらに、新しくオリキャラが出ます。
それでもいいですよ!という方はどうぞ。
羅刹「サソリ!匿ってくれ!!!」
サソリ「またか……いい加減受け入れてやったらどうだ?そうすればオレが楽でいい」
羅刹「はー?!つまんねぇ冗談言うの止めろよ!オレは先生になる気はねぇ!!」
サソリ「そうかよ……勝手にしろ」
そう言ってサソリは作業に戻ってしまった。
勝手にしろと言うことは、ここにいてもいいって事なんだろう。だが、作業の邪魔をしてしまえば、モルモットにされかねない。
それだけは絶対に嫌だ。
羅刹はこれまで幾度となくサソリの地雷を踏み抜いてきた。そのたびにサソリは怒り、新しく開発した毒を飲ませてくる。しかもその毒が年々グレードアップしており、羅刹が三途の川を渡りかけたのは一度や二度ではない。
ここまで死にかければ、さすがの羅刹でも学習する。「サソリが傀儡をイジっている時は静にすること」と。
羅刹は大人しくサソリの手元を眺めながら、どうしてこうなったのかを考えるのだった。
・・・
事の始まりは3日前のこと。
加瑠羅と共にサソリの元へ差し入れを持って行く道中のことだった。
この頃、サソリは人傀儡なるものを作ることに熱中しており、食事を疎かにしがちだった。
だから、羅刹達が差し入れを持って行ったり、時にはサソリを拉致して夕飯の席に同席させることもあった。
昨日も拉致したばかりである。連続で拉致するとサソリの機嫌が最悪になり、出会い頭に猛毒を塗ったクナイを投げ飛ばしてくるため、今日は差し入れを持って行くことにしたのだ。
加瑠羅「それにしても、羅刹も立派になったものねぇ」
羅刹「当たり前だろ?オレもう14だぜ?」
加瑠羅「ふふ、そうね。カッコいいわよ」
羅刹「……何か子供扱いされてる気がする」
加瑠羅「あら、気のせいよ。気のせい。さぁ、早くサソリくんの所へ差し入れを持って行きましょ!」
羅刹「あ、今誤魔化しただろ!待てよ、加瑠羅姉!!」
姉弟で(車よりも速い速度で)追いかけっこをしていた時、羅刹を引き留める幼い声がした。
?「あの!!羅刹さんですか!?」
声をかけられた羅刹は立ち止まり、あたりを見回した。
すると、5歳くらいの両目を閉じた少女が、肩で息をしながらこちらの返事を待っている。羅刹は知り合いかと思ったが、このような少女の知り合いはいない。
羅刹は優しい口調を心がけながら、少女に問いかけた。
羅刹「あぁ、そうだけど……お前は誰なんだ?」
タマ「はい、私はタマと言います。あの、羅刹さんのことは知ってます!片目が見えないのに、戦場を駆け回ってるんですよね?私もあなたみたいになりたいんです!!お願いします!私を弟子にしてください」
そう言って少女は頭を下げた。
羅刹は困ったような顔をして姉の加瑠羅を見たが、加瑠羅は「ふふ、頑張ってね!先生」と笑うだけで助けてくれそうにない。
これは困ったなぁと思いながら、頬を掻きながら弟子は取らないと伝えることにした。
羅刹「あー、うん。知ってくれてるのは嬉しいけど、オレはお前みたいに両目が見えないわけじゃない。それに、戦うことだけが全てじゃないし、オレみたいになる必要はないんだぜ?」
タマ「うぅ……そこをなんとか!お願いします、先生!!」
羅刹「……オレ、先生って呼ばれるほど偉くないし、スゴくもないから。悪いけど他当たってくれ」
羅刹は後ろ髪を引かれる思いで、加瑠羅を伴ってその場を離れた。
断った理由は単純明快。人に教えるのが下手だからである。
目が見えていればまだ考えたのだが、目が完全に見えないのであれば話は変わってくる。あの時に「お前みたいに両目が見えないわけじゃない」と言ったが、タマは否定しなかった。つまりはそういうことだろう。
一体何故羅刹の元へやって来たのだろう。片目が見えないのに、戦場を駆け回っている羅刹に憧れを抱いたのだろうか。
いや、それはタマ本人しか知り得ないことだ。
とにかく、オレは責任を取れないことはやらねぇ。
羅刹はお気楽そうに見えて、実は生真面目な性格をしている。
仮にタマの師匠になったとして、その時にちゃんと教え導けるのか。そう考えると、自分が背負うものの重みを嫌でも感じるものだ。
だから羅刹は断った。
もう少しだけ身軽でいたいんだよなぁ。
自分勝手な理由で悪いけど、先生なんかになる気は微塵もねぇんだわ。
羅刹は心の中でタマに詫びながら、サソリの家へとゆるりと歩いて行くのだった。
その次の日から、タマとのリアル鬼ごっこが始まったのである。
タマはどうやっているのか、いつも羅刹の前に現れては「弟子にしてください!!」と言い続けた。羅刹はそのたびに「断る!!!」と言い、逃亡するを繰り返した。
そのうち2人は砂隠れ中を駆け回り、砂の人々はまたやってるよと呆れ返るのだった。
サソリに匿ってもらうのはこれで3回目だ。サソリの性格的に4回目はないだろうと羅刹は思っている。新たに安全地帯を見つけなければ……
終わりの見えない鬼ごっこに、羅刹は辟易すのだった。
一体どうすればこの地獄の追いかけっこは終了するんだ?
やっぱり受け入れるしかねぇのか?えー、先生とかなりたくねぇんだけど……
羅刹はまだ覚悟が出来ないでいた。
前世のように、教科書通りに教えればいいというわけではない。ここは前とは別の世界だ。第二次忍界大戦は数年前に終わったが、次の戦争の予兆は出ている。
つまり、戦争で生き残れるように教えて行かなければならない。相手を殺すとか、そういうことは二の次。まずは行って帰って来る。これが出来なければ意味がないと羅刹は考えている。その行って帰って来るが、とても難しいことだと羅刹は身をもって知っている。そのため、教えることに躊躇しているのだった。
外にあるタマの気配が消えたことを確認すると、羅刹はため息を吐きながら立ち上がった。
羅刹「サソリ、ありがとうな。それじゃあ、今日はもう帰るわ」
サソリ「ふん、もう二度と来るんじゃねぇぞ」
羅刹「またまた~、そんなこと言っといて実は心配してるくせに!」
サソリ「うるせぇ。気色悪ぃこと言ってねぇでとっと帰れ!」
怒ったサソリに追い出されたのは言うまでもない。
・・・
追いかけっこが始まってから5日。
羅刹はついに根負けし、タマと対峙したのだった。
タマ「はぁ、はぁ……おぉ、やっと止まってくれましたね!師匠」
羅刹「師匠って言うんじゃねぇ。まだお前には何も与えてねぇだろうが……それにしても、しつこいヤツだな。何でそんなにオレに教えを乞うんだよ?お前、オレみたいになりたいって事は、戦場に立ちたいんだよな?あそこがどういう場所なのか分かって言ってんのか?お前は何のために戦うんだ?」
タマ「それは……私は、羅刹さんが仰るとおり、生まれつき盲目です。そのため、アカデミーに通わせてもらえませんでした。ですが、先の戦争で父は亡くなってしまったのです。私はその時、ただ黙って待っているだけは嫌だと思いました。私も家族を守るための力が欲しい……そう強く思いました。そんな時に、羅刹さんのお話を聞いたんです。片目が見えないのに、縦横無尽に戦場を駆け回る姿はまるで鬼神のようだと。そんな人に教えてもらえたら、確実に強くなれるのではと思ったんです」
羅刹「……ふ~ん」
これはオレの負けだなぁ。
コイツだったらあるいは___
久しぶりに気分が高揚するのを感じながら、羅刹はいつもの調子で口を開く。
羅刹「ん。いいぜ」
タマ「へ?何が??」
羅刹「ん~、だから、お前の弟子入り」
タマ「え!?本当ですか!?!それじゃあ……」
羅刹「おう。お前の望んでた通り、教えてやる。ただし、先にも言ったがオレは全盲ってわけじゃねぇ。教え方は探り探りになる。その上、オレはこれでも中忍だ。長期任務で長い間いなくなることもある。それでもいいなら、修行をつけてやるよ」
それを聞いたタマは、パアァァという効果音がつきそうな笑顔になった。
そして以前と同じように、「よろしくお願いします!」と勢いよく頭を下げたのだった。
どうやら何かを思いついたようですね。
果たしてこの伏線を回収出来るところまで書く気力が持つのかしら?
3ヶ月投稿しなかったら失踪したと思ってくださいませ。
人物紹介
タマ
今回初登場した生まれつき盲目の少女。
父が死んだと聞かされた母の声は悲痛に満ちていた。それでも、母は「タマは目が見えないから、待ってるんだよ?ここは安全だからね」としか言ってくれない。待ってるだけは嫌だ。一緒に戦えば、戦争も早く終わるでしょ?そうしたら、私達みたいに悲しむ人も減るよね?
その数日後に羅刹の話を聞いて、押しかけた行動力の塊。羅刹といい勝負。
聴覚と嗅覚でものを
こんな感じ。
「ん~、今日は……こっちにいる気がする!」
しばらく行くと……
「あ、やっぱりいた!!羅刹さ~ん!!!弟子にしてくださ~い!!」
「げ!またアイツかよ……んじゃなサソリ、オレは逃げる」
「あぁ……」
(コイツら、似てるよな。何と言うか、行動力が凄まじい所が似ている……後は、しつこい所も似てるな)
ただ1人、冷静に新顔の分析をするサソリであった。
羅刹
今回、散々な目に遭った人。何なんだ?アイツ。超能力でも持ってんのか?!と思いながら5日間逃げまくった。しかし、根負けして弟子入りを許可することになった。後、オレは目が見えないわけじゃねぇと後日訂正する。
砂隠れ中の人達が、弟子入りを許可するかしないかで賭けをしていたことは知らない。
自分が教えることが下手なのは承知の上なので、加瑠羅、夜叉丸、サソリを巻き込むことにした。サソリからは「ふざけんな!」と怒号をいただいたが、引き下がらずに頼み込み、了承をもぎ取った。
羅刹「いやぁ、ありがとうな!サソリ。持つべきものは長年の付き合いのある大親友だな!」
サソリ「うるせぇ……テメェとは大親友とやらになった覚えはねぇぞ、羅刹」
羅刹「またまた~、そんなこと言っといて実は内心喜んでるくせに!」
サソリ「……殺されてぇのか?」
羅刹「何でだよ!?」
羅刹は半殺しにされた。
サソリ
今回、余波が来た人。3回目に逃げ込んで来た時は追い出そうかと思ったが、相当参っていた様子だったので居座ることを許可した。そして、羅刹がタマの弟子入りを許したと知って、これで解放されると思った。しかし、その日の夜に羅刹が来襲。一緒に教えるのを手伝ってくれと言われ、ブチ切れる。今は人傀儡を作っていたいのだ。他人に構ってる暇はないと言っているのに、聞く耳を持たない羅刹に折れて教えるのを手伝うことになった。それだけではなく、夜叉丸と連携し、羅刹と加瑠羅の叱る役が待っている。
(やっぱりコイツらは似てる……あのガキも注意しとくか)
会ったこともないサソリに警戒されるタマであった。
加瑠羅
可愛い末っ子からの頼みにすぐに了承した。
たまに末っ子と一緒に暴走して、夜叉丸とサソリに怒られる未来が待っている。
夜叉丸
あの羅刹が弟子を取るなんて……と思いながら了承した。
姉と弟が一緒になって暴走しないように、サソリと連携を取るようになる。