たった1つの笑顔   作:粗茶Returnees

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 3.4年ぶりのツーリング旅行中なので更新遅くなってます。


ドレスローザ 愛と情熱とおもちゃ②

 

 四皇カイドウへと繋がる作戦を放置することはできない。基本的には計画通りに進んでいく。 

 シーザーを引き渡すために、ロー、ロビン、ウソップ、シーザーの4人が内陸からグリーンビットへ。船番としてナミ、チョッパー、ブルック、モモの助、サンジ。SMILEの工場を破壊するチームはフランキーとゾロ。錦えもんは侍救出のために潜入。メラメラの実を手に入れるためにコロシアムに行くのは、ルフィとヤマト。

 

「ベルナートはいいの?」

 

「麦わらとヤマトが出るなら大丈夫だろ。この国はオレも初上陸だし、情報収集のためにも固まりすぎてもな」

 

「ベルナート。くれぐれも騒ぎを起こさないようにね。幹部クラスは全員あなたのことを知ってる。末端の人間でも、見つけたら連絡しろと指示を与えられてるかもしれない。あなたは手配書もあるのだから」

 

「ありがとうモネ。うまいことやっとくよ」

 

「そういうモネは?」

 

「私はここで別れるわ」

 

 モネが使うのは裏ルート。この国の地下に広がっている港からの入国だ。一般的には知られていない場所である。「麦わらたちをまいて来た」という言い訳も通用しやすい。

 

「ウタも気をつけるのよ。ベルナートから目を離したら駄目だから」

 

「そっち!?」

 

「任せてモネ!」

 

「オレの扱い子どもになってないか?」

 

「どうでもいい。すぐに動くぞ」

 

「あれ? サンジがいねぇ!? 船番チームなのに!」

 

「麦わらたちと町に行ってたぞ」

 

「止めてくれよ!!」

 

 チョッパーからのブーイングを受け流し、ベルナートはウタとヤマトと一緒に町の中へ。ローたちも同じように動くが、一緒に行動するわけじゃない。グリーンビットがある方を目指している。

 ルフィもコロシアムを目指すはずだが、ゾロやフランキーたちと一緒にいなくなっている。錦えもんとサンジもいないことから、5人は一緒に行動しているのだろう。ベルナートが覇気で軽く探ってみると、その予想の裏付けとなった。

 

「コロシアムにはたどり着くだろうから、後で合流だな」

 

「あとでいいんだ……」

 

「さっきからおもちゃが動き回ってるけど……この国どうなってるの……?」

 

「オレが知ってる話をするから、今はひとまず移動だな。適当な店に入る」

 

「それはいいけど、僕たちなんだか注目されてるね」

 

「含めるなよ明らかに目立ってるのヤマトだけだから」

 

「なんで!?」

 

「ワノ国の衣装着てるからだ! お前それ好きだよなほんと!」

 

「他のは慣れないんだよ。それに動きやすくていいよ?」

 

「溶け込むことに向いてないことが致命的なんだが……」

 

 ウタは気づかれないためにとフードで顔を隠し、サングラスで目も隠している。単体ならそこまで目立つようなものでもないが、隣にヤマトがいることで逆効果となっている。正体がバレないことが主目的なのだから、視線を集めるくらいならいいのだが。

 ステージで歌いまくっている経験も活きて、視線が集まったくらいではウタは動じない。平然と歩いていた。

 

「錦えもんに先にヤマトの服を用意させればよかったな」

 

「ベルナートはいいのかい? 君だって正体を晒すのはよくないと思うけど」

 

「オレの場合はバレてもいいんだよ。向こうも下手には動かない。むしろファミリーの意識を向けさせられるなら、それはそれで援護になるしな」

 

「そうだろうけど。それだとウタの変装の意味は?」

 

「ウタの場合は一般市民が集まりかねないからな。身動きを取りづらくなる」

 

「……たしかに」

 

「あはは、嬉しいことに人気者になっちゃってるからね~」

 

 そうして和気あいあいとしながら町中を進んでいき、適当なところで店の中に入る。それなりに人も入っており、気にならない程度の大きさでの話し声が飛び交っていた。空いている席に3人で腰掛けると、ウタはすかさずメニューを開く。ページはもちろんデザートのところだ。

 

「ご飯も食べろよ」

 

「食べるよ。ボリュームのあるやつをシェアするのはどうかな」

 

「そういうのがあればな。ヤマトは?」

 

「僕もそうするかな。大きめのがあるみたいだし、それを2種類頼んで3人で分けよう。足りなかったらつまみかそれこそデザートを頼めばいいし」

 

「それいいね! 1個はヤマトが決めて。私も1つ決めるから」

 

「わかった」

 

「……決定権ないんだ……」

 

 ベルナートにはメニューの選択権がないらしい。2人が悩んでいる間は暇となり、その時間を有効活用するために見聞色でこの国のことを探った。

 メラメラの実を景品とするがために、腕に覚えのある者たちが数多く上陸している。これではドンキホーテファミリーのことを精確には絞り込めない。だが、この国に隠されている事実の存在を感じ取ることはできた。

 それをわかった上でどう動くべきか。ひとまず食事の後はヤマトをコロシアムに送り届けることは確定なのだが、その後がまだ決められない。

 

「ベルナート」

 

「うん?」

 

「何かわかったんでしょ」

 

「なんでバレてんの……?」

 

「考え込むからわかりやすいよ」

 

 ため息をつきながらそう言ったウタは、店員に注文内容を伝えてメニューを閉じる。ヤマトも注文を済ませて、ウタと揃ってじーっとベルナートを見つめた。

 

「……驚いても大声出すなよ」

 

「大丈夫大丈夫」

 

「本当か……?」

 

 不安はあれど、この場はその言葉を信じるしかない。 

 

「実際に目にしたところから話すか。この国には生きてるおもちゃがいるだろ?」

 

「いるね。犬だったり人形だったり。いろいろと」

 

「あれ人間な」

 

「……!?」

 

 大きな声が上がる未来を見たベルナートが、2人の口を事前に手で塞ぐ。それにより声が響くことは避けられた。

 

「悪魔の実の能力ってこと?」

 

「正解。ヤマトの予想通り、あれは悪魔の実の能力でおもちゃにされた人たちだ。モネの妹、シュガーがその能力者。触れた相手をおもちゃにできる」

 

「触れるだけで!?」

 

「しかもおもちゃにされた人間は、世界中からその存在を認知されなくなる。初めからいなかったものとして扱われる」

 

「随分無茶苦茶な能力だけど……ウタのも大概か」

 

「……私のよりすごいと思うよ。だって、私のは体力消耗するし、私が寝たらウタワールドは消える。でもおもちゃの人たちは、そうじゃないんだよね? 国中にいるんだし」

 

「そういうことだ。シュガーが寝るぐらいじゃ呪いは解けない。維持に体力は関係ない。解除の手段は能力者の意識を奪うことのみ」

 

 これだけ平然とおもちゃが日常に溶け込んでいるのは、国民たちがシュガーのことを知らないからだ。知っていれば、そのおもちゃがどこの誰かわからなくとも、シュガーにやられたのだと気づくことはできる。

 ドフラミンゴはそれを起こさせないために、シュガーの存在を徹底的に隠しており、基本的にはその側に護衛として最高幹部のトレーボルを配置している。

 

「でもベルナートはその人と面識がある。この国の闇に気付けるわけだ」

 

「国の内情は、中の人間から聞いてもいるからな」

 

「え?」

 

「オレを昔助けてくれた商人が、この国にいるんだよ。接触はしないけど」

 

 下手に接触するとその商人に迷惑をかける。恩を仇で返すような真似をしたくない。会うとすれば、ドンキホーテファミリーに勝った後だろう。

 

「それで、おもちゃの気配は若干人間と違ってな。この国の地下にも数多くいる」

 

「地下があるんだ」

 

「一見平穏な国だし、闇の部分を人目につけさせないなら、たしかに地下が良い場所になるね」

 

「闇取引の場所もそこなんだろうけど、行き方まではわかんない」

 

「そこはいいんじゃない? なんでもかんでもやろうとするのは、ベルナートの悪い癖だよ」

 

「目的を絞って着実にいこうよ。さしあたって僕は大会に行くわけで、その間2人はどうするんだい?」

 

「様子見で町を散策するかな」

 

「ヤマトの応援しようよ。できるだけ近くにいたほうがいいんじゃないかな」

 

 ウタの純粋な意見に、ベルナートとヤマトは目を合わせた。ウタはおそらくわかっていない。コロシアムという場所が、どういう場所なのかということを。

 当然のように血は流れる。四肢の欠損もあって不思議じゃない。殺し合いに近い競い合い。それがコロシアム。ウタの嫌がる流血沙汰を平然と行う場所である。

 

「……でも、ヤマトを応援する理由はなくならないよ。直視できないかもしれないけど」

 

「ははは、構わないよ。ウタが頑張って来るというのなら、それがこの上ない応援だからね」

 

 注文していた大皿料理が2種類運ばれてくる。そのうちの1つを、ベルナートが切り分けていって3等分。ウタが食べ切れなければ貰うことになるが、それはその時でいい。今はひとまず分けておく。

 それが終わると、もう1つの大皿料理がベルナートの前に置かれた。それをやったヤマトを、目を細めたベルナートが見つめるとぺろっと舌を出しておどけられた。

 

「たまにはいいじゃん。甘えても」

 

「……はぁ」

 

 諦めてベルナートはもう一度切り分けていく。それが終わればようやく食事開始だ。

 

「そういえばこの国、あのニュースがあったのに慌ててないんだね」

 

「そこはオレも気になってた。裏があることはわかるんだけどな」

 

 この島にある大きな気配。その中でも印象的なものはいくつかあるが、それらはほとんど予測をつけられる。

 問題は残りの1つだ。

 その可能性を考え、正しければ厄介な存在だと顔を渋める。

 

「海軍の動きも見ないといけないな」

 

「そっか。七武海脱退してるなら、徹底主義の新元帥の方針ですぐに海軍が来るはずだもんね」

 

 ナイフとフォークを使っているはずなのに、ヤマトはばっちりと頬を汚している。この後に控えている大会に備え、しっかりと腹ごしらえをしようと考えているからなのだろう。

 その汚れをベルナートが拭いている間は、大人しくしていた。拭き終わるとまた食事を再開。今度は少しだけ勢いを抑えめだ。

 

「来てはいるみたいなんだけどな」

 

「そうなんだ。いろんな立場の思惑が動いてるんだね」

 

 しかしローの計画にはタイムリミットが設定されている。ローはカイドウをドフラミンゴにぶつけるつもりだ。この島に長居する理由がない。

 ルフィもコロシアムに出場するわけだが、そこでの目的を達成した後は船を奪取してなんとか合流する手筈。次はゾウを目指すことになるが、ビブルカードでしかたどり着けない。ルフィは予めローからビブルカードの切れ端を預かっていた。

 

「ベルナートはなにか作戦考えてる?」

 

「考えてはいたけど、面倒な予感もしてる」

 

 ウタの皿から移される食べ物を、そのままパクパクと口に入れていく。その予感とは関係なく、食べ過ぎですぐには動けなくなるかもしれない。せめてもの救いは、ヤマトが自分の分をちゃんと全部食べていることか。

 

「すみませーん。追加注文いいですかー?」

 

 デザートは別腹。ウタはにこにこと笑顔を弾けさせていた。

 

 

 

 

 

 

 今回は賞品が賞品。コロシアムに出場する者たちは多くなっていた。そこでまず予選が行われる。5つのブロックに分けられ、そこでそれぞれ1人ずつの勝者を決める。その勝者たちは決勝ラウンドへと進むことになり、そこではドンキホーテファミリーの最高幹部の1人ディアマンテと、彼率いる幹部たちも交えた試合が行われる。

 それに優勝すれば、晴れて今回の景品であるメラメラの実を手に入れることができる。

 

「今回の出場者は猛者が多いな」

 

「……ヤマト大丈夫かな」

 

「麦わらと予選が一緒にならなければ大丈夫だろ。よっぽどの相手が出てこない限りヤマトが勝つ」

 

「そうかもしれないけど……怪我しないでほしいな」

 

「決勝ラウンドだと、怪我するかもな」

 

 ウタとベルナートは言葉を交わしながら、観客用の入り口を目指して歩いている。ルフィとは無事に合流でき、ヤマトとルフィのエントリーも見届けた。

 コロシアムの外縁。入場する観客たちが多い中、その様子を見ている人物を見つけると、ベルナートは足をそちらに向ける。

 

「どこ行くの?」

 

「知った顔がいたからちょっとな」

 

 その人物の下に行くと、相手もベルナートのことに気づいて手を振った。

 

「まさか君の方から接触するとは思ってなかったよ。元気にしてた?」

 

「それなりに。先に接触しておいたほうが良さそうだと思ってな。久しぶりだなコアラ」

 

「ベルナートをスカウトしに行った時以来だね。そっちのフードを被ってるのが噂の?」

 

「歌姫です。それでコアリゃ……いひゃいれす」

 

「ねぇベルナート。なんで女の人の知り合いが多いの?」

 

「男ともらちもいみゃす」

 

 頬を膨らませたウタに、ベルナートはいつもの如く頬をつねられた。

 

 




私はサボコアラコンビめっちゃ好きです。これからもセットで出てきてほしい。
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