メスガキ合法ロリ甘え上手サキュバス(年上)と感情重めダウナー系怠惰ヴァンパイア(年下)の気ままな旅 作:羽付きのリンクス
ミーティアはサキュバスだ。だが、純血ではない。僅かにだが
そのせいなのか、彼女の背格好は幼いまま成長が止まってしまった。異性を誘惑するサキュバスとしては致命的な弱点である。
だがそんなハンデを物ともせずミーティアは『無邪気な子ども』を演じ、多くの男を魅了してきた。幸い、そのテの性癖を持つ者は少なからずいる。おかげで生活に困ることは殆ど無かった。
そんなある日、ミーティアはひとりのヴァンパイアと出会った。
最初はただの気まぐれ。なんだかひとりぼっちの、寂しそうな子どもがいたから声を掛けてみただけ。『姉妹ごっこ』をしようと言ったのも、いつの間にか見上げる程大きくなった彼女へのほんの悪戯心だった。
その出会いがきっかけで、彼女の人生は大きく変わった。
「あ、あの……」
ヒルデガルトは、自分とはまるで正反対な性格をしていた。常に自信がなく、何かと後ろ向き。とても大人しい子だと思っていた。
「あたしと……旅に出てくれませんか」
なのに突然、こんなことを言い出すなんて夢にも思わなかった。
ミーティアは刺激的なことが好き。逆に退屈は嫌い。そういう意味なら、彼女は自分の故郷が嫌いだった。だからこの誘いは渡りに舟だと、即座に手を取った。
それからは旅の中でも二人の『姉妹ごっこ』が続いた。ミーティアが『妹』で、ヒルデガルトが『お姉ちゃん』。わがままな妹として、行く先々で姉を振り回すのは退屈しなくて楽しかった。姉の方も、そんなミーティアに呆れつつもいつもそれに付き合ってくれた。
そこからいつの間にか二人きりの時には愛称で呼ぶようになり、
ミーティアにとっては不思議なことでもない、サキュバスにとって快楽は日常の一部だ。
長く一緒にいる、それだけで好意は生まれる。それがどんな感情であれ。
ミーティアはその感情の根幹を、なんと呼ぶのか未だ知らない。
ただ、このぶっきらぼうで甘えん坊の『お姉ちゃん』とずっと一緒にいたいと思った。それだけで、彼女の隣に居る理由になっていた。
◆
「……きて、ミィ。……起きてよ、もう夜だよ」
ゆさゆさと身体を揺すられ、ミーティアの意識はゆっくりと覚醒した。
霞む目を開ければ、目の前には一糸纏わぬ姿のヒルデガルト。
二人は結局、夜通し楽しんだ後さすがに疲れはてて、次の日中を眠って過ごし今に至る。堕落の権化のような生活リズムだが、少なくとも
「ふぁ、んぅ。ヒルデぇ……おはょぉ」
「おはよ。……なんか夢でも見てた?随分と幸せそうに寝てたけど」
「うん、すごくいい夢……みてたぁ」
まだ少し頭が回っていないのか、ミーティアはとろんとした目つきのまま欠伸をした。
「……」
そんな様子を、ヒルデガルトはじっと見つめている。
「ちなみに、どんな夢?」
「んー、えっとねぇ」
ベッドの上で、ミーティアが両手を広げた。
「ちゅーしてくれたら思い出すかも」
「……もう。」
ヒルデガルトはため息をつきながらも、優しく唇を重ねた。
「んっ。はい、満足?何の夢見てたか教えてくれる?」
「ふにゃぁ……昔の夢だよぉ。ヒルデと会った頃の」
「……そう。」
それで何か納得したのか、ヒルデガルトは少しだけ微笑んだように見えた。
「そろそろ晩御飯の時間だと思うけどどうする?先にシャワー浴びてきたら?」
「ん~……ヒルデと一緒に入る」
そんなやり取りをしつつのそのそと布団から這い出た二人は、昨日垂れ流した諸々の汚れを洗い流す。
「さ、行こっか
「うん、
その後、一階の食堂で食事を済ませた。魔族は基本的に食事を必要としないが、嗜好品として味を楽しむことはできる。血とも精気とも違う、色とりどりかつ風味豊かな料理の数々。彼女らにとって旅の醍醐味のひとつでもあった。
ちなみに献立は、この街の名産である鶏肉の香草焼きに豆のスープ、それとデザートに木苺のパイである。
それらすべてを平らげたあと、ミーティアはふと思い出したように言った。
「あ、そうだ。ねえヒルデお姉ちゃん、今日は『ギルド』に行ってみない?」
「え、やだ」
ミーティアの提案に、ヒルデガルトの答えは実に素っ気なかった。
「な、なんでよぅ!」
当然、不満げに声を上げるミーティア。だが、そんな彼女にも動じず、ヒルデガルトは冷たく言い放つ。
「ミーティアだって知ってるでしょ。あたし労働とか人付き合い苦手だし。ていうか面倒くさい」
「またそういうこと言う!いい加減その怠け癖治してよ!?」
ヒルデガルトには、ある困った癖があった。それは、ひどく怠惰な性格だということだ。
旅自体は好きではある。あるのだが、旅の資金を稼ぐための労働はまったくと言っていいほどやりたがらない。
「ミィたちお金無いと旅出来ないんだよ?お姉ちゃん用の血液パックとか買い足さないといけないし、宿代だってかかるんだしさ」
「……別に、無くても死なないし」
「そういう問題じゃないの!……だったらミィにも考えがあるもんねーだ」
ミーティアはそう言うと、おもむろに立ち上がった。
「決めた。もうお姉ちゃんにミィの血飲ませてあげない。精気も、ヒルデお姉ちゃんからじゃなくてどっかその辺のヒトから貰おっと」
「……え?……ちょ、ちょっと待ってよ。それ本気で言ってんの?」
ミーティアの言葉を聞いて、ヒルデガルトは顔を引きつらせた。
「うん、本気だよ?その代わり、ヒルデお姉ちゃんは勝手にしていいから。ミィは知らない」
ぷい、とそっぽを向いて部屋を出ていこうとするミーティア。しかし、ヒルデガルトがそんな彼女を後ろから抱き寄せた。
「ま、待って、わかった。わかったから置いていかないでよ……」
その言葉に、ミーティアは背を向けながらニヤリと笑みを浮かべた。
「ふふっ、最初からそう言えばいいのに。素直じゃないんだからぁ」
(ま、そんなとこがヒルデらしいんだけどね)
ミーティアは心の中で呟きつつ振り向いた。
しっかり者と思いきや面倒くさがりで、でもやっぱり最後には折れてくれて、なんだかんだで甘えん坊。
ミーティアは、そんな『お姉ちゃん』が大好きだった。
「じゃあヒルデお姉ちゃん。ミィと一緒にギルド……行こっか?」
「う、うん……」
こうしてまた、二人の長い夜が始まるのだった。
前回とまったく同じオチという