「うーん」
「出来そうですかモモンガさん」
俺とモモンガさんは特に何もせずナザリック内で現状把握を数日にかけて行っていた。
既に周辺調査としてナザリックのNPC達に周辺の地理を大まかに調べてもらっているが、その間俺とモモンガさんも何もしない訳には行かないためこのアイテム【遠隔視の鏡】を使った偵察をできるように練習していた。
「うーん…おっ出来た」
「えぇ、流石でございますモモンガ様」
「流石ですね」
何とか視点を移動させられるようになったモモンガさんを俺と横で仕えていたセバスが褒める。
モモンガさんは気恥しそうに頭をかくとメイドに準備してもらった紅茶を一口飲んで一休みした。
「ん?祭りか?」
「いえ、違うようです」
と、俺がよそ見をしているうちにモモンガさんは何かを見つけたようだ。
おそらく時期的に見てカルネ村だろうな。
ここは俺が助けに行くよう進言してやるかな。
「…」
「どうされるのですかモモンガ様」
お、モモンガさん!出番ですよ!
「助けに行くぞ」
「左様でございますか」
「…」
待って、ちょっと待て。
なんでモモンガさん最初っから助けに行こうとするの?いや、まぁ最終的には引きずってでも連れていくけど…一応段取りってあるじゃん?なんで?
「モモンガさん。本当に助けに行くんですか?」
「はい。さすがに見過ごせませんし、それにここである程度敵の強さを測っておいた方が後々の為になると思うので…」
うん。
これ綺麗なモモンガさんだ。
人化の指輪をつけてるからかな?精神がオーバーロードに侵食されてないのかな?
それともなんだ?原作よりも早くたっちさんの姿を思い出したのか?
「分かりました…でも顔は隠さないとですね」
「え…あぁ確かに【上級防具作製】とこれでどうですか?」
「いいと思いますよ」
あぁ漆黒の英雄が原作よりも早く登場する事になるのか…いや、良いんだけど…流石にモモンガさんでも【ダークウォーリア】とか言うネーミングセンス皆無の名前はつけないよね。
「偽名は、そうですね【ダークウォーリア】とかどうです?」
「…モモンとかでいいんじゃないですか?ダークウォーリアは流石に厨二すぎますよ」
「…はい」
とりあえず、あの危険な名前は防ぐことが出来た。
もしあんな名前になってたら全世界の夢見る少年少女が絶望してしまう。
「それと、完全装備のアルベドに来るよう伝えろ。私はアージェさんと先に向かっておく」
「はっ!」
あれ?これ俺も行く感じ?
ーカルネ村近辺の林ー
「はぁはぁ…」
1人の村娘が妹と思しき少女を連れて走っていた。
少女の全力疾走など大した速度ではないがそれでも彼女は背後に迫り来る騎士から必死に逃げていた。
「きゃっ!」
「お姉ちゃん!」
少女を背後から騎士の剣が切りつける。
迫り来る騎士、徐々に迫り来る"死"を肌に感じ村娘の少女は恐怖を覚えた。
「な、なんだ!?」
「えっ?」
少女がせめて妹だけはと庇うような体勢になった時、騎士たちの攻撃が止み、逆にうろたえるような声が少女の耳に届いた。
「…はァァァァ!!」
「ぐぁぁぁ!」
ーブシャァァァ!ー
少女の目の前でこれまでこちらを追い立ててきた騎士の首が飛んだ。
噴き上げる血しぶきは周囲を鮮やかに色づかせ、一時的に現実とは思えぬ光景を作り出した。
「なっ何なんだお前達は!?」
「…答える気はありません」
【一閃】
黒い甲冑を纏った武者が残った騎士を鎧の上から切断した。
騎士の胴体はズレるように地面に崩れ落ち、辺りに血をばらまいた。
「大丈夫ですか?」
先程騎士の首を飛ばした漆黒に金のメッシュを入れたフルプレートの戦士がこちらに近づき赤い…そう赤い血のようなポーションを手渡す。
少女は戸惑いながらも…先程まであった恐怖を押し殺し、見た事も聞いたこともないポーションを飲んだ。
はい、今回からカルネ村の話に突入です。
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