ーモモンガ視点ー
浮かれている。
一言でモモンガの今の状態を表すならこの言葉が1番ふさわしいだろう。
何せこれまでの人生で唯一楽しかったゲームが全て終わってしまいそうだったのに、何と"親友"と呼べる仲間と共に異世界なんて面白そうな場所に飛ばされゲームの続きを楽しめるかもしれないのだ。
これでは浮かれない理由がない。
更には試しに食べてみたパンのアイテムなんて美味すぎて目から涙が出たほどだ。
「では、モモンガさん。そろそろ行きますか」
「えぇ、そうですね」
モモンガは左手に装備していた人化の指輪を外しオーバーロードの姿になった。
一気に今までの感動が抑制され虚しさと僅かな怒りを覚えながらも守護者達と会えばこの落ち着かない状態も終わりにできると骸骨の顔面に笑みを浮かべながらアージェと共に転移した。
ーナザリック第6階層ー
モモンガやアージェが第6階層の円形闘技場に到着するとそこには命じた通りヴィクティムとガルガンチュアを除く各階層守護者達が集まっていた。
「
モモンガは緊張しながらも威厳たっぷりの言葉で守護者達に表を上げるよう命じた。
その際緊張ゆえだろうかモモンガは絶望のオーラを周囲に見せつけるように発動させてしまった。
「(絶望のオーラ出してどうするんだ俺!?)」
『はっ!』
「うっ」
一糸乱れぬ動きでこちらを見つめる守護者達に恐怖を覚えながらもモモンガは必死にギルマスとして声を発した。
「よく集まってくれた感謝しよう」
「感謝などとんでもない。我ら至高の御方にこの身を捧げた者たち、至高の御方からすれば取るに足らないものでしょう」
やけに高揚した状態で言葉を話す"守護者統括アルベド"そしてそれを止めるどころか当たり前だと思っているであろう守護者達…既にモモンガは無いはずの胃が痛むのを感じた。
「せめて至高の御方に恥じないような働きを致します」
『誓います』
「(これどうすればいいんですか!?アージェさん!?)」
心の中で叫ぶオーバーロード。
しかし時は待ってくれない横にいるアージェは高みの見物とばかりにモモンガを見てニヤニヤしている。
この時、モモンガは後でアージェを殴ることを決定した。
「素晴らしいぞ!守護者たちよ!お前たちならば失態なく事を運べると強く確信した!」
『うはぁ…』
「さて、現在ナザリック地下大墳墓は異世界と呼ばれる場所に転移した!」
『なっ』
モモンガに褒められて嬉しそうにしているのもつかの間、モモンガからナザリックが別の世界に転移したと聞くと皆驚いた様子であった。
…一部表情が分からないNPCもいたが、そこら辺は雰囲気で感じ取ったらしい。
「そこで、お前たちには今から言う計画を遂行してもらいたい」
『はっ!』
「う、うむ。実はこの世界に転移する事を予想していた存在がいるのだ、それこそが我が友で"ナザリック最強"を誇るギルドメンバーアージェさんだ!」
モモンガはこれ以上は自分では耐えられないと隣でニヤニヤしているアージェを引きずり込んだ。
アージェは信じられないと言った絶望の表情をした後、花が咲いたような笑みを浮かべモモンガの足を思いっきり踏んだ。
「グッ…はい」
「はぁ、私の事は分かると思うけれど。一応自己紹介と行きましょう。至高の"42人"の1人で初代ワールドチャンピオンに輝いたナザリックの"最終兵器"アージェよ。皆これからよろしくね」
『はっ!』
アージェは仏顔で自己紹介と挨拶をすると、1度モモンガの方を向いてギロりと"働けポンコツ"と言った視線を向けると守護者たちに向き合い会話を始めた。
…この時、モモンガは生きた心地がしなかったそうな。
「あなた達にやって貰うことは、ズバリ国づくりよ」
「…あ、あの、アージェ様。なぜ国を作らなければならないでありんす?」
「うーん…分かりやすい利点は他のギルメンを見つけるためと周辺諸国と外交を行うこと、更に外貨を獲得するのに都合がいいからかしら」
アージェはシャルティアからの質問にも特に動じることなく答えモモンガを驚かせた。
モモンガは"えっ?あれってそんな理由があったの!?すごい面白そうだからだと思ってたんだけど!?聞いてないよアージェさん!!"と心の中で悲鳴を上げては抑制されていたが…まぁ、どうせ説明されるのだから問題ないとモモンガは思考を切り替えた。
「なるほど…情報が少ない中でもそれほどの事を考えておられたとは。このデミウルゴス感服しました」
「…いや、これは私よりもモモンガさんが元々進めていた計画だったの。私はそれを補佐したに過ぎない…よってこれはモモンガさんの功績でしょう」
「え?」
「あぁ…モモンガ様が…さすがは至高の御方です」
"えっちょっと待って?なんか全く説明されずに守護者たちが理解しだしたんだけど!?"
モモンガは慌てた。
そう、このままでは何一つ分からずに終わってしまう、だからモモンガは一計を講じた。
「ほう、デミウルゴスもう分かったのか」
「はっ!モモンガ様。お二人の頭脳には足元にも及びませんが…」
「よい。それよりもわかっていない者も居るようだ。他のものにも分かるよう"分かりやすく"説明してやれ」
「はっ!」
モモンガの言葉を聞きデミウルゴスは許可をもらって立ち上がった。
そして守護者たちの前…モモンガの隣、アージェの反対側に立つと守護者たちに向けて至高の御方が考えている計画を打ち明けた。
最も、2人のうち1人は面白そうくらいにしか思ってなかったのだが…それはデミウルゴスの天才的な頭脳で補填されているためなんの問題もない。
「まず最初に、アージェ様が言った通り我々で国を作るメリットはいくつも存在する。まず初めにこのアインズ・ウール・ゴウンとナザリック地下大墳墓の名を世界に轟かせることが出来るのだ」
「ダガ、キョウダイナテキガアラワレタラドウスル?」
シューという音と共にコキュートスがその考えについて意見を述べる。
デミウルゴスは笑みを浮かべながらその天才的な考えを語った。
「ふふふ…それはなんの問題も無い。何故ならそのような当たり前の事態など既に至高の御方にはお見通しだからだ」
「ナンダト!?」
「…(すいません!全く分かりません!!)」
「そう、アージェ様は先程言っただろう"周辺諸国との外交"つまり至高の御方はこの世界に少なくとも2つ以上の国が存在し貨幣を作れるレベルの文明を築いていることにとっくの昔に気づいておられたのだよ」
「…(知ってるのはアージェさんと並行世界のアージェさんだけです!!俺は知らないよ!!)」
「そうですねモモンガ様」
「う、うむ。その通りだデミウルゴスよ!よくぞ少ない情報からそこまでの事を理解した!」
「ありがたきお言葉ですモモンガ様」
モモンガはパンク寸前の頭を必死に働かせ守護者たちにそれが真実かのように答えた。
…勿論の事だがモモンガは何が何だかよく分かってない、デミウルゴスが言うなら間違いないのだろうと場を濁しているだけだ。
「デミウルゴス」
「はっ!アージェ様」
「このナザリック地下大墳墓を都市の中心よりも前の方に配置した城塞都市の建設の監督をお前に任せる。資源や人材については守護者統括のアルベドと相談して決めるように」
「はっ…ですがナザリックを中心にしなくてよろしいのでしょうか?」
「なんの問題も無い。それと同時にナザリック以上の深さを持つダンジョンを左右に作るように、ダンジョン化に関しては私とモモンガさんが行うためただ広い空間を作ってくれれば構わない」
「はっ!必ずや期待に添えるように致しましょう」
デミウルゴスがその場で深く膝をつきそう答える。
それを見てアージェは満足したのかモモンガと共にあとは任せると離れようとする…しかし、転移しようとした瞬間に思い出したのかデミウルゴスに向かって"人間種も多く暮らすから変な物は作らないように"それだけ言ってアージェとモモンガは去っていった。
ー第10階層の廊下ー
「アイツらマジだ」
「…頑張りましょうギルマス」
その日第10階層の廊下は一部崩壊した。
今回は結構悩みましたが詳細は次回明らかになります。
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