金属アーム付き幼女(41歳)の起こした事件の翌日、和澄シンはまだ眠っていた。
だが街は眠らない。そこに人が存在する限り働き続けるのだ。
そして話は昨日の強盗事件でもちきりである。そう、和澄シンの活躍はばっちりカメラの中に納められちゃったのである。
その映像をテレビで見ていた者の反応を、ここで紹介しよう。
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キューリュー、それはこちらの世界ではヤクザと同じものと考えていい組織である。
そこの業かなソファにケリー・キューリューは座ってテレビを見ていた。
ビルの壁を登りながら幼女を殴っているワスミ・シンを。顔こそ見えないが必死になっていたことだけは分かる。
そして幼女を気絶させることに成功したのか、落下していきパトカーの上に落ちたのは手に汗握って動揺を隠そうと必死になるくらいだった。
テロップで男性警察官は命に別状はないと出たためほっとしたが、ニュースキャスターらは阿鼻叫喚となっていた。
無理もない、保護すべき男性が大怪我を負えば慌てふためくだろう。
故に、男性が警察官をすることを批判する声が多く上がる。
そこに称賛はなく、彼の健闘をたたえる声はないことにケリーはイラつきを感じた。
あの時、むしろ事件を解決できたのはあの男しかいなかった。女性優位という固定概念を覆せるワスミ・シンだからこそ接近出来て仕留めることが出来たのだ。
そのうえ、キューリューと同等、それ以上の腕力を持つ彼だからこそ、あの怪物を仕留めることが出来たのだ。
「…………やっぱり欲しいな」
あの身体、恐らくケリーの力にも耐えて帳を共にできるだろう。
木端程度の組員は男に困ることは多々あり、そのため上の世界を目指して必死に動くがケリーほどの幹部になると本来なら男に困ることはない。
だが、ケリーの場合は興奮しすぎて無意識に力を込めた結果、男が怪我をしてしまうという事態に発展してしまうのだ。
だから幹部でありながらよい男に巡り合えないのがケリーでそのことをネタに噂されていたりする。
だからこそ彼女は強い男に憧れる。
三本足の鉄腕を持つ幼女に打ち勝った彼のような、強い男を。
「これは早々に『手土産』をもっていかなきゃあなぁ」
この時後ろに控えていた部下は、その独り言を聞いた際に『この人わるい顔してるんだろうなぁ』と思ったそうな。
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某所、というにはいささか高貴さを隠しきれていない宮殿に彼女たちはいた。
「わぁ、凄いわ。あの怪物を倒しちゃうなんて」
「そうね、あれは鉄の怪物。骨も鉄に変えてるはずなのに倒しちゃうなんて」
その姉妹は高貴である。とある大企業の会長と社長であり、常に周囲に男を侍らせていた。
だが、その男どもは異様だった。
その男は『4匹』いた。どれもこれも首輪をつけて四つん這いに、しかも足は膝で歩くように足首と太ももを縛られ、まさしく犬のような格好をさせられていた。
姉妹の周囲で椅子になり、頭を撫でられ、貴重な男を家畜のようにかわいがっていた。
そのような扱いでも男たちは嬉しそうにしているだけである。
まるで生まれた時からそれが当然かのように。
「ねえ、お姉さま。そろそろ新しい犬が欲しいわ」
「わがままね。あの子が欲しいんでしょう?」
「流石はお姉さま。私のことは何だってお見通しね」
「だって妹のことはお見通しなの。確かに、あの子は調教のし甲斐がありそうだものね」
姉はにこやかにほほ笑む。それがどのような意味を持つかは分からない。
だが、彼女らはそれが好きなのだ。
『生意気な男を屈服させること』こそ至福のひと時なのだ。
「では、そのように働きかけてみましょうか」
「はい!楽しみですわ!」
楽しみだと言わんばかりに妹ははしゃぐ。一人の男の人生を台無しにすることを何とも思っていない様に。
彼女らの間の手は和澄シンへ伸びていく。
その手がどうなるか、今はまだ分からない。
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「うぁー…………」
白き巨人がそこに居る。壁に着いた液晶を眺めて座っていた。
「ひまぁ…………」
そしてゴロンとその巨体を横にして床を転がる。
身長250cm、人間の規格を超えた身長でありながら体格は拡大した人間と変わりない、とは言うが乳と尻は非常にデカくなっているが。
今日もこのまま閉じ込められて、食事を出される時以外は人間と接触しない。
まるで実験動物のように管理されていた。
唯一の娯楽は液晶に映るテレビのみ。適当にチャンネルが変わるが都合の悪いこと、特にスイーツの紹介や観光地など外の世界に興味を持つようなことは見させてもらえてなかった。
「ノビルア、食事だ」
ドアが開いて食事、というにはカプセルなどろくなものではなさそうなものが山盛りにトレーに乗っただけのものを運ばれてくる。
それをなんの疑問も思わず鷲掴みにして口の中に放り込み、ボリボリと食べまた横になる。
ゴロゴロとテレビを見て今日も一日退屈に過ごすのだ。
そのはずだった。
『きゃあーっ!?』
『え、あれ本当に大丈夫なの!?原稿に命に別状はないってあるけどいいの!?』
『い、今すぐ慰めにいかないと…………!』
阿鼻叫喚のスタジオ。ニュースは興味ないがここまで狼狽する声を聞くのは初めてだった。
何事かと寝そべりながら液晶を見る。
そこには男が幼児と格闘してるシーンが映し出されていた。
モニター越しに初めてではないが男を見て、心の中で何かが反応した。
この男も自分より小さいのだろう。だが、何故か私を抱き上げてくれそうな気がしてならない。
なんなら『自分をだっこしてばぶばぶちゅっちゅしてくれそう』で下半身が熱くなる。
『対象が興奮状態!今すぐ睡眠ガスを放出するため退避せよ!』
そんなことを考えていたら突然おやすみの空気が流れてきた。
もうちょっと見たかったなと思いながら、彼女はすやすやと夢の世界へ旅立った。
いつも見る何もない夢、そこに初めてのお友達ができることをまだ彼女は知らない。
次回!ちょっとお見舞いの品が多すぎる!ちょっと皆にも分けちゃおう!あれ、なんでそんなに争奪戦になってるの!?
「第十一 、おかし争奪戦」
『シンきゅんのお菓子(自分が渡したやつ)はアタシのものだぁ!』
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