また別の取調室みたいな場所、というにはいささか大きな部屋へ通された。
明らかに警官からSPのような屈強な女性に囲まれて肩身が狭い。
とはいえ怯えるのは『プライド』が許さない。囲まれても堂々と歩いて行く。
ここがどこだと関係ない。誰が出ようと関係ない。俺は怨敵と実質相討ちになった男だぞ。ここからでも変身できなくとも全員ボコれる、よし問題ないな!*1
「こちらへどうぞ。署長がお待ちです」
「署長?いきなり所長とは随分歓迎されてるな」
「…………署長と聞いて怯えない男性は初めててすよ」
「そりゃどうも」
SPらに若干動揺が走るのが見える。明らかに男性が少ないから関係が持ったことないのか?それもと彼女らが知る男性像が貧弱なのか?
そこら辺は後々考えよう。
ガチャリ、と何も言わず扉を開ける。
「ようこそ『
「和澄シンだ。名前はもう知ってるだろ?」
「もちろん、でも貴方のデータはないから偽名かと思って」
にこやかに、そして警戒心を隠して接してくる女性が座っていた。
「なるほど、確かに俺のデータはないみたいだな」
前の世界で散々暴れたのに、と言いたかったがあえて言葉を飲み込んだ。
実際、俺はここでは正体不明の男なのだ。前の世界だとめちゃくちゃ暴れたしテレビでも報道されて色んな情報がネットに溢れて特定されるくらいには。
まあ、あの時はそれくらい後がなかったと言えた。
今はスッキリしたと言い難いが、前よりはだいぶマシになってる…………はず。
「私はここの署長であるレイラ・ラライだ。…………ふむ、見れば見るほど美男子だね君」
「初手から口説き文句か?この世界の人間は相当肉食なんだな」
「なるほど?そういうキャラでくるか」
目の前にいる女性はきちっと制服を着ているのだが、どこか不良そうな印象を受ける赤髪の長髪で鋭い目つきをしてこちらを見てくる。
意外なことに。先ほどのSPらから少しあった『視姦』では無く警戒。希少種らしいとはいえ貴重な男を目の前に自制出来ている。
「さて、早速だが本題に入ろう。男性資料館からの問い合わせがあったが、『ワスミ・シン』という男は存在しない。それどころか整形前と仮定しても登録されている男性の人相と誰とも一致しない」
「そんなのが堂々と歩いて何が目的だ、とでも?」
「まさにその通り。男性に関わる裏取引は稀に起こる。が、君は逃げてきたわけでもなく堂々と存在していた」
「ふん、突然現れた男は何者だと」
元ダークヒーローです、なんて堂々と言っていいのだろうか?それだと何処かで殺人をしてないかと疑われかねない。
だからと言って嘘の経歴を述べるのも違う。つまらない嘘はつかない主義だ。
ならば答えはただ一つ!
「それなら教えてやろう。俺はこの世界の住民ではない。ここから遠く遠く、次元すら離れた全く別の世界からやってきた」
「…………続けて」
先ほどまで空気だったSPらの視線が可哀そうな子を見る目に変わった気がしてちょっと病みそう。
「俺は家族を殺した『デストロイヤンズ』を追い、変身ダークヒーローみたいな感じで戦い続け、そして激しい戦いの末にやっと相打ちになった…………はずだったが今もこうして生きている」
「……………………」
「変身アイテムは失ったが、この身一つあれば何とでもなる!さあ、俺にこの世界のことを教えてくれ」
待て、所長の目が先ほどと違って痛い子を見る優しい目になっている。
流石に俺もこんなこと言われたら痛い子扱いする。というか、似たような子が前にもいた。*2
「『チャーミーメン』の見過ぎというか、調教され過ぎというか…………まあ、君はうちの管轄で保護させてもらうからね」
口調も優しくなってるぞ畜生!
こうして、しばらくの間はこの警察署で保護され、身元を現れるための取調べを受けることになった。
そして俺は改めて知ることになる、この世界は男女比が女性に偏り過ぎていることを。
この街は他の街と比べて治安が悪いことを。
俺が一人で職質を受けるまで無事でいたことはどこかのヤクザの愛人が逃げ出したのかと思われていたこと。
…………本来ならもっと肉食の女性のはずだろうと思っていたのが大人しかったのはそのためか、と力が抜ける思いとなった。
次回!とりあえず警察署で軟禁生活、他の男性はいないから見物客がたくさんだ!安全と思いきやどこにも身の程をわきまえない馬鹿はいるのだ!
「第三 、己の夢」
『ここに、男が居ると聞きましたが本当ですか?』
カタギじゃないよねあなた達!
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