元ダークヒーローは世界初の男性警官となる   作:蓮太郎

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第四 、技は大体のことを解決する

 柔道場みたいなところはどこにでもあるらしい。

 

 簡単な準備運動をしながらそんなことを思う。目の前には他の警察官より一回り大きい高身長かつ爆乳な女性、恐らく暴漢、いや暴女を予想してあてがわれたんだろう。

 

「ほんとうにいいんすよね?あたし、こんなことしてお咎めなしなんですよね!?」

 

「構わん、暴走したら殴り蹴りしてでも止めてやる」

 

「うおお、後が怖いっすけど…………シン君もほんとうにいいんすよね?」

 

「問題ない、いつでもかかってこい」

 

「うう、ちょっと気が引けるんすけど…………」

 

 お互い青の柔道着もどきを着用し、俺は挑発をする。

 

 彼女は他の衆から監視の目がありながら暴女役を男に対してやるのは気が引けるが、ここで俺の自信を折らなければならないと顔を引っ叩き気合を入れる。

 

 なぜこうなったか簡単に説明しておこう。

 

 俺の夢が警察官になること言い、なれるのか聞いたことがきっかけだった。

 

 そこで署長は『君は…………男性がそんな職に就くこと自体どういう意味があるか分かってるのか?』と言ってくるので危険なのは承知だが誰かを守るのに必要なことと答えると渋い顔をされた。

 

 その後に警察官がどれだけ過酷なのか語られ、ましてや男性がそんな職につくとは言語道断と言う。

 

 そこで俺の反論として、男性警官がいたら士気が上がるのではと言ったら言葉に詰まった。

 

 後ろで確かにと首を縦に振る警官らもいたが、署長がひと睨みするとそっぽを向いた。

 

 アイドル警官と同じ要領だ。守ってやらねばとあわよくば接したい『欲望』が強い彼女らを刺激するのにちょうどいいだろう。

 

「それじゃあ…………げへへ、可愛いねぇ君。お姉さんと遊ぼうや!」

 

 だっと両手を広げ抱き着こうと走ってくるのを、俺は構えて相手の両手を掴む。

 

 悪手かと思い彼女は力づくで俺を抱きしめようとするが、びくともしないことに徐々に焦り始める。

 

 野外から「抱きしめろー」だの「わからせろー」だのヤジが飛ぶが、俺はメスガキかなんかか?

 

「あ、あれ?意外と力あるんすね」

 

「鍛えてたからな。後先に謝っとく、悪いな」

 

「え?」

 

 カ――――ンッ!

 

「…………っ!?っ!?!?!?」

 

 奇妙な音が鳴った理由、それは俺が高速で彼女の股を蹴り上げたからである。*1

 

 金的は禁止技というが、無法者相手に加減するつもりはない。今回は模擬ということなので流石に加減はした。

 

 それでも股を蹴られるということは直接骨盤やそこに位置する内臓にもダメージがあるということで男性も女性も変わらない急所である。

 

 一瞬、何が起きたか分からない顔をしていた彼女だが、痛みが脳に来た瞬間両手の力が抜け股間を押さえようとしていた。

 

 そのすきを見逃さず、俺は彼女のわきを通り、前かがみになったところを背中を押して地面へと叩きつける。

 

 そして倒れたと同時に腕を取り、脇固めを決める。

 

「いーーーったい痛い痛い!ギブっ!ギブっす!」

 

「そこまで!…………かなりエグいことをするな」

 

「これくらいしないと解らせられないだろ?」

 

「それはそうだが…………ううむ」

 

「これでもまだマシな方だし」

 

「ああ、今なんと言った?」

 

「股間蹴った後に前屈みになった時、頭を押さえて膝蹴りをかましてもよかったんだ」*2

 

「え、えげつないことされそうになってたんすかあたし?もしかして命拾いした方?」

 

 なぜかほとんどが股を押さえて顔を青くしてるが、一部はアイドル警官顔を赤くしている。

 

 なんだお前ら、蹴られたい願望でもあるのか?

 

「これで襲われても最低限守れるくらいはできる。どうだ?」

 

「どうだ、と言われともなぁ…………済まないがこれは一回持ち帰らせてくれ。会議で決める」

 

 眉間を押さえながら所長はそう答えた。

 

「いい返事を待ってるさ」

 

 そう言って汗も特にかかなかったので部屋に戻り、そのまま着替えて寝た。

 

 吉報が来るのはまた時間がかかったことを、ここに記しておく。

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「さて、どうしたものか…………」

 

 レイラ・ラライは困っていた。

 

 先日、保護した身元不明の男性が警官になりたいと言い出した。

 

 最低限の知識は事前にテストしたためあること自体はわかっている。

 

 だが、男性と女性ではどうしようもない差があるはずだったのだ。

 

「ノッチ〜?どうだったのあの子の感触さぁ?」

 

「い、いや腕掴まれただけだしそのまま股を蹴られたし…………」

 

「イきそうだったんでしょ?」

 

「そんな趣味ないっすよ!?」

 

「あれ裏山なんだが?ん?」

 

「あんたらの性癖は知らないっすよ!」

 

 この警察署一番の力自慢であるはずのノッチ・ストリングスの初動を止め、カウンターをかました上に事実上の拘束をしたため対人戦にも一言あることを知ってしまった。

 

 男でありながら戦えるのはどうかと思うが、その戦い方も気になった。

 

 明らかに対人戦に向いている(・・・・・・・・・)

 

 一体あの男は何者なのか。何故『弱い子をヨシヨシして甘やかしたい』性癖に刺さらないのか。

 

「…………正体を確かめるために、仕方ない、か」

 

 レイラは重い腰を上げることを決意した。

 

 反対はあるだろう、だが不気味な男の本性を突き止めるためやらねばならない。

 

 もし何かあるのなら…………

 

「私の全てを賭けても、街は守り抜く」

 

 その心に宿す正義を全て差し出そう。

 

*1
説明しよう!金的はシンがよく使ってた技で、大抵の相手には効いたぞ!

*2
説明しよう!元ダークヒーロー故にダーティーなたたかいかたがいちばんのくきだぞ!




次回!仮免許?一日限定の警察官!?とりあえずの様子見ってことねってなんだかの人だかり!?

「第五 、一日限定の体験警察官!」

『こっち見てー!』

モテモテだなおい

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