元ダークヒーローは世界初の男性警官となる   作:蓮太郎

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第七 、治安の悪い街

 

「随分人気になったもんだな」

 

 立てこもり犯をボコした翌日、俺こと和澄シンは支給されたスマホからSNSを眺めていた。何故かR-18制限はされていたがあっさりと解除して眺めている。

 

「昨日の切り抜きに絵まで書かれてやがる。どんだけ男に飢えてるんだよ」

 

 そんな独り言を呟いてしまうくらいSNSはある意味惨状だった。

 

 昨日の立てこもりのやりとりを切り抜きされてボコした犯人を引きずって出てきたシーンや最初のやりとりでキメラ語録を作られていた。

 

 絵に関しては警官制服でかっこよくポーズ決めてたりするのはいいが、R-18で敗北して服剥がされてたりするのが大量に出回っていた。

 

 思ったよりもエロ絵が出回っていて笑ってしまう。そういえば前の世界にも仮面割れみたいなエロ絵も投稿されていたな。

 

 俺が何も言わないからそれが加速してあいつとの絡み絵も……………………思い出すのはやめよう。

 

 そうやってのんびりしていたら署長がノック無しで入ってきた。

 

「おいおい、着替えでもしていたらどうするつもりだった?」

 

「君がそんな隙を見せると?」

 

「それはないな」

 

「そういうことだ。正式に君の採用が決まった。早速だが出動だ」

 

「OK。やることは?」

 

「ひったくり犯の確保。ここ最近多発しているから容疑者は絞りにくい」

 

「人を見たらひったくりと思え、か。バイクを用意してくれ」

 

 そう言ったら署長が疑いの目をかけてくる。俺がバイクを本当に運転できるのかって?

 

「『昔取った杵柄』という言葉を知っているか?*1

 

「ふむ…………『過去の男は二人』と似たような言葉か」

 

「何でそう卑猥な単語に変換されるんだこの世界は…………!」

 

 また中二病が始まったみたいな目で見るな!俺にとってはこれが普通だし、本当に別世界の人間なんだよ!

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「よっし、ゲットぉ!」

 

「やったね姉ちゃん!」

 

 このひったくり姉妹は今日も通行人相手にひったくりをかましていた。

 

 いつからだろうか、人から瞬時にモノを取る才能があると知ったのは。

 

 いつからだろう、自分にバイクの才能があったと気づいたのは。

 

 普通に稼ぐよりも気づいたらこっちのほうが稼ぎやすいと知ってしまった。

 

 相手を見極め、この街に住むその道(・・・)でない人を選び鞄を取る。

 

 例え追いかけられても自慢のバイクテクニックで振り切ってすぐに裏で換金して遊ぶの繰り返し。

 

 そう言った犯罪者はこの街では少なくない。守れないほうがいけないのだ。

 

 だが今日は一味違った。

 

「姉ちゃん!後ろからパトバイがおってくる!」

 

「分かった、振り切る!」

 

 ひったくってすぐにパトバイに追いかけられてしまった。

 

 しかし、現場の近くにいたパトバイなら振り切ることはできる。この才能をもっと生かせばよかったのだが、この姉は犯罪に使うほかなかった。

 

 色々あるとはいえ、犯罪は犯罪、それも今日はしつこく追いかけられてしまったのだ。

 

「しつこいな!向こうの顔は見えるか!?」

 

「だめ!ヘルメットで見えない!」

 

「ちっ!」

 

 姉妹にとって姉と同等、もしかしたらそれ以上かもしれないバイクテクは見たことが無かった。

 

 細い路地に入っても追跡は終わらず、むしろ減速せずに迫ってきているのが厄介であった。

 

 もしかしたら今回は捕えられるかもしれない。そんな嫌な予感を振り払うように姉は更にバイクを加速させていく。

 

「こうなったら…………大通り出るよ!しっかり捕まってな!」

 

「わ、分かった!」

 

 バイクを限界まで加速させ、大通りへと飛び出す。そこには一般の車もあるが、逃げるためには巻き込んでも仕方ない。

 

 車を避けつつ、赤信号で止まっている横を抜けトップスピードで抜けていく。

 

 姉妹が通った瞬間は問題なく通り抜けられた。だが、パトバイが行こうとした瞬間、ちょっと車高の高いタンクローリーが通ったのだ。

 

 振り切った。アレが来たからには止まるしかない、そう考えていた。

 

 だが現実は小説よりも奇なり、という言葉がある。彼女らの予想をはるかに上回ることをしでかされた。

 

 バイクを可能な限り、それどころか火花が散るほど横滑りさせタンクローリーの下を、なおかつ運転手は『人間を超えてるんじゃないか』という跳躍力で走行するタンクローリーの上に飛び乗りそのまま横滑りして下を通過したバイクへ着地、そのまま即座に加速してややウイリー状態で追いかけてきたのだ!

 

 これには姉妹も後ろを見て唖然とし、前が不注意になってしまった。

 

 それと共に不幸が重なる。

 

 信号は緑だったのに信号無視の車が突っ込んで姉妹の前にちょうどぶつかってしまうように立ちふさがり、衝突。

 

 二人は空中を舞って放り出され地面に叩きつけられる。

 

 どこかの骨を折ったのだろう、全身が痛くて動けなくなった姉妹の下に追跡したパトバイが近くまで寄ってくる。

 

「これ、事故かそれとも信号無視か…………なんにせよ合わせて二件検挙ってところだな」

 

 薄れそうな意識の中で聞こえたのは男の声。ヘルメットの下は…………男?

 

「さて、一応言っておこう。警察だ、もう逃げられないぞ」

 

 とりあえず救急車だな、とヘルメットを外して現れたのは男の顔。

 

 姉妹は思い出す。そういえば男の警察官が採用されたとか聞いたような?

 

 捕まるのはともかく、男の警察官にこうして見られたのは運がいいのでは?そう思いつつ股を濡らしながら彼女らの意識は消えた。

 

「おーい、大丈夫か?これまずいな、応急手当てしないと!」

 

 後にこの姉妹は病院で目覚め、治療を受けた後に逮捕されることとなるが、男性警官ことワスミ・シンに介抱された時の記憶がなかったことに後悔したとずっと言っていたそうな。

 

 そして、この事件をきっかけにワスミ・シンに出会えると、捕まえることが出来たら自由にできると噂が立ち、犯罪が増えることとなる。

 

 これを知ったシンと署長は頭を抱えることになったのは言うまでもない。

*1
説明しよう!シンは移動手段としてバイクをよく使っていたぞ!いろんな事情で入手したため保険は入ってなかったし壊さないよう丁寧にかつ酷使させていた!




次回!犯罪が増える!出動が増える!休みがなくなる!あれ、こんなに大変だったっけ?なに?俺を実験に使いたいと暴れる犯罪者が居る?

「第八 、悪の科学者」

『わがはいのとりぷるあーむにふかのうはないのだ!』

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