Pokémon LEGENDS 三聖獣異聞録 神都秘邃百獣夜行 作:野傘
『純白の凍土』に雷鳴が轟く。
——ひゅらららーい!
たてがみより無数の白雷を放ち、ライコウが凍てつく雪原を駆ける。
その身からは雷光のみならず、断続的に漆黒の
——が、その時。
【ラスターカノン】
——ひゅらぎゅるるる……ひゅらぃ!?
地を駆けるライコウに突如として輝く鋼の弾丸が突き刺さる。
意識外から無防備な横腹に一撃を食らい、もんどり打って転がったライコウ。しかし、すぐさま地を蹴り上げて宙返り、体勢を整え攻撃の飛んできた方向を睨みつける。
周囲は先の衝撃によって舞った雪煙で閉ざされ、攻撃を放った下手人の姿を見ることは叶わない。
だが、姿は捕らえられずともこの身へと注がれる戦意はひしひしと感じ取れた。
間違いない、敵は未だこちらを狙い続けている。
思考の大半を狂気に侵食されながらも、本能的に自らを狙う外敵の存在を察知し警戒を強めるライコウ。
【ラスターカノン】
果たしてその予想は的中し、雪煙を突き破って複数の鋼色の光弾がライコウへと降り注いだ。
鋼弾は上下左右に少しずつタイミングをずらしながら放たれたのであろう。今いる位置より何処に逃れようとも必ず命中する軌道を描いていた。
迫る
——ひゅらららら……ひゅらごああああ!!
ライコウの周囲に膨大な冷気が溢れ出し、口腔へと収束していく。
形成されたのは"こおり"タイプの膨大なエネルギー塊。刹那、ライコウは咆哮とともに作りだしたそれを解放した。
"力業"【ふぶき】
顕現する万物を凍てつかせる極低温の"こおり"ブレス。
白い吹雪は与えられた指向性のまま、迫る
数秒の後、敵より放たれた全ての
"早業"【れいとうビーム】
神速を以って放たれた冷線。それは【ふぶき】の余波たる雪煙を貫き、狙い違わず
——ひゅららいい……!
やがて周囲を覆っていた雪煙が少しづつ収まってくる。
徐々に開けてくる視界。ライコウが【れいとうビーム】の着弾地点へと目をやれば、そこには全身が真っ白い氷で覆い尽くされた物言わぬ氷像があった。
白い氷に覆い尽くされその姿を伺うことは出来ないが、これが先の
不意の襲撃を退け、敵対者を氷漬けにしたライコウ。
彼はそのまま自らに仇為そうとした不届き者にトドメを刺すべく氷像の方へ歩み寄っていく。
そして身動きできぬ獲物に牙を突き立てんと、顎を開いた——その時であった。
——ひゅるる……!?
"ピシリ"。と、音を立てて氷像の表面に
突如として響いた異音に思わず動きを止めたライコウ。
次の瞬間、物言わぬ氷像を突き破り、銀色に輝く刃が顕現する。
無防備なライコウ目掛け突き出された鋼の刃。
それは寸分違わぬ狙いで以って、さらけ出された
至近の距離より放たれた一撃。不意を打たれたライコウに反応することは叶わぬ筈であった。
だがしかし、鋼の刃が喉笛を切り裂く刹那、迫りくる命の危機に理性よりも早くライコウの本能が反応した。
脳を経過せぬ直通の指令。次の瞬間、ライコウの背に負う黒雲のたてがみよりその肉体へ電流が走る。
放たれた電流は筋肉へと作用し、一瞬の内にこれを収縮。鋼の刃が叩き込まれるより早く、その軌道から急所を逸らすことに成功したのだった。
標的を失った刃はライコウの頬の毛を僅か切り落とし、空振りに終わる。
同時に再び肉体に電流が流れる。ライコウの四肢が反射的に大地を蹴り飛ばし、瞬く間の内に敵の攻撃が届かぬ位置へと飛び退ったのであった。
——ひゅらいい……!!
仕留めたと思った筈の獲物に不意を打たれ、危うく返り討ちとなるところであったライコウ。
故にライコウは標的が容易ならざる相手であると認識し、油断なく構えを取った。
次の瞬間、彼の眼前にて氷像が全て砕け散り……そして、ようやく彼を脅かす外敵の全貌が明らかとなる。
——きゅおるきゅおおおお!!
現れたのは黒い羽毛に覆われた流線形の体。名刀が如き鋼の両翼。威厳ある顔立ちに、嘴からは王冠の如き三叉角が伸びる。
そのポケモンの名は"こうていポケモン"エンペルト。ヒスイの地にて古く"波濤殿"と呼ばれ奉られし海の皇帝にして、
氷像を引き裂き現れたエンペルト。その傍らに、ライコウは
僅かに視線を動かせば、そこにはいつぞや見かけた
少女より漂う「神」の光の気配。それを認識した途端、ライコウの精神に抗い難き叫びが響く。
弑殺せよ。
鏖殺せよ。
滅殺せよ。
目障りなる神の残滓を、この地より一掃せよ。
——ひゅらららああああいいい!!
ライコウを駆り立てる狂気の叫び。
精神がドス黒い衝動によって塗りつぶされ、あらゆる思考が眼前の獲物を弑殺することにのみ帰結される。
たてがみより膨大な電力が供給され、ライコウの肉体に力が滾る。
同時にライコウの全身から漏れだす猛烈な冷気。
それらは大気に漂う水分を瞬時に凍てつかせ、周囲に無数の氷塊を生み出していく。
——ららいいぃ!!
瞬間、作りだされた氷塊が凄まじい速さで打ち出された。
"早業"【こおりのつぶて】
エンペルト目掛け降り注ぐ、無数の氷弾。
ガトリングもかくやの勢いで迫る【こおりのつぶて】、避けることは叶わない。
ならば取るべき選択は——迎撃一択。
——きゅるおうる……!
エンペルトの周囲に流れる"みず"のエネルギーが渦を巻く。
同時に鋼の双翼を交差させ、腰を低く落とすエンペルト。
その構えはさながら居合が如く、しかと溜め込まれた力は解放の時を待つ。
「エンペルト、【アクアブレイク】!」
——きゅおん!!
そして——一拍の間をおき、エンペルトより渦巻く水の斬撃が放たれた。
流氷をも両断する鋼翼の一閃。それは迫り来る
——えるきゅおおおん!!
さらにエンペルトの攻勢はこれだけで終わらない。
斬撃を放った勢いのまま今度は全身に流水を纏ったエンペルト。次いで凍り付いた大地へ勢いよく飛び込むと、そのまま流水を推進力に凄まじい速度でライコウに肉薄する。
"早業"【ウェーブタックル】
——ひゅらいっ!?
雨あられと叩きつけた
ライコウは迫りくるそれを押し留めんと、慌てて氷の息吹を放つもエンペルトの勢いを止めることは叶わず。
——ひゅららおおお!!?
瞬間、途轍もない衝撃とともに両者の肉体が激突した。
我が身を省みぬエンペルトの捨て身の特攻。直撃を受けたライコウの体勢がぐらりと崩れる。
——ひゅ、ら……ひゅらるる!?
だがしかし、崩れかけたその体が突如ガシリと掴まれる。
無論のこと掴んだ下手人は至近にて相対するエンペルトに他ならぬ。
彼はそのまま翼爪でライコウを固定、決して逃がさんとばかりに引き寄せる。
——その口腔に一目でわかるほど膨大な、"はがね"エネルギーが収束させながら。
——ひゅららららい!?
エンペルトの口腔に集う破壊的なエネルギー。ライコウはその砲口がピタリとこちらに向いていることを見て取るや、慌てて拘束より逃れんとした。
だが時すでに遅し。ライコウが拘束より逃れるよりも早く、エンペルトはエネルギーの充填を完了させており——。
「"力強く"……【てっていこうせん】!」
"力業"【てっていこうせん】
——そして、ライコウの身体を呑み込む長大な光線が放たれた。
(——やった)
エンペルトから放たれた【てっていこうせん】がライコウを呑み込み、着弾先で大爆発を起こしたのを見たショウ。
着弾の衝撃で雪煙が舞い上がり、ライコウの姿を伺うことは出来ないが……それでも彼女はこの一撃でライコウが致命的な痛手を被ったことを確信していた。
はがねタイプにおける最強の技の一つたる【てっていこうせん】。それを力業化した上で直撃させたのだ。いかに頑丈なポケモンとて、まずひんしの重傷は免れない。
——きゅ、きゅるう……
「! エンペルト、大丈夫!?」
その時、残心の姿勢をとっていたエンペルトが苦し気な声とともにガクリと膝を突く。
相棒の急変に慌てて傍へと駆け寄るショウ。見ればエンペルトは荒い息を吐きながら、突き刺した鋼翼を支えにようやっと立っているような有様であった。
無理もない。先の戦闘で使用した【ウェーブタックル】、【てっていこうせん】は共に強大な威力を誇る一方で体力の消耗も激しい諸刃の剣。特に後者はただでさえ消耗が激しい技をさらに力業で強化した上で放ったのだ。消耗のあまり膝を突いてしまうのも当然であった。
「ありがとう。無茶させちゃってゴメンね、エンペルト」
——きゅるおうる……
仕方ないこととはいえ無茶な行動をさせてしまったことを詫びつつ、奮闘した相棒に労いの言葉をかけるショウ。
そのまま彼女は傷ついた相棒をボールへ戻そうとした——その時である。
「後は私に任せて休んで……——ッ!?」
突如として、彼女の直感が極大の警鐘を鳴らす。
皮膚を伝うまるで電流を浴びたようなビリビリとした感覚。
襲い掛かる強烈な
——ひゅららあああい!!
瞬間、大気を震わせる咆哮と共に
(ライ、コウ……!)
雪煙を吹き散らし、再びショウの前に顕現したライコウ。
先の戦いにて強烈な痛手を与えたにも関わらず、恐るべき威容は未だ健在。それどころか発せられる重圧は先の一戦を遥かに凌駕し、ますますとして強まっていく始末である。
——ひゅるごあああああ!!
凍土に響き渡るライコウの咆哮。
同時にライコウの背に負うたてがみが白く輝き、轟音とともに純白の稲妻が放たれる。
ライコウの周囲全てにのべつ幕なく、無差別に落ちる白雷。
平時を遥かに上回る速度で生成された電気エネルギーが、たてがみの許容量を超えて漏れ出していた。
原因は先の一戦。エンペルトの怒涛の攻めに追い詰められ、生命の危機に瀕した
閃く稲光。引き裂かれる大気。
ライコウより絶え間なく放たれ続ける白雷。炸裂と同時に大気は熱せられ、すぐさま雷の秘めたる極低温によって冷却される。
繰り返される加熱と冷却の連鎖。それらはやがて大気を著しく不安定化させ、凍土の空にドス黒い雷雲を形成していく。
(……ッ!! なに、あれ……!!)
その時、黒雲の広がる空を見上げたショウは思わずして息を呑んだ。
視線の先、渦を巻く雷雲の中心に稲妻を帯びた巨大な白い塊が出現していたのだ。
地より放たれる白雷を呑み込みながら、肥大化する白塊。
その正体はライコウによって凝縮された風のエネルギーの集合体。ひとたび破裂すれば周囲の何もかもを吹き飛ばす"白い嵐"である。
ショウの身に圧し掛かる桁外れの
想起されたのは先の『黒曜の原野』で目の当たりにした『奥の森』を埋め尽くす
間違いない。空に浮かぶアレは、先のエンテイと同等かそれ以上の大技だ。
(このままじゃマズい……! 何とかして止めなきゃ被害が……でもどうすれば……!?)
『黒曜の原野』に齎された甚大な被害が脳裏をよぎり、どうにかして止めねばマズいとショウは思考を巡らせる。
だが、しかし災害にも匹敵する規模であろう大技を如何にして防ぐというのか。
荒ぶる"白い嵐"は未だ天上の遥か彼方にあり、こちらから技を届かせることは不可能。
かといって本体を叩こうにも、ライコウの周囲は炸裂する白雷に覆われ近寄ることすら難しい状況。破れかぶれでマスターボールを投げようとも、本体に到達する前に破壊されるのがオチである。
(どうしよう……もう、打つ手が……!)
迫るくる危機的状況を前に焦るショウであったが、しかしどれほど必死に考えを巡らせど一向にこの状況を打破する妙手は見いだせなかった。
「(一体、どうすれば……)——「えるきゅお……!」——ッ! エンペルト?」
と、焦燥するショウの傍ら、膝を突いていたエンペルトがゆっくりと立ち上がる。
先のダメージで立つことすら辛いのだろうに、ふらつきながらそれでも両の足でしっかと大地を踏みしめ屹立するエンペルト。
その視線は遥か上空、天に渦巻く"白い嵐"へと注がれていた。
——きゅえるきゅおおお!!
「エンペルト……? ……! あなた、まさかアレを打ち墜とすつもり!?」
"白い嵐"を見上げ、鋭い咆哮を上げるエンペルト。
その瞳に不退転の覚悟が宿っているのを見たショウは咄嗟に静止の言葉を口にする。
「ダメ! ただでさえボロボロだっていうのに……アレに挑むだなんて危険すぎる!」
彼女にしては珍しい、強い口調でエンペルトを止めるショウ。だがそれもむべなるかな。
災害へ挑まんとするエンペルトの姿は、否応なしに離別した
"もう二度と仲間を目の前で
が、そんな彼女の言葉を受けて、それでもなおエンペルトが引き下がる様子はない。
元よりエンペルトは海の皇帝とも呼称される極めて誇り高い種族。いかに信頼をおくパートナーといえど、簡単に己が意思を曲げることはない。
加えてショウの相棒たるこのエンペルトはかつて『しまなみの浜』に君臨したオヤブン個体だ。実力の高さと比例するように、プライドもまた通常個体のそれを凌駕していた。
「(こうなったら無理やりにでもボールに……)ああっ!?」
意地でも意思を曲げないエンペルトに業を煮やし、無理やりにでもボールへ戻そうとしたショウ。
しかしボールを取り出した途端、エンペルトにその手を払いのけられ、ボールを取り落としてしまう。
「エンペルトッ……!」
「……分かった」
そのまま睨みあい続けることしばし、とうとう根負けしたようにショウは息を吐く。
「それがあなたの意思だっていうなら、相棒として私はそれを尊重する。……でも一つだけ約束して。どんなに追い詰められても絶対に自分の身を犠牲にしないって」
——えるるぅ!
"絶対に自らの身を犠牲にしようとするな"というショウの頼みに、エンペルトは"当然だ"と言わんばかりに鳴き声を返す。
そも、野生に生きる者は無謀な戦いに挑むことなどしない。勝ち目がなければ潔く退き生存を図るのが合理的というもの。
なれば即ち、彼がかの"白い嵐"に挑まんとするのは十二分な勝算があってのこと。敗北前提の自己犠牲など、強者たるエンペルトにとっては最も縁遠い概念なのだ。
ショウの許しを得て、改めて"白い嵐"を見据えながら仁王だつエンペルト。
その体からはまるで激流とも見まがうほどのエネルギーがほとばしり、開いた口腔へ次々に収束していく。
——ひゅららあああおおおおおおおおぉぉぉ!!
刹那、一際長い雄叫びとともに"白い嵐"がゆらりと波うつ。充填され続けた力がとうとう臨界に達したのだ。
そのまま自らの重さに耐えかねるように……或いはライコウの雷に導かれるように、"白い嵐"が地上へと落下する。
其は降り来る風の厄災。
炸裂すれば最後、地上の一切を薙ぐ
ヒスイを襲う三災が一。冠されしその名は——
遥か天の彼方より
白雷を纏い、烈風を呼び、地の
——きゅおるきゅおおおお!!
しかし、迫る天の厄災を前にして
厄災なぞ何するもの。我こそヒスイの
エンペルトの口腔へ集っていた激流が止む。膨大な"みず"のエネルギーが彼の口元へ集約・圧縮され、解放の時を待ちわびる。
傲慢なる異郷の神よ、見るがよい。
我らの意地が、我らの誇りが——貴様の
刹那、集いし力が解放され、巨大な奔流となって天に伸びる。
撃ち放たれた激流の大砲。遥か未来において、"水の究極技"と冠されし大技。
その名を——
天より
互いが互いを打ち消さんとせめぎ合う両者。しばしの間その勢いは拮抗するも——天秤は徐々に後者へと傾いていった。
いかに究極技とて、一般のポケモンが伝説のポケモンの一撃を押し返しつつある事実。まさしく驚愕の事態であるが、しかしそれは必然の出来事であった。
ライコウの放ちし必殺——【ふうさい・ゆきおろし】は元来、作りだした"
これが示すのは即ち、【ふうさい・ゆきおろし】とは炸裂して初めて「わざ」として成立するものであり……同時に、未だ白塊の状態にあっては「わざ」足りえないということである。
ポケモンの放つ「わざ」には、「わざ」を「わざ」たらしめるための指向性が必要不可欠。それが欠かれた状態では「わざ」は単なるエネルギーの塊に過ぎぬ。
そして、単なるエネルギー塊と強力な指向性を持った「わざ」がぶつかり合えば……どちらが勝つかは自明と言えよう。
即ち、これなるは必然の結果。
"強大な力はそれを上回る強大な力によって屈される"、ただそれだけのことであった。
——ひゅららららい!?
水の究極技が"白い嵐"を押し返し、貫く。
膨大な水流によってかき乱され、成す術もなく
さらに影響はそれだけで留まらず。
霧散した力は放電経路を伝いライコウへと逆流。流れ込んだ大電流がオーバーヒートを引き起こし、たてがみの機能を完全に喪失させてしまう。
——ひゅらああおおおう!?
ライコウを覆っていた白雷の障壁が消滅する。
加え、想定外の電流によりライコウの全身は"まひ"状態に陥り、その場から動くことさえままならない。
強靭無比なる伝説のポケモンが晒した致命的な隙。
果たして
「——ハアッ!」
障壁が消え、ライコウが動きを止めた刹那——すでに彼女は走り出していた。
片手に
——ひゅうううらら……ひゅらららああああい!
一方のライコウは自らへ迫る
触れれば生命力を奪い尽くされ、地に沈むことになるであろうおぞましき力。それを目前にしながら、しかしショウは止まらない。
あの
だが、すでにかの
迫る霊気の黒波を前に、駆けるショウの懐から夕暮れの光が放たれる。
目も眩むような金色の輝きが、漆黒の
強力な閃光に視界を焼かれ、悲鳴を上げてうずくまるライコウ。
その無防備な体目掛け、ショウは手にしたマスターボールを投擲した。
「——せいっ!」
放たれたボールが狙い違わずライコウの体へ突き刺さる。
瞬間、マスターボールが上下に開き、輝く紫の鎖がライコウの全身へと絡みついた。
——ひゅらら!?
身を縛る鎖に驚き、拘束より逃れんと藻搔くライコウ。
だが抵抗虚しく、瞬く間に全身が紫の輝きに包まれ、マスターボールの開口部へと吸い込まれていく。
光と化したライコウをすっかり取り込んだボールの口が閉ざされ、重力に引かれ落下する。
ボールはそのまま数度大地を飛び跳ねた後、"パン!"と小さな花火を上げて捕獲が完了したことを伝えた。
「……ッ!!」
捕獲が完了し、大地に転がるボールをショウは固唾を呑んで見守る。
先の『純白の凍土』でライコウはこの状態でボールを内側から破壊し、脱出したのだ。
研究に研究を重ね、ラベン博士が間違いなしと太鼓判を押したマスターボールであっても油断は禁物。
万が一の事態に備え、いつでも動けるよう構えながらショウはライコウが収まったボールを見つめ続けた。
——そうして見つめ続けることしばし、ボールに一切動きが見られないことを確認して、ようやっと拾い上げたのであった。
ライコウ(???の姿)
分類:ふうさいポケモン
タイプ:こおり
特性:ちくでん
背負ったタテガミは雷雲と似た構造。氷の粒子をぶつけ合わせ、膨大な電力を生み出す。
タテガミの生み出す電気で筋肉を刺激。稲妻のような速さで大地を駆ける。
専用技:
【ゆきおろし(雪颪)】タイプ:こおり 威力100 命中100 特殊 単体
冷たい雷で攻撃する。相手をまひ状態にすることもある。
※50%の確率で相手をまひ状態+20%の確率で怯み効果。
【ふうさい・ゆきおろし(風災・雪颪)】タイプ:こおり 威力130 命中100 特殊 全体
凄まじい冷風を引き起こして相手を攻撃する。
※電力フルチャージ状態で【ゆきおろし】から変化。敵専用のフレーバー技。